黄斑浮腫になるとどんな見え方になる?黄斑浮腫
監修医師山口 知暁東北大学病院 眼科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/02/15
黄斑浮腫とは
網膜の中心部にあり、最も解像度の高い「黄斑」という場所で血液やその成分が滲み出してむくみが起こることで、ものがぼやけたり歪んで見えたり、視力が低下したりします。糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症に伴う眼底出血、ぶどう膜炎など、目の中の血管の異常や炎症に引き続いて起こること多いです。
嚢胞様黄斑浮腫とは何ですか?
黄斑に嚢(のう)状の水ぶくれができる状態です。
嚢胞様黄斑浮腫(CME)は、黄斑部に複数の小さな嚢(液体のたまり)ができる状態で、視細胞の間に滲出液がたまり嚢胞のように見えるためこの名があります。
CMEは糖尿病網膜症や白内障手術後、ぶどう膜炎、網膜静脈閉塞症などさまざまな病態で起こりえます。
視力は中心がにじんだり、歪んだりし、通常の黄斑浮腫より視力低下が顕著なこともあります。OCT検査で明確に診断され、抗VEGF薬の硝子体内注射、ステロイド、あるいは原因疾患の治療が行われます。
糖尿病黄斑浮腫とは何ですか?
糖尿病網膜症に伴う代表的な視力障害です。
糖尿病黄斑浮腫は、糖尿病網膜症の進行により黄斑部(視力の中心となる部分)に浮腫が生じる状態で、糖尿病患者の失明原因の一つです。
高血糖が続くと網膜血管の透過性が亢進し、液体やタンパク質が血管外に漏れ出します。
その結果、黄斑部にむくみが生じ、視力が低下します。放置すると不可逆的な視力障害を招くため、血糖コントロールのほか、抗VEGF薬の硝子体注射、レーザー治療、ステロイド治療などが行われます。
定期的な眼科検診で早期発見し、適切な治療を受けることが重要です。
黄斑浮腫の「黄斑部」とは何ですか?
網膜の中心で、視力に最も重要な部分です。
黄斑部とは、網膜の中心にある直径約5mmの領域で、特にその中心にある「中心窩」は色覚や細かい視力を担う非常に繊細な部位です。
この黄斑部が正常に機能することで、読書や顔の識別など細かい作業が可能になります。黄斑部は血管が少なく、酸素や栄養の供給が限られているため、むくみや出血、炎症に非常に弱い特徴があります。
そのため、黄斑浮腫のような疾患が発生すると視力への影響が大きく、早期の治療と継続的な管理が視機能を守るために不可欠です。
「黄斑浮腫」とはどのような病気ですか?
黄斑浮腫の症状
黄斑浮腫の症状で目に水がたまったり、水が出たりすることはありますか?
目の中に水分はたまりますが、外には出ません。
黄斑浮腫とは、眼球の内部、特に網膜の中心である黄斑に液体がたまる状態を指します。
水がたまる原因には、
- 糖尿病黄斑浮腫
- 網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫
- 白内障手術後の嚢胞様黄斑浮腫(Irvine–Gass症候群)
- ぶどう膜炎
などの炎症性疾患があります。この液体は血管から漏れた水分やタンパク質であり、眼球の外には出てきません。
つまり、「目に水がたまる」=眼内の網膜に水がしみ出す状態であり、涙のように目から出るわけではありません。
視界がにじむ、中心がぼやけるといった自覚症状が主であり、見た目には分かりにくい疾患です。
水分が外に出る場合は、結膜炎や涙道の異常など他の病気が考えられますので、症状の違いに注意が必要です。
黄斑浮腫の末期症状はどのようなものがありますか?
視力の大幅な低下や視野の歪みが残ることがあります。
黄斑浮腫が進行し、末期に至ると視細胞が長期間圧迫されたり損傷を受けるため、視力が大きく低下する可能性があります。
特に中心視野に関わる黄斑が障害されるため、細かい文字が読みにくくなったり、顔の判別が困難になったりします。
視界の中心が歪んで見えたり、暗くなったりする「中心暗点」や「変視症」と呼ばれる症状も強くなる傾向にあります。
症状が固定化すると、治療をしても回復が難しくなるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。
放置すると、視力は0.1以下にまで低下することもあるため、末期症状に至らないよう管理することが大切です。
黄斑浮腫には初期症状はありますか?
見え方に変化があります。かすみ目、視力低下、コントラスト感度低下があります。
黄斑浮腫の症状はさまざまですが、初期症状として以下のような見え方の変化を訴えることがあります。
- 視力低下
- かすみ目
- コントラスト低下
- 歪んで見える
黄斑浮腫ではどのような症状がありますか?
視野の中心が見えにくい、真ん中がぼやける、色味が変わって見える、色の濃淡がはっきりしないなどの症状です。
黄斑浮腫は、人がものを見るときに使う黄斑部がむくむ状態ですので、以下のような症状を現れることがあります。
視力低下
視力低下の程度はさまざまで、視力低下を自覚しない患者さんから重度の視力低下をきたす患者さんまでさまざまです。
変視症や見え方の変化
網膜の中心の部分に変化が生じるため、真ん中がぼやけるように見えたり、色味が変わって見えたり、色の濃淡の感じ方に変化を生じたりすることがあります。
黄斑浮腫にはどのような種類がありますか?
糖尿病性、静脈閉塞性、術後性、炎症性などがあります。
黄斑浮腫は原因によっていくつかに分類されます。
代表的なものには、
- 糖尿病黄斑浮腫
- 網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫
- 白内障手術後の嚢胞様黄斑浮腫(Irvine–Gass症候群)
- ぶどう膜炎
など、炎症性疾患に伴うものがあります。
また、加齢黄斑変性や網膜剥離後にも浮腫が生じることがあります。
治療方針は原因によって異なり、例えば糖尿病性黄斑浮腫や静脈閉塞症性では抗VEGF薬が、炎症性ではステロイドが有効です。原因を正確に見極めることが治療の第一歩です。
黄斑浮腫の原因
黄斑浮腫の原因は何がありますか?
黄斑浮腫は目の血管が詰まることが原因ですか?
一因になります。他の原因として糖尿病や手術後の炎症もあります。
黄斑浮腫の原因の一つに網膜血管の閉塞があります。
特に網膜静脈閉塞症では、血流が滞り、血管内圧が上昇して液体が漏れ出すことで黄斑にむくみが生じます。
ただし、それ以外にも高血糖による糖尿病性毛細血管の障害や、白内障手術後の炎症、ぶどう膜炎など、血管以外の要因でも黄斑浮腫は生じます。
原因によって治療法が異なるため、正確な診断が重要です。眼科ではOCTや蛍光眼底造影を用いて原因を特定し、適切な治療を行います。
黄斑浮腫の検査・診断
黄斑浮腫のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
黄斑浮腫になりやすい人の特徴に、以下が挙げられます。
黄斑浮腫になりやすい人
など
また、以下のような病気でも起こります。
網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症の方
症状として視野の一部または全体が見えにくくなることがあります。
ぶどう膜炎の方
目がかすんだり充血や痛みなどが起きたりすることもあります。
気になる症状がある場合には、近くの眼科を受診しましょう。
黄斑浮腫の治療・対処法
黄斑浮腫への対処法は?
治療には、薬、レーザー治療、硝子体手術などがあります。早い方では2週間ほどで、視力が改善します。いろいろな病気から引き続いて起こることがあるため、その場合は、原疾患の治療をしっかり行うことも大切です。
黄斑浮腫の場合、主にどのような治療をしますか?
目の注射や、レーザー光凝固、硝子体手術があります。
黄斑浮腫にはさまざまな原因疾患があります。
黄斑浮腫では、その原因に応じて適切な治療を行います。
場合によっては、硝子体手術が施行されることもあります。また、点眼薬を使用する場合もあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
黄斑浮腫の名医の探し方を教えてください。
眼科専門医で、網膜疾患に詳しい医師を探しましょう。
黄斑浮腫は、網膜の中心部である黄斑に液体がたまり、視力障害を引き起こす病気です。
治療には専門的な知識と経験が必要なため、「網膜専門医」や「黄斑疾患に詳しい眼科医」を選ぶことが重要です。
大学病院や大規模な総合病院の眼科には、網膜専門外来があることが多く、そこで診療している医師は最新の診断機器や治療法に精通しています。
医師会のホームページや、「日本網膜硝子体学会」の認定医名簿、病院の実績紹介、口コミ情報なども参考になります。
また、かかりつけの眼科医から紹介状をもらい、専門施設に紹介してもらうのもよい方法です。
黄斑浮腫が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
眼科を受診してください。原因の特定や治療を行えます。
眼科を受診してください。
目の奥の画像検査などで黄斑浮腫を診断します。また、黄斑浮腫の原因となっている病気について調べ、適切な治療を行います。
黄斑浮腫の専門医がいる近くの病院はありますか?
黄斑浮腫の専門医がいる病院を見る黄斑浮腫の薬
黄斑浮腫に効果のある目薬はありますか?
白内障術後の黄斑浮腫に対しては、NSAIDs点眼と呼ばれる種類の点眼薬が使用されることがあります。
ブロムフェナク、ネパフェナクなどといったNSAIDs点眼は、プロスタグランジンという黄斑浮腫の原因になる物質を抑える働きがあり、白内障術後の黄斑浮腫を軽減することや黄斑浮腫の予防を目的に使用されることがあります。
そのほかの原因による黄斑浮腫については議論があり、今後の更なる研究が待たれます。
黄斑浮腫で目の硝子体に注射する場合、どのような効果がありますか?
浮腫を軽減し、視力の改善を期待できます。
硝子体内注射は、黄斑浮腫の主要な治療法の一つです。
抗VEGF薬(例:ルセンティス、アイリーアなど)を眼球内の硝子体に注入することで、血管からの漏れや新生血管の成長を抑制し、浮腫を軽減します。
また、ステロイド薬を使用する場合もあり、炎症性浮腫に効果があります。
注射後は浮腫が引き、視力の回復が期待されますが、効果が一時的なこともあり、数回の治療を継続する必要があります。
注射は外来で短時間に行われ、感染症予防の管理も徹底されます。
黄斑浮腫は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
原因にもよりますが、抗VEGF薬を用いることが多いです。結膜出血や眼痛などの副作用が起こることがあります。
黄斑浮腫の原因にもよりますが、抗VEGFの眼内注射をすることが多いです。
この治療には、眼内炎(注射した部位から菌が入り感染してしまう)や、眼圧上昇・視力低下・眼痛・網膜出血などの副作用が低い割合ではありますが起こることがあります。また、全身的な副作用としては、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが上昇する可能性があります。
対処法・セルフケア
黄斑浮腫の場合、日常生活で気を付けることはありますか?
糖尿病に起因した黄斑浮腫では、糖尿病の治療をします。また、適切な食事、規則正しい生活、禁煙が望ましいです。
黄斑浮腫にはさまざまな原因があります。
中でも、糖尿病によって網膜浮腫が起こっている場合には、糖尿病の治療を進めるとともに、適切なバランスの取れた食事が望ましいです。
また、動脈硬化を背景とする網膜静脈閉塞症によっても、黄斑浮腫が引き起こされることがあります。この場合にも、バランスの取れた食事、禁煙など規則正しい健康的な生活を送ることを心がける必要があります。
黄斑浮腫に関連するその他の質問
黄斑浮腫になると、どのような見え方になりますか?
中心がぼやけたり、歪んで見えたりします。
黄斑浮腫になると、視力の中心を司る黄斑部に水分がたまり、見え方に異常が生じます。
よくある症状は「中心がかすむ」「文字がにじむ」「顔がゆがんで見える」などです。
視力そのものが低下するほか、「変視症(へんししょう)」と呼ばれる直線が曲がって見える現象や、「中心暗点」といって中央が暗く抜けたように見えることもあります。
日常生活では読書や車の運転が難しくなり、生活の質が著しく低下することもあります。早期の診断と治療が視機能を守る鍵です。
黄斑浮腫になっても視力は回復してきますか?
治療することで視力は回復する可能性が高いです。早期であるほど治療の効果が出やすくなります。
黄斑浮腫をきたす病気はさまざまで、それによって視力の回復の仕方も異なりますが、治療によって黄斑のむくみが取れれば、視力の改善が得られる可能性があります。
黄斑浮腫と網膜静脈閉塞症の関係性を教えてください。
静脈閉塞により黄斑に浮腫が生じることがあります。
網膜静脈閉塞症は、網膜の静脈が詰まり、血流が滞ることで血管内圧が上昇し、液体が網膜に漏れ出す病気です。
特に黄斑部の血管から漏れた液体がたまると、黄斑浮腫が発生し、視力が低下します。
網膜静脈閉塞症には中心静脈閉塞と分枝静脈閉塞の2つがあり、いずれも浮腫を引き起こす可能性があります。
治療は抗VEGF薬の硝子体注射が主流で、必要に応じてレーザー治療が行われます。高血圧や動脈硬化が背景にあることが多いため、全身管理も重要です。
目のむくみがある場合の病気として、黄斑浮腫の可能性はありますか?
見た目上の目のむくみと黄斑浮腫は関係ありません。
見た目上のまぶたのむくみと黄斑浮腫は基本的に関係ありません。まぶたに水分がたまってむくんで見えたとしても、網膜にまで水がたまることはありません。
黄斑浮腫は眼球の内部にある黄斑部の網膜が腫れる状態で、視覚情報の中心を担う部分が影響を受けるため、物の輪郭がにじんだり、直線が曲がって見えたりするなどの変化が現れます。
このような自覚症状があれば早めに眼科を受診することが重要です。
特に糖尿病や高血圧、動脈硬化を指摘されている方はリスクが高いです。
黄斑浮腫について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「黄斑浮腫」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 最近目が見えにくくなったと感じますか?
- ものがかすんで見えますか?
- 見えているものが以前より暗く見えますか?
- 物が歪んで見えますか?
黄斑浮腫に関連する病気・症状
この記事の監修医師
山口 知暁 先生
東北大学病院 眼科
【経歴】 金沢桜丘高校卒業 金沢医科大学卒業 東北大学卒後研修センター 臨床研修 東北大学病院 眼科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/02/15
