RAS（ラス）遺伝子は、大腸がん（結腸・直腸がん）とどのように関係しますか？
KRAS（ケーラス）遺伝子は大腸がんの約40%で変異が見られ、がんの発生と進行に関与するとともに、治療法の選択や予後予測に重要な役割を果たし、個別化医療の鍵となっています。
RAS遺伝子、特にKRAS遺伝子は、大腸がん（結腸・直腸がん）の発生と進行に深く関わっています。
大腸がんの約40%でKRAS遺伝子の変異が見られます。この変異により、細胞の成長を制御する仕組みが壊れ、がん細胞が無秩序に増殖します。
KRAS遺伝子の状態は、大腸がんの治療方針を決める重要な指標となります。例えば、KRAS遺伝子に変異がある場合、EGFR（上皮成長因子受容体）を標的とする抗体薬が効きにくいことがわかっています。そのため、治療開始前にKRAS遺伝子の検査を行い、最適な治療法を選択します。
また、KRAS遺伝子の変異は大腸がんの予後（病気や治療の経過・結末についての見通し）にも影響を与える可能性があり、より積極的な治療や慎重な経過観察が必要となることがあります。
このように、RAS遺伝子の状態を知ることは、大腸がんの個別化医療を進める上で非常に重要な役割を果たしています。
東京医科歯科大学病院 がんゲノム診療科 特任助教
石橋 直弥 監修
(参考文献)
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