IgA血管炎
監修医師五十嵐 健史内科
- 更新日
- 2026/05/28
- 公開日
- 2020/09/03
IgA血管炎とは
IgA(免疫タンパク質)が誤った働きをして小さな血管に炎症を起こす病気です。原因は感染や薬剤、環境、食物、悪性腫瘍など様々で、下肢を中心に紫斑が広がり、腹痛や関節痛、腎障害を起こします。
「IgA血管炎」とはどのような病気ですか?
IgA血管炎は紫斑や腹痛を特徴とする自己免疫性の血管炎で、腎障害の管理が重要です。
IgA血管炎は、小児に多くみられる自己免疫性の血管炎のひとつです。以前はヘノッホ・シェーンライン紫斑病と呼ばれていました。
IgA血管炎は、体の免疫反応に関わる「IgA」という抗体が血管の壁に沈着し、炎症を引き起こすことで発症します。正確な原因は完全には解明されていませんが、免疫系が誤って健康な組織を攻撃する自己免疫疾患に分類されており、上気道感染症や胃腸感染症のあとに発症することが多いです。
3歳から15歳までの小児に最も多く発症しますが、成人にも発症する可能性があります。主な症状は、皮膚に現れる赤紫色の点状出血(紫斑)です。特に足やお尻に左右対称に出ることが多く、触れると僅かに隆起しており、押しても消えません。関節炎や関節痛、腹痛や血便などの消化管症状もよくみられます。また、腎臓に炎症が及ぶと血尿や蛋白尿が出ることがあり、これが病気の経過や予後に大きく関わります。
多くの子どもは自然に軽快しますが、腎障害が長引く場合があるため、定期的な尿検査や血圧測定で経過観察が必要です。治療は、軽症では安静や対症療法で十分なことが多いですが、強い腹痛や腎障害がある場合には、ステロイド薬が用いられることがあります。また、成人では病気がより重篤化したり、再発したりする可能性があり、免疫抑制治療が必要になることがあります。
IgA血管炎は基本的に、予後良好な病気ですが、腎臓への影響を早期に発見し、適切に対応することが大切です。
IgA血管炎の症状
IgA血管炎には初期症状はありますか?
IgA血管炎の初期は紫斑、関節痛、腹痛が多く、腎症状は遅れて出ます。
IgA血管炎の初期症状は「皮膚の紫斑」「関節痛」「腹痛」が中心ですが、症状の出方や順序には個人差があります。
IgA血管炎は、数日から数週間かけて、徐々に典型的な症状が揃ってくる病気です。初期段階では、まだ「IgA血管炎」とは気づきにくい症状から始まることが多いのが特徴です。より特徴的な症状が現れる前に、頭痛、発熱、筋肉痛、疲労感などを数週間にわたって経験する患者さんもいます。
最も多い初期のサインは、皮膚の紫斑(点状出血)です。特に足やお尻に、赤紫色の小さな発疹が左右対称に出てきます。はじめは蕁麻疹や虫刺されのように見えることもありますが、押しても消えない点で区別できます。
また、関節痛や関節の腫れが先に現れることもあります。膝と足首に最もよく現れますが、他の関節にも起こることがあります。「成長痛」や「捻挫」と思われて受診する場合も少なくありません。
さらに、腹痛が初発症状となることもあります。おへその周りや下腹部の痛みが繰り返し出たり、吐き気や嘔吐、下痢、血便を伴うこともあります。腸重積など重い合併症の前触れになることもあるため、注意が必要です。
一方で、腎臓の症状(血尿や蛋白尿)は多くの場合、発症から少し遅れて出現します。そのため、初期には自覚症状がなく、尿検査で初めて見つかることもあります。
お子さんにこれらの症状が見られた場合は、早めに小児科で相談し、尿検査を含めて診断を受けることが大切です。
IgA血管炎ではどのような症状がありますか?
IgA血管炎は紫斑を中心に、関節痛、腹痛、腎障害が特徴です。
IgA血管炎は、主に皮膚・関節・消化管・腎臓に症状が現れます。
IgA血管炎は全身の細い血管に炎症が起こる病気です。最も特徴的なのは皮膚症状で、赤紫色の点状出血(紫斑)が、主に下肢やお尻に出ます。腕、体幹、顔に出ることもあります。触れるとわずかに盛り上がっており、押しても色が消えないのが特徴です。通常は痛みやかゆみを伴いませんが、数が多くなり潰瘍を形成するようになると、痛みやかゆみを伴うこともあります。
次に多いのが関節症状で、膝や足首などに痛みや腫れが出ることがあります。数日で自然に軽快することが多く、関節に後遺症を残すことはまれです。
消化管症状もよくみられ、腹痛、吐き気、嘔吐、下痢(ときに血便)などが起こります。血管炎による腸管出血や腸重積(腸が入り込む病気)を合併することもあり、強い腹痛が続く場合には注意が必要です。
特に重要なのが、腎臓の症状です。発症から数週間以内に血尿や蛋白尿が出ることがあり、これが長く続くと腎炎や慢性腎障害につながる可能性があります。腎障害は自覚症状に乏しいため、定期的な尿検査でのチェックが大切です。
その他、男児では陰嚢の腫れや痛みが起こることがあります。また、まれに肺や脳の血管炎による症状が起こることもありますが、小児では少数です。
このようにIgA血管炎は「紫斑+関節痛+腹痛+腎症状」を4大症状として理解するとわかりやすいでしょう。
IgA血管炎で腹痛が起こるのはなぜですか?
腹痛は腸の血管炎で腸がむくむために起こります。
IgA血管炎の腹痛は、消化管の血管に炎症が起こり、腸がむくむことで生じる症状です。IgA血管炎は、全身の小さな血管に免疫物質(IgA免疫複合体)が沈着して炎症を起こす病気です。
消化管の血管に炎症が起こると、損傷した血管から血液と体液が漏出し、消化管の壁の腫れや炎症を引き起こします。これにより、血流が悪くなり、腸がむくんで、腸管が刺激されます。その結果、腹痛、吐き気、下痢などの症状が現れます。また、小さな血管の損傷により、消化管内での出血が起こり、血便や吐血が起こることがあります。これらの症状は、特に小腸や回盲部で起こりやすいです。
腹痛の程度は軽いこともありますが、まれに重度の炎症により腸閉塞や腸重積症が起こることがあります。腸重積症とは、腸の一部が隣接する部分に滑り込み、閉塞を引き起こす病気です。急激で強い腹痛や嘔吐がみられる場合には、これらの合併症を疑い、緊急対応が必要です。
また、腹痛は紫斑や関節痛より先に出ることもあり、IgA血管炎の初期症状として現れることもあります。症状の程度によっては、ステロイド薬などで炎症を抑える治療が行われます。早めに医師に相談することが大切です。
IgA血管炎の原因
IgA血管炎の原因は何がありますか?
IgA血管炎は感染後の免疫反応異常が主因で、薬剤や食物も誘因となります。
IgA血管炎の原因は、IgAという抗体の異常と、感染などの外的な刺激が関係しています。
IgA血管炎は、異常な免疫反応によって、全身の小さな血管に炎症を起こす病気です。体の免疫反応に関わる「IgA」という抗体が血管の壁に沈着し、炎症を引き起こすことで発症します。まだ完全には解明されていませんが、その原因は「ひとつの明確なもの」ではなく、体の内側の仕組みの異常と、外からのきっかけが重なって起こると考えられています。
まず、病気の中心には、IgA抗体の異常があります。特に「ガラクトース欠損IgA1」と呼ばれる、構造が不完全なIgAが作られやすくなります。このIgAは本来の役割を果たさないだけでなく、他の抗体とくっついて免疫複合体というものを形成し、これが血管に沈着して炎症を引き起こします。こうした免疫の異常は、遺伝的な素因や免疫系の過剰な働きが関係するとされています。
また、病気を発症させる「刺激要因」も存在します。代表的なのは感染症で、呼吸器感染症や胃腸感染症のあとにIgA血管炎を発症するパターンが最も多いです。感染症に対して、体内で作られたIgAが血管壁に沈着して炎症を起こすと考えられています。
一部の薬、食物や環境因子、虫刺されなども、免疫を刺激してIgA血管炎の発症に関わる可能性があるとされています。
このように、IgAの異常が土台にあり、そこに感染や薬などの外的な刺激が加わることで、IgA血管炎が起こると考えられています。
大人のIgA血管炎の原因はなんですか?
成人IgA血管炎は感染、薬剤、基礎疾患など複合要因で発症します。
大人のIgA血管炎の原因は、IgA抗体の異常と外的な誘因が関係しています。
大人のIgA血管炎は、子どもと同様に異常な免疫反応によって、全身の小さな血管に炎症を起こす病気ですが、誘因や関連するリスクは大人と子どもで少し異なります。
IgA血管炎は、体の免疫反応に関わる「IgA」という抗体が血管の壁に沈着し、炎症を引き起こすことで発症します。その原因は「ひとつの明確なもの」ではなく、体の内側の仕組みの異常と、外からのきっかけが重なって起こると考えられています。
まず、病気の中心には、IgA抗体の異常があります。構造が不完全なIgAが、本来の役割を果たさないだけでなく、他の抗体とくっついて免疫複合体というものを形成し、これが血管に沈着して炎症を引き起こします。こうした免疫の異常は、遺伝的な素因や免疫系の過剰な働きが関係するとされています。
これに加えて、発症の誘因がいくつか知られていますが、その内訳が大人と子どもで異なります。子どもの症例の半数以上で感染症がIgA血管炎の発症に先行するのに対して、大人では多くの症例が誘因の明らかでない特発性であり、誘因が特定されるのは全体の4分の1程度とする報告もあります。大人のIgA血管炎で感染症が先行するのは23~35%と、子どもに比べて頻度は低いと考えられます。
また、感染症以外に、悪性腫瘍、薬剤、自己免疫疾患等の慢性的な基礎疾患が誘因となる可能性が知られています。
参考文献
Johannes Nossent et al. Morbidity and mortality in adult-onset IgA vasculitis: a long-term population-based cohort study. Rheumatology (Oxford). 2021, 61, 291-298.
Shirel Levanon et al. IgA vasculitis in adults, pediatrics and non-vasculitic IgA nephropathy, retrospective analysis from 2 centers. Medicine (Baltimore). 2023, 102, e36521.
Brenna G Kelly et al. Navigating the initial diagnosis and management of adult IgA vasculitis: A review. JAAD Int. 2022 Jun 13;8:71-78.. JAAD Int. 2022, 13, 71-78.
IgA血管炎の検査・診断
IgA血管炎のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
自宅で確実に「IgA血管炎かどうか」を判断できるセルフチェック方法はありません。ただし、受診の目安となる“気づきのポイント”はあります。
IgA血管炎は、皮膚・関節・消化管・腎臓などに症状が出る全身性の病気です。IgA血管炎が疑われる症状は、以下のとおりです。
自宅でのセルフチェックは「紫斑」「関節痛」「腹痛」「尿の異常」といった症状に気づくことにとどまります。他の病気を除外し、IgA血管炎と診断し、合併症について評価をするには、医師による身体診察と血液検査や尿検査、画像検査などが必要です。特に腎臓のトラブルは放置すると慢性腎臓病につながりますが、自覚症状が出にくいため、医療機関での尿検査が欠かせません。
少しでも疑わしい症状があれば、早めに小児科(成人では内科)を受診することが安心につながります。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、IgA血管炎かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
IgA血管炎の診断基準を教えてください。
下肢の紫斑が必須で、関節・腹部・腎症状やIgA沈着で診断されます。
IgA血管炎の診断は、紫斑を中心とした全身症状の組み合わせと、必要に応じた生検によって行われます。よく使われる基準に、米国リウマチ学会や欧州リウマチ学会・欧州小児リウマチ学会の分類基準などがあります。
診断を確実にするために、世界的にいくつかの「診断・分類基準」が用いられています。ここでは代表的な基準を紹介します。
1. 米国リウマチ学会(ACR)分類基準(1990年)
以下の4項目のうち2つ以上を満たすと診断に有用とされますが、成人例には使いにくいという難点があります。
2. 欧州リウマチ学会・欧州小児リウマチ学会(EULAR/PRINTO/PRES)基準(2010年)
現在、特に小児で最もよく使われる基準です。必須条件として触知できる紫斑があることが求められ、それに加えて以下のいずれかを伴えば、診断可能とされます。
小児では特徴的な紫斑の存在が重要で、他の症状が軽くても診断されることがあります。一方で成人では腎障害が重く出ることがあるため、血液・尿検査で腎機能を評価することが重要です。生検でIgA沈着が確認されると、診断の確実性が高まります。
IgA血管炎の治療・対処法
IgA血管炎への対処法は?
症状が軽いときは、対症療法のみで自然に改善しますが、重いときはステロイドや免疫抑制剤を使用するため入院が必要です。
IgA血管炎の場合、主にどのような治療をしますか?
IgA血管炎は多くが自然軽快しますが、重症例ではステロイド治療と腎管理が重要です。
IgA血管炎は多くの場合、自然に回復するため、治療の基本は「安静」と「症状に応じた対症療法」です。症状の程度や合併症、特に腎臓への影響の有無によって、ステロイドを中心とした治療が追加されます。
IgA血管炎では「どの臓器に、どの程度症状が出ているか」を見極めながら薬を使い分けます。症状別の主な治療は以下のとおりです。
皮膚症状
紫斑は自然に軽快することが多く、基本的には経過観察で十分です。ただし、多発し潰瘍になり、痛みやかゆみが強い場合には、ステロイドや抗ヒスタミン薬の外用薬が用いられることがあります。
関節症状
膝や足首などの関節痛には、アセトアミノフェンやNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が使われます。数日で自然に軽快することがほとんどですが、症状の強い場合には、短期間のステロイド内服が検討されます。
消化器症状
腹痛や下血などの症状が強い場合、ステロイドが用いられます。重症例では入院し、絶食や点滴を行いながら治療します。腸重積などの合併症があれば、緊急対応が必要になることもあります。
腎障害
慢性腎臓病につながることがあるため、血尿や蛋白尿が出る場合は注意深く経過をみます。軽度であれば経過観察のみですが、蛋白尿が強い、血圧が上がっているなどの場合には、ステロイドや免疫抑制薬が用いられることがあります。
難治例では、さらなる治療強化が考慮されることがあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
IgA血管炎が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
紫斑や強い腹痛、血尿があれば早めに小児科・内科を受診しましょう。
次のような症状があり、IgA血管炎が疑われる場合は、早めに小児科(成人では内科)を受診することがすすめられます。
押しても消えない赤紫色の発疹が足やお尻に出てきた場合
IgA血管炎は、皮膚に、わずかに盛り上がった赤紫色の点状出血(紫斑)が現れるのが典型的です。初期には蕁麻疹や虫刺されに似て見えることもありますが、IgA血管炎の紫斑は押しても消えない点が特徴です。この発疹だけでもIgA血管炎の可能性があるため、自己判断せず診察を受けることが重要です。
強い腹痛、血便や黒い便、繰り返す嘔吐がある場合
腸重積症や重度の消化管出血などの重篤な合併症を示している可能性があるため、すぐに受診が必要です。
尿が赤くなる、泡立ちが強い、むくみが出るなどの症状がある場合
腎臓の障害が進んでいる可能性があり、早急な診察が求められます。腎障害は自覚症状が少ないこともあるため、診断後は定期的な尿検査や血圧測定による経過観察が大切です。
その他にも、関節痛や関節の腫れが強く、歩きにくい・動けないといった場合や、男児で精巣の腫れや痛みがみられる場合には、病院での評価が必要です。
まとめると、「押しても消えない紫斑がある」「強い腹痛や血尿がある」「関節が痛くて歩けない」などの場合は受診が必要であり、症状が急に悪化したときは、夜間でも救急外来の受診を検討してください。
IgA血管炎が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
IgA血管炎は小児科(成人は内科)を受診し、症状に応じ専門科と連携します。
小児の場合は小児科を、大人の場合は内科を受診しましょう。
IgA血管炎は主に小児に多い病気で、皮膚に赤紫色の発疹(紫斑)が出たり、関節痛や腹痛を伴うのが特徴です。まずは小児科を受診するのが基本です。小児科では全身の症状をまとめて評価でき、尿検査や血液検査を行い、必要に応じて腎臓や消化管の合併症も確認してもらえます。
もし、大人に発症した場合は、内科を受診してください。成人のIgA血管炎は小児より腎障害が強く出やすいため、腎臓内科での詳しい評価が必要になることもあります。
症状に応じて、他科と連携をすることもあります。
- 皮膚科:紫斑が主な症状の場合、まず皮膚科を受診し、そこから小児科や内科を紹介されることもあります。
- 整形外科:関節痛が強く、他の関節の病気と区別が必要な場合に相談する場合があります。
- 消化器内科/小児外科:強い腹痛や消化管出血、腸重積などが疑われる場合に相談する場合があります。
- 腎臓内科:血尿や蛋白尿など腎障害の兆候がある場合に、専門的な治療とモニタリングのために相談する場合があります。
ただし、IgA血管炎は全身性の病気であるため、最初の窓口としては小児なら小児科、成人なら内科が最も適切です。そのうえで必要に応じて専門科と連携する形になります。
IgA血管炎の専門医がいる近くの病院はありますか?
IgA血管炎の専門医がいる病院を見るIgA血管炎の薬
IgA血管炎は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
軽症は安静、痛み止め、重症はステロイドや免疫抑制薬で治療します。
IgA血管炎は多くの場合、自然に軽快しますが、症状の程度や合併症の有無に応じて薬が使われます。主な治療薬と副作用は次の通りです。
解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)
ステロイド薬(プレドニゾロンなど)
免疫抑制薬(シクロフォスファミドやアザチオプリンなど)
- 重症の腎障害やステロイドが十分に効かない場合に検討されます。
- 副作用:感染症のリスク増加、血球減少、肝障害、腎障害など。
特殊な薬(ダプソンなど)
- 重症例や再発例に限って使われることがあります。
- 副作用:発疹や貧血、肝障害など。
治療方針は症状によって異なり、軽症例では、薬を使わず安静と経過観察だけで十分なこともあります。一方でステロイドの効かない重症例や難治例では、より高度な追加治療が検討される場合もあります。薬を使用する場合は、医師が副作用リスクを考慮して、必要最小限の期間・量で処方します。特にステロイドや免疫抑制薬は、自己判断で中止・追加せず、必ず医師の指示に従うことが重要です。
対処法・セルフケア
大人でIgA血管炎を繰り返す場合、どうしたらいいですか?
再発時は自己判断せず、専門医で腎評価と感染予防・生活管理を行いましょう。
大人でIgA血管炎を繰り返す場合は、専門医の管理下で経過観察と治療が必要です。子どもに比べて大人では腎障害が重く出やすく、再発により腎機能が悪化することもあるため、原因の評価と再発予防のための管理も重要です。
まず、主治医による精密検査が必要になります。血液検査や尿検査で腎障害の有無や程度を確認し、場合によっては腎臓内科での評価を受けます。再発性 IgA 血管炎では、炎症を抑えるためにステロイドの長期、または反復投与が必要になる場合がありますが、ステロイドの長期使用には重大な副作用が伴います。免疫抑制薬が、必要なステロイド量を減らし、病勢を制御するために使用されることがあります。
次に、再発の誘因を把握することも大切です。風邪などの感染症や、薬剤の使用が引き金になることがあります。感染症予防(手洗い、マスク、人混みの回避など)や、自己判断で薬を使わないことが再発防止につながります。
さらに、日常生活での注意として、無理な運動やケガを避ける、十分な休養と栄養を取ることが推奨されます。定期的な尿検査や血圧測定で早期に再発を発見し、必要に応じて医師と治療方針を調整します。
再発を繰り返す場合は、自己判断せずに専門医の管理下で経過を観察することが、腎障害の悪化を防ぎ、安全に生活するために最も重要です。
IgA血管炎の場合、日常生活で気をつけることはありますか?
安静・ケガ防止・水分管理・尿観察・感染対策が日常の注意点です。
IgA血管炎は、多くの子どもで自然に軽快する病気ですが、以下のような日常生活での注意が必要です。
1. 治療計画と医師のアドバイスに従う
すべての薬は医師の指示通りに服用しましょう。血尿や蛋白尿は腎臓障害のサインであり、症状がなくても定期的に医療機関で尿検査を行うことが推奨されます。新しい症状や悪化した症状があれば、すぐに報告してください。
2.安静にし、十分な休息をとる
強い腹痛や関節痛があるときは、無理に運動をせず、家で休むことが大切です。症状が落ち着いている場合は、軽い遊びや散歩などは差し支えありませんが、紫斑が出ている皮膚は血管が炎症で弱くなっているため、打撲や擦り傷で出血しやすくなります。遊具やスポーツをする場合は、必要に応じて保護具を使うと安心です。
3.消化のよい食事や十分な水分摂取を心がける
強い腹痛や嘔吐があるときは、消化に優しい食事を心がけ、脱水に注意します。特別な制限は通常不要ですが、腎障害がある場合は、医師の指示に従って塩分や水分管理を行うことがあります。
4. 感染予防
ステロイドや免疫抑制薬は、感染症のリスクを高める可能性があります。手洗いや人混みの回避など基本的な感染対策を行います。また、医師に相談したうえで、推奨される予防接種を受けてください。
IgA血管炎を抱えながら生活するうえでは、服薬遵守、症状のモニタリングと定期的な通院、食事と水分摂取、感染予防が大切です。
IgA血管炎で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
薬が効かない場合は自己判断せず再受診し、専門医の管理下で治療を調整します。
IgA血管炎で薬が効かない場合は、医師が治療を見直します。自己判断せず、必ず医師に相談することが重要です。
IgA血管炎は多くの場合、自然に軽快するか、ステロイドなどの薬で症状が改善します。しかし、まれに薬が効きにくい場合があります。この場合、まずは症状が悪化しているかどうかを確認します。特に強い腹痛、血便、血尿、むくみ、尿量減少などの症状は、腎臓や消化管の障害が進んでいるサインであり、再評価と入院加療が必要になることがあります。
薬が効かない場合には、医師が以下のような対応を検討します:
- 薬の種類や量の見直し:ステロイドの量を調整したり、より強い免疫抑制薬を追加することがあります。
- 専門科への紹介:腎障害が強い場合は腎臓内科、腹痛が強い場合は消化器内科や小児外科と連携します。
- 入院治療:点滴で栄養や水分補給を行いながら、薬を管理することがあります。重症例では集中管理が必要です。
ステロイドの効かない重症例や難治例では、より高度な追加治療(ステロイドパルス療法、大量免疫グロブリン療法、免疫抑制薬の追加、血漿交換など)が検討される場合もあります。
治療の調整は、症状の重症度、臓器の障害、治療への反応などに基づいて、患者さんごとに慎重に検討されます。大切なのは、症状が悪化したら、自宅で様子を見ずに速やかに医療機関を受診することです。特に腎障害は自覚症状が少ないことが多く、定期的な尿検査と医師の指示に基づく治療調整が必要です。
IgA血管炎に関連するその他の質問
IgA血管炎の紫斑の画像はありますか?
IgA血管炎の紫斑の画像は、信頼できる医療情報サイトから閲覧可能です。
IgA血管炎の紫斑の画像は、信頼できる医療情報サイトから閲覧可能です。
IgA血管炎では、下肢やお尻に赤紫色の小さな点状出血(紫斑)が現れることが特徴です。背中や腕、(特に乳児で)顔面に出ることもあります。紫斑は、最初は平坦なものから始まり、次第に盛り上がり、軽いしこりとして触れることができます。また、圧迫しても色が消えないのが特徴です。重症または難治性の症例では、水疱や潰瘍になる場合もあります。
IgA 血管炎の紫斑の画像は、
- 日本皮膚科学会ホームページ 皮膚科Q&A「Q8 IgA血管炎の皮膚症状の特徴は何ですか?」
- 日本小児腎臓病学会 小児IgA血管炎診療ガイドライン2023「4. 小児IgA血管炎の皮膚症状」
などで確認することが可能です。
紫斑が現れた場合、IgA血管炎の可能性がありますが、他の疾患でも類似の症状が現れることがあります。早期の受診と専門医の診断を受けることが重要です。
IgA血管炎で難病申請はできますか?
軽症IgA血管炎は対象外、腎障害が重い場合は難病申請可能です。
一般的なIgA血管炎そのものでは難病申請はできませんが、重度の腎障害を伴う場合は、申請対象になる可能性があります。
日本には国が定める「指定難病」の制度があり、該当する病気で一定の重症度を満たす場合、医療費の自己負担が軽減される仕組みがあります。原因不明で長期にわたり治療が必要となる病気や、社会的支援が必要な病気が対象で、多くの場合自然に軽快するIgA血管炎はこれに含まれていません。
一方で、IgA血管炎の一部の方では腎臓に強い炎症が起こり、「紫斑病性腎炎(IgA血管炎に伴う腎障害)」と呼ばれる状態になります。これは血尿や蛋白尿が続く、腎機能が低下するといった長期的な影響を残すことがあるため、指定難病に含まれています。したがって、IgA血管炎の経過で腎炎が起こり、かつ症状や検査所見が基準を満たす場合には、難病医療費助成の対象として申請することが可能です。
もし、血尿や蛋白尿が持続している場合や腎機能の低下が見られる場合は、主治医に「難病申請の対象になるか」を相談するとよいでしょう。難病申請を行うには、主治医による診断書や検査結果、腎障害の程度(尿蛋白量、血清クレアチニン値など)が必要です。また、都道府県の難病窓口で条件や手続きを確認することが大切です。
なお、紫斑病性腎炎は小児慢性特定疾病にも含まれます。これは18歳未満で発症した国が定めた子どもの慢性疾病を対象に、20歳まで(一定条件で22歳まで)医療費助成を受けられる制度です。
IgA血管炎は治らない病気ですか?
IgA血管炎は多くが自然に治りますが、腎障害は長期管理が必要です。
ほとんどのIgA血管炎は一過性で治りますが、一部では永続的な後遺症を残す場合があります。
IgA血管炎は、多くの子どもで自然に治ることがほとんどです。典型的には数週間から1ヶ月程度で、皮膚の紫斑や関節痛、腹痛は徐々に軽快します。薬を使う場合も、症状を和らげるための短期的な使用が中心です。
腹痛や腸管出血などの消化管症状は一時的に重症化することがありますが、適切な治療で改善します。関節痛も後遺症を残すことはほとんどありません。また、患者さんの約3分の1は再発を経験しますが、再発は通常、初発時の症状よりも軽度であり、その後軽快します。
一方で、注意が必要なのは腎臓への影響です。血尿や蛋白尿が出る場合は、腎炎として長期に続くことがあります。成人や重症例では、腎障害が慢性化することもあり、まれに腎不全など永続的な障害に進むことがあります。
IgA血管炎によって腎障害を発症する子どもでは、90%が発症後2ヶ月以内に、97%が6ヶ月以内に腎障害を発症するとされています。また、成人では、病気の初期から長期にわたり腎障害を発症するリスクがあります。
そのため、IgA血管炎では自覚症状がなくとも、発症後半年〜1年は腎障害の有無を定期的にチェックすることが重要です。尿検査や血圧測定を継続し、血尿や蛋白尿が持続する場合は腎臓内科との連携が必要となります。早期発見と適切な管理が予後を左右します。
参考文献
日本小児腎臓病学会.小児IgA血管炎診療ガイドライン2023.2023年,診断と治療社.
Santos Castañeda et al. IgA Vasculitis (Henoch-Schönlein Purpura): An Update on Treatment. J Clin Med. 2024, 13, 6621.
H Narchi . Risk of long term renal impairment and duration of follow up recommended for Henoch-Schonlein purpura with normal or minimal urinary findings: a systematic review. Arch Dis Child. 2005, 90, 916-20.
IgA血管炎について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「IgA血管炎」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 皮ふに紫色のあざまたはブツブツがありますか?
- 皮ふに点状の内出血がありますか?
- 暗い紫色の小さな点々が、足の付け根から足指のどこかに出ていますか?
- 最近、赤や茶色の尿が出たことがありますか?
- 体温は37.5℃以上ですか?
IgA血管炎に関連する病気・症状
このページを見ている人はこんな病気も見ています
このページを見ている人は他にどんな病気を見ていますか?
この記事の監修医師
五十嵐 健史
内科・麻酔科
東京大学医学部卒。東京都健康長寿医療センターで初期研修を行い、2017年10月よりUbie株式会社に就職。Ubie株式会社では医学データの登録や修正のほか、製薬チームのサポートも行う。現在は内科医として勤務中。
- 更新日
- 2026/05/28
- 公開日
- 2020/09/03