「毎日だるい」のは夏バテなのか、それとも病気が隠れているのか。夏バテと間違えやすい病気の見分け方と食事での対策を教えてください。
NEW

「毎日だるい」のは夏バテなのか、それとも病気が隠れているのか。夏バテと間違えやすい病気の見分け方と食事での対策を教えてください。

小鷹 悠二監修者

おだかクリニック 循環器内科 副院長

小鷹 悠二

夏バテは暑さが原因の一時的な不調ですが、涼しくなっても回復しない場合は甲状腺疾患や貧血など別の病気が隠れている可能性もあります。

夏バテと病気の違いとは|「毎日だるい」の原因を整理する

夏場に「毎日だるい」と感じるとき、まず思い浮かぶのが夏バテです。夏バテは暑さや冷房の寒暖差によって自律神経(内臓や血管のはたらきを無意識に調整する神経)に負担がかかり、体のだるさ・食欲不振・やる気の低下が起こる一時的な状態です。暑熱環境が自律神経に与える影響として、心拍変動の変化が報告されています[J Occup Health. 2007;49(3):199-204.]。しかし、暑さ対策をしっかり行い、涼しい環境で十分に休んでも改善しない場合は、夏バテではなく別の病気が原因となっている可能性があります。

夏バテと間違えやすい病気|甲状腺疾患・貧血・心不全・慢性疲労症候群

「ただの夏バテ」だと思っていた疲労感が、実は病気のサインだったというケースがあります。慢性的な疲労感を引き起こす代表的な病気には、以下のようなものがあります。

甲状腺機能低下症・亢進症

甲状腺(のどぼとけの下にある小さな臓器)から分泌されるホルモンの量が多すぎたり少なすぎたりすると、全身のだるさや疲れやすさが現れます。機能低下症では「いくら寝ても疲れがとれない」「体が重い」といった症状が特徴的です。甲状腺機能低下症は一般的な疾患であり、疲労は代表的な症状のひとつとされています[Lancet. 2017;390(10101):1550-1562.]。血液検査で比較的簡単に見つけることができるため、だるさが続く場合にまず確認したい項目のひとつです。

貧血

鉄分の不足などにより血液中のヘモグロビン(全身に酸素を運ぶたんぱく質)が減ると、体が酸素不足の状態になり、だるさ・息切れ・めまいといった症状が出やすくなります。特に月経のある女性は鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)になりやすく、貧血に至っていない段階の鉄欠乏でも疲労感の増加と関連することが、複数の研究を統合した分析で報告されています[BMJ Open. 2018;8(4):e019240.]。「夏バテかな」と思っていた疲労感の原因が実は鉄不足だったということも珍しくありません。

心不全

心臓のポンプ機能が低下すると、全身に十分な血液を送れなくなり、慢性的な疲労感が生じます。息切れやむくみを伴うことが多いですが、初期には「なんとなくだるい」程度の症状しか現れない場合もあります。

慢性疲労症候群

6ヶ月以上にわたって原因不明の強い疲労感が持続し、日常生活に支障をきたす状態です。疫学研究では患者数は少なくないとされますが、確立された治療法がまだなく、実際の診療現場では上記の疾患に比べて診断される頻度は高くありません。まずは甲状腺疾患や貧血など、より一般的な病気の可能性を検査で除外することが重要です。

見分け方のポイント|こんなときは夏バテ以外の可能性も

以下のような場合は、夏バテ以外の原因が隠れている可能性もあります。

  • 涼しい環境で十分に休んでも、2週間以上だるさが改善しない
  • 秋になっても疲労感が続く
  • 動悸(どうき)・息切れ・めまい・むくみなど、だるさ以外の症状がある
  • 体重が急に増えた、または減った
  • 微熱が続いている

こうした場合は、血液検査で甲状腺ホルモンの値や貧血の有無を確認することが推奨されます。

夏のだるさ対策|生活習慣と食事の工夫

夏のだるさを軽減するためには、まず暑さによる自律神経の負担を減らすことが基本です。冷房と外気温の温度差を大きくしすぎず、こまめな水分補給を心がけましょう。食事面では、鉄分を含む食品(赤身肉・レバー・ほうれん草・小松菜など)やビタミンB群を含む食品(豚肉・うなぎ・大豆製品など)を意識して摂ることが推奨されます。鉄分は貧血の予防に、ビタミンB群はエネルギー代謝に関わるため、どちらも疲労対策に寄与する可能性があります。

ビタミンB群やコエンザイムQ10を含む機能性表示食品の活用

日常の食事に加え、疲労軽減を目的とした機能性表示食品を補助的に活用する方法もあります。コエンザイムQ10(体内のエネルギー産生に関わる補酵素)のサプリメントは、疲労感の軽減に寄与する可能性が複数の研究を統合した分析で示されています[Front Pharmacol. 2022;13:883251.]。また、GABA(ガンマアミノ酪酸=体内にも存在するアミノ酸の一種)を含む食品は、ストレスの軽減に寄与する可能性があります[Front Neurosci. 2020;14:923.]。ただし、これらはあくまで日常の生活習慣を整えたうえでの補助的な位置づけであり、病気が原因の疲労感に対しては医療機関での適切な診断と治療が優先されます。なお、効果には個人差があります。

夏のだるさ対策を考えるうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

夏のだるさにおける日常生活での対策について、3つのコツと内容、理由をまとめた表です。1つ目は「冷房と外気温の温度差を抑える」で、内容は「設定温度は外気温との差5〜7℃が目安」です。理由は「急激な寒暖差が自律神経の負担になる可能性がある」からです。2つ目は「鉄分・ビタミンB群を含む食品を摂る」で、内容は「赤身肉・レバー・豚肉・大豆製品など」です。理由は「貧血予防とエネルギー代謝に寄与する可能性がある」からです。3つ目は「回復しない場合は症状を記録する」で、内容は「だるさの程度・期間・伴う症状をメモする」ことです。理由は「医療機関を受診する際に正確な情報を伝えられる」からです。

特に重要とされるのは、「涼しくしても休んでも回復しないだるさ」が続く場合に、夏バテ以外の病気の可能性を考え、早めに血液検査を受けることであると考えられています。

ここだけは伝えたいメッセージ

夏のだるさの多くは暑さと生活習慣の乱れから来る一時的なものであり、冷房の工夫や食事の改善で和らいでいく場合があります。

ただし、涼しい環境で十分に休んでも2週間以上だるさが改善しない場合や、動悸・息切れ・めまい・むくみ・体重の急激な変化・微熱が続く場合は、甲状腺疾患や貧血など別の病気が隠れている可能性があります。血液検査で原因を確認できる場合も多いため、早めに医療機関への相談をご検討ください。

まとめ:夏バテと間違えやすい病気の見分け方と対策

夏バテと間違えやすい病気の見分け方と対策についてまとめた表です。夏バテの特徴は、暑さ・寒暖差による一時的な不調であり、涼しい環境で比較的短期間に回復することです。間違えやすい病気としては、甲状腺機能低下・亢進症、貧血、心不全、慢性疲労症候群などが挙げられます。見分け方のポイントは、暑さ対策をしても2週間以上回復しない場合や、だるさ以外の症状がある場合は要注意です。食事の工夫としては、鉄分(赤身肉・レバー)とビタミンB群(豚肉・大豆製品)を意識して摂取します。機能性表示食品については、CoQ10やGABA含有食品は疲労・ストレス軽減の可能性がありますが、あくまで補助として活用します。

編集・監修基準について

本記事は情報の正確性を担保するため、以下のフローを経て作成・公開されています。

  1. 企画・執筆
  2. 医師監修
  3. 編集レビュー
  4. 公開
コンテンツ制作・運営ポリシーの詳細

(参考文献)

公開日:

最終更新日:

関連の記事から探す