睡眠不足で体脂肪が増えやすくなるのはなぜですか?ホルモンと脂肪蓄積の関係を教えてください。
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睡眠不足で体脂肪が増えやすくなるのはなぜですか?ホルモンと脂肪蓄積の関係を教えてください。

本間 雄貴監修者

富士在宅診療所 一般内科

本間 雄貴

睡眠不足は食欲を増すホルモン(グレリン)の分泌を増やし、食欲を抑えるホルモン(レプチン)の分泌を減らすため、食べすぎや脂肪蓄積につながりやすくなると考えられています。

睡眠と食欲ホルモンの関係|グレリンとレプチン

私たちの食欲は、主に2つのホルモンによってコントロールされています。「グレリン」は胃から分泌される食欲を増すホルモンで、「レプチン」は脂肪細胞から分泌される食欲を抑えるホルモンです。この2つがバランスよくはたらくことで、食べすぎや食べなさすぎを防いでいます。

健康な男性を対象とした研究では、一晩の完全な睡眠不足(断眠)のあとに血中のグレリン濃度が有意に上昇し、同時に空腹感も増強したことが報告されています[J Sleep Res. 2008;17(3):331-4.]。つまり、睡眠不足になると「お腹が空いた」という信号が強まりやすくなるということです。

睡眠不足がお腹まわりの脂肪を増やす可能性

睡眠不足が体脂肪の増加、特にお腹まわりの脂肪(中心性肥満)の増加と関連することが、大規模なメタ分析で示されています。7件の前向きコホート研究(計194,342名)を統合した分析では、短い睡眠時間(主に6時間未満)は中心性肥満のリスクを約8%上昇させるという結果が報告されています(リスク比1.08)。一方、長時間の睡眠は中心性肥満との有意な関連が認められませんでした[Obes Sci Pract. 2024;10(3):e772.]。

睡眠不足がお腹まわりの脂肪を増やすメカニズムとしては、グレリン増加による過食(特に炭水化物やスナックへの欲求の増加)、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌増加による内臓脂肪の蓄積促進、そして日中の活動量低下による消費エネルギーの減少が複合的に関わっていると考えられています。

睡眠時間の目安と質の改善

体脂肪管理の観点からは、成人で7〜8時間の睡眠時間を確保することが一般的に推奨されています。ただし、睡眠は「時間」だけでなく「質」も重要です。就寝時間と起床時間を一定に保つこと、寝室を暗く涼しくすること、就寝前のスマートフォンやパソコンの使用を控えることなどが、睡眠の質の改善に寄与する可能性があります。

なお、睡眠を改善するだけで体脂肪が大幅に減少するわけではありません。体脂肪をうまくコントロールするには、食事に気をつけ、適度に運動することに加えて、しっかりと睡眠をとることが大切です。食事の改善と適度な運動を基本としたうえで、十分な睡眠を確保することが、体脂肪管理を総合的に支えると考えられています。

睡眠と体脂肪管理のうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

睡眠と体脂肪管理のうえで日常生活の工夫について、3つのコツと内容、理由をまとめた表です。1つ目は「毎日7〜8時間の睡眠時間を確保する」で、内容は「就寝時間と起床時間を一定にし、休日も大きくずらさない」ことです。理由は「短い睡眠時間が中心性肥満のリスク上昇と関連することが報告されている」からです。2つ目は「就寝前の食事を控える」で、内容は「就寝2〜3時間前からの食事を避け、空腹の場合は軽い間食にとどめる」ことです。理由は「夜遅い食事は脂肪の蓄積を促しやすいと考えられている」からです。3つ目は「睡眠環境を整える」で、内容は「寝室を暗く・涼しく保ち、就寝前1時間のスマートフォン使用を控える」ことです。理由は「睡眠の質の向上がホルモンバランスの改善に寄与する可能性がある」からです。

▶特に重要とされるのは、ダイエット中こそ睡眠時間を削らないことと考えられています。

ここだけは伝えたいメッセージ

「寝る間も惜しんでダイエット」は、かえって逆効果になるかもしれません。十分な睡眠は食欲のコントロールを助け、体脂肪の管理を支える大切な習慣です。まずは毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きることから始めてみてはいかがでしょうか。

ただし、十分に寝ているのに強い眠気が残る場合、いびきや睡眠中の無呼吸を指摘された場合、不眠が2週間以上続く場合は、睡眠時無呼吸症候群うつ病などの可能性があります。このような場合は、医療機関への受診をご検討ください。

まとめ:睡眠不足と体脂肪の関係

  • 食欲ホルモンのバランスが乱れる: 睡眠不足はグレリン(食欲増進)を増やし、レプチン(食欲抑制)を減らす可能性が報告されています
  • お腹まわりの脂肪が増えやすい: 短い睡眠時間は中心性肥満のリスクを約8%上昇させるという報告があります
  • 睡眠時間の目安: 成人で7〜8時間の確保が一般的に推奨されています
  • ダイエット中こそ睡眠が大切: 睡眠を削ると食欲のコントロールが難しくなり、体脂肪管理の妨げになる可能性があります
  • 受診の目安: 強い眠気の持続、いびき・無呼吸の指摘、不眠の持続がある場合は、医療機関への受診をご検討ください

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(参考文献)

Kohanmoo A, Akhlaghi M, Sasani N, Nouripour F, Lombardo C, Kazemi A. Short sleep duration is associated with higher risk of central obesity in adults: A systematic review and meta-analysis of prospective cohort studies. Obes Sci Pract. 2024;10(3):e772.
Schmid SM, Hallschmid M, Jauch-Chara K, Born J, Schultes B. A single night of sleep deprivation increases ghrelin levels and feelings of hunger in normal-weight healthy men. J Sleep Res. 2008;17(3):331-4.

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