血圧について「経過観察」と言われました。対策のひとつとしてヨーグルトや乳酸菌飲料も考えているのですが、どう選べばよいですか?

その場合には、まず基本となる減塩・食生活習慣、運動習慣などの改善・禁煙・節酒・体重管理を最初に行いましょう。ヨーグルトや乳酸菌飲料は、あくまでそれらの基本的な対策を行った後に検討する補助的選択肢となっています。 もしヨーグルトや乳酸菌飲料を考える場合には、作用機序が異なる2つのアプローチから製品を選ぶことができます。①腸脳相関・ストレス緩和を介してアプローチするヤクルト菌(L. casei Shirota株)含有製品、②乳清由来ペプチドVPP・IPPによるACE阻害(直接的な降圧作用)を持つ製品です。どちらも生活習慣改善の補助手段であり、医療的な降圧治療の代替にはなりません。

解説

高血圧に対して、乳酸菌や発酵乳ペプチドがアプローチできるルートは大きく2つあります。

ひとつ目は腸脳相関を介するルートです。L. casei Shirota株の継続摂取がストレス下でのコルチゾール分泌を抑制し、交感神経の過活動を和らげることで間接的に血圧をサポートする可能性が示されています(Takada M, et al. Neurogastroenterol Motil. 2016)。長期観察研究では継続摂取群で高血圧新規発症リスクの有意な低下も確認されています(Aoyagi Y, et al. Beneficial Microbes. 2017)。

2つ目はACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害を介するルートです。牛乳たんぱくのカゼインを乳酸菌で発酵させると生じるペプチドVPP・IPPは、血管収縮に関わるACEを阻害することで直接的な降圧作用を持つと考えられています。日本人対象の18の論文をメタ解析した研究では、収縮期血圧を平均5.63mmHg低下させる効果が報告されています(Chanson-Rolle A, et al. PLoS One. 2015)。

どちらのアプローチも「完全な高血圧治療」にはなりませんが、生活習慣改善のサポートとして位置づけて活用できます。選ぶ際は「機能性表示食品」または「特定保健用食品(トクホ)」の表示があるか確認しましょう。

また、乳酸菌飲料にはカロリーがある程度含まれており、中には過剰な糖分やカロリー摂取につながってしまう製品もあるため、カロリーが極力低いものを使用するなど対策が必要です。

悩み別・血圧対策ヨーグルト・乳酸菌飲料選びで検討が推奨される点

特に重要とされるのは、「作用機序を理解して自分の目的に合った製品を選ぶ」ことと考えられています。

血圧対策に向けた目的別の乳酸菌飲料の選び方と理由をまとめた一覧表です。3つのポイントと理由は以下の通りです。1. ストレス・自律神経が気になるなら:L. casei Shirota株含有乳酸菌飲料(ヤクルト等)を毎日継続。腸脳相関を介したストレス緩和から交感神経を抑制し、血圧を安定させるため。2. 血管への直接作用を求めるなら:VPP/IPP含有発酵乳(アミールS等)を継続摂取。ACE阻害による直接的な降圧ペプチドの作用が期待できるため。3. 両方組み合わせるなら:乳酸菌飲料とVPP/IPP発酵乳を、減塩・DASH食と組み合わせて取り入れる。複数ルートからのアプローチで総合的な血圧管理をサポートするため。

ここだけは伝えたいメッセージ

高血圧(血圧140/90mmHg以上)と診断されている方は、まず循環器内科・内科を受診し、医師の指導のもとで降圧治療を受けることが最優先です。乳酸菌飲料・発酵乳ペプチドはあくまで生活習慣改善の補助手段であり、降圧薬の代わりになるほどの効果はありません。

また、食生活や運動習慣、節酒や禁煙などの生活改善を、まず行うことが高血圧管理の一番重要な基本となります。これらの対策を行ったうえでの補助的な対応にすぎないことを理解しましょう。

降圧薬を服用している方は、薬との飲み合わせや過剰なカロリー摂取とならないかも含めて主治医に確認したうえで摂取してください。腎臓病・糖尿病など合併症がある場合は、食事全体の管理が特に重要です。管理栄養士との連携もご検討ください。

まとめ:目的に合った製品を選び、生活習慣改善の一部として継続する

血圧対策における乳酸菌飲料の取り入れ方のまとめです。腸脳相関やACE阻害など目的に応じた製品選びを基本とし、高血圧治療は医師の指導を最優先に補助として活用する注意点を解説しています。

特に知りたいことは何ですか?

利用規約プライバシーポリシーに同意のうえ、もっとも当てはまる項目を選択してください。

公開日

最終更新日

編集・監修基準について

本記事は情報の正確性を担保するため、以下のフローを経て作成・公開されています。

  1. Q作成

  2. 医師執筆/監修

  3. QAレビュー

  4. 公開

おだかクリニック 循環器内科 副院長

小鷹 悠二 監修

関連する質問
糖質制限を始めたいのですが、注意することはありますか?機能性表示食品についても教えてほしいです。

糖質制限は血糖値改善に効果が期待できる一方、やりすぎや偏りによるリスクもあります。特に、すでに糖尿病の薬を使用している方の自己流の糖質制限は大変危険です。「適正量への調整」と機能性表示食品との組み合わせは、過剰でなければ長続きするアプローチとも言えそうです。

腸内フローラを整えるために何をすれば一番効果的なのでしょうか?最近よく見る機能性表示食品などを活用するコツも知りたいです。

ヨーグルト等の摂取をおすすめします。機能性表示食品はあくまで不足を補う補助として活用し、自分に合うものを2週間以上継続して、お腹の調子を観察するのがコツです。

ピロリ菌の除菌に成功したのですが胃の不快感が続いています。機能性表示食品などで胃の環境を整え続けることは意味がありますか?

除菌後も胃粘膜の回復には時間がかかるため、定期受診が不可欠です。機能性表示食品は、あくまで補助として取り入れるとよいでしょう。

運動が苦手でも、血糖値を下げる方法として機能性表示食品を利用してもよいでしょうか?

「ジムに通う」「まとめて運動する」必要はありません。日常のこまめな動きをベースに、機能性表示食品は補助的に取り入れることが、運動が苦手な方に続けやすいアプローチと言えそうです。ただし、機能性表示食品は「血糖値を下げる(治療する)」ものではなく、「血糖値の急上昇を穏やかにする」ものであるという前提は知っておきましょう。

甘いものがやめられません。血糖値への影響と、うまくコントロールする方法を教えてください。

甘いものへの強い欲求は血糖値の乱れと関連している場合があります。「完全にやめる」より「タイミングと置き換えを工夫する」アプローチのほうが長続きしやすく、機能性表示食品の賢い活用も選択肢のひとつになり得ます。

血圧対策にサプリメントと機能性ヨーグルト、どちらが効果的ですか?

現時点のエビデンスでは、サプリメントと機能性食品のどちらが一概に優れているとは言えません。血圧対策として科学的根拠が蓄積されているのは、①L. casei Shirota株含有乳酸菌飲料(継続摂取による高血圧リスク低下)と②VPP・IPP含有発酵乳(ACE阻害による降圧ペプチド)の2つのアプローチです。降圧薬の代替にはなりませんが、生活習慣改善の補助手段として有効とする報告もあります。

健診でHbA1cが少し高いと言われました。治療以外に、血糖値対策の機能性表示食品も試してよさそうでしょうか?

HbA1cが基準値を超えた場合、まず一般内科・糖尿病専門外来への受診を検討することが重要です。生活習慣の見直しとともに、血糖値の上昇を穏やかにする食品の取り入れ方も早期から意識することが大切です。

「血糖値スパイク」ってなんですか?食事や機能性表示食品などで防ぐ方法はありますか?

血糖値スパイクとは食後の急激な血糖上昇・下降のことで、繰り返されると血管ダメージの原因になり得ます。食べる順番や速さを工夫することや、適切なタイミングで機能性表示食品などを活用することで 、ある程度緩やかにできる可能性があります。

夏になると胃もたれがひどくなります。冷たい飲み物が原因ですか?胃をいたわる食習慣を教えてください。

冷たい飲み物は胃の動きを一時的に遅くし、消化機能に影響を与える可能性があります。温度を意識した飲み方と胃で働く乳酸菌の活用で、症状が和らぐ可能性があります。

在宅勤務で座りっぱなしの日が続くとお腹が張り、便秘がちです。運動不足が原因ですか?腸内環境の見直しで改善できますか?

長時間の座位は腸の蠕動運動を低下させ、便秘の一因になる可能性があります。まず体を動かす習慣を見直すことが基本で、プロバイオティクスはその補助として役立てることができそうです。

関連する病気と症状

(参考文献)

この記事をシェアする

治療が必要な患者様へのお願い

ウェルネス

の方は説明を必ずお読みください

こちらのQRコードを

スマーフォンのカメラで読み取ってください

疾患について分かりやすくまとまっています
1

QRコードを読み取るだけ 非接触で安心

2

一問一答なので 読むのが簡単

3

どんな治療をするべきか 納得して取り組める

初めての方へ

ユビー病気のQ&Aとは?

現役の医師が、患者さんの気になることや治療方法について解説しています。ご自身だけでは対処することがむずかしい具体的な対応方法や知識などを知ることができます。

病気・症状から探す医師・医療機関の方はコチラ
無料で症状を調べる
医療AIに不調を相談

医療AIパートナー ユビー

24時間いつでも健康の悩みを気軽にチャットで相談できるあなただけの医療AIパートナー。なんとなく不調な時や人に相談しづらい悩みがあるときも、どんな相談もOKです

無料で症状を調べる
症状を調べる

症状検索エンジン「ユビー」

体調に不安がある、医療機関への受診を考えている方向けに、20〜30問程度の質問に答えることで、あなたに関連性のある病名や、適切な受診先を無料で調べられます。

医療機関を探す
医療機関を探す

お近くの病院をお探しの方へ

「受診科が分からない」「どの医療機関に行ったらいいか分からない」といった悩みは、ユビーの病院検索が便利です。近所の病院も探せるので、ぜひご利用ください。