公開日:
最終更新日:
脂質異常症の治療目標値はどうやって決めますか?
東日本橋内科クリニック 循環器内科 院長
白石 達也 監修
心血管疾患があるかどうか、リスク因子がどれだけあるかで決めます。
- 心血管疾患
- 脳梗塞(アテローム関連)
のいずれかがある場合は「二次予防」になります。
そうでない場合は「一次予防」になります。
いずれの場合でも
- TG < 150mg/dL(空腹時)
- HDL ≧ 40mg/dL
を目指します。
二次予防、一次予防それぞれの場合のLDL、Non-HDLの目標値について記述します。
二次予防の場合
基本的には
目標値: LDL<100mg/dL、Non-HDL<130mg/dL、TG <150mg/dL(空腹時), HDL ≥40mg/dL
となります。
*さらに急性冠症候群、糖尿病、家族性高コレステロール血症、脳梗塞(アテローム関連)の場合はLDLの目標値が<70mg/dLとなります。
一次予防の場合
糖尿病、CKD、末梢動脈疾患がある場合
ある場合は高リスクに分類され
LDL<120mg/dL、Non-HDL<150mg/dL
を目指します。
糖尿病、CKD、末梢動脈疾患がない場合
①男女別に下記リスク因子の数で分類する
- 喫煙
- 高血圧
- 低HDLコレステロール
- 耐糖能異常
- 第一度近親者の冠動脈疾患の既往(男性<55歳、女性<65歳)
男性の場合
40-59歳: 0個=低リスク、1個=中リスク、2個以上=高リスク
60-74歳: 0個=中リスク、1個以上=高リスク
女性の場合
40-59歳: 0 or 1個=低リスク、2個以上=中リスク
60-74歳: 0 or 1個=中リスク、2個以上=高リスク
75歳以上は主治医の判断
②分類されたリスク別に目標値を確認する
低リスク: LDL<160mg/dL、Non-HDL<190mg/dL
中リスク: LDL<140mg/dL、Non-HDL<170mg/dL
高リスク: LDL<120mg/dL、Non-HDL<150mg/dL
喧嘩後に左胸が痛くて心臓がドキドキ、心筋梗塞の可能性はありますか?
主人と喧嘩した後、左胸の真ん中が痛くなり、心臓がドキドキしています。痛みは30分以内に改善しましたが、まだ少し残っています。痛みは打ち身のような感じで、指で示せるほど一部の箇所が痛かったです。心筋梗塞が心配です。過去に高血圧と高コレステロールの病歴があります。心筋梗塞の可能性はありますか?
60代 / 女性
喧嘩された後に左胸が痛くなったとのことで心配ですね。 左胸の痛みと心臓のドキドキ感について、特に心筋梗塞の可能性が心配されているとのことですが、ご説明いたします。
心筋梗塞とは
心筋梗塞の主な典型症状には、胸の痛み(特に胸の中央や左側で、締めつけられる様な痛み)、息苦しさ、冷や汗、吐き気、胸の圧迫感などがあります。痛みはしばしば腕、首、背中、あごに広がることがあります。
心筋梗塞の可能性は下がるものの、できれば早めの受診を
あなたの場合、左胸の痛みがあり、心臓のドキドキ感があるとのことですが、痛みが指で示せるほど限定されている点、痛みの持続時間が30分以内である点は、心筋梗塞の典型的な症状とはやや異なります。しかし、高血圧や高コレステロールの既往症があること、心臓のドキドキ感が不規則であることから、心筋梗塞の手前の狭心症という病気、心房細動やその他の心臓疾患の可能性も考慮する必要があります。 喧嘩の後に症状が始まったということは、ストレスが症状を引き起こした可能性もありますが、心筋梗塞を含む心臓疾患を完全に排除するためには、医療機関での詳細な診察が必要です。 胸の痛みが心臓からくるものだとすると、緊急性が高い場合も多いので、できれば早めに受診することをお勧めします。
この度は、ユビーかんたん医師相談でご相談いただきありがとうございます。ほかにも気になることがございましたら、いつでもご相談ください。
医師の回答を見る
アトーゼットHD服用後に肝機能悪化と神経痛・筋肉痛があります。自己免疫性肝炎の可能性はありますか?
アトーゼットHDを飲んでから、肝機能の数値が急に悪くなり、神経痛や筋肉痛もひどくなりました。医師は薬のせいではないと言います。お腹のエコー検査は問題なし。抗核抗体が陽性でした。自己免疫性肝炎の可能性はありますか?
60代 / 女性
お辛い中、ご相談いただき誠にありがとうございます。
高脂血症の治療薬アトーゼットHDを服用後に肝機能の数値が悪化し、神経痛や筋肉痛がひどくなったとのことですね。
肝臓の数値が上がった原因は、正確には経過を追う必要があります
まず、アトーゼットHDは副作用の頻度は不明ですが、横紋筋融解症と呼ばれる筋肉痛に似た症状を起こすことがあります。また、肝臓に負担をかけることがあるため、肝機能の数値が悪化することがあります。医師が薬剤性ではないと判断したようですので、薬による影響の可能性は低いのかもしれませんが、他の可能性をすべて否定する、あるいは経過を追わないとはっきりしてこないこともあるので注意が必要です。
自己免疫性肝炎とは
自己免疫性肝炎について 自己免疫性肝炎は、免疫系が自分の肝臓を攻撃することで炎症を引き起こす病気です。この病気は50-60代の女性で発症することが多く、抗核抗体が陽性になることがあります。発症時は自覚症状がないことがほとんどですが、だるさや疲れやすさを感じたり、重症な状態で発症する場合は、黄疸などが出てくることもあります。
抗核抗体は他にもさまざまな病気で陽性になることが多いので、この検査と肝機能障害だけで診断されることはありません。 自己免疫性肝炎の診断には、抗核抗体、肝機能を表す項目を含めた血液検査や画像検査、肝生検(肝臓の組織を採取して調べる検査)などが必要です。これにより、肝臓の炎症の程度や原因を詳しく調べることができます。 肝臓の数値が悪くなった場合、短期間の診察では原因がわからない場合もあり、経過を追っていく必要があります。抗核抗体を検査してるので、おそらく今後もフォローの予定かと思われますが、気にされている自己免疫性肝炎の疑いがあるか、ということも受診した医療機関の医師に尋ねるといいでしょう。その可能性も含めて今後の検査や治療を検討していくと考えられます。
ほかにも気になることがございましたら、いつでもご相談ください。
医師の回答を見る
(参考文献)
こちらは送信専用のフォームです。氏名やご自身の病気の詳細などの個人情報は入れないでください。
他に気になることを調べたい方は
ユビー病気のQ&Aとは?
現役の医師が、患者さんの気になることや治療方法について解説しています。ご自身だけでは対処することがむずかしい具体的な対応方法や知識などを知ることができます。
病気・症状から探す医師・医療機関の方はコチラサービスの目的と位置付け
ユビー病気のQ&Aは、情報提供を目的としたサービスのため、医師・医療従事者等による情報提供は診療行為ではありません。
診療を必要とする場合は、医師・医療機関にご相談ください。
当サービスは、信頼性および正確な情報発信に努めますが、内容を完全に保証するものではありません。
情報に誤りがある場合は、こちらからご連絡をお願いいたします。