
夏バテと病気による慢性疲労の違いは?2週間以上だるい場合の見分け方を教えてください。
監修者おだかクリニック 循環器内科 副院長
夏バテは暑さによる一過性の不調で涼しくなると回復しますが、2週間以上強い倦怠感が続く場合は別の疾患の可能性があります。
夏バテとは|暑さが引き起こす一過性の体調不良
夏バテは、高温多湿の環境で自律神経が疲弊し、発汗によって水分や電解質が失われることで生じる一過性の体調不良です。主な症状は倦怠感、食欲低下、睡眠の質の低下などです。暑さへの曝露が続くと皮膚の血管が広がり、心臓に戻る血液量が減ることで、めまいや立ちくらみが生じやすくなることが報告されています[Temperature. 2015;2(4):452.]。涼しい時期になると自律神経への負担が軽減し、多くの場合1〜2週間で回復に向かいます。
慢性疲労の原因となる病気|甲状腺疾患・貧血・心不全・慢性疲労症候群
「ただの夏バテ」だと思っていた疲労感が、実は病気のサインだったというケースがあります。慢性的な疲労感を引き起こす代表的な病気には、以下のようなものがあります。
甲状腺機能低下症・亢進症
甲状腺(のどぼとけの下にある小さな臓器)から分泌されるホルモンの量が多すぎたり少なすぎたりすると、全身のだるさや疲れやすさが現れます。機能低下症では「いくら寝ても疲れがとれない」「体が重い」といった症状が特徴的です。甲状腺機能低下症は一般的な疾患であり、疲労は代表的な症状のひとつとされています[Lancet. 2017;390(10101):1550-1562.]。血液検査で比較的簡単に見つけることができるため、だるさが続く場合にまず確認したい項目のひとつです。
貧血
鉄分の不足などにより血液中のヘモグロビン(全身に酸素を運ぶたんぱく質)が減ると、体が酸素不足の状態になり、だるさ・息切れ・めまいといった症状が出やすくなります。特に月経のある女性は鉄欠乏性貧血(てつけつぼうせいひんけつ)になりやすく、貧血に至っていない段階の鉄欠乏でも疲労感の増加と関連することが、複数の研究を統合した分析で報告されています[BMJ Open. 2018;8(4):e019240.]。「夏バテかな」と思っていた疲労感の原因が実は鉄不足だったということも珍しくありません。
心不全
心臓のポンプ機能が低下すると、全身に十分な血液を送れなくなり、慢性的な疲労感が生じます。息切れやむくみを伴うことが多いですが、初期には「なんとなくだるい」程度の症状しか現れない場合もあります。
慢性疲労症候群
一方、慢性疲労症候群(CFS/ME:筋痛性脳脊髄炎)は、6か月以上にわたり日常生活に大きな支障をきたす強い倦怠感が続く状態です。診断基準では、疲労に加えて記憶力や集中力の低下、軽い活動のあとに極度の疲労感が続く「PEM(運動後倦怠感)」などが求められます[Cureus. 2024;16(10):e70616.]。甲状腺機能低下症、貧血、糖尿病などを除外したうえで診断されるため、「季節に関係なく続く疲れ」が特徴的です。
夏バテと病気による慢性疲労の見分け方|3つのチェックポイント
以下のような場合は、夏バテ以外の原因が隠れている可能性もあります。
こうした場合は、血液検査で甲状腺ホルモンの値や貧血の有無を確認することが推奨されます。
夏バテかもと感じたときの食事や生活習慣での対処
夏バテの段階であれば、こまめな水分・電解質補給、ビタミンB群やたんぱく質を意識した食事、室内外の温度差を5〜7℃以内に保つことが基本的な対策です。腸内環境が乱れると栄養の吸収効率が下がりやすくなるため、乳酸菌を含むヨーグルトや発酵食品を日常に取り入れることも検討されます。ただし、これらは健康維持をサポートするものであり、病気を予防したり治したりするものではありません。
夏バテと慢性疲労の違いを理解するうえで日常生活の工夫として検討が推奨される点

特に重要とされるのは、「2週間以上改善しない倦怠感」を放置しないことと考えられています。
ここだけは伝えたいメッセージ
夏バテは正しいセルフケアで回復が見込める一過性の不調です。自分の体のサインに気づき、まずは水分・栄養・睡眠の基本を見直してみてください。
ただし、涼しくなっても2週間以上だるさが続く、頭がぼんやりして集中できない、軽い活動のあとに動けなくなるほど疲れる、といった症状がある場合は、甲状腺機能低下症や貧血、CFS/MEなど別の疾患が隠れている可能性があります。自己判断で「夏バテだから」と片づけず、医療機関への受診をご検討ください。
まとめ:夏バテと慢性疲労の違いを知り、適切なタイミングで受診を
- 夏バテ:暑さによる一過性の不調。涼しくなれば1〜2週間で回復に向かうことが多い
- 慢性疲労症候群(CFS/ME):6か月以上続く原因不明の強い倦怠感。ブレインフォグやPEMが特徴
- 見分けのポイント:期間(2週間以上)・認知機能・活動後の反応の3つ
- セルフケア:水分・電解質補給、ビタミンB群+たんぱく質、乳酸菌食品で腸内環境を整える
- 注意:2週間以上回復しない場合は、内科への受診をご検討ください
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