膿疱性乾癬は難病指定されている?膿疱性乾癬
監修医師阿部 吉倫内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
膿疱性乾癬とは
皮ふの炎症が原因で生じる乾癬という病気の中で、発熱や皮ふの発赤とともに膿疱が出現するものが膿疱性乾癬です。さらに、手のひら・足の裏・指先など体の一部のみにみられる限局型と、発熱・ 全身のだるさ・発赤や手足のむくみ・関節痛などに伴って全身に皮疹が出現する重症型(汎発型)に分けられます。細菌感染ではないので他人にうつるということはありません。発症のきっかけとして、何らかの感染症・薬剤投与・妊娠などの影響が考えられていますが、そもそもの原因として遺伝子異常の関連も明らかになりつつあります。
「膿疱性乾癬」とはどのような病気ですか?
無菌性の膿疱が主体の、乾癬という皮膚疾患の一病型です。
皮膚の角化細胞増殖が亢進し、皮膚が生まれ変わるのに要する時間(ターンオーバー:通常は約45日)が4~7日程度に短縮してしまう皮膚疾患を「乾癬」といいます。
乾癬はいくつかの病型に分けられ、そのうちのひとつが膿疱性乾癬です。その特徴としては、無菌性(中に細菌を伴わない)膿疱(膿だまり)がみられます。
膿疱性乾癬の病型としては、尋常性乾癬から一部移行した限局型や、発熱や全身倦怠感といった皮膚以外の全身症状を伴う汎発型などに分けられます。
膿疱性乾癬の症状
膿疱性乾癬ではどのような症状がありますか?
皮膚に無菌性の膿疱が多発し、時に発熱や全身倦怠感を伴うことがあります。
膿疱性乾癬の症状の特徴としては、皮膚に無菌性膿疱(中に細菌を伴わない膿だまり)がみられます。膿疱が融合したものは膿海と呼ばれ、膿疱は容易に破れてびらんを形成します。
尋常性乾癬から一部移行したものを限局型と呼び、発熱・全身倦怠感・低たんぱく血症といった皮膚以外の全身の症状を伴うものを汎発型と呼びます。
それ以外にもいくつか病型はあり、なかでも手のひらや足の裏のみに膿疱が見られる皮膚疾患は掌蹠膿疱症と呼ばれ、膿疱性乾癬の病型のひとつという説もあります。
膿疱性乾癬の原因
膿疱性乾癬の原因は何がありますか?
詳しい事は分かっていませんが、一部の病型では遺伝子異常が関連している可能性が示唆されています。
乾癬の要因としては大まかに以下の3つが提唱されています。
- 家族内発症率が高い遺伝的要因
- 物理的刺激や感染症、薬剤などによる外的要因
- 外的要因を背景としてさまざまな免疫反応が生じることで、角化細胞の増殖と慢性的な炎症の維持がなされるという免疫学的要因
さらに、乾癬の一病型である膿疱性乾癬のなかでも、汎発型と呼ばれる発熱や全身倦怠感といった皮膚以外の全身症状を伴う病型には、IL-36RNという遺伝子の変異が関与している可能性が報告されています。
膿疱性乾癬の検査・診断
膿疱性乾癬のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
「膿疱性乾癬のセルフチェック」についての情報は限られているため、以下に個人の見解を記載します。
膿疱性乾癬で血液検査をすることはありますか?
血液検査は行われます。
膿疱性乾癬において、血液検査は行われます。膿疱性乾癬では皮膚症状に加えて全身に炎症が起きやすいことから、血液検査で白血球数の増加やCRP値上昇、赤血球沈降速度(ESR)亢進、血清アルブミン値の低下の有無を調べて炎症の状態を評価します。
重症度判定における全身症状・検査所見の評価として、血液検査では以下のような項目でスコアが計算されます。
白血球数(/mL)
スコア2:15,000 以上、スコア1:10,000 以上 15,000 未満、スコア0:10,000 未満
CRP(mg/dL)
スコア2:7.0 以上、スコア1:0.3 以上 7.0 未満、スコア0:0.3 未満
血清アルブミン(g/dL)
スコア2:3.0 未満、スコア1:3.0 以上 3.8 未満、スコア0:3.8 以上
さらに、肝機能や腎機能の検査で潜在的な臓器障害の有無を確認する場合もあります。特に関節症状を伴う場合は、リウマトイド因子などの免疫学的検査が行われることもあるでしょう。
膿疱性乾癬ではどのような検査を行いますか?
視診や問診で皮膚をはじめとする全身の所見を確認し、必要に応じて皮膚生検で確定診断を行います。
視診や問診で皮膚をはじめとする全身の所見を確認し、必要に応じて皮膚生検で病理組織検査を行います。また、全身に炎症が起きやすいことから、血液検査で白血球数の増加やCRP値の上昇、赤血球沈降速度(ESR)の亢進、血清アルブミン値の低下の有無を調べ、炎症の状態を評価します。
さらに、肝機能や腎機能の検査で潜在的な臓器障害の有無を確認する場合もあります。特に関節症状を伴う場合は、リウマトイド因子などの免疫学的検査に加え、X線や超音波検査などの画像検査も行われることがあります。
膿疱性乾癬で行う病理組織検査(皮膚生検)とはなんですか?
皮膚の病変部分から局所麻酔下で小さな組織片を採取して、顕微鏡で詳しく観察する検査です。
膿疱性乾癬で行う病理組織検査(皮膚生検)とは、皮膚の病変部分から局所麻酔下で小さな組織片を採取して、顕微鏡で詳しく観察する検査です。
皮膚の構造や細胞の状態を詳しく確認し、膿疱性乾癬に特有の好中球が集まる角層下膿疱(Kogoj海綿状膿疱)があるかどうか調べます。
視診や問診で確認できる臨床所見だけでは判断が難しい場合でも確定診断が可能で、他の皮膚疾患と鑑別するためにも行われることがあります。適切な治療方針を立てるために役立つ検査です。
膿疱性乾癬の治療・対処法
膿疱性乾癬への対処法は?
症状の改善と悪化を繰り返すことが多いですが、塗り薬・光線療法・内服・生物学的製剤といった方法の中から患者さんに合わせて選択していきます。
受診の目安・何科を受診するべきか
膿疱性乾癬が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
皮疹が広がってきている時や、発熱・倦怠感など全身に症状がある場合は病院を受診しましょう。
「膿疱性乾癬が疑われる場合の病院を受診する目安」についての情報は限られているため、以下に個人の見解を記載します。
膿疱性乾癬が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
皮膚科を受診しましょう。
「膿疱性乾癬が疑われる場合、何科を受診したらよいか」についての情報は限られているため、以下に個人の見解を記載します。
膿疱性乾癬の専門医がいる近くの病院はありますか?
膿疱性乾癬の専門医がいる病院を見る膿疱性乾癬の薬
膿疱性乾癬は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
塗り薬や飲み薬が中心ですが、重症の場合は生物学的製剤などで治療することもあります。副作用は薬剤によりさまざまです。
膿疱性乾癬の中でも皮疹(ひしん:皮膚の赤みやブツブツ)の面積が限られている場合は、まずはステロイドやビタミンD3という塗り薬で治療されることが多いです。
塗り薬の治療で効果が乏しい場合は、エトレチナート、メトトレキサートなどの飲み薬やナローバンドUVBと呼ばれる光線療法などを併用します。
それでも効果が乏しい場合や全身症状を伴うような重症例では、抗TNF-α抗体製剤、抗IL-17抗体製剤、抗IL-23抗体製剤、抗IL-36抗体製剤などの生物学的製剤で治療することもあります。
副作用は薬剤によりさまざまなものがありますので、皮膚科主治医とよく相談しましょう。
対処法・セルフケア
膿疱性乾癬の場合、日常生活で気を付けることはありますか?
生活習慣病は乾癬の増悪因子となることがあります。
膿疱性乾癬に限らず、乾癬は近年の研究では皮膚だけでなく全身の炎症性疾患と考えられており、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病や心筋梗塞などの虚血性心疾患との関連が指摘され、その考え方は乾癬マーチとも呼ばれています。
いわゆる生活習慣病や虚血性心疾患がある場合は、運動による減量や食事に気をつけるなど、日常生活においてそちらの改善をはかることも(膿疱性)乾癬の治療において大切なことと言えるでしょう。
膿疱性乾癬で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
光線療法や顆粒球単球吸着除去療法などを併用することもあります。
膿疱性乾癬の治療は、ステロイドやビタミンD3という塗り薬、エトレチナート、メトトレキサートなどの飲み薬、それでも効果が乏しい場合や全身の症状を伴うような重症例では、抗TNF-α抗体製剤、抗IL-17抗体製剤、抗IL-23抗体製剤、抗IL-36抗体製剤などの生物学的製剤で治療することがほとんどです。
医薬品以外の治療法として、ナローバンドUVBと呼ばれる光線療法や顆粒球単球吸着除去療法などを併用することもあります。
膿疱性乾癬に関連するその他の質問
尋常性乾癬が膿疱性乾癬になることはありますか?
尋常性乾癬から膿疱性乾癬へ移行することがあります。
皮膚の角化細胞増殖が亢進し、皮膚が生まれ変わるのに要する時間(ターンオーバー:通常は約45日)が4~7日程度に短縮してしまう皮膚疾患を「乾癬」といいます。
乾癬はいくつかの病型に分けられ、そのうちのひとつが膿疱性乾癬です。その特徴としては、無菌性膿疱(中に細菌を伴わない膿だまり)がみられます。
尋常性乾癬から一部が膿疱性乾癬に移行したものは、限局型膿疱性乾癬と呼ばれます。
発熱や全身倦怠感といった皮膚以外の全身症状を伴うものを、汎発型膿疱性乾癬と呼びます。
膿疱性乾癬は、難病指定されていますか?
汎発型の膿疱性乾癬は、難病指定されています。
膿疱性乾癬はいくつかの病型に区別されます。膿疱性乾癬の皮疹(ひしん:皮膚の赤みやブツブツ)が、体の一部だけ(手のひら、足の裏、指先など)に見られる病型(限局型と呼ばれます)や、環状の乾癬皮疹に小膿疱が混じる病型があります。
また、尋常性乾癬の患者さんに一時的に膿疱を生じることがあります。これらの病型は通常、全身の症状は軽度で、一時的であるため指定難病の対象外です。
一方、発熱、全身倦怠感、発赤や手足のむくみとともに、全身に膿疱が現れる重症な病型があります。このような病型は「汎発型」と呼ばれます。
また、妊娠中に生じる汎発型膿疱性乾癬は、「疱疹状膿痂疹(ほうしんじょうのうかしん)」という病名で呼ばれることがあります。
これらの病気は難病法の特定医療費助成の対象です。助成を受けるためには、まず難病指定医による診断と書類の提出が必要です。
膿疱性乾癬について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「膿疱性乾癬」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 皮膚に膿(うみ)が溜まった水ぶくれがありますか?
- 体温は37.5℃以上ですか?
- 全身の皮ふに赤みがありますか?
- 皮ふに赤いブツブツがありますか?あるいは皮ふが赤くなっていますか?
- 肌の表面がカサカサしてパラパラこぼれ落ちていますか?
膿疱性乾癬に関連する病気・症状
この記事の監修医師
阿部 吉倫
内科
2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03