膵臓がんステージ4で治療中です。Folfirinox以外の治療選択肢と余命について教えてください。
70代・女性のご相談
この度は私たちを信頼してご相談いただき、心より感謝申し上げます。ご家族の皆様も大変ご心配のことと思います。ここでは、再発や転移がある膵がんの治療について、わかりやすくお伝えいたしますね。
【現在の治療状況について】
いただいた情報から、次のように理解しています。
- 膵がんと診断された際、腹水や腹膜播種があり、手術は難しいと判断されました。そのため、抗がん剤治療(化学療法)と緩和ケアが選ばれました。
- しかし、この治療でじんましんの副作用が出たため中止となり、今後はFOLFIRINOX療法に切り替える予定とのことです。
【治療の効果について】
「抗がん剤を使う場合と、使わずに痛み止めのみの場合の余命はどのくらい差があるのでしょうか?」というご質問についてお答えしますね。これまで受けられた化学療法は、ステージ4の膵がんに対する標準的な治療の一つです。もう一つの標準治療としてFOLFIRINOX療法があります。それぞれの治療法の生存期間の目安は以下の通りです。
- FOLFIRINOX療法:平均11.1ヶ月
- これまで受けられた化学療法:平均8.5ヶ月
- 痛み止めのみの場合:平均3~6ヶ月
FOLFIRINOX療法は効果が期待できる一方で、副作用が強く出ることがあります。特に高齢の方には負担が大きい場合もありますので、担当の先生がご家族の負担を考えて「ジェムザール+アブラキサン」を選ばれたのかもしれませんね。
【他の治療の選択肢について】
他にどんな治療があるのか気になりますよね。膵がんにはいくつかの遺伝子異常に対する治療法があります。これらはすべての膵がんに当てはまるわけではありませんが、抗がん剤が効きにくい場合や副作用が強い場合に検討されることがあります。
1. BRCA遺伝子異常
膵がんの中には、BRCA遺伝子の異常が原因のものがあります。この場合、FOLFIRINOX療法の後にオラパリブという薬が使われることがあります。
2. マイクロサテライト不安定性
この遺伝子異常がある場合、ペムブロリズマブという薬が使われることがあります。
3. NTRK融合遺伝子
これは非常にまれですが、陽性の場合は特定の薬が推奨されます。
これらの治療を検討するためには、がん遺伝子パネル検査を受けることが有効です。もしご興味があれば、担当の先生にご相談されると良いでしょう。
少しでも参考になれば幸いです。医療用語が多くて不安に感じることもあるかと思いますが、何かご不明な点があれば、どうぞお気軽にお知らせくださいね。あなたの力になれるよう、いつでもお手伝いします。
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