ボルテゾミブ(ベルケイドⓇ)では、どのような副作用がみられますか?

ボルテゾミブの副作用には末梢神経障害、血小板減少、消化器毒性、感染症リスクなどがあります。

解説

ボルテゾミブの副作用は、末梢神経障害を特徴とします。四肢末梢(手足の末端)のしびれ感が主体で、重症の場合は疼痛を呈します。

腸管蠕動低下(腸の動きの低下)、起立性低血圧などの自律神経障害が生じることもあり、まれに脱力などの運動神経障害にいたることもあります。

末梢神経障害は、ボルテゾミブ開始から5サイクル目(20回注射)まで、もしくは累積投与量が30mg/m2に達するまでに発症することが多いとされます。投与休止によって多くの場合は回復しますが、重症例では遷延することもあります。

静脈注射よりも皮下注射で、週2回よりも週1回投与で、重篤な末梢神経障害の頻度は減少します。

なお、報告されている重大な副作用と、その他の副作用(頻度:10%以上のもの)は次の通りです。

重大な副作用

肺障害

  • 間質性肺炎(0.2%、2.5%※)
  • 急性肺水腫(0.5%、0.4%※)
  • 胸水(0.1%、1.6%※)
  • 急性呼吸窮迫症候群(0.1%、頻度不明※)

※ 日本人における発現率

心障害

  • うっ血性心不全(1.3%)
  • 心嚢液貯留(0.1%)
  • 心原性ショック(0.1%)
  • 心停止(0.1%)
  • 心肺停止(頻度不明)

末梢神経障害

  • 末梢性感覚ニューロパチー(28.2%)
  • 神経障害性疼痛(14.8%)
  • 錯感覚(8.6%)
  • 末梢性ニューロパチー(8.1%)
  • 感覚減退(3.6%)
  • 末梢性運動ニューロパチー(2.3%)
  • 灼熱感(0.4%)
  • ギラン・バレー症候群、脱髄性多発ニューロパチー(頻度不明)

骨髄抑制

  • 血小板減少(39.0%)
  • 好中球減少(34.8%)
  • 貧血(21.9%)
  • 白血球減少(17.9%)
  • リンパ球減少(10.9%)
  • 発熱性好中球減少症(2.8%)
  • 汎血球減少(0.1%)

イレウス

肝機能障害

  • ASTの増加(0.7%)
  • ALTの増加(0.7%)
  • γ-GTPの増加(0.6%)
  • ALPの増加(0.5%)
  • 血中ビリルビンの増加(0.6%)

低血圧

  • 低血圧(3.0%)
  • 起立性低血圧(2.2%)
  • 腫瘍崩壊症候群(0.3%)
  • 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)
  • 発熱(12.4%)

可逆性後白質脳症症候群

その他の副作用(頻度:10%以上のもの)

公開日

最終更新日

‪東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター ‬ 悪性腫瘍治療研究部‬ 腫瘍 血液内科

村橋 睦了 監修

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(参考文献)

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