運動が苦手でも、血糖値を下げる方法として機能性表示食品を利用してもよいでしょうか?

「ジムに通う」「まとめて運動する」必要はありません。日常のこまめな動きをベースに、機能性表示食品は補助的に取り入れることが、運動が苦手な方に続けやすいアプローチと言えそうです。ただし、機能性表示食品は「血糖値を下げる(治療する)」ものではなく、「血糖値の急上昇を穏やかにする」ものであるという前提は知っておきましょう。

解説

糖尿病診療ガイドライン2024では有酸素運動(週150分以上)とレジスタンス運動(週2〜3回)を推奨していますが、細切れの活動(10分×3回)で同等の効果が得られる可能性も示されています。

例えば、座りっぱなしを中断するだけで血糖値に好影響があるとの研究もあります(van der Berg JD, et al. BMJ. 2016)。「30分間ごとに立ち上がる」だけでも血糖コントロールにつながることがあると言えそうです。

国内の臨床研究では、食事の工夫(食べる順番等)と食後の軽い運動を組み合わせることで、食後血糖値の上昇が有意に抑制されることが報告されています。また、乳製品(ヨーグルト等)の摂取が消化管ホルモンの分泌を促し、運動習慣と相まって血糖変動の安定に寄与する可能性も示唆されています。

運動が苦手な人の血糖値対策で検討が推奨される点

特に重要とされるのは、「小さな一歩を継続すること」と考えられています。大きな目標より、小さな習慣の積み重ねのほうが長期的に血糖を改善します。

運動が苦手な人の血糖値対策として、3つの習慣と理由をまとめた表です。1つ目は「食後のひと歩き」で、食後15〜30分に10〜15分歩くことです。理由は「食後の筋肉のグルコース取り込みが活性化され、血糖上昇が緩やかになる(運動時はインスリンに頼らずに筋肉が直接糖を消費するため)」からです。2つ目は「30分ルール」で、座り仕事中も、1時間に1度立ち上がることです。理由は「長時間の座位がインスリン抵抗性を高めるため、中断により血糖調節が改善する可能性」があるためです。3つ目は「機能性表示食品との併用」で、血糖値対策機能を届け出た食品を毎日の食事に取り入れることです。理由は「食べるだけで血糖値にアプローチできる選択肢として」有効だからです。

ここだけは伝えたいメッセージ

膝や腰に持病がある方は、整形外科または内科への相談をご検討ください。低血糖リスクのある方は運動前に医師へのご確認をご検討ください。

運動を苦手と感じる最大の山は「最初の一歩」です。階段を使う、エレベーターから途中で降りるなど、「運動の気分」を日常に取り入れる工夫から始めましょう。1日トータルで少しずつ歩数を増やしていく意識を持つことが、将来の健康寿命を延ばすことにもつながります。

まとめ:「ジム」より「食後の短い歩き」から。血糖対策は日々の積み重ねが大切

運動が苦手な方の血糖対策は、最初から頂上を目指さず「できることから続ける」が基本です。無理なく続けられる対策を検討してみてください。

運動が苦手な人の血糖値対策をまとめた表です。基本は 「ジム」に通うより「食後の短い歩き」から始め、1時間に1度立つ習慣が有効です。注意点として、持病がある方・薬物治療中で低血糖リスクのある方は、運動前に医師に確認することが記載されています。

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  4. 公開

福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長

井林 雄太 監修

関連する質問
健診でHbA1cが少し高いと言われました。治療以外に、血糖値対策の機能性表示食品も試してよさそうでしょうか?

HbA1cが基準値を超えた場合、まず一般内科・糖尿病専門外来への受診を検討することが重要です。生活習慣の見直しとともに、血糖値の上昇を穏やかにする食品の取り入れ方も早期から意識することが大切です。

腸内フローラを整えるために何をすれば一番効果的なのでしょうか?最近よく見る機能性表示食品などを活用するコツも知りたいです。

ヨーグルト等の摂取をおすすめします。機能性表示食品はあくまで不足を補う補助として活用し、自分に合うものを2週間以上継続して、お腹の調子を観察するのがコツです。

甘いものがやめられません。血糖値への影響と、うまくコントロールする方法を教えてください。

甘いものへの強い欲求は血糖値の乱れと関連している場合があります。「完全にやめる」より「タイミングと置き換えを工夫する」アプローチのほうが長続きしやすく、機能性表示食品の賢い活用も選択肢のひとつになり得ます。

ピロリ菌の除菌に成功したのですが胃の不快感が続いています。機能性表示食品などで胃の環境を整え続けることは意味がありますか?

除菌後も胃粘膜の回復には時間がかかるため、定期受診が不可欠です。機能性表示食品は、あくまで補助として取り入れるとよいでしょう。

血圧が少し高めと言われました。生活習慣改善の中で、ヨーグルトや乳酸菌飲料を取り入れることを考えているのですが、飲むタイミングで何か変わりますか?

血圧対策として乳酸菌飲料を取り入れる場合、「いつ飲むか」より「毎日続けるかどうか」が重要と言えそうです。ヤクルト菌(L. casei Shirota株)を用いた長期観察研究では、継続摂取が高血圧の新規発症リスクの低下と関連することが示されています。まず「毎朝同じ時間」に習慣化することが最初のステップです。

運動が苦手でも、血糖値を下げる方法として機能性表示食品を利用してもよいでしょうか?

「ジムに通う」「まとめて運動する」必要はありません。日常のこまめな動きをベースに、機能性表示食品は補助的に取り入れることが、運動が苦手な方に続けやすいアプローチと言えそうです。ただし、機能性表示食品は「血糖値を下げる(治療する)」ものではなく、「血糖値の急上昇を穏やかにする」ものであるという前提は知っておきましょう。

「血糖値スパイク」ってなんですか?食事や機能性表示食品などで防ぐ方法はありますか?

血糖値スパイクとは食後の急激な血糖上昇・下降のことで、繰り返されると血管ダメージの原因になり得ます。食べる順番や速さを工夫することや、適切なタイミングで機能性表示食品などを活用することで 、ある程度緩やかにできる可能性があります。

血圧について「経過観察」と言われました。対策のひとつとしてヨーグルトや乳酸菌飲料も考えているのですが、どう選べばよいですか?

その場合には、まず基本となる減塩・食生活習慣、運動習慣などの改善・禁煙・節酒・体重管理を最初に行いましょう。ヨーグルトや乳酸菌飲料は、あくまでそれらの基本的な対策を行った後に検討する補助的選択肢となっています。 もしヨーグルトや乳酸菌飲料を考える場合には、作用機序が異なる2つのアプローチから製品を選ぶことができます。①腸脳相関・ストレス緩和を介してアプローチするヤクルト菌(L. casei Shirota株)含有製品、②乳清由来ペプチドVPP・IPPによるACE阻害(直接的な降圧作用)を持つ製品です。どちらも生活習慣改善の補助手段であり、医療的な降圧治療の代替にはなりません。

食物繊維やプレバイオティクスは、血圧にも影響がありますか?

食物繊維やプレバイオティクスは腸内細菌の活性化を通じて短鎖脂肪酸を産生し、血圧調節に関与する可能性があります。DASH食(野菜・果物・低脂肪乳製品を多く含む食事パターン)は食物繊維が豊富で、高血圧管理に有効なエビデンスが蓄積されています。プレバイオティクスとプロバイオティクスを組み合わせたシンバイオティクスアプローチが腸内環境と循環器健康の両面からサポートする可能性があります。

血圧が気になって乳酸菌飲料を飲み始めました。毎日同じものにすべきか、いろいろ試したほうがいいですか?

高血圧リスクの低下を期待するなら、「エビデンスのある同じ菌株・製品を毎日継続する」ことが重要と言えそうです。プロバイオティクスの効果は菌株特異的であり、異なる菌を頻繁に切り替えることで期待する効果が得られない場合があります。一方、腸内環境の多様性を高めるという観点では、発酵食品全体を幅広く摂ることにも意義があります。

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