BRCA(ブラカ)遺伝子は、膵がんと関係ありますか?
関係あります。BRCA遺伝子異常を持つ膵がんは遺伝性腫瘍の可能性があり、遺伝学的検査が検討されます。
がんの原因となる遺伝子異常は後天的に獲得される場合(遺伝子変異)が多いのですが、まれに先天的な遺伝子異常(生まれつきの遺伝子異常)が原因でがんに至る場合があり、遺伝性腫瘍と呼ばれます(この遺伝子異常を「病的バリアント」と呼びます)。
BRCA遺伝子は2本鎖DNAが切断されたときに修復する働きがあり、この遺伝子異常ががんの原因と考えられる場合、遺伝性腫瘍(病的バリアント)の可能性を検討する必要があります。
BRCA病的バリアントによる遺伝性の膵がん(遺伝性乳がん卵巣がん症候群:HBOC)の頻度は、膵がん全体の4〜7%とされ、BRCA遺伝子異常を有する膵がんについて、HBOCであるかどうかを調べるBRCA遺伝学的検査の基準は以下になります。
- 血縁者にBRCA1またはBRCA2の病的バリアント保持者が確認されている
- 血縁者の中で2名以上にHBOC関連(乳がん・卵巣がん・前立腺がん・膵がん・悪性黒色腫等)の発がんが確認されている
- 遠隔転移を有する、または術後再発
これらの基準に当てはまる場合は、遺伝医療専門医の受診が推奨されます。
治療としては、BRCA遺伝子変異を有する転移性膵がんにおいて、PARP阻害剤オラパリブの使用が承認されています。
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最終更新日:
東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 悪性腫瘍治療研究部 腫瘍 血液内科
村橋 睦了 監修
(参考文献)
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