変形性膝関節症はどのように治療しますか？

保存治療

変形性膝関節症と診断された場合、まずは保存治療（手術以外の治療）を行います。
保存治療の方法には、以下のようなものがあります。

リハビリ（理学療法、物理療法）

リハビリには大きく理学療法と物理療法の2つがあります。理学療法では、太もも（主に大腿四頭筋やハムストリング）の筋力トレーニングや、膝周囲の柔軟性の強化を行います。物理療法では超音波や電気などの機器を用いて痛みを和らげ、筋肉の活動を高めます。

痛み止めの内服、湿布

鎮痛作用のある内服薬や湿布を使用します。

装具

膝を全体的に圧迫するサポーターや、膝への負荷のかかる位置を変えるための足底板（インソール）などが主に使用されます。また、杖も膝への負担を軽減させるための有効なツールとなります。

膝関節への注射

主にヒアルロン酸やステロイドの関節への注射が行われます。ヒアルロン酸注射では、粘り気や弾力性を持つ液体のヒアルロン酸を膝関節へ注入することで、炎症の緩和や関節の潤滑性の向上などの効果が期待できます。同様に、ステロイド剤も膝の炎症を抑えることで痛みや膝機能の改善をもたらします。
また、最近では再生医療も普及しています。再生医療では、患者さん自身の体から採取した組織や細胞（幹細胞や血小板など）に特殊な加工処理を施した後、関節内へ注入します。注入された細胞や成分が関節内組織の再生や修復を促し、膝の痛みや機能の改善が期待できます。注意点としては、日本では保険適用となっていないため比較的高額になることが挙げられます。また、再生医療を行っている病院やクリニックは限られています。

手術

上記のような保存加療で効果が得られなかった場合や、痛みの進行が著しい場合は手術を行うこともあります。
手術では主に、骨切り術と人工関節置換術の2種類があります。

骨切り術

大腿や下腿（脛骨や腓骨など）の骨を切って骨の角度を変える手術です。元々O脚であればX脚を、逆にX脚であればO脚を目指して角度を調整します。これによって膝関節内で荷重のかかる部位が変化し、傷んでいる部分への負荷が軽減されます。後述する人工関節置換術と比較し、関節の表面が特別な処置を施されることなく温存されるため、関節温存手術とも呼ばれます。比較的若年の方（60歳以下）やスポーツをアクティブにやられている方、重労働を避けられない方にはこちらの手術が推奨されます。

人工関節置換術

傷んでいる骨の表面を切り、関節の表面を人工物に取り替える手術です。膝の曲げ伸ばしの制限がある場合や、そこまでアクティブな運動を行わない場合に適応となります。
人工関節置換術は、膝の片側（多くの場合は内側）のみを置換する場合（単顆置換術）と、内外側を全面的に置換する場合（全置換術）があります。特に全置換術は、O脚やX脚、曲げ伸ばしの制限に対してもある程度対応可能です。

どちらの手術が向いているかはそれぞれの患者さんによって異なります。詳しく知りたい方は整形外科で相談しましょう。