多発性筋炎・皮膚筋炎
監修医師栗原 信吾北水会記念病院 整形外科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
多発性筋炎・皮膚筋炎とは
免疫系が異常を起こすことにより、筋肉に炎症が起きて、力が入りにくくなったり、筋肉が痛んだりする病気です。特徴的な皮膚の症状がある場合は皮膚筋炎と呼ばれます。肺の異常を伴うことがあります。
「多発性筋炎・皮膚筋炎」とはどのような病気ですか?
「多発性筋炎」とは筋肉に炎症が起きる病気です。皮膚にも炎症が起きているものを「皮膚筋炎」と呼びます。
多発性筋炎・皮膚筋炎は自己免疫(本来は体を守る機能である免疫が、自分自身を攻撃してしまうこと)によって筋肉が壊れてしまう病気です。
多発性筋炎では、リンパ球という細胞によって筋肉で炎症が起き、筋肉以外に皮膚にも炎症が起きているものを「皮膚筋炎」と呼びます。また、筋肉に炎症が起こる病気として、ほかに「壊死性ミオパチー」や「封入体筋炎」があります。
多発性筋炎・皮膚筋炎はどちらも女性に多く、多発性筋炎は20歳以上、皮膚筋炎は5〜15歳と45〜60歳の人に多く見られます。
この病気は国から難病に指定されており、助成を受けられる場合があります。
多発性筋炎・皮膚筋炎の原因
多発性筋炎・皮膚筋炎の原因や考えられる症状には何がありますか?
免疫システムが自分の体を攻撃してしまうこと(自己免疫)が原因です。筋肉の痛み、筋力低下、まぶたや手の甲の皮膚の変化などがみられます。
多発性筋炎・皮膚筋炎の原因はまだ分かっていませんが、遺伝子の異常や薬剤、感染症などの要因によって免疫システムが自分の体を攻撃してしまうこと(自己免疫)が原因と考えられています。一部の皮膚筋炎ではがんとの関連も指摘されています。
多発性筋炎・皮膚筋炎の症状としては、筋肉の症状と筋肉以外の症状に大きく分かれます。病気のタイプによっては筋症状のみの場合や、皮膚症状のみの場合もあります。
筋肉の症状
筋肉は大きなものほど炎症を起こしやすいため、太ももや腕、肩の症状がよくみられます。
太ももの筋肉が炎症を起こすと階段が登りにくくなります。また、腕や肩の筋肉が炎症を起こすと髪を結んだり、ものを持ち上げたりする動作がしにくくなります。痛みは伴うこともあれば伴わないこともあります。
筋肉以外の症状
皮膚病変や間質性肺炎、心筋炎などが見られることがあります。その中でも皮膚病変が最も起こりやすく、まぶたが赤く浮腫んだり(=ヘリオトロープ疹)、手の甲、指の背側、ひじ、ひざ、前胸部や背中などが一部カサカサな状態(=ゴットロン徴候)に変化します。
多発性筋炎・皮膚筋炎の検査・診断
多発性筋炎・皮膚筋炎の診断基準はどのようなものですか?
皮膚や筋肉の症状、血液検査の結果などを総合的に評価します。
多発性筋炎・皮膚筋炎で最もよく使用される分類基準は「Peter/Bohan 基準」で、以下を参考に診断されます。
- 左右対称性の上腕や太ももの筋力低下
- 特徴的な皮膚の変化(詳しくはこちらのページをご覧ください)
- 血液検査(クレアチンキナーゼ(CK)という酵素の上昇=筋肉が壊れているサインなど)
- 筋電図異常
- 筋生検(患部の一部を切り取って観察する組織検査)異常
また、皮膚筋炎では80%の患者で血液から「自己抗体」という自分の体を攻撃してしまうタンパクが検出されると言われており、この検査も参考にします。
多発性筋炎・皮膚筋炎の治療・対処法
多発性筋炎・皮膚筋炎への対処法は?
経過によっては生命にかかわる病気ですので、必ず専門の医療機関を受診してください。
多発性筋炎・皮膚筋炎の場合、主にどのような治療をしますか?
ステロイドを中心とした薬物治療を行います。
ステロイドがまず初めに使用される薬剤です。ステロイドのみでも治療されますが、タクロリムスやアザチオプリンなどの免疫抑制剤を併用する場合もあります。
皮膚の症状に対してはステロイドの塗り薬や生活の改善(日光を避けるなど)で治療していきます。
受診の目安・何科を受診するべきか
多発性筋炎・皮膚筋炎の専門医がいる近くの病院はありますか?
多発性筋炎・皮膚筋炎の専門医がいる病院を見る多発性筋炎・皮膚筋炎の経過・予後
多発性筋炎・皮膚筋炎になった場合、寿命はどのくらいですか?
重症度や病気の発見までにかかる期間によっても異なりますが、10%程度の方がこの病気で亡くなると言われています。
寿命は重症度や発見のタイミングによっても異なるため、一概には言えません。しかし、多発性筋炎・皮膚筋炎が原因で亡くなる方は患者さんの10%程度と言われています。とくに発症早めに亡くなる方が多いようです。
特に以下の項目に当てはまる患者さんは死亡や重症化のリスクが高いとされています。
- 高齢
- 筋力低下の程度が強い
- 嚥下障害(飲み込みにくさ)
- 肺の病気
- 心臓の病気
- 悪性腫瘍(がん)の合併
多発性筋炎・皮膚筋炎に関連するその他の質問
多発性筋炎・皮膚筋炎の痛みの特徴はありますか?
首、二の腕、太ももなど体の中心に近い筋肉が痛むことが特徴です。
多発性筋炎や皮膚筋炎では大きな筋肉が炎症を起こしやすいため、首、二の腕、太ももなど体の中心に近い筋肉が特に原因なく痛むことが特徴です。この痛みは軽度であることが多く、強い筋痛の場合は、横紋筋融解症やリウマチ性多発筋痛症など別の病気が考えられます。
多発性筋炎・皮膚筋炎の悪性腫瘍の合併率はどのくらいですか?
皮膚筋炎では30%程度で悪性腫瘍の合併があると言われています。
皮膚筋炎では、30%程度で悪性腫瘍(がん)の合併があると言われています。特にTIF-1γ抗体という抗体が陽性の皮膚筋炎ではがんの合併リスクが高く、より慎重にがんの合併がないか検査を行います。
多発性筋炎と悪性腫瘍の関連は現時点でははっきりとわかっていません。
多発性筋炎・皮膚筋炎について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「多発性筋炎・皮膚筋炎」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 爪の色がおかしいと感じますか?
- 皮ふが硬くなっている場所がありますか?
- 体のだるさはありますか?
- 最近やせてきていますか?
- 筋肉痛はありますか?
多発性筋炎・皮膚筋炎に関連する病気・症状
このページを見ている人はこんな病気も見ています
このページを見ている人は他にどんな病気を見ていますか?
この記事の監修医師
栗原 信吾 先生
北水会記念病院 整形外科
【経歴】 山形大学医学部卒業(2013年) 沖縄中部徳洲会病院(初期研修) 群馬大学整形外科 善衆会病院、堀江病院、まつだ整形外科 横浜市立大学大学院ヘルスデータサイエンスコース修士課程修了 北水会記念病院 整形外科(2026年-)
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03