尿道炎

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最終更新日

尿道炎の原因には何がありますか?

自治医科大学 泌尿器科

秋元 隆宏 監修

原因の多くは性病(性感染症)です。尿道の損傷によるものもあります。

解説

尿道炎の原因は以下のものが報告されています。

性感染症

性病は医学的には性感染症と呼びます。
性感染症は性行為によって起こる感染症のことで、原因菌として、淋菌、クラミジアが多く、その他の微生物としてマイコプラズマなどが挙げられます。原因菌によって特徴が異なり、それぞれの原因菌についての解説は以下のとおりです。

淋菌 

淋菌(Neisseria gonorrhoeae)による尿道炎は「淋菌性尿道炎」と言います。
潜伏期間が2~7日程度と短く、排尿時痛がかなり強いことや、尿道から白い膿のような分泌液が出ることが特徴です。
症状が強いため病院を受診される患者さんが多いですが、治療の自己中断などもあり、耐性菌が増加していることが問題になっています。免疫機能の一部から逃れることができるため、治療しない限り感染し続けることがあります。

クラミジア

クラミジア(Chlamydia trachomatis)は世界で最多の性感染症です。細胞の中に感染する微生物で、症状が落ち着いても治療しない限り持続的に感染し続けることがあります。
淋菌が原因ではない尿道炎(非淋菌性尿道炎)の中で、クラミジアによるものを「クラミジア尿道炎」と言います。
潜伏期間は1~3週間と長く、症状が軽く、症状に気がつかない方もいます。
症状は、軽い排尿時の痛みと、尿道からサラサラとした分泌物が下着につく程度出ることなどが特徴です。
男性の場合は、尿道炎が放置され、前立腺炎や精巣上体炎でも見つかることが問題となっています。また、女性の場合は、クラミジアによって子宮頸管炎や子宮付属器炎、お腹の中の感染症になり、不妊症や流産、早産などの原因になることが問題になっています。

マイコプラズマ

淋菌もクラミジアもいない尿道炎(非クラミジア性非淋菌性尿道炎)の原因のひとつとして、マイコプラズマ(Mycoplasma genitalium)によるものが報告されています。
症状はクラミジアによる尿道炎と同様で、従来の抗菌薬での治療失敗例が数多く報告されており、薬剤への耐性化などが問題になっています。
クラミジアと同様に細胞の中に感染する微生物であり、免疫機能の一部からも逃れ、治療しない限り持続的に感染し続けることがあります。

その他

ウレアプラズマやトリコモナスなどの微生物も非クラミジア性非淋菌性尿道炎の原因として報告されています。

性感染症以外のもの

性感染症以外でも尿道を損傷すると、尿道に炎症が起こります。

医原性

  • 尿道バルーンカテーテルの挿入、留置
  • 間欠的自己導尿

尿が溜まっているのに出せなくなった時や全身麻酔を使用した手術をするときなどに、尿を体外に出すために、尿道から膀胱に柔らかいストロー状の管を入れることがあります。
間欠的自己導尿ではご自身で入れていただくことがあります。
それらの際に尿道にこすれて炎症が生じることがあります。

  • 経尿道的手術、検査

尿管結石前立腺肥大症、膀胱腫瘍などの手術や検査の際に、尿道から内視鏡を挿入して行うことがあります。
特に、もともと尿道が細い方などは内視鏡によって、尿道を損傷し尿道炎を起こすことがあります。尿道炎が自然に治癒する過程で尿道が細くなる(尿道狭窄症)という合併症をきたすことなどもあります。

その他の機械的刺激

尿道に石やその他異物が通ると、尿道にこすれて尿道に炎症が生じることがあります。

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