突発性難聴
監修医師阿河 光治医療法人真生会 真生会富山病院 耳鼻咽喉科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
突発性難聴とは
ある日突然難聴(多くの場合は片耳)を生じる疾患です。原因はウイルス感染や血流障害、ストレスの関与が考えられていますが、特定できないことがほとんどです。
突発性難聴とはどのような病気ですか?
突然、片方の耳が聞こえにくくなる病気です。
耳の奥の内耳という場所の調子が悪くなり、急に耳が聞こえにくくなる病気です。音をうまく感じられない「感音難聴」のうち、特に中耳炎や腫瘍といったはっきりした原因がないものが「突発性難聴」と呼ばれます。ほとんどが片側の難聴として発症し、両側に難聴をきたすことは稀(1%程度)とされています。一般的には繰り返して発症することのない病気です。
原因として内耳の血流障害やウイルス感染が関わっていると考えられていますが、はっきりしたことはまだ分かっていません。
突発性難聴の症状
突発性難聴と症状が似ている他の病気はありますか?
メニエール病や急性低音障害型感音難聴などがあります。
「急に耳が聞こえなくなる」という症状が似ている他の病気には、
- 急性低音障害型感音難聴
- メニエール病
- 外リンパ瘻
- 音響外傷
などがあります。
これらの病気は、耳の奥にある「内耳(ないじ)」の調子が悪くなって聞こえなくなるという共通点があります。
初期症状としてどのようなものが見られますか?
前触れなく急に片方の耳が聞こえにくくなることが初期症状と言えます。
病気によっては予兆のようなものがあり、それに対応することで重症化を防ぐことができます。
しかし、この病気は前触れもなく急に片方の耳が聞こえにくくなることが特徴です。
そのため、あえて初期症状と言うのであれば「突然耳が聞こえにくくなること」が挙げられます。
突発性難聴ではどのような症状が見られますか?
何の前触れもなく突然起こる難聴の他、耳鳴りや吐き気、めまいが見られることもあります。
急に音が聞こえにくくなる(難聴)ほか、耳鳴りやめまい、吐き気などが見られることもあります。
難聴
何の前触れもなく、突然音が聞こえにくくなります。程度は「聞こえにくい」から「全く聞こえない」まで幅があります。主に片方の耳だけが聞こえにくくなりますが、稀に両側が聞こえにくくなることもあります。
耳鳴り、めまい、吐き気
耳鳴りやめまい、吐き気などを伴うことがあります。めまい発作を繰り返すことはありません。
突発性難聴の原因
突発性難聴になる原因は何ですか?
原因ははっきりとは分かっていませんが、起こりやすい方の特徴として、ストレスや過労、睡眠不足、糖尿病などが確認されています。
突発性難聴の原因については、内耳(耳の一番奥の器官)の血流障害や、ウイルスへの感染、自己免疫疾患の関連(免疫細胞が勘違いをして耳の器官を攻撃してしまう)が考えられていますが、はっきりしたことはまだ分かっていません。
突発性難聴が起こりやすい方の特徴として、以下が確認されています。
突発性難聴が起こりやすい方の特徴
ストレスを抱えている
長期的または急激な精神的・身体的ストレスは、内耳の血流障害を引き起こす可能性があり、これが突発性難聴の原因となることが考えられています。特に、ストレスは交感神経の働きを活性化させ、これが体内での炎症反応を引き起こす可能性があります。この炎症が内耳に影響を及ぼすと、聴力低下のリスクが高まるとされています。
睡眠不足
慢性的な不眠は、体内の炎症反応や酸化ストレスを増加させることが知られており、これが突発性難聴のリスクを高める要因となると考えられています。また、不眠は免疫機能の低下を引き起こす可能性があり、これがウイルス感染や自己免疫反応のリスクを増加させ、難聴の原因となる可能性があります。
持病に糖尿病がある
糖尿病患者は、高血糖により血管を傷つけることで内耳の微細な血管に障害を引き起こす可能性があり、糖尿病は内耳の血流障害を引き起こすことで、突発性難聴のリスクを高める要因となると考えられています。
突発性難聴の検査・診断
どのような検査を突発性難聴に対して行いますか?
聴覚検査や画像検査などを行います。また、医師による身体の状態確認も行います。
突発性難聴が疑われる場合の検査は、
- 器具を用いた鼓膜の確認
- 聴力検査
- 音叉(おんさ)を用いた検査
などを行う場合が多いです。
その他に、
- 平衡機能の検査
- 頭のMRI
- 耳のCT
などを実施することもあります。
突発性難聴の治療・対処法
突発性難聴への対処法は?
発症後早めにステロイドなどの投薬を受けることが良いとされています。症状が生じたら早めに医療機関を受診しましょう。
突発性難聴の治療を開始してから治るまでの流れが知りたいです。
発症早期にはまずステロイドを使用した治療を行うことが多いです。
一般的には、発症して間もない場合にはステロイドの投与を1~2週間かけて行うことが多いです。
基本的に外来治療で行われますが、重症な場合や糖尿病の持病がある場合、めまいを伴っている場合などは入院して治療をすることもあり、数週間かけて治療をすることも多いです。
症状が残ってしまうこともありますが、早期に治療を開始した方が治りやすいため、できるだけ早めに医療機関を受診しましょう。
突発性難聴は、一般的にどのような治療を行いますか?
突発性難聴の治療は、ステロイドの内服・点滴などによる薬物療法が中心となります。重症の場合には高気圧酸素療法も選択肢に入ります。
ステロイドという薬の全身投与や鼓室内投与、高気圧酸素療法などの治療法があります。
ステロイド全身投与
炎症を抑える「ステロイド」という薬を内服もしくは点滴で投与する治療法です。主に外来通院で実施することが多いです。ステロイドには血糖を上昇させる副作用があるため、糖尿病の方は血糖のコントロールを行うために入院することもあります。
ステロイド鼓室内投与
ステロイドを耳の中(鼓室)に注射で投与する治療法です。基本的には、ステロイド全身投与を行っても聴力の改善が見られなかった方に行います。また、全身投与では副作用を被ってしまう糖尿病患者の方や妊婦さんには、全身投与に代えて初期治療として実施することもあります。
高気圧酸素療法
気圧の高い部屋の中で高濃度の酸素を吸入する治療法です。重度の難聴の方に対してステロイド投与と併用して行うことがあります。実施できる設備のある施設が限られている治療法です。
その他
上記の治療法と併用して、抗凝固薬、血管拡張薬、血管作動薬、抗酸化薬などの薬が用いられることがあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
突発性難聴で病院に行く時は、何科を受診したらいいですか?
耳鼻咽喉科を受診してください。
耳が聞こえにくくなる病気はたくさんありますが、正確に診断するためには聴覚検査が大切です。
まずは近くの耳鼻咽喉科を受診してみてください。
突発性難聴で医療機関を受診する目安はありますか?
急に音が聞こえにくくなった場合、なるべく早く医療機関を受診してください。
急に音が聞こえにくくなった場合、突発性難聴の可能性があるのでなるべく早く耳鼻咽喉科頭頸部外科を受診してください。
症状を感じたらすぐに、遅くとも7日以内には受診しましょう。
突発性難聴の専門医がいる近くの病院はありますか?
突発性難聴の専門医がいる病院を見る突発性難聴の薬
一般的にどのような薬を用いて突発性難聴を治療しますか? 副作用はありますか?
ステロイドという薬を使用することが多いです。血糖値や眼圧が上がる副作用が出ることがあります。
発症して間もない場合は、ステロイドという薬を用いて治療することが多いです。
ステロイドを使用することで、
- 閉塞隅角緑内障
- 糖尿病
- 胃潰瘍
- B型肝炎
といった病気の悪化につながることがあるので、これらの持病がある方は特に薬の副作用に注意が必要です。
主治医の先生の話をしっかりと聞いておくようにしましょう。
また、ステロイドのほかにも、血管拡張薬や代謝改善薬、ビタミン製剤といった薬を使うことがあります。
これらの薬には、治療に支障をきたすような副作用はほとんどありません。
突発性難聴の経過・予後
突発性難聴の薬はいつまで用いるのでしょうか?
発症早期に用いるステロイドという薬は、1~2週間使用することが多いです。
発症早期に用いるステロイドという薬は、1~2週間にわたって使用することが多いです。
その他の血管拡張薬や代謝改善薬、ビタミン製剤などは、それよりも長い期間にわたって使用することもあります。
主治医の先生に相談してみてください。
対処法・セルフケア
突発性難聴の治療中に、日常生活で気をつけることは何でしょうか?
特にありませんが、薬の副作用には注意が必要なこともあります。
持病が特になければ普段通りの生活で問題ありません。
ただ、持病によっては治療で使用するステロイドの副作用に特に気をつける必要がありますので、治療の開始にあたっては主治医の先生の話をよく聞いておいてください。
突発性難聴に関連するその他の質問
突発性難聴で聞こえにくくなるのは片耳だけですか?
基本的には片耳だけです。
同時に両耳が聞こえにくくなる突発性難聴は極めて稀です。
両耳が聞こえにくくなった場合は、
- 感染症
- 腫瘍
- 薬
- 外傷
など別の原因が考えられるため、詳しい検査が必要です。
突発性難聴が一日で治る事はありますか?
一日で治ることもありますが、稀なことです。多くの場合、発症後約1週間〜1ヶ月程度かけて徐々に治ります。
突発性難聴が、治療をはじめて一日で完全に治るケースは比較的稀で、約1週間〜1ヶ月かけて徐々に治ることが一般的です。突発性難聴では、治療をすれば約2/3の患者さんで治癒、もしくは聴力の改善が見られると言われています。難聴の程度が大きいほど治る可能性が低く、治る場合でも時間がかかります。
突発性難聴に対して、補聴器は必要になりますか?
耳鳴りなどの後遺症に対するリハビリテーションとして必要になることがあります。
一般的に、突発性難聴などで片方の耳が聞こえない方の場合、補聴器を装用することで得られる効果はあまり高くないと考えられています。
ただし、耳鳴りなどの後遺症がある場合には補聴器を使ったリハビリが必要となることもあります。
どのような人が突発性難聴になりやすいですか?
中高年の方に多い病気です。男女で発症の頻度に差はないとされています。
中高年の方に多いと言われ、60代の方の発症が最も多く見られます。
調査によっても異なりますが、基本的には男性と女性では病気にかかる頻度にほとんど差は見られません。
突発性難聴について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「突発性難聴」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 耳の聞こえにくさを感じていますか?
- 聞こえにくさに左右で大きく差があると感じますか?
- 耳鳴りがしますか?
突発性難聴に関連する病気・症状
このページを見ている人はこんな病気も見ています
このページを見ている人は他にどんな病気を見ていますか?
この記事の監修医師
阿河 光治
医療法人真生会 真生会富山病院 耳鼻咽喉科・老年科
【経歴】 金沢大学医学部医学科卒業 金沢大学附属病院 金沢医科大学病院 富山県立中央病院 厚生連高岡病院 ノースカロライナ大学がんセンター
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03