乳がんステージⅠの術後化学療法について、再発率や治療方針を教えてください。
80代・女性のご相談
この度は私たちを信頼してご相談いただき、心から感謝申し上げます。ご家族の皆様も大変ご心配のことと思います。ここでは、ステージ1の乳がん治療について、わかりやすくお伝えしますね。
まず、「充分に体力があるので化学療法が可能ですが、本当にやらなくて良いですか」というお話があったとのことですが、戸惑われるのも無理はありません。化学療法を受けた場合と受けない場合の再発率や治療について知りたいということですね。
ステージ1の乳がんは、腫瘍が小さく(2cm以下)リンパ節への転移がない状態です。この段階では再発のリスクは低いとされています。また、HER2陽性の乳がんについては、以前は予後が悪いとされていましたが、最近の治療薬の進歩で状況が変わってきています。
ご相談内容には2つの重要なポイントがあります。
- HER2陽性であるが、ステージ1でリスクが低いこと
- 年齢が高いこと
まず、HER2陽性乳がんの治療についてですが、一般的には抗がん剤とHER2治療薬を組み合わせた治療が行われます。ただし、ステージ1のような低リスクの方には、副作用が強く出る可能性があるため、治療の選択には慎重さが求められます。
具体的には、抗がん剤を減らして「タキサン+トラスツズマブ」という治療が考えられていますが、まだ研究段階です。過去の試験では、腫瘍が小さい方を対象にこの治療が行われ、7年後の再発なしの生存率が高かったと報告されています。
次に、高齢の方に対する治療についてですが、化学療法が難しい場合は、HER2陽性乳がんの方に使用するトラスツズマブのみの治療が推奨されています。日本で行われた試験では、トラスツズマブのみでも良好な結果が得られ、副作用も少ないことが確認されています。
【まとめ】
まとめると、あなたの治療を考える際のポイントは、再発リスクが低いことと年齢が高いことです。これらを踏まえると、トラスツズマブのみの治療が適しているかもしれません。ただし、担当医が「化学療法」という言葉をどのように使っているか確認することも大切です。この情報が少しでもお役に立てば幸いです。医療用語が多くて不安に感じることもあるかと思いますが、何かご不明な点があれば、どうぞお気軽にお知らせください。あなたの不安が少しでも和らぐよう、心から願っています。
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