尿道炎の初期症状は?尿道炎
監修医師秋元 隆宏東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科 泌尿器科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
尿道炎と診断された人の受診データ(最初に気になった症状・診療科)
最初に気になった症状
受診した診療科
受診して「尿道炎」と診断されたと回答した人が、症状チェックを始めたときに最も気になる症状として選んだものと、受診した診療科のデータ(自己申告、2021年1月〜2026年9月)です。医師による記録ではなく、世の中全体の割合でもありません。
※%は回答した人に占める割合です。
※回答が1,000人以上ある症状・病名のデータに限って掲載しています。
ユビーで症状チェックしたあと、受診して「尿道炎」と診断されたと回答した人(自己申告)が、最も気になる症状として選んでいたのは、排尿時痛(19%)、尿道のかゆみ、不快感(17%)、陰茎痛(11%)などでした。
受診した診療科は、泌尿器科(78%)、内科(10%)、婦人科(3%)の順でした。
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尿道炎とは
淋菌やクラミジアといった性感染症が原因となることが多い病気です。症状としては排尿時の痛みや尿道からの分泌物があり、淋菌が原因となる場合には比較的強い痛みや膿の分泌が見られます。
「尿道炎」とはどのような病気ですか?
尿道に炎症が生じる病気で、排尿時の痛みや尿道から分泌液が出るなどの症状があります。
尿は尿道を通って膀胱から体外に排出されます。尿道に細菌などの微生物が感染したり、尿道を損傷したりすることで「尿道炎」が生じます。
女性は尿道が短いため性感染症による尿道炎は稀で、「尿道炎」というと一般的には男性の病気とされています。
尿道炎の原因
主に以下の3つが考えられます。
- 性行為などで感染する性病(性感染症)
- 膀胱鏡や尿道カテーテルなどの診療行為
- 外傷によって尿道を損傷すること
性病による尿道炎の問題点
- 我慢して病院を受診しなかったり、治療を自己中断してしまったりすることなどで感染が周りに広まること
- 抗菌薬が効かない耐性菌が増加すること
- 自身とパートナーが不妊症になる可能性があること
パートナーと同時に治療しないと再度感染するため、パートナーと一緒に治療に臨むことが重要です。
尿道炎の主な症状
主に下記が考えられます。
- 排尿時に痛む
- 尿道から分泌液が出る
- 尿道に違和感がある
原因の微生物によって、症状の強さや分泌物の性質、感染してから症状が出現するまでの時間(潜伏期間)などが異なります。少しでも気になったら、遠慮せずに泌尿器科を受診しましょう。
尿道炎の症状
尿道炎に初期症状はありますか?
排尿時の痛みや尿道の違和感などの症状が出ることがありますが、症状が感じられない場合もあります。
尿道炎は原因によって、強く症状が出るものとそうでないものがあります。
初期症状が現れるまでの潜伏期や、症状の強さなども原因によって異なります。
強い症状が出るもの
淋菌性尿道炎
淋菌による尿道炎は、性行為などの感染する可能性のある行為をしてから2~7日後に、強い排尿時の痛みと、膿のような分泌物が大量に尿道から出てくることが特徴です。
他にも、尿道の灼熱感や違和感、外尿道口の発赤などの症状も出ることがあります。なかには、症状が軽い方もいます。
近年、抗菌薬が効きにくい淋菌の増加や、オーラルセックスによる咽頭炎など感染の広がりが問題視されています。
特に淋菌による咽頭炎は無症状のことが多いため、注意が必要です。
また、我慢して治療せずに放っておくと、尿道から精子を運ぶ精管を通って精巣上体という精巣の上にある場所に到達し、「精巣上体炎」という発熱や陰嚢の腫れを起こす感染症に発展することがあります。
場合によって無精子症になどの不妊症の原因にもなるため、我慢せずに病院に受診しましょう。
医原性
尿道バルーンカテーテルの挿入、留置
尿が出ない場合や、尿が出ても大半が膀胱に残っている場合(残尿過多)などで、尿を強制的に外に出す必要があれば、尿道バルーンカテーテルや自己導尿用のカテーテルなどの柔らかいストロー状の管を尿道から膀胱に挿入することがあります。
尿道バルーンカテーテルを入れた直後や留置中は、膀胱にも刺激があるため、尿意や残尿感などの症状が出やすいです。
尿道が細い方や前立腺が大きい方は、留置に関連して尿道炎になる可能性があります。
しばらくすると改善することが多く、留置しながら外来通院することもあります。
間欠的自己導尿
自己導尿用のカテーテルも定期的に挿入するため、その際に尿道炎などが生じる可能性はありますが、尿道バルーンカテーテルの留置と異なり、カテーテルを挿入していない時間の方が長いため、留置による持続的な刺激はありません。
経尿道的検査、治療
尿管結石や前立腺肥大症、膀胱腫瘍などの手術や検査の際に、尿道から内視鏡を挿入して行うことがあります。術後や処置のあと、麻酔の効果が切れたタイミングなどに排尿時の痛みや尿に血が混じることがあります。
徐々に自然治癒し、2週間以内によくなることが多いです。自然治癒の過程で、尿道が細くなること(尿道狭窄症)があり、尿の勢いなどが弱くなる可能性があります。
その他機械的刺激
尿路結石や外傷
病気や怪我で尿道が傷つくと、一過性の炎症が生じ、排尿時の痛みが出る可能性があります。健常であれば数日で自然治癒が見込まれます。
強い症状が出にくいもの
クラミジア尿道炎
クラミジアは、世界で一番多い性感染症と言われています。
性行為などの感染しうる行為をしてから1~3週間後に、排尿時の軽い痛みと、サラサラとした分泌液や粘性のある分泌液尿道から少量出ることが特徴です。稀に強い症状の方もいるようです。
症状自体が軽く、症状を感じられないこともあるため、知らぬ間に感染している可能性があります。
ただし、治療せず放っておくと、女性の子宮や卵子の通り道である卵管、お腹の中に感染が広がり、不妊症や腹痛の原因になることがあります。
非クラミジア非淋菌性尿道炎
マイコプラズマやウレアプラズマ、トリコモナスなどの微生物による尿道炎のことで、比較的軽度の排尿時痛や少量の尿道分泌物が出ることがあります。
尿道炎の原因
尿道炎の原因として、淋菌やクラミジアなどの性病は考えられますか?
症状が出る1ヶ月以内に、感染のきっかけとなりうる性行為をしていた場合などは特に考えられます。
まず、尿道カテーテルの使用や膀胱鏡などを受けた場合や、尿路結石や外傷などで尿道を損傷した場合を除き、尿道炎の原因は性感染症と考えてよいです。
体の構造の違いにより、性感染症による尿道炎は男性に多く、女性では稀です。
性感染症による尿道炎において、主な原因微生物は、下記のとおりです。
- 淋菌
- クラミジア
- マイコプラズマ
- トリコモナス
- ウレアプラズマ
淋菌性尿道炎は性行為などの感染きっかけから2~7日で発症することが多いです。
クラミジア性尿道炎は感染きっかけから1~3週程度で発症することが多いです。
これらの潜伏期間を考慮すると、性行為から1ヶ月以内に尿道炎を発症し、特にその他に原因となるようなことがなければ、淋菌やクラミジアなどの性感染症によって尿道炎を発症している可能性は十分に考えられます。
尿道炎の原因には何がありますか?
原因の多くは性病(性感染症)です。尿道の損傷によるものもあります。
尿道炎の原因は以下のものが報告されています。
性感染症
性病は医学的には性感染症と呼びます。
性感染症は性行為によって起こる感染症のことで、原因菌として、淋菌、クラミジアが多く、その他の微生物としてマイコプラズマなどが挙げられます。原因菌によって特徴が異なり、それぞれの原因菌についての解説は以下のとおりです。
淋菌
淋菌(Neisseria gonorrhoeae)による尿道炎は「淋菌性尿道炎」と言います。
潜伏期間が2~7日程度と短く、排尿時痛がかなり強いことや、尿道から白い膿のような分泌液が出ることが特徴です。
症状が強いため病院を受診される患者さんが多いですが、治療の自己中断などもあり、耐性菌が増加していることが問題になっています。免疫機能の一部から逃れることができるため、治療しない限り感染し続けることがあります。
クラミジア
クラミジア(Chlamydia trachomatis)は世界で最多の性感染症です。細胞の中に感染する微生物で、症状が落ち着いても治療しない限り持続的に感染し続けることがあります。
淋菌が原因ではない尿道炎(非淋菌性尿道炎)の中で、クラミジアによるものを「クラミジア尿道炎」と言います。
潜伏期間は1~3週間と長く、症状が軽く、症状に気がつかない方もいます。
症状は、軽い排尿時の痛みと、尿道からサラサラとした分泌物が下着につく程度出ることなどが特徴です。
男性の場合は、尿道炎が放置され、前立腺炎や精巣上体炎でも見つかることが問題となっています。また、女性の場合は、クラミジアによって子宮頸管炎や子宮付属器炎、お腹の中の感染症になり、不妊症や流産、早産などの原因になることが問題になっています。
マイコプラズマ
淋菌もクラミジアもいない尿道炎(非クラミジア性非淋菌性尿道炎)の原因のひとつとして、マイコプラズマ(Mycoplasma genitalium)によるものが報告されています。
症状はクラミジアによる尿道炎と同様で、従来の抗菌薬での治療失敗例が数多く報告されており、薬剤への耐性化などが問題になっています。
クラミジアと同様に細胞の中に感染する微生物であり、免疫機能の一部からも逃れ、治療しない限り持続的に感染し続けることがあります。
その他
ウレアプラズマやトリコモナスなどの微生物も非クラミジア性非淋菌性尿道炎の原因として報告されています。
性感染症以外のもの
性感染症以外でも尿道を損傷すると、尿道に炎症が起こります。
医原性
- 尿道バルーンカテーテルの挿入、留置
- 間欠的自己導尿
尿が溜まっているのに出せなくなった時や全身麻酔を使用した手術をするときなどに、尿を体外に出すために、尿道から膀胱に柔らかいストロー状の管を入れることがあります。
間欠的自己導尿ではご自身で入れていただくことがあります。
それらの際に尿道にこすれて炎症が生じることがあります。
- 経尿道的手術、検査
尿管結石や前立腺肥大症、膀胱腫瘍などの手術や検査の際に、尿道から内視鏡を挿入して行うことがあります。
特に、もともと尿道が細い方などは内視鏡によって、尿道を損傷し尿道炎を起こすことがあります。尿道炎が自然に治癒する過程で尿道が細くなる(尿道狭窄症)という合併症をきたすことなどもあります。
その他の機械的刺激
- 尿路結石
- 外傷
尿道に石やその他異物が通ると、尿道にこすれて尿道に炎症が生じることがあります。
参考文献
Ryoichi Hamasuna et al. The JAID/JSC guidelines to Clinical Management of Infectious Disease 2017 concerning male urethritis and related disorders. Journal of infection and chemotherapy. 2021, 27, p.546-554.
Steven S Witkin et al. Chlamydia trachomatis: the Persistent Pathogen. Clinical and vaccine immunology. 2017, 24.
日本性感染症学会.性感染症診断・治療ガイドライン2016. 日本性感染症学会,2016.
尿道炎の治療・対処法
尿道炎への対処法は?
抗菌薬で治療をします。ピンポン感染(パートナーとの間でうつしたり、うつされたりを繰り返すこと)を防ぐために、パートナーも同時に治療を受けるようにしましょう。
受診の目安・何科を受診するべきか
尿道炎の場合、何科を受診したらよいですか?
男性は泌尿器科、女性は泌尿器科または婦人科を受診しましょう。パートナーと同時に治療することが重要です。
排尿時に痛いなど尿道炎が気になる症状がある場合は、泌尿器科を受診しましょう。
また、男性の性感染症による尿道炎を起こす微生物が女性に感染すると、子宮頚管炎や子宮付属器炎などを起こすことがあるため、女性の方は婦人科の受診も検討しましょう。
尿道炎の場合、医療機関を受診する目安はありますか?
尿道炎の症状がある時や、疑わしい時は受診しましょう。
排尿時に痛みを感じるなど症状がある場合や、性感染症による尿道炎の疑いがあれば、受診しましょう。
性感染症による尿道炎は、原因の微生物が特殊であり、治療をしないと感染し続けて悪化したり不妊症の原因になったりすることがあります。
また、性行為などを介して男性から女性、反対に女性から男性に感染します。
パートナーと一緒に治療をしなければ、再び感染する可能性が高いため、症状がなくてもパートナーが性感染症の時は受診しましょう。
参考文献
Tommaso Pessarelli. The low-FODMAP diet and the gluten-free diet in the management of functional abdominal bloating and distension. Frontiers in nutrition. 2022, 9.
Laura Gazal Passos. The Correlation between Chlamydia Trachomatis and Female Infertility: A Systematic Review. revista da Federacao Brasileira das Sociedades de Ginecologia e Obstetricia. 2022, 44, p.614-620.
尿道炎の専門医がいる近くの病院はありますか?
尿道炎の専門医がいる病院を見る尿道炎の薬
尿道炎に効く抗生物質などの薬はありますか?
性感染症による尿道炎は抗菌薬によって治療します。今のところは治療薬がありますが、耐性化が進むと有効な抗菌薬がなくなる可能性があります。
適切な抗生物質は原因菌によって異なり、原因の菌を確認して治療をすることが重要です。
一般的なガイドラインでは、菌によって下記の薬剤の使用が挙げられています。
淋菌
- セフトリアキソン
- スぺクチノマイシン
耐性化がかなり進んでいるため、有効な薬が少ないです。2~3割の方がクラミジアも一緒に感染しており、治療効果判定の検査が完了するまで治療する必要があります。
クラミジア
- アジスロマイシン
- クラリスロマイシン
- ミノマイシン
- ドキシサイクリン
- レボフロキサシン
- トスフロキサシン
- シタフロキサシン
上記の薬などから、地域の感染状態を踏まえて検討されます。クラミジア尿道炎は症状が軽いことが多いため、治っているか検査で確認することが大切です。
マイコプラズマ
- アジスロマイシン
- シタフロキサシン
症状はクラミジア尿道炎に似ているため、基本的にクラミジア尿道炎の治療をして効果がない時や、疑いが強く自費で検査した場合に診断できます。治療薬は基本的には上記の通りですが、再発することもあり難治性と言われています。
トリコモナス
- メトロニダゾール
原虫の一種の寄生虫です。非クラミジア性非淋菌性尿道炎の原因として重要で、パートナーの多くは腟トリコモナス症になっており、一緒に治療することが推奨されます。
ただしこれらの治療薬はあくまで目安であり、耐性菌の蔓延状況や地域の状況などによって治療薬は異なります。
尿道炎に関連するその他の質問
残尿感でムズムズする場合の原因として、尿道炎は考えられますか?
他の病気の可能性があり、尿道炎の可能性は低いですが、完全に否定はできません。
残尿感をきたす疾患は、下記のものが挙げられます。
尿道炎に膀胱炎や前立腺炎を合併している場合や、尿道の不快感を残尿感のように感じる可能性もあるため、残尿感でムズムズする場合の原因として尿道炎の可能性もあります。
男性の尿の出口が痛い原因として、尿道炎は考えられますか?
尿道炎の可能性があります。
男性の尿の出口が痛い原因としては、尿道炎や性器ヘルペスなどの可能性があります。
症状が持続する場合や悪化する場合、気になる場合は泌尿器科に受診しましょう。
尿道炎について
尿道炎は、原因によって症状の強さがさまざまです。排尿時の痛みや、尿道から分泌物が出ることなどが特徴です。
性感染症による尿道炎は、治療せずに放置すると前立腺炎や精巣上体炎になることがあり、不妊症の原因にもなります。
性器ヘルペスについて
ヘルペスウイルスによる感染症で、感染すると完全に治療することができない病気です。
触るとチクチクする小さな水ぶくれのようなできものや潰瘍が性器、特に尿の出口付近にできることが特徴です。
症状が強い時や、再発の回数が多い場合などは抗ウイルス薬を使用します。
尿道炎について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「尿道炎」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 尿を出すときに痛みはありますか?
- 特定のパートナー以外との性交渉がここ1ヶ月以内にありますか?
- 排尿後に尿が出し切れていない感じがしますか?
- 尿道から膿が出ていますか?
- お腹の痛みがありますか?
尿道炎に関連する病気・症状
この記事の監修医師
秋元 隆宏 先生
東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科 泌尿器科
【経歴】 東北大学医学部医学科 卒業 三井記念病院 臨床研修 三井記念病院 泌尿器科 東京大学医学部付属病院 泌尿器科・男性科 自治医科大学 腎泌尿器外科学講座 泌尿器科学部門 病院助教 琉球大学医学部システム生理学講座 東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03