
監修者福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長
内臓脂肪はお腹の中の臓器まわりにつく脂肪で生活習慣病との関連が強く、皮下脂肪は皮膚の下につく脂肪で見た目に影響しやすいとされています。落とし方にも違いがあります。
内臓脂肪と皮下脂肪とは|つく場所と役割の違い
体脂肪には大きく分けて「内臓脂肪」と「皮下脂肪」の2種類があります。内臓脂肪は腹腔(ふくくう=お腹の中)の臓器のまわりにつく脂肪で、外見上はお腹がぽっこり出る「りんご型肥満」の原因になります。一方、皮下脂肪は皮膚のすぐ下につく脂肪で、太ももやお尻、二の腕などにつきやすく、「洋ナシ型肥満」と呼ばれるシルエットの原因になります。
内臓脂肪はエネルギーの一時的な貯蔵庫としてはたらく一方、さまざまなホルモンや炎症性物質(アディポサイトカインなど)を分泌することが知られています。皮下脂肪は体温の保持や外部からの衝撃を吸収するクッションの役割を持っています。
内臓脂肪が健康に与える影響|代謝症候群との関連
内臓脂肪と皮下脂肪では、健康へのリスクに違いがあります。内臓脂肪は心疾患・脳血管障害・糖尿病といった生活習慣病のリスク因子として、皮下脂肪より代謝上のリスクが高いと報告されています[Diabetes Metab Syndr Obes. 2018;11:129-130.]。
約6,000名を対象とした大規模な前向きコホート研究(MESA Study)では、内臓脂肪面積が大きい人ほど代謝症候群(メタボリックシンドローム)の発症リスクが高く、BMI(体格指数)で補正しても独立したリスク因子であることが示されています。一方、皮下脂肪の変化は補正後に代謝症候群との有意な関連が認められませんでした[JACC Cardiovasc Imaging. 2014;7(12):1221-1235.]。つまり、同じ体重でも内臓脂肪が多い人のほうが健康リスクが高い可能性があるということです。
内臓脂肪と皮下脂肪の落とし方の違い
内臓脂肪は「つきやすいが落としやすい」、皮下脂肪は「つきにくいが落としにくい」と一般的に表現されることがあります。内臓脂肪はエネルギー消費の際に比較的早く利用される傾向があるため、食事の改善や有酸素運動(ウォーキング・ジョギング・水泳など)によって比較的短期間で減少が期待できるとされています。一方、皮下脂肪は長期的なエネルギー貯蔵の役割を持っているため、有酸素運動に加えて筋力トレーニングを併用し、基礎代謝を上げながら時間をかけて落としていくアプローチが推奨されることが多いです。
どちらの脂肪を減らす場合にも、極端なカロリー制限は筋肉量の減少を招き、かえって代謝が落ちる(リバウンドしやすくなる)可能性があるため、バランスのよい食事と適度な運動の組み合わせが基本とされています。
自分の体脂肪タイプを知る方法
内臓脂肪がどれくらいついているかを知る最も正確な方法はCT検査ですが、日常的には体組成計で内臓脂肪レベルの推定値を確認したり、ウエスト周囲径を測定したりすることで傾向を把握できます。男性でウエスト85cm以上、女性で90cm以上の場合は内臓脂肪の蓄積が疑われるとされています。
内臓脂肪・皮下脂肪を減らすうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、有酸素運動と食事改善を組み合わせることで内臓脂肪の減少が期待しやすくなると考えられていることです。
ここだけは伝えたいメッセージ
内臓脂肪も皮下脂肪も、適切な生活習慣によって減らせる可能性があります。まずは自分の体脂肪タイプを知り、無理のない範囲で食事と運動を見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。
ただし、ウエスト周囲径が基準値(男性85cm・女性90cm)を超えていて、かつ血圧・血糖・脂質のいずれかが健診で指摘されている場合は、代謝症候群(メタボリックシンドローム)の可能性があります。このような場合は、医療機関への受診をご検討ください。
まとめ:内臓脂肪と皮下脂肪の違いと対策
- 内臓脂肪: お腹の中の臓器まわりにつき、生活習慣病のリスクと強く関連。有酸素運動と食事改善で比較的落としやすいとされています
- 皮下脂肪: 皮膚の下につき、見た目に影響しやすいが健康リスクは内臓脂肪より低い傾向。筋トレの併用が推奨されます
- BMIだけでは判断できない: 同じ体重でも内臓脂肪量によって健康リスクが異なる可能性があります
- ウエスト周囲径の目安: 男性85cm以上・女性90cm以上で内臓脂肪の蓄積が疑われます
- 受診の目安: ウエスト基準値超+血圧・血糖・脂質の異常がある場合は、医療機関への受診をご検討ください
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(参考文献)
Shah RV, Murthy VL, Abbasi SA, et al. Visceral Adiposity and the Risk of Metabolic Syndrome Across Body Mass Index: The MESA Study. JACC Cardiovasc Imaging. 2014;7(12):1221-1235.
Shafqat MN, Haider M. Subcutaneous to visceral fat ratio: a possible risk factor for metabolic syndrome and cardiovascular diseases. Diabetes Metab Syndr Obes. 2018;11:129-130.


