尿道炎

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最終更新日

尿道炎に初期症状はありますか?

自治医科大学 泌尿器科

秋元 隆宏 監修

排尿時の痛みや尿道の違和感などの症状が出ることがありますが、症状が感じられない場合もあります。

解説

尿道炎は原因によって、強く症状が出るものとそうでないものがあります。
初期症状が現れるまでの潜伏期や、症状の強さなども原因によって異なります。

強い症状が出るもの

淋菌性尿道炎

淋菌による尿道炎は、性行為などの感染する可能性のある行為をしてから2~7日後に、強い排尿時の痛みと、膿のような分泌物が大量に尿道から出てくることが特徴です。
他にも、尿道の灼熱感や違和感、外尿道口の発赤などの症状も出ることがあります。なかには、症状が軽い方もいます。
近年、抗菌薬が効きにくい淋菌の増加や、オーラルセックスによる咽頭炎など感染の広がりが問題視されています。
特に淋菌による咽頭炎は無症状のことが多いため、注意が必要です。
また、我慢して治療せずに放っておくと、尿道から精子を運ぶ精管を通って精巣上体という精巣の上にある場所に到達し、「精巣上体炎」という発熱や陰嚢の腫れを起こす感染症に発展することがあります。
場合によって無精子症になどの不妊症の原因にもなるため、我慢せずに病院に受診しましょう。

医原性

尿道バルーンカテーテルの挿入、留置

尿が出ない場合や、尿が出ても大半が膀胱に残っている場合(残尿過多)などで、尿を強制的に外に出す必要があれば、尿道バルーンカテーテルや自己導尿用のカテーテルなどの柔らかいストロー状の管を尿道から膀胱に挿入することがあります。
尿道バルーンカテーテルを入れた直後や留置中は、膀胱にも刺激があるため、尿意や残尿感などの症状が出やすいです。
尿道が細い方や前立腺が大きい方は、留置に関連して尿道炎になる可能性があります。
しばらくすると改善することが多く、留置しながら外来通院することもあります。

間欠的自己導尿

自己導尿用のカテーテルも定期的に挿入するため、その際に尿道炎などが生じる可能性はありますが、尿道バルーンカテーテルの留置と異なり、カテーテルを挿入していない時間の方が長いため、留置による持続的な刺激はありません。

経尿道的検査、治療

尿管結石や前立腺肥大症、膀胱腫瘍などの手術や検査の際に、尿道から内視鏡を挿入して行うことがあります。術後や処置のあと、麻酔の効果が切れたタイミングなどに排尿時の痛みや尿に血が混じることがあります。
徐々に自然治癒し、2週間以内によくなることが多いです。自然治癒の過程で、尿道が細くなること(尿道狭窄症)があり、尿の勢いなどが弱くなる可能性があります。

その他機械的刺激

尿路結石や外傷

病気や怪我で尿道が傷つくと、一過性の炎症が生じ、排尿時の痛みが出る可能性があります。健常であれば数日で自然治癒が見込まれます。

強い症状が出にくいもの

クラミジア尿道炎

クラミジアは、世界で一番多い性感染症と言われています。
性行為などの感染しうる行為をしてから1~3週間後に、排尿時の軽い痛みと、サラサラとした分泌液や粘性のある分泌液尿道から少量出ることが特徴です。稀に強い症状の方もいるようです。
症状自体が軽く、症状を感じられないこともあるため、知らぬ間に感染している可能性があります。
ただし、治療せず放っておくと、女性の子宮や卵子の通り道である卵管、お腹の中に感染が広がり、不妊症や腹痛の原因になることがあります。

非クラミジア非淋菌性尿道炎

マイコプラズマやウレアプラズマ、トリコモナスなどの微生物による尿道炎のことで、比較的軽度の排尿時痛や少量の尿道分泌物が出ることがあります。

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