抗EGFR(イージーエフアール)抗体薬とKRAS(ケーラス)遺伝子は、どのような関係ですか?
KRAS遺伝子の変異は抗EGFR抗体薬の効果を著しく低下させるため、特に大腸がん治療において、KRAS遺伝子検査は抗EGFR抗体薬の適応を判断するバイオマーカーとなっています。
抗EGFR抗体薬とKRAS遺伝子は、特に大腸がんの治療において重要な関係にあります。
EGFR(上皮成長因子受容体)は細胞の増殖を促すシグナルを伝達し、KRAS遺伝子はその下流で働きます。抗EGFR抗体薬は、このEGFRを阻害することでがん細胞の増殖を抑制します。
しかし、KRAS遺伝子に変異がある場合、EGFRを阻害してもKRASが常に活性化状態となり、細胞増殖のシグナルが止まりません。そのため、KRAS変異陽性のがんでは、抗EGFR抗体薬の効果が著しく低下します。
この関係から、大腸がんの治療では、抗EGFR抗体薬の使用前にKRAS遺伝子の変異状況を確認することが標準となっています。KRAS野生型(変異がない)の場合にのみ、抗EGFR抗体薬が推奨されます。
このように、KRAS遺伝子の状態は、抗EGFR抗体薬の効果を予測する重要なバイオマーカーとして機能しています。
公開日:
最終更新日:
東京医科歯科大学病院 がんゲノム診療科 特任助教
石橋 直弥 監修
RAS(ラス)遺伝子にはどのような種類があり、がん医療でどのように位置づけられていますか?
RAS遺伝子(KRAS、NRAS、HRAS)は細胞増殖を制御する重要な遺伝子で、その変異はがんの発生や進行に関与し、診断や治療方針の決定に重要な役割を果たしています。
RAS(ラス)遺伝子は、大腸がん(結腸・直腸がん)とどのように関係しますか?
KRAS(ケーラス)遺伝子は大腸がんの約40%で変異が見られ、がんの発生と進行に関与するとともに、治療法の選択や予後予測に重要な役割を果たし、個別化医療の鍵となっています。
KRAS(ケーラス)G12C変異は、肺がんと関係ありますか?
KRAS G12C変異は非小細胞肺がんの約4%で見られ、がんの進行に関与するとともに、近年開発された特異的治療薬の対象となるため、肺がん診療における重要な分子マーカーとなっています。
(参考文献)
こちらは送信専用のフォームです。氏名やご自身の病気の詳細などの個人情報は入れないでください。
この記事をシェアする
治療が必要な患者様へのお願い
RAS遺伝子(KRAS、NRAS、HRAS)
の方は説明を必ずお読みください
こちらのQRコードを
スマーフォンのカメラで読み取ってください
QRコードを読み取るだけ 非接触で安心
一問一答なので 読むのが簡単
どんな治療をするべきか 納得して取り組める
ユビー病気のQ&Aとは?
現役の医師が、患者さんの気になることや治療方法について解説しています。ご自身だけでは対処することがむずかしい具体的な対応方法や知識などを知ることができます。
病気・症状から探す医師・医療機関の方はコチラサービスの目的と位置付け
ユビー病気のQ&Aは、情報提供を目的としたサービスのため、医師・医療従事者等による情報提供は診療行為ではありません。
診療を必要とする場合は、医師・医療機関にご相談ください。
当サービスは、信頼性および正確な情報発信に努めますが、内容を完全に保証するものではありません。
情報に誤りがある場合は、こちらからご連絡をお願いいたします。