好酸球性肺炎

監修医師折茂 圭介呼吸器内科

更新日
2026/10/27
公開日
2020/09/03

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好酸球性肺炎とは

「好酸球性肺炎」とはどのような病気ですか?

好酸球性肺炎は、肺に好酸球という細胞が異常に増えることで炎症が起きる病気です。

好酸球性肺炎は、肺の組織や肺胞(肺の小さな袋)の中に、好酸球という免疫細胞が異常に多く集まることで炎症が起きる病気の総称です。

この病気には大きく分けて、急に症状が現れる「急性好酸球性肺炎」と、ゆっくりと症状が進む「慢性好酸球性肺炎」の2種類があります。

  • 急性好酸球性肺炎(AEP):1989年に初めて報告された、原因不明の病気で、急性の呼吸不全(息苦しさ)を引き起こすことがあります。
  • 慢性好酸球性肺炎(CEP):間質(肺の組織の間)や肺胞の中に、好酸球が異常に多くたまる、これも原因がはっきりしない病気です。

どちらも、肺に好酸球が増えるという共通点がありますが、症状の現れ方や経過は異なります。

さらに詳しく:「好酸球性肺炎」とはどのような病気ですか?監修医師山形 昂京都大学iPS細胞研究所 呼吸器内科
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好酸球性肺炎の症状

好酸球性肺炎には初期症状はありますか?

急性型は急な発熱、咳、息切れが初期から現れ、慢性型は数ヶ月かけて徐々に症状が進みます。

好酸球性肺炎の「初期症状」は、病気のタイプによって現れ方が異なります。

  • 急性好酸球性肺炎(AEP):急激に現れるのが特徴です。そのため、発熱、乾いた咳、息切れといった症状が、発症から1週間以内、長くても1ヶ月以内に現れることがほとんどで、これらがそのまま初期症状となります。
  • 慢性好酸球性肺炎(CEP):徐々に、ゆっくりと進行するのが特徴です。咳、息切れ、発熱、体重減少、寝汗といった症状が、数週間から数ヶ月かけて徐々に現れてきます。そのため、症状が出始めてから病気と診断されるまでに、平均で4~5ヶ月かかることもあります。
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好酸球性肺炎ではどのような症状がありますか?

急性型は急な発熱、咳、息切れ、慢性型は数ヶ月かけて息切れ、咳、発熱などが現れます。

症状の現れ方は、急性型と慢性型で異なります。

急性好酸球性肺炎(AEP)

4週間以内、多くは7日以内に現れます。主な症状は次の通りです。

  • 乾いた咳(からぜき): 95%の患者さんにみられます。
  • 息切れ(呼吸困難): 92%の患者さんにみられます。
  • 発熱:88%の患者さんにみられ、高熱になることもあります。
  • その他:倦怠感、筋肉痛、寝汗、悪寒(さむけ)、胸の痛み(胸膜炎性胸痛)なども起こることがあります。

診察では、呼吸が速くなったり、肺の音で吸気時にプチプチという音(断続性ラ音)や、強制的に息を吐き出すときにゼーゼー、ヒューヒューという音(喘鳴)が聞こえることがあります。

慢性好酸球性肺炎(CEP)

数週間から数ヶ月かけて、比較的ゆっくりと現れます。症状が出始めてから診断がつくまでに、およそ4~5ヶ月かかることが多いとされています。主な症状は次の通りです。

  • 痰の出る咳:33~42%の患者さんにみられます。
  • 発熱:67%の患者さんにみられます。
  • 息切れ(呼吸困難):57~92%の患者さんにみられます。
  • 体重減少:57~75%の患者さんにみられます。
  • 寝汗

診察では、ゼーゼー、ヒューヒューという音(喘鳴)が35%の患者さんで、プチプチという音(断続性ラ音)が38%の患者さんで聞かれることがあります。

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好酸球性肺炎の原因

好酸球が高いと好酸球性肺炎の原因になりますか?

好酸球性肺炎は好酸球が肺に増える病気であり、好酸球が高いことが直接の原因ではありません。

「好酸球が高い」こと自体が、直接的に好酸球性肺炎の「原因」になるわけではありません。むしろ、好酸球性肺炎は肺に好酸球が異常に増えることを特徴とする病気であり、好酸球の増加は病気の結果、あるいは病態の一部として現れるものです。

急性好酸球性肺炎(AEP)の場合

  • 病気が発症したばかりの時には、血液検査で好酸球の数が増えていることはあまりありません。しかし、病気の経過中に、あとから好酸球が著しく増えることがあります。
  • 一方で、気管支肺胞洗浄(BAL)という肺の中の細胞を調べる検査では、ほとんどの場合、好酸球の割合が25%を超えて、非常に高くなることが、診断の基準のひとつとなっています。

慢性好酸球性肺炎(CEP)の場合

  • この病気では、血液検査で末梢血の好酸球が増えていることが一般的です。患者さんの88~95%で好酸球の数が増加しており、平均して血液中の白血球のうち約32.3%が好酸球という報告もあります。
  • また、CEPの場合も、気管支肺胞洗浄(BAL)での好酸球の割合は、ほぼ常に25%を超え、多くは40%を超えることが特徴です。

つまり、好酸球が増えることは好酸球性肺炎の特徴的な所見であり、診断の手がかりとなりますが、好酸球が病気を「引き起こす」というよりは、病気によって好酸球が増え、それが肺の炎症に関わっていると考えるほうが適切です。

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好酸球性肺炎の原因は何がありますか?

急性型は喫煙などとの関連が指摘され、慢性型は原因不明です。

好酸球性肺炎の原因は、急性型と慢性型で異なります。

急性好酸球性肺炎(AEP)

原因はまだはっきりわかっていませんが、健康な人が、気づかないうちに吸い込んだなんらかの物質に対して、体が急激にアレルギー反応を起こす「急性過敏性反応」ではないかと考えられています。具体的には、次のようなものとの関連が報告されています。

  • タバコ:喫煙を始めたばかりの人や、禁煙後に再び喫煙を始めた人
  • 水パイプ、電子タバコ、加熱式タバコの使用
  • アロマセラピー用の香り成分の吸入
  • 珍しい屋外活動での煙や砂、粉塵の吸入
  • SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)感染

慢性好酸球性肺炎(CEP)

原因が特定できない「特発性」の病気とされています。

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好酸球性肺炎の検査・診断

好酸球性肺炎のセルフチェックはできますか?

解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。

好酸球性肺炎は、ご自身で簡単に判断できるような病気ではありません。診断には、医療機関での専門的な検査が必要です。

しかし、症状から好酸球性肺炎の可能性を疑うことはできます。下記の症状がある場合には、医療機関の受診を検討してください。

また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、好酸球性肺炎かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。

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好酸球性肺炎は、CT検査でわかりますか?

CT検査は好酸球性肺炎の診断に必要な検査であり、特徴的な画像所見が見られます。

胸部CT検査(特に高分解能CT: HRCT)は、好酸球性肺炎の診断において、非常に重要な情報を提供します。

急性好酸球性肺炎(AEP)の場合

HRCT検査は、AEPの患者さんでは常に異常な所見を示します。両側の肺に、ばらばらに散らばったすりガラス状の影や網状の影、あるいは、肺の中心に近い部分にできる小さな塊(中心小葉性結節)や、肺全体が白っぽくなる固まり(肺胞性浸潤)が見られることがあります。小さな胸水(肺を覆う膜の間に水がたまること)も、約70~90%の患者さんで見られます。

慢性好酸球性肺炎(CEP)の場合

胸部X線写真やHRCT検査で、肺の末梢(外側)や胸膜下(肺の表面に近い部分)に、左右対称に白い影が見られることが特徴的です。この影は、肺水腫の「写真のネガ」(写真の白黒が反転したような状態)と表現されることもあり、この病気を強く疑う所見とされています。
また、肺の上部に影が見られることが約50%の患者さんで、影の位置が時間とともに移動することが、25%の患者さんで見られるなど、特徴的なパターンがあります。

CT検査は、これらの特徴的な影の分布を確認し、診断の手がかりとするために用いられます。

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好酸球性肺炎の治療・対処法

好酸球性肺炎は完治しますか?

急性型は治療でほぼ完全に回復しますが、慢性型は再発が多く、長期的な治療が必要になることが多いです。

好酸球性肺炎は、病型によって経過が異なります。

急性好酸球性肺炎(AEP)の場合

  • 症状も、胸部X線写真で確認できる影も、通常は治療開始後1~2ヶ月で完全に消失します。
  • 肺の機能も病気が回復したあとは、正常に戻るとされています。
  • 再発はまれであり、再発した場合も、ほとんどは喫煙を再開したことが原因です。
  • これらのことから、AEPは治療によって、ほぼ完全に回復する可能性が高いと言えます。

慢性好酸球性肺炎(CEP)の場合

  • ステロイド治療を始めると症状や、画像上の異常は急速に改善しますが、治療を中止したり、ステロイドの量を減らしたりすると、再発が非常に多い(50~80%)のが特徴です。
  • 再発は、最初の発症から数ヶ月後から数年後に起こることもあります。
  • そのため、多くの患者さんは長期にわたる治療(1年以上)が必要となり、中には生涯にわたって薬を飲み続ける必要がある人もいます。
  • 再発を繰り返す可能性や長期的な管理が必要であるため、AEPのように「完全に治る」とは表現されにくいですが、治療によって症状を良好にコントロールし、通常の生活を送ることが可能です。
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受診の目安・何科を受診するべきか

好酸球性肺炎が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?

急な息切れや咳、発熱が続く場合、特に呼吸が苦しい場合はすぐに医療機関を受診してください。

好酸球性肺炎の受診目安は、病気のタイプと症状の重さによります。

急性好酸球性肺炎(AEP)の場合

  • この病気は急激に症状が悪化し、短期間(1ヶ月以内、多くは7日以内)で発熱、乾いた咳、息切れといった症状が現れます。
  • 呼吸不全を起こして、人工呼吸器が必要になるほど状態が悪くなることも頻繁にあります。
  • このような急な症状の悪化や息苦しさを感じた場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です。

慢性好酸球性肺炎(CEP)の場合

  • こちらは、数週間から数ヶ月かけてゆっくりと症状が進む病気です。
  • 痰の出る咳、息切れ、発熱、体重減少、寝汗といった症状が徐々に悪化していく場合、早めに医療機関を受診して相談することが大切です。

どちらのタイプも、早期に診断され、適切な治療を開始することが重要です。

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好酸球性肺炎の専門医がいる近くの病院はありますか?

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好酸球性肺炎の薬

好酸球性肺炎は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?

主にステロイド薬を使用し、長期使用でさまざまな副作用に注意が必要です。

好酸球性肺炎の治療には、主に全身性ステロイド薬が用いられます。具体的な薬としては、メチルプレドニゾロン(点滴)やプレドニゾロン(飲み薬)などがあります。

ステロイド薬は、好酸球性肺炎に対して非常に効果的で、症状の急速な改善が期待できますが、長期にわたって使用すると、易感染性、消化性潰瘍、骨粗鬆症、白内障、高血圧、高血糖、不眠など、さまざまな副作用が現れる可能性があります。

そのため、ステロイド薬による治療を受ける際は、医師から考えられる副作用について十分な説明を受け、体調の変化に注意し、定期的な検査を受けることが大切です。

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対処法・セルフケア

好酸球性肺炎で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?

薬が効かない場合は、診断が正しいか再検討し、慢性型では別の治療法も検討されます。

好酸球性肺炎は、通常ステロイド薬によく反応する病気です。もしステロイド薬を使っても症状が改善しない場合は、次のように対応します。

急性好酸球性肺炎(AEP)の場合

ステロイド薬が効かない場合は、別の病気の可能性がないか、もう一度詳しく診断を見直す必要があります。AEPはステロイドによく反応するため、効かない場合はAEPではない、あるいはほかに原因がある、という可能性を考えます。

慢性好酸球性肺炎(CEP)の場合

CEPもステロイド薬によく反応するとされています。もしステロイド治療で改善が見られない場合や、治療中にたびたび再発を繰り返す場合、あるいはステロイドの副作用が強く出てしまう場合は、別の治療法が検討されることがあります。これには、次のようなものがあります。

  • 吸入ステロイド薬:全身性のステロイドの量を減らすのに役立つ可能性があります。
  • 生物学的製剤:好酸球性喘息の治療にも使われる、IL-5やIL-5受容体、IgEをターゲットとした新しいタイプの薬(オマリズマブ、メポリズマブ、ベンラリズマブなど)が、ステロイドの量を減らす目的で使われた例が報告されています。
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好酸球性肺炎に関連するその他の質問

好酸球性肺炎の死亡率はどのくらいですか?

命に関わる事態になることはまれです。

好酸球性肺炎で、命に関わる事態になることはまれです。

急性好酸球性肺炎(AEP)

急速に改善し、症状や画像上の異常は1~2ヶ月で完全に消失するとされています。適切な治療が行われれば、命に関わる事態になることはまれです。

慢性好酸球性肺炎(CEP)

経過は良好であるとされています。ただし、一部の患者さんでは、時間の経過とともに、肺に不可逆的な線維化(肺が硬くなること)が起こることがあり、この線維化が起こると、死亡リスクが増加する可能性が報告されています。

どちらの病気も、早期に診断され、適切な治療が開始されることが重要です。

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好酸球性肺炎はアレルギーと関係がありますか?

急性型はアレルギー反応の可能性、慢性型はアトピーや喘息との関連がみられます。

好酸球性肺炎とアレルギーとの関係は、急性型と慢性型で異なると考えられています。

急性好酸球性肺炎(AEP)の場合

  • 一部の研究者たちは、AEPが、まだ特定されていない吸入された物質に対する、体が急激にアレルギー反応を起こす「急性過敏性反応」ではないかと考えています。
  • ただし、アレルギー性の病気の既往(過去にアレルギーがあったこと)がある患者さんは、AEPの患者さん全体の中では少数派です。

慢性好酸球性肺炎(CEP)の場合

  • CEPの患者さんでは、アトピー体質(アレルギーを起こしやすい体質)の既往がある人が約60%と多く見られます。
  • また、喘息がCEPの診断より前にあったり、同時にあったり、あるいは後に発症したりする人が、患者さんの半数以上(50%超)いるとされています。

このように、特に慢性型ではアトピー体質や喘息との関連が深く、急性型でもアレルギー反応が関わっている可能性が指摘されています。

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好酸球性肺炎について、医師からのよくある質問

医師からよくある質問はありますか?

「好酸球性肺炎」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。

  • せきが出ていますか?
  • 体温は37.5℃以上ですか?
  • 息苦しさを感じますか?
  • ゼーゼー・ヒューヒューするような呼吸音がしますか?

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この記事の監修医師

監修医師 折茂 圭介

折茂 圭介

呼吸器内科・アレルギー科・内科

東北大学医学部卒。東京都立駒込病院での初期研修を経て東京女子医科大学呼吸器内科入局。大学院で国立成育医療研究センター研究所 免疫アレルギー感染研究部に国内留学。博士課程修了後、同研究室で研究員として勤務。専門は呼吸器内科学、特に喘息をはじめとするアレルギー学。

更新日
2026/10/27
公開日
2020/09/03