網膜剥離の症状は?網膜剥離・網膜裂孔
監修医師山口 知暁東北大学病院 眼科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
網膜裂孔
網膜裂孔とは、網膜に孔(あな)が生じた状態で、網膜剥離の前段階となりうる疾患です。硝子体の牽引や加齢性変化により網膜に裂け目ができ、飛蚊症の急な増加や光視症(光がチカチカする)がみられます。放置すると網膜剥離に進行するリスクがあります。飛蚊症の急な悪化がある場合は、眼科での速やかな眼底検査を検討してください。
網膜裂孔
網膜剥離
カメラに例えると、フイルムに相当する網膜という神経の膜が剥がれてしまう病気です。外傷や網膜格子状変性にともなう裂孔原性網膜剥離と、炎症などにより網膜下液が溜まって起こる滲出性網膜剥離があります。網膜剥離の状態が続くと、網膜が萎縮して視力が低下していき、放置するといずれは失明する場合がほとんどです。
網膜剥離
網膜裂孔とは
「網膜裂孔」とはどのような病気ですか?
網膜に穴が開く病気で、放置すると網膜剥離に至ります。
網膜裂孔とは、眼球の奥にある網膜に小さな穴や裂け目ができる病気です。主に加齢による硝子体(目の中のゼリー状の物質)の変化が原因で、硝子体が網膜を引っ張ることで裂け目が生じます。
初期には「飛蚊症」や「光視症」といった症状が現れることがあります。裂孔自体は痛みを伴いませんが、放置すると網膜剥離という重篤な状態に進行する可能性があります。
網膜剥離になると視力が著しく低下し、失明に至ることもあるため、早期発見と治療が重要です。治療としては、レーザー光凝固や冷凍凝固術などで裂孔周囲を固め、剥離を防ぐ処置が一般的です。
網膜裂孔の症状
網膜裂孔ではどのような症状がありますか?
飛蚊症や光視症が代表的な初期症状です。
網膜裂孔の代表的な症状には、飛蚊症と光視症があります。
飛蚊症は、視界に黒い点や糸くずのようなものが飛んで見える症状で、硝子体の変化や出血が関係しています。光視症は、視界の端にピカッと光が走るように感じる症状で、網膜が引っ張られて刺激されることで生じます。
裂孔が進行して網膜剥離を起こすと、視野の一部がカーテンのように欠けて見える視野欠損や、急激な視力低下が現れます。ただし、裂孔だけでは無症状のこともあり、偶然の検診で見つかる場合もあります。
症状が現れた際には、できるだけ早く眼科を受診することが大切です。早期の発見・治療で、重篤な視力障害を防ぐことが可能です。
網膜裂孔の原因
網膜裂孔の原因は何がありますか?
主な原因は加齢による硝子体の変化や外傷です。
網膜裂孔の原因として最も多いのは、加齢による硝子体の変性です。年齢を重ねると硝子体が縮み、網膜から剝がれようとする際に強く引っ張られることで裂け目が生じます。これを「後部硝子体剥離」に伴う裂孔といいます。
また、強度近視の人などで網膜が薄く脆弱になっていることがあり、その部位から裂孔ができやすい傾向があります。
その他、眼球への打撲や手術後の合併症、炎症性疾患(ぶどう膜炎など)も原因となることがあります。裂孔ができやすい人には、定期的な眼底検査が推奨されます。
網膜裂孔の原因にストレスは関係ありますか?
直接の原因ではありませんが間接的影響は考えられます。
ストレスが網膜裂孔の直接の原因になることは、現在の医学的知見では証明されていません。ただし、強いストレスが長期間続いたり、睡眠不足が続いたりすると、人によっては例えば目を擦る癖が出ることもあります。
目を擦ることは目への刺激にあたり、結果的に網膜裂孔を生じる可能性はまったくないわけではありません。
ほかにも目に負担を与えるような行動が、ストレスによって引き起こされることもあるでしょう。特に目に異常を感じている人は、生活全体の見直しも重要です。
網膜裂孔の検査・診断
網膜裂孔のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
網膜裂孔になりやすい人の特徴に、以下が挙げられます。
- 強度近視の方
- 中高年齢層
- 目の外傷歴のある方
このような方で、飛蚊症が増えたり、光視症を自覚した場合には、特に注意が必要です。このような場合にはすぐに眼科を受診するようにしてください。早期の受診によって初期段階で治療をすることが可能になります。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、網膜裂孔かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
網膜裂孔の治療・対処法
網膜裂孔のレーザー治療で、術後の定期検診は必要ですか?
再発防止や進行防止のために定期検診は重要です。
網膜裂孔のレーザー治療後は、治療がうまくいっていても定期検診が不可欠です。
レーザーで焼き固めた部分が安定しているかどうかを確認するだけでなく、新たな裂孔ができていないか、網膜剥離が起きていないかをチェックする必要があります。
レーザー後も定期的に経過観察を行い、状態が安定していれば受診間隔は徐々に延ばされます。再発や別の部位に新しい裂孔が生じることもあるため、無症状であっても定期的な眼底検査は続けるべきです。
自覚症状が再び出た場合は、定期検診のタイミングを待たずに早急に受診することが大切です。視力を守るためには、自己判断せず医師の指示に従うことが基本です。
網膜裂孔のレーザー治療とはどのような手術ですか?
裂孔周囲をレーザーで焼き固める治療です。
網膜裂孔のレーザー治療(光凝固術)は、裂け目の周囲にレーザーを照射して熱で焼き固め、網膜を周囲の組織に接着させる方法です。
これにより裂孔から液体が入り込んで網膜剥離を起こすのを防ぎます。治療は外来で行えることが多いです。専用のコンタクトレンズを装着し、網膜裂孔周囲にレーザーを精密に照射します。
早期に治療すれば、視力低下を防げる可能性が高くなります。ただし、レーザーは網膜剥離への進展を予防する効果はあるものの、100%の効果があるものではありません。
網膜裂孔の場合、主にどのような治療をしますか?
レーザー光凝固が主な治療法です。
網膜裂孔の治療では、レーザー光凝固が最も一般的です。これは裂孔の周囲をレーザーで焼き固めることで、網膜剥離への進行を防ぐ方法です。レーザーによって周囲の網膜が癒着し、裂孔から液体が入り込むのを防ぎます。
治療は外来で行えることが多いです。裂孔が広範囲であったり、すでに網膜剥離が進行している場合には、硝子体手術などの外科的治療が必要になることもあります。また、裂孔が小さく安定している場合は、経過観察のみとされることもあります。
治療のタイミングは非常に重要で、早期に対応すれば視力を保てる可能性が高くなります。症状が出た際は速やかに眼科を受診し、適切な処置を受けることが視力保護につながります。
受診の目安・何科を受診するべきか
網膜裂孔が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
急な飛蚊症や光視症があれば早急に受診してください。
網膜裂孔が疑われる場合の受診の目安として、急に飛蚊症(黒い点や影が飛ぶように見える)や光視症(稲妻のような光が見える)が現れたときは、できるだけ早く眼科を受診すべきです。
特に飛蚊症の数が増えたり、視界にカーテンのような影がかかったりする場合は、網膜剥離が進行している可能性があり、緊急性が高くなります。これらの症状は一時的なものと軽視されがちですが、放置すると視力の回復が難しくなることもあるため注意が必要です。
また、強度近視の人はリスクが高いため、症状がなくても定期的な眼底検査が推奨されます。少しでも異常を感じたら、自己判断せずに早期の眼科受診が大切です。
網膜裂孔が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
眼科をすぐに受診してください。
網膜裂孔が疑われる場合は、迷わず眼科を受診することが必要です。特に飛蚊症や光視症などの症状が急に現れた場合は、網膜に異常が生じている可能性があるため、できるだけ早く精密な眼底検査を受けることが重要です。
眼科では散瞳(瞳孔を開く)検査を行い、網膜の周辺部まで詳細に観察して裂孔の有無を確認します。内科や脳神経外科では網膜の診断は難しいため、目の症状がある場合は自己判断せず、眼科に直接かかることが確実な対処につながります。
網膜裂孔の専門医がいる近くの病院はありますか?
網膜裂孔の専門医がいる病院を見る対処法・セルフケア
網膜裂孔の場合、日常生活で気をつけることはありますか?
激しい運動や頭部の衝撃を避けましょう。
網膜裂孔がある、または治療後の人は、日常生活で網膜への負担を避けることが大切です。
特に気をつけるべきは、コンタクトスポーツ、頭部への強い衝撃などです。これらの動作は新たな網膜裂孔の原因になったり、網膜裂孔から網膜剥離に進行したりする可能性があります。
治療後も、再発や網膜剥離への進行のリスクがあるため、飛蚊症や光視症といった症状の変化には敏感になり、異常を感じたらすぐに眼科を受診することが非常に重要です。
網膜裂孔で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
レーザーや手術が必要です。
網膜裂孔は基本的に薬で治すことはできないため、「薬が効かない」というより「薬だけでは対処できない病気」です。
薬はあくまで炎症を抑えたり検査や治療を補助したりする目的で使われるもので、裂孔自体をふさぐ力はありません。そのため、裂孔が見つかった時点で、進行を防ぐためにレーザー光凝固や冷凍凝固といった治療が必要になります。
もし、すでに網膜剥離が進行してしまった場合には、硝子体手術などの外科的処置が必要となります。放置すると視力が大きく低下し、最悪の場合は失明の危険もあるため、早期の治療判断が重要です。
「薬で様子を見ましょう」という判断がなされたとしても、経過観察中は定期的な眼底検査を受けることが大切です。疑問があれば、主治医に治療方針をよく確認しましょう。
網膜裂孔に関連するその他の質問
網膜裂孔の前兆にはどのようなものがありますか?
飛蚊症や光視症が前兆として現れることがあります。
網膜裂孔の前兆として最も多く報告されるのが、飛蚊症と光視症です。
飛蚊症は、視界に虫や糸くずのような影が動いて見える症状で、硝子体の変化や微小出血が関係しています。光視症は、視界の端に稲妻のような光が走る感覚で、網膜が硝子体に強く引っ張られて刺激されることで生じます。
これらの症状は硝子体が網膜を引っ張っているサインであり、裂孔が形成される前兆であることが多いため、急に出現した場合は注意が必要です。
また、視野の一部に影が見えたり、カーテンのように暗くなる感じがある場合は、すでに網膜剥離が始まっている可能性もあります。前兆を軽視せず、異変に気づいたらすぐに眼科を受診することで、視力の維持につながります。
網膜裂孔になると見え方はどうなりますか?
黒い点や光が見えることがありますが無症状も多いです。
網膜裂孔になると、多くの場合「飛蚊症(黒い点や糸くずが見える)」や「光視症(視界の端にピカッと光が走る)」といった見え方の異常が現れます。これは硝子体が網膜を引っ張ったり、裂孔付近で出血が起こることによるものです。
ただし、網膜の中心から離れた部位に裂孔が生じた場合、自覚症状がまったく現れないこともあります。
裂孔が進行して網膜剥離になると、視野の一部が欠けたり、カーテンがかかったように暗くなったりする深刻な見え方の異常が出現します。視力そのものが急激に低下することもあります。
見え方に少しでも異常を感じた場合は、放置せず早期に眼科を受診することが、視力を守るために非常に重要です。
網膜剥離と網膜裂孔の関係を教えてください。
網膜裂孔は網膜剥離の主な原因のひとつです。
網膜裂孔と網膜剥離は密接に関連する病態です。
網膜裂孔は、網膜に小さな穴や裂け目ができる状態で、これ自体は初期段階です。しかし、その裂孔から眼球内の液体が網膜の下に入り込むことで、網膜が内側から剥がれていくのが網膜剥離です。つまり、裂孔が入口となって剥離が進行するため、網膜裂孔は網膜剥離の原因となることが多いのです。
網膜剥離が進行すると視野が欠けたり視力が低下したりし、手術が必要になることもあります。そのため、裂孔が見つかった段階でレーザー治療などを行い、剥離を未然に防ぐことが非常に重要です。
網膜裂孔について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「網膜裂孔」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- ものがかすんで見えますか?
- 最近目が見えにくくなったと感じますか?
- 前と比べ現在、視界の一部が見えなくなったと感じますか?
網膜裂孔に関連する病気・症状
この記事の監修医師
山口 知暁 先生
東北大学病院 眼科
【経歴】 金沢桜丘高校卒業 金沢医科大学卒業 東北大学卒後研修センター 臨床研修 東北大学病院 眼科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03