健診でHbA1cが少し高いと言われました。治療以外に、血糖値対策の機能性表示食品も試してよさそうでしょうか?

HbA1cが基準値を超えた場合、まず一般内科・糖尿病専門外来への受診を検討することが重要です。生活習慣の見直しとともに、血糖値の上昇を穏やかにする食品の取り入れ方も早期から意識することが大切です。

解説

HbA1cは過去おおよそ1〜2ヶ月の平均血糖値を反映する指標で、「6.5%未満」が目標とされています。すでに糖尿病と診断され治療中の方の合併症予防の目標値が一般的に「7.0%未満」です。 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」では、HbA1c 6.0〜6.4%の「境界型」の段階から早期介入を推奨しており、「まだ大丈夫」の放置が最大のリスクとされています。

大規模なランダム化比較試験(Knowler WC, et al. N Engl J Med. 2002, PMID: 11832527)では、生活習慣介入(食事・運動の改善)によって糖尿病発症リスクが58%低下したと報告されています。これは「生活習慣の改善が薬と同等以上の力を持ち得る」という力強いエビデンスのひとつです。

消費者庁に「食後の血糖値上昇を緩やかにする」機能を届け出た機能性表示食品も登場しています。しかし、機能性表示食品は制度上「疾病に罹患していない者(健康な方や境界型の方)」を対象とした食品です。 糖尿病の治療薬を使用している方などが自己判断で併用すると、薬の効きすぎによる危険な「低血糖」を引き起こすリスクがあります。 医師の指導のもとで生活習慣改善と組み合わせることが推奨されます。効果には個人差があります。

日常でHbA1c対策を取り入れたい場合に検討が推奨される点

特に重要とされるのは、「自己判断で放置しないこと」と考えられています。境界型であれば早期介入ほど改善の余地が大きくなります。

HbA1cの改善に向けた3つの日常の対策とその理由をまとめた表です。1つ目は「食べる順番を変える」で、野菜→たんぱく質→炭水化物の順で食べることです。理由は「食物繊維が先に入ることで炭水化物の吸収が緩やかになる」ためです。2つ目は「食後の軽い運動」で、食後15〜30分に10〜15分の歩行です。理由は「筋肉がグルコースを取り込み、食後血糖の上昇が緩やかになる」からです。3つ目は「間食の置き換え」で、菓子類を、血糖値上昇抑制機能を届け出た機能性表示食品に置き換えることです。理由は「間食による急激な血糖上昇を防ぎ、1日のHbA1cへの影響を軽減」するためです。

ここだけは伝えたいメッセージ

口渇・頻尿疲れやすさが続く場合は、すでに血糖値が著しく高くなっている可能性があります。一般内科または糖尿病内科への早めの受診をご検討ください。「まだ大丈夫」の放置が最大のリスクです。

機能性表示食品は、食事・運動の土台があってこそ活きるものであり、自己流の糖質制限やサプリメントだけでの対処は限界があります。特に高血圧脂質異常症を合併している場合は、管理栄養士との連携も検討してください。

まとめ:早期の気づきと行動で、HbA1cは改善できる

境界型の段階では、生活習慣の改善だけで正常範囲に戻せる可能性があります。食事・運動・機能性表示食品を組み合わせて、主治医と二人三脚で取り組みましょう。

HbA1cの改善についてまとめた表です。基本は、食事の順番改善+食後のウォーキング+機能性表示食品の活用で早期対策することです。注意点として、HbA1c 6.0%以上は自己判断せず一般内科・糖尿病専門外来へ相談することが記載されています。

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  1. Q作成

  2. 医師執筆/監修

  3. QAレビュー

  4. 公開

福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長

井林 雄太 監修

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健診でHbA1cが少し高いと言われました。治療以外に、血糖値対策の機能性表示食品も試してよさそうでしょうか?

HbA1cが基準値を超えた場合、まず一般内科・糖尿病専門外来への受診を検討することが重要です。生活習慣の見直しとともに、血糖値の上昇を穏やかにする食品の取り入れ方も早期から意識することが大切です。

運動が苦手でも、血糖値を下げる方法として機能性表示食品を利用してもよいでしょうか?

「ジムに通う」「まとめて運動する」必要はありません。日常のこまめな動きをベースに、機能性表示食品は補助的に取り入れることが、運動が苦手な方に続けやすいアプローチと言えそうです。ただし、機能性表示食品は「血糖値を下げる(治療する)」ものではなく、「血糖値の急上昇を穏やかにする」ものであるという前提は知っておきましょう。

甘いものがやめられません。血糖値への影響と、うまくコントロールする方法を教えてください。

甘いものへの強い欲求は血糖値の乱れと関連している場合があります。「完全にやめる」より「タイミングと置き換えを工夫する」アプローチのほうが長続きしやすく、機能性表示食品の賢い活用も選択肢のひとつになり得ます。

「血糖値スパイク」ってなんですか?食事や機能性表示食品などで防ぐ方法はありますか?

血糖値スパイクとは食後の急激な血糖上昇・下降のことで、繰り返されると血管ダメージの原因になり得ます。食べる順番や速さを工夫することや、適切なタイミングで機能性表示食品などを活用することで 、ある程度緩やかにできる可能性があります。

腸内フローラを整えるために何をすれば一番効果的なのでしょうか?最近よく見る機能性表示食品などを活用するコツも知りたいです。

ヨーグルト等の摂取をおすすめします。機能性表示食品はあくまで不足を補う補助として活用し、自分に合うものを2週間以上継続して、お腹の調子を観察するのがコツです。

食物繊維やプレバイオティクスは、血圧にも影響がありますか?

食物繊維やプレバイオティクスは腸内細菌の活性化を通じて短鎖脂肪酸を産生し、血圧調節に関与する可能性があります。DASH食(野菜・果物・低脂肪乳製品を多く含む食事パターン)は食物繊維が豊富で、高血圧管理に有効なエビデンスが蓄積されています。プレバイオティクスとプロバイオティクスを組み合わせたシンバイオティクスアプローチが腸内環境と循環器健康の両面からサポートする可能性があります。

血圧が気になって乳酸菌飲料を飲み始めました。毎日同じものにすべきか、いろいろ試したほうがいいですか?

高血圧リスクの低下を期待するなら、「エビデンスのある同じ菌株・製品を毎日継続する」ことが重要と言えそうです。プロバイオティクスの効果は菌株特異的であり、異なる菌を頻繁に切り替えることで期待する効果が得られない場合があります。一方、腸内環境の多様性を高めるという観点では、発酵食品全体を幅広く摂ることにも意義があります。

血圧について「経過観察」と言われました。対策のひとつとしてヨーグルトや乳酸菌飲料も考えているのですが、どう選べばよいですか?

その場合には、まず基本となる減塩・食生活習慣、運動習慣などの改善・禁煙・節酒・体重管理を最初に行いましょう。ヨーグルトや乳酸菌飲料は、あくまでそれらの基本的な対策を行った後に検討する補助的選択肢となっています。 もしヨーグルトや乳酸菌飲料を考える場合には、作用機序が異なる2つのアプローチから製品を選ぶことができます。①腸脳相関・ストレス緩和を介してアプローチするヤクルト菌(L. casei Shirota株)含有製品、②乳清由来ペプチドVPP・IPPによるACE阻害(直接的な降圧作用)を持つ製品です。どちらも生活習慣改善の補助手段であり、医療的な降圧治療の代替にはなりません。

胃酸が多いと胃が荒れてしまうのは、なぜですか?機能性表示食品を上手に取り入れたいのですが、よいでしょうか?

胃粘膜の防御力が落ちると、胃酸そのものによって胃の粘膜が障害されます。医療機関を受診して病状を確認しつつ、機能性表示食品はあくまで補助として取り入れ、防御因子を整えるのが有効です。必要に応じ、胃酸を抑える内服薬が有効な場合もあります。

「腸活」をすることに意味はあるのでしょうか?

健康維持のサポートという観点では、過剰でない限りは「良い習慣」と言えそうです。

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