急性ポルフィリン症の症状は?急性ポルフィリン症
監修医師吉岡 藍子消化器内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/08/10
急性肝性ポルフィリン症とは
血液中のヘモグロビンの一部であるヘムという物質を作る過程に必要な酵素の機能低下または欠損により、過剰に産生されたポルフィリン体およびその関連物質が体内臓器に蓄積されてしまう遺伝性の疾患です。蓄積する臓器によって様々な症状が出現するため、他の疾患との鑑別が難しく未診断の患者さんが多く存在していることが示唆されています。日光に当たった部分の皮膚症状がメインである皮膚型ポルフィリン症と、腹痛などの消化器症状・不安などの精神神経症状・まひなどの神経症状が急に出現する急性ポルフィリン症とに分類されます。
「急性肝性ポルフィリン症」とはどのような病気ですか?
血液成分のヘモグロビンに含まれる“ヘム”を作る過程の異常で、腹痛や麻痺などが現れる遺伝疾患です。
ヘモグロビンは、赤血球の赤い色素のもとになる成分で、ヘモグロビンに含まれるヘムという物が酸素と結合し、赤血球は全身に酸素を運ぶことができます。
急性肝性ポルフィリン症(AHP)は、遺伝子の変異でヘムを作るのに必要な酵素が欠損(欠けている状態)しているために、ヘムになる前の物質(ヘム前駆体、ポルフィリン)が大量に蓄積します。
ヘム前駆体は過剰に蓄積されると、神経毒性のため激しい腹痛、嘔吐などを引き起こします。
AHPには以下の4つの病型が含まれます。
頻度が多いのはAIPであり、思春期から妊娠適齢期の女性に多い特徴があります。生理や常用している薬剤、無理なダイエットなどが誘発因子となり、症状が発作のようにでることがあります。
- δ一アミノレブリン酸脱水素酵素欠損性ポルフィリン症(ALAD deficiency porphyria:ADP)
- 急性間欠性ポルフィリン症(acute intermittent porphyria:AIP)
- 遺伝性コプロポルフィリン症(hereditary coproporphyria:HCP)
- 異型ポルフィリン症(variegate porphyria:VP)
なお、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、急性肝性ポルフィリン症かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
急性肝性ポルフィリン症の症状
急性肝性ポルフィリン症ではどのような症状がありますか?
急激な腹痛、嘔吐、便秘、下痢、手足の痛みや脱力、しびれ、意識障害、けいれん、不安やうつなどがあります。
「急性肝性ポルフィリン症」の症状は、繰り返す急激な腹痛などの発作が特徴的です。
また、以下のような症状が見られることがあります。
消化器症状
などの消化器症状が見られます。
神経症状
などの神経症状が発生します。
精神症状
- 不安
- うつ状態
などの精神症状が現れることもあります。
そのほかにも手足や全身の痛み、幻覚など多彩な症状が現れます。
また、日光過敏が現れる病型もあり、日光に当たることによって皮膚が赤く腫れたり、皮膚の痛みが生じたりすることがあります。
急性肝性ポルフィリン症の治療・対処法
急性ポルフィリン症への対処法は?
診断には専門的な検査(遺伝子検査含む)が必要です。症状に対する治療がメインですが、新しい治療薬の開発が進んでいます。専門医療機関にご相談ください。
受診の目安・何科を受診するべきか
急性肝性ポルフィリン症が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
神経内科、消化器科、精神科を受診してください。
急性肝性ポルフィリン症は全身に多彩な症状が起こります。また、それぞれの症状は他の病気でも起こる可能性があるため、各科の専門医にて診察することをおすすめします。
以下の症状が気になる場合は、早めに消化器内科を受診しましょう。
以下の症状が気になる場合は、早めに神経内科を受診しましょう。
- 手足の痛み、脱力感
- 手足のしびれ
- けいれん
可能であれば、総合診療科や精神科もある総合病院の受診がおすすめです。
急性ポルフィリン症の専門医がいる近くの病院はありますか?
急性ポルフィリン症の専門医がいる病院を見る急性肝性ポルフィリン症の薬
急性肝性ポルフィリン症は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
根治治療はなく、対症療法もしくは発症の予防が行われます。
急性肝性ポルフィリン症(AHP)の急性発作にあたっては、可能な限り早めに増悪因子(発作誘発薬剤、感染症、低カロリーなど)を特定し、それらを回避または改善する必要があります。
腹痛発作時にはポルフィリン症に対して安全である、クロルプロマジン、シメチジン、モルヒネを使用します。また、急性発作に対してヘミン(ヘムに含まれる鉄原子に塩素イオンが結合したもの)やブドウ糖の使用が利用可能です。
重度の神経障害、呼吸器障害、不安定な自律神経失調症のいずれかひとつでも見られた場合は、集中治療室への入院を早急に検討することが望ましいとされています。
治療薬剤の副作用に関しては、呼吸抑制や便秘などがあげられます。
急性肝性ポルフィリン症に関連するその他の質問
ポルフィリン症のうち、急性肝性ポルフィリン症は見た目や画像でわかりますか?
基本的には症状から疑うしかないのが現状です。尿が血尿でもないのに時間とともに赤褐色になる場合もあります。
見た目や画像などから、急性肝性ポルフィリン症(AHP)であることを判断することは難しいとされます。症状から疑うことが一般的です。
AHPに特徴的な症状としては、赤褐色尿が知られており、血尿やヘモグロビン尿との区別が必要です。
排尿直後は無色透明の場合もありますが、症状が現れたときや時間の経過に伴い、ヘム前駆物質が酸化されて、赤褐色を呈することがあります。
そのため、過去に赤褐色尿の存在があったかなどの事実はヒントのひとつになります。
急性肝性ポルフィリン症と急性間欠性ポルフィリン症の違いは何ですか?
急性肝性ポルフィリン症の中で最も頻度の高いものが、急性間欠性ポルフィリン症です。
急性間欠性ポルフィリン症(acute intermittent porphyria:AIP)は、急性肝性ポルフィリン症(AHP)に含まれます。AHPの中で頻度が高いものがAIPです。
AHPの中にはAIP以外に、以下のようなものがあります。
- δ一アミノレブリン酸脱水素酵素欠損性ポルフィリン症(ALAD deficiency porphyria:ADP)
- 遺伝性コプロポルフィリン症(hereditary coproporphyria:HCP)
- 異型ポルフィリン症(variegate porphyria:VP)
など
共通する症状としては、消化器症状、神経症状、精神症状、軽度肝障害などですが、ADPとAIPは皮膚症状がないことも特徴です。
また、年齢別で考えるとADPは乳児期、それ以外のAIP、HCP、VPは思春期から中年の女性に多い特徴があります。つまり、思春期以降の女性などで急性肝性ポルフィリン症を疑う消化器症状や神経症状があり、皮膚症状がない場合はAIPが疑われやすいことになります。
なお、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、急性肝性ポルフィリン症かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
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この記事の監修医師
吉岡 藍子
消化器内科・内科
消化器内科医の吉岡藍子と申します。 これまで大学病院や市中病院、健診センターでの内視鏡業務などを通して、消化器領域を幅広く経験してまいりました。 診療の現場では、専門的な用語や複雑な病状の説明に、患者様が戸惑いや不安を感じる場面に何度も出会いました。医療機関で提供される膨大な情報を前に、混乱されてしまう方も少なくありません。そこで、ご自身の病気や体、そして健康について、一人でも多くの方が正しく理解できる環境を作りたいという想いから、ユビーの活動に参加させていただいております。皆様が正しい医学知識に普段から触れ、安心してご自身の健康と向き合えるよう、分かりやすい情報提供に努めてまいります。 【経歴】 新潟大学医学部卒。 新潟県内外の市中病院、大学病院で勤務。 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野にて博士取得。 2022年からユビーに入社し、横浜市で健診内視鏡診療を兼務。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/08/10