KRAS(ケーラス)阻害薬とはなんですか?
KRAS阻害薬は長年不可能とされてきたKRAS遺伝子変異を標的とする革新的な分子標的薬で、特定のKRAS変異を持つがん患者さんに新たな治療の選択肢を提供し、個別化医療の進展に貢献しています。
KRAS阻害薬は、がん細胞の増殖を促進するKRAS遺伝子の異常な活性を抑える新しいタイプの分子標的薬です。
KRAS遺伝子の変異は多くのがん種で見られますが、長年、この変異は「アンドラッガブル(創薬標的にできない)」と考えられてきました。
しかし、近年の研究により、特定のKRAS変異(主にG12C変異)を標的とする薬剤の開発に成功しました。これらの薬剤は、変異したKRASタンパク質に特異的に結合し、その機能を阻害することでがん細胞の増殖を抑えます。
KRAS阻害薬は、従来の治療法が効きにくかったKRAS変異陽性のがんに対する新たな治療選択肢として期待されています。現在、複数のKRAS阻害薬が臨床試験中で、一部はすでに承認されて臨床で使用されています。
この薬剤の登場により、がん治療の個別化がさらに進むと期待されています。
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最終更新日:
東京医科歯科大学病院 がんゲノム診療科 特任助教
石橋 直弥 監修
RAS(ラス)遺伝子にはどのような種類があり、がん医療でどのように位置づけられていますか?
RAS遺伝子(KRAS、NRAS、HRAS)は細胞増殖を制御する重要な遺伝子で、その変異はがんの発生や進行に関与し、診断や治療方針の決定に重要な役割を果たしています。
RAS(ラス)遺伝子は、大腸がん(結腸・直腸がん)とどのように関係しますか?
KRAS(ケーラス)遺伝子は大腸がんの約40%で変異が見られ、がんの発生と進行に関与するとともに、治療法の選択や予後予測に重要な役割を果たし、個別化医療の鍵となっています。
KRAS(ケーラス)G12C変異は、肺がんと関係ありますか?
KRAS G12C変異は非小細胞肺がんの約4%で見られ、がんの進行に関与するとともに、近年開発された特異的治療薬の対象となるため、肺がん診療における重要な分子マーカーとなっています。
(参考文献)
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