血圧が気になって乳酸菌飲料を飲み始めました。毎日同じものにすべきか、いろいろ試したほうがいいですか?

高血圧リスクの低下を期待するなら、「エビデンスのある同じ菌株・製品を毎日継続する」ことが重要と言えそうです。プロバイオティクスの効果は菌株特異的であり、異なる菌を頻繁に切り替えることで期待する効果が得られない場合があります。一方、腸内環境の多様性を高めるという観点では、発酵食品全体を幅広く摂ることにも意義があります。

解説

国際的なコンセンサス文書は、プロバイオティクスの効果は「菌株特異的(strain-specific)」であり、ある菌株で実証された効果が別の菌株に当てはまるとは限らないと明記されています(Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2014)。つまり「Aというヨーグルトで血圧効果が示された」としても、「B菌株の別製品に変えれば同じ効果が出る」とは言えません。

ヤクルト菌(L. casei Shirota株)については、長期継続摂取が高齢者の高血圧新規発症リスクと関連するという観察研究があります(Aoyagi Y, et al. Beneficial Microbes. 2017)。このデータは平均約6年間の継続摂取に基づくものであり、短期間の摂取では効果を評価しにくいことを示唆しています。

また、乳清由来の降圧ペプチドVPP・IPPを含む発酵乳については、日本人対象の18の論文をメタ解析した研究で、収縮期血圧を平均5.63mmHg低下させる効果が報告されています(Chanson-Rolle A, et al. PLoS One. 2015)。ただし作用機序が異なるため、「菌を変えても同じ」とはならない点は同様です。

血圧対策ヨーグルト・乳酸菌飲料選びのときに配慮が推奨される点

特に重要とされるのは、「目的とする効果が証明されている菌株・成分を継続的に選ぶ」ことと考えられています。

血圧対策に向けた乳酸菌の取り入れ方と理由をまとめた一覧表です。3つのポイントと理由は以下の通りです。1. 菌株・成分を確認する:L. casei Shirota株やVPP/IPP含有製品など、根拠のある製品を選ぶ。効果は菌株・成分ごとに異なり、代替品が同じ結果を保証しないため。2. 少なくとも3か月は継続する:同じ製品を3か月以上継続して血圧の変化を記録する。腸内環境の変化と降圧効果には時間がかかるため。3. 他の生活習慣改善と組み合わせる:減塩・運動・適正体重の維持と並行して取り組む。乳酸菌単独の降圧効果は限定的であり、複合的なアプローチが重要なため。

ここだけは伝えたいメッセージ

高血圧が診断済みの方は、乳酸菌飲料・ヨーグルトを治療として用いることは推奨されません。減塩・生活習慣の改善・体重管理・運動に添える補助的選択肢であり、効果・優先順位は基本的な生活習慣の改善の方が高いです。また、投薬治療の代わりとなるほどの効果はないため、すでに治療をされている場合には現在の治療の継続が必須です。乳酸菌飲料などの摂取は、過剰なカロリー摂取につながることもあるため、必ず医師に確認したうえで検討してください。

ご自身で血圧を管理する際は、日本高血圧学会が推奨する「家庭血圧測定法」(毎朝起床後・排尿後・安静5分後)で定期的に記録することをおすすめします。

乳酸菌飲料を試す場合は、まず2〜3ヶ月継続して変化を記録し、効果を感じない場合は医師・管理栄養士に相談することが合理的な進め方です。

まとめ:「菌株を選んで継続」が基本戦略

血圧対策における乳酸菌飲料の取り入れ方のまとめです。エビデンスのある菌株・成分の製品を選び3か月継続する基本と、高血圧治療中の場合は自己判断せず医師へ相談し補助的に活用する注意点を解説しています。

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おだかクリニック 循環器内科 副院長

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食物繊維やプレバイオティクスは、血圧にも影響がありますか?

食物繊維やプレバイオティクスは腸内細菌の活性化を通じて短鎖脂肪酸を産生し、血圧調節に関与する可能性があります。DASH食(野菜・果物・低脂肪乳製品を多く含む食事パターン)は食物繊維が豊富で、高血圧管理に有効なエビデンスが蓄積されています。プレバイオティクスとプロバイオティクスを組み合わせたシンバイオティクスアプローチが腸内環境と循環器健康の両面からサポートする可能性があります。

血圧について「経過観察」と言われました。対策のひとつとしてヨーグルトや乳酸菌飲料も考えているのですが、どう選べばよいですか?

その場合には、まず基本となる減塩・食生活習慣、運動習慣などの改善・禁煙・節酒・体重管理を最初に行いましょう。ヨーグルトや乳酸菌飲料は、あくまでそれらの基本的な対策を行った後に検討する補助的選択肢となっています。 もしヨーグルトや乳酸菌飲料を考える場合には、作用機序が異なる2つのアプローチから製品を選ぶことができます。①腸脳相関・ストレス緩和を介してアプローチするヤクルト菌(L. casei Shirota株)含有製品、②乳清由来ペプチドVPP・IPPによるACE阻害(直接的な降圧作用)を持つ製品です。どちらも生活習慣改善の補助手段であり、医療的な降圧治療の代替にはなりません。

血圧対策にサプリメントと機能性ヨーグルト、どちらが効果的ですか?

現時点のエビデンスでは、サプリメントと機能性食品のどちらが一概に優れているとは言えません。血圧対策として科学的根拠が蓄積されているのは、①L. casei Shirota株含有乳酸菌飲料(継続摂取による高血圧リスク低下)と②VPP・IPP含有発酵乳(ACE阻害による降圧ペプチド)の2つのアプローチです。降圧薬の代替にはなりませんが、生活習慣改善の補助手段として有効とする報告もあります。

血圧が少し高めと言われました。生活習慣改善の中で、ヨーグルトや乳酸菌飲料を取り入れることを考えているのですが、飲むタイミングで何か変わりますか?

血圧対策として乳酸菌飲料を取り入れる場合、「いつ飲むか」より「毎日続けるかどうか」が重要と言えそうです。ヤクルト菌(L. casei Shirota株)を用いた長期観察研究では、継続摂取が高血圧の新規発症リスクの低下と関連することが示されています。まず「毎朝同じ時間」に習慣化することが最初のステップです。

血圧が気になって乳酸菌飲料を飲み始めました。毎日同じものにすべきか、いろいろ試したほうがいいですか?

高血圧リスクの低下を期待するなら、「エビデンスのある同じ菌株・製品を毎日継続する」ことが重要と言えそうです。プロバイオティクスの効果は菌株特異的であり、異なる菌を頻繁に切り替えることで期待する効果が得られない場合があります。一方、腸内環境の多様性を高めるという観点では、発酵食品全体を幅広く摂ることにも意義があります。

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