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週末の寝だめには意味がありますか?平日との睡眠のずれが体に与える影響を教えてください。
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週末の寝だめには意味がありますか?平日との睡眠のずれが体に与える影響を教えてください。

日下 慶子監修者

精神科・心療内科

日下 慶子

寝だめで睡眠不足の一部は取り戻せますが、帳消しにはなりにくいと考えられます。平日の睡眠不足をためず、休日も起きる時刻を大きくずらさないことがおすすめです。

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週末の寝だめで取り戻せること・取り戻せないこと

寝床にいる時間を4時間に制限した夜を5夜続けたあと、1晩だけ長く眠った実験があります。長く眠るほど回復は進みましたが、寝床に10時間いても注意力・眠気・疲れは戻りきりませんでした[Sleep. 2010;33(8):1013-26.]。強い睡眠不足で回復も1晩だけの条件ですが、長く眠っても回復が完全には進まない可能性を示す結果です。

一方、10本の調査(計約33万人)をまとめた分析があります。寝だめをする人はしない人より、うつのリスクが低いことと関連していました[J Affect Disord. 2025;378:109-18.]。この関連は0〜2時間の寝だめでみられ、2時間を超えると弱まっていました[同上]。いずれもある時点の状態を調べた調査のため、週末に長く眠るとうつを減らせるかという因果関係が証明されているわけではありません。

なお、65歳未満で、平日は5時間以下・週末は6時間以上眠る人を調べた観察研究があります。この人たちの死亡率は、毎日6〜7時間眠る人と差がなかったと報告されています[J Sleep Res. 2019;28(1):e12712.]。ただし睡眠時間は開始時に自己申告で1回聞いただけです。1本の研究で「差がなかった」という結果にすぎず、寝だめの効果を示したものではありません。

寝だめをしても代謝の乱れは防げない?

健康な若い大人36人を3つの組に分けて寝床にいる時間の違いが代謝に影響するかを調べた小さな実験があります。このうち、平日5日間、寝床にいる時間を5時間に制限したあと週末2日は自由に眠り、再び睡眠不足に戻った組の結果では、週末は普段より長く眠り、夕食後に食べる量も一時的に減りました。しかし、週明けに再び睡眠不足になると、体内時計が後ろにずれ、夕食後に食べる量と体重が試験前より増えました[Curr Biol. 2019;29(6):957-967.e4.]。寝だめで一部は取り戻せても、睡眠不足に戻ったときの代謝の乱れまでは防げない可能性が示唆されています。

平日と休日の睡眠のずれ(社会的時差ぼけ)が体に与える影響

平日と休日で寝る・起きる時刻がずれることを「社会的時差ぼけ」と呼びます。社会的時差ぼけがある人では、BMI(体格指数)や腹囲、HbA1c(1〜2か月の血糖の平均を表す値)が高い傾向がみられました[J Sleep Res. 2023;32(3):e13770.]。ただし、主に一時点の調査をまとめた分析で、根拠の確かさは高くありません。BMIやHbA1cでは研究ごとの結果のばらつきも非常に大きくなっています。また空腹時血糖や、2型糖尿病などの病気があるかどうかとは関連がみられませんでした[同上]。

また59本の研究をまとめた報告では、寝る・起きる時刻が不規則な人ほど、気分の落ち込みや不安、高血圧などが多い傾向がみられました[Sleep Med Rev. 2025;84:102203.]。こちらも観察研究での関連で、平日と休日の睡眠のずれを減らせば健康の状態が改善すると確かめられたわけではありません。

週末の寝だめと平日とのずれに向き合ううえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

週末の寝だめと平日とのずれに向き合ううえで日常生活の工夫として検討したい3つのコツと理由をまとめた表です。 1つ目は「平日の睡眠不足をためない」で、平日の睡眠時間の確保を優先することです。理由は、寝だめをしても再び睡眠不足になると代謝の乱れがみられたという報告があるためです。 2つ目は「休日も起きる時刻を大きくずらさない」で、平日と休日の時刻の差を小さくすることです。理由は、時刻のずれがBMIやHbA1cなどと関連している可能性があるためです。 3つ目は「週末の寝だめは補助と考える」で、睡眠不足の週は休日に休みつつ、寝だめに頼りすぎないことです。理由は、強い睡眠不足のあと1晩長く眠っても回復しきらなかったという報告があるためです。

ここだけは伝えたいメッセージ

週末にゆっくり眠ることにも、睡眠不足の一部を取り戻す意味はあります。そのうえで、平日の睡眠と起きる時刻をそろえることを少しずつ意識してみましょう。休日に長く眠っても日中の強い眠気やだるさが続く場合は、医療機関への受診をご検討ください。

まとめ:寝だめは「一部の回復」、基本は平日の睡眠

  • 寝だめの効果: 寝床にいる時間を4時間に限った夜が5夜続いたあと、1晩長く眠っても、注意力や眠気は戻りきらなかったという報告がある
  • 代謝への影響: 週末に寝だめをしても、再び睡眠不足になるとインスリンの効きの低下や体重の増加がみられたという小さな実験がある
  • 社会的時差ぼけ: 平日と休日の寝る・起きる時刻のずれは、BMI・腹囲・HbA1cが高い傾向と関連していた
  • 規則的な睡眠: 寝る・起きる時刻が不規則な人ほど心身の指標がよくない傾向があるが、因果関係は確かめられていない
  • 日常の工夫: 本文の研究から、平日の睡眠不足をためず、休日も起きる時刻を大きくずらさないことが工夫として考えられる

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(参考文献)

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