三度熱傷の場合、主にどのような治療をしますか?
三度熱傷は、壊死組織の除去と皮膚移植が主な治療です。全身管理も非常に重要となります。
三度熱傷(Ⅲ度熱傷)は、皮膚が皮下組織まで深く傷つき、痛みを感じる神経も壊れるため、ほとんど痛まないのが特徴です。肌は白っぽくなったり、炭のように黒ずんだりします。
主に以下の治療が行われます。
【傷口の治療】
- 壊死組織の除去: 感染の原因となる、熱で死んでしまった組織は、早めに切除したり、薬で溶かしたりして取り除きます。
- 皮膚の移植: 壊死組織を取り除いたあと、患者さん自身の皮膚を移植する「自家植皮」を行います。広範囲の熱傷で自家皮膚が足りない場合は、他人の皮膚(同種皮膚)や人工的な皮膚(人工真皮、自家培養表皮)を使って傷口を覆い、皮膚の再生を助けます。これらは救命や機能・整容改善に重要です。
【全身の管理】
- 重症の三度熱傷は命に関わるため、専門の病院での入院治療が不可欠です。
- 体の水分バランスを整える輸液、十分な栄養補給、感染症の予防、痛みを和らげる薬など、体全体の調子をしっかり管理します。
- 傷跡が硬くなる「拘縮(こうしゅく)」を防ぎ、体の動きを保つために、早期からリハビリテーションも行われます。
- もし煙を吸い込んだことによる気道損傷や、電撃傷などを合併している場合は、それらの症状に合わせた治療も同時に進められます。
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(参考文献)
波利井清紀ほか. 創傷外科. 克誠堂出版. 2015
佐々木淳一ほか.“熱傷診療ガイドライン(改訂第3版)”.日本熱傷学会.https://www.jsbi-burn.org/members/guideline/index.html,(参照 2025-12-11).
一般社団法人 日本形成外科学会.やけど(熱傷).日本形成外科学会,https://jsprs.or.jp/general/disease/kega_kizuato/yakedo/yakedo.html(参照 2025-12-11)
漆舘聡志.やけど(熱傷).一般社団法人 日本創傷外科学会,https://www.jsswc.or.jp/general/yakedo.html(参照 2025-12-11)
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日本医科大学付属病院形成外科 形成外科
初岡 佑一 監修
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