ささいなことでも血が出てしまう
監修医師平松 由布季東日本橋内科クリニック 内科
- 更新日
- 2026/06/12
- 公開日
- 2021/01/18
概要
わずかな衝撃で青あざができたり、歯磨きや鼻をかむなどの日常的な動作で出血し、止まりにくくなっている場合は、止血の役割を担う「血小板」の減少や機能低下、血管自体のもろさ、あるいは血液を固める成分(凝固因子)の不足などが考えられます。抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)やステロイドなど、薬が原因のこともあります。症状が続く場合は、医療機関への受診を検討してください。
血が止まらないとは
「血が止まらない」とはどのような症状ですか?
通常であれば自然に止まる、または押さえることで止まるはずの出血が、止まりにくくなった状態です。
本来、軽い怪我や鼻血、歯茎などからの出血は、人間の体に備わっている血液を固めやすくする成分(血小板や凝固因子)の働きで、止血することができます。
しかし、これらの成分が何らかの原因で正常に働かなくなった場合には、うまく止血ができなくなってしまいます。
このような状態を「血が止まりにくい状態」と言い、医学的には「出血傾向」と呼びます。
血が止まらないの原因
小さい傷でも血が止まらないなど、血が止まりにくい人の特徴や考えられる病気には何がありますか?
血が止まりにくい人は、血友病、肝疾患、血小板減少症、ビタミンK欠乏症などが考えられます。
小さな傷でも血が止まりにくい場合、考えられる原因や病気にはいくつかの要因があります。これらは出血傾向や止血機能の異常に関連しています。
以下に、主な特徴や考えられる病気を紹介します。
1.血液凝固障害
血友病
血友病は、血液が正常に凝固しない遺伝性の病気で、血が止まりにくくなるのが特徴です。軽い怪我でも出血が長引くことがあります。
フォン・ヴィレブランド病
血液凝固に重要なタンパク質であるフォン・ヴィレブランド因子の不足や異常が原因で、出血が止まりにくくなります。
2. 血小板の異常
血小板減少症
血小板は血液を凝固させるために重要です。血小板の数が減少すると、軽い傷でも出血が止まりにくくなることがあります。原因には免疫疾患、骨髄の問題、薬剤などが含まれます。
血小板機能異常
血小板が正常な数でも、その機能が異常だと血が止まりにくくなります。
3.薬物の影響
抗血栓薬の使用
ワルファリンやアスピリンなどの抗血栓薬を服用している場合、血液が固まりにくくなり、傷が治るのに時間がかかることがあります。
4. 肝臓の病気
肝機能障害
肝臓は血液凝固因子を作る重要な役割を担っています。肝臓の機能が低下すると、血液が正常に凝固できず、出血が止まりにくくなります。
5. ビタミンK不足
ビタミンKは血液の凝固に重要な栄養素です。不足すると、出血が長引く可能性があります。食生活の乱れや腸の吸収不良が原因となることがあります。
6. 慢性疾患や自己免疫疾患
一部の慢性疾患や自己免疫疾患も血液の凝固に影響を与え、出血が止まりにくい症状を引き起こすことがあります。
このような症状がある場合は、血液検査や医師の診察を受け、正確な診断をしてもらうことが重要です。
参考文献
日本血栓止血学会.“von Willebrand病の診療ガイドライン2021年版”.日本血栓止血学会.https://www.jsth.org/wordpress/wp-content/uploads/2015/04/von-Willebrand%E7%97%85%E3%81%AE%E8%A8%BA%E7%99%82%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B32021%E5%B9%B4%E7%89%88.pdf,(参照 2024-11-21).
後天性血友病A 診療ガイドライン作成委員会ほか.血栓止血誌.2017,28(6),715-747.
血が止まりにくい原因は何ですか?
血液の病気などさまざまな原因がある場合があります。
血液が止まりにくくなる原因には、血管の異常や、血液を固める働きをする成分の異常(血小板の異常や凝固・線溶系の異常)を引き起こす病気が隠れていることがあります。
それ以外にも、肝臓の病気や薬剤、がんなど、さまざまな原因が考えられます。
詳しくは以下をご参照ください。
血が止まらない原因や考えられる病気には何がありますか?
血液系の病気や肝臓の病気、薬剤などさまざまな原因があります。
血液が止まりにくくなる原因としては、以下のようなものがあります。
血管の異常
- 遺伝性出血性毛細血管拡張症(Osler病)
- Ehlers-Danlos症候群
- IgA血管炎
など
血小板の異常
など
血液が固まる働き(凝固系)の異常
- 血友病
- ビタミンK欠乏症
- 肝硬変
- 播種性血管内凝固(DIC)
など
血栓を溶かす働き(線溶系)の異常
- α2プラスミンインヒビター欠乏症
- 薬剤性
- 播種性血管内凝固(DIC)
など
受診の目安・何科を受診するべきか
血が止まらない場合、何科を受診したらよいですか?また、病院を受診する目安はありますか?
まずは出血を起こしている部位の専門科を受診し、血液の病気などが疑われる際には血液内科への紹介が検討されます。
鼻血の場合
鼻血が頻繁に起こる、または止まりにくい場合は、耳鼻咽喉科を受診します。アレルギーや乾燥、物理的な刺激によっても起こりやすく、時には血液疾患のサインである場合もあります。
不正出血の場合
不正出血がある場合、婦人科への受診が推奨されます。これは、ホルモンの乱れや子宮内膜症、子宮筋腫などさまざまな原因が考えられるためです。
あざの場合
あざが容易にできる、または説明のつかないあざが見られる場合は、皮膚科への受診が必要です。これは、血小板の異常や血管の脆弱性、栄養不足などが原因である場合があります。
下血の場合
下血などの消化器系の出血が疑われる場合、消化器科での検査が重要です。これは、胃潰瘍や大腸ポリープ、炎症性腸疾患など、消化器系のさまざまな病気が原因である可能性があるためです。
まずは、それぞれの出血症状に応じた各専門科を受診することが必要です。
そのうえで、病的な出血のしやすさがあると判断された際には、血液内科を紹介するといった流れとなることが多いです。
それまでなかったような出血を繰り返す、出血が持続する際には、速やかに受診を検討しましょう。
対処法・セルフケア
指を切って血が止まらない場合の対処法を教えてください。
清潔な布で傷口を圧迫し、それでも止まらなければ医療機関を受診してください。
指を切って血が止まらない場合、まずは落ち着いて以下の手順に従って対処しましょう。
- 傷口を圧迫する:清潔なガーゼや布を使い、傷口をしっかりと押さえてください。圧迫することで血管が収縮し、出血が止まりやすくなります。5〜10分ほど強めに押さえて様子を見ましょう
- 手を心臓より高く保つ: 出血を減らすために、手を心臓の高さより高く上げてください。これにより、血液の流れが抑えられます
- 清潔に保つ: 出血が止まったら、傷口を流水で洗い流し、感染を防ぐために消毒しましょう。その後、絆創膏や包帯で傷口を覆います
- 医師の診察が必要な場合: 出血が止まらない、傷が深い、または指が痺れる場合は、早急に医療機関を受診してください。特に、指の自由に動かしにくくなる場合や切れた物が不衛生であれば、破傷風などの感染リスクがあります
これらの手順を守ることで、適切に応急処置ができますが、必要に応じて専門医の助けを求めてください。
切り傷の応急処置や治し方について教えてください。
傷を水で洗い、上から圧迫して止血しましょう。深い傷や大きな傷は速やかに受診が必要です。
切り傷などの怪我を負った際には、まず止血と感染の防止が重要です。
外での怪我、汚れが入るリスクがある傷の場合
まず水道水で洗浄しましょう。付着した菌を洗い流したり、傷の深さなどが分かりやすくなったりします。
出血がある場合
洗浄後に手やガーゼ、清潔なタオルなどで押さえて止血をします。小さな傷であれば、10~20分くらいの圧迫で血が止まることが多いです。止血ができていれば絆創膏などは使用しなくても構いませんが、じわじわ出血がある、当たる部位の怪我なのであれば絆創膏などで覆っても良いでしょう。
止血が難しい傷、深い傷、広い傷の場合
洗浄と止血をした状態で、速やかに受診するのが良いでしょう。
生理で不正出血が止まらない場合はどうしたらよいですか?
検査・診断
血が止まらない場合のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
小さな傷や鼻血などは適切に圧迫するなどすれば、通常10~20分程度で止血することが多いです。しかし、適切に処置しても出血が止まらない場合や、出血を頻回に繰り返す場合には、一度病院を受診をすることをおすすめします。
また、中には遺伝する病気もあるため、家族・親戚に出血しやすい病気をお持ちの方がいる場合には特に注意が必要です。
なお、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、無料で「血が止まらない」症状の緊急度や関連する病気をチェックすることができます。ぜひご活用ください。
血が止まらないの治療
血が止まらない場合の治療や予防方法には何がありますか?
怪我や出血を伴うリスクがある行動には注意をする、避けるといったことが大切です。
包丁などで切ったり、ぶつけるなどの打撲や転倒などの怪我は、出血が止まらなくなるリスクがあるため、注意が必要です。
鼻の中をいじる、歯を強く磨きすぎるなどの行為も、出血のしやすさにつながることもあります。
虫歯や歯槽膿漏などがあると口の中の出血しやすさにつながるため、口の中の衛生環境には注意しましょう。
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この記事の監修医師
平松 由布季 先生
東日本橋内科クリニック 内科
2015年愛媛大学医学部卒。 松山赤十字病院で初期研修後、東京ベイ・浦安市川医療センターで内科後期研修を修了。 引き続き同センター総合内科で、フェローシップ研修を行い、2024年1月まで医員、外来医長として勤務。 病棟専門の総合医であるホスピタリストとして、特に若手医師の教育、臨床倫理(アドバンス・ケア・プランニングや意思決定支援など)に注力してきた。 2022年6月からは日本プライマリ・ケア連合学会 若手医師支援部門 病院総合医チーム副代表に就任。"病院総合医の価値を社会に発信し、これを志す若手の道標になる"をMISSION&VISONに掲げ、学術大会等での企画運営、商業誌執筆、若手医師のキャリア支援などを行なってきた。 2024年2月から東日本橋内科クリニックで勤務。
- 更新日
- 2026/06/12
- 公開日
- 2021/01/18