頚髄損傷
監修医師濱畑 智弘山田記念病院 整形外科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
頚髄損傷とは
スポーツや事故などにより、頭部を強くぶつけることで首に強い負担がかかり生じます。頚髄という脳から腕や脚へつながる神経が傷つき、手足や体の麻痺を生じることがあります。
「頚髄損傷」とはどのような病気ですか?
首の骨に囲まれた頚髄という重要な神経の束が傷つき、手足の麻痺や体のさまざまな機能の異常を生じる病気です。
頚髄損傷は、脳から手足への指令を伝えたり、手足からの感覚を脳へ送ったりする、首の骨(頚椎)に囲まれた「頚髄」という体のさまざまな機能にとって、重要な太い神経の束が傷つくことで起こります。この損傷によって、損傷した場所より下での体の動きや感覚の神経作用、排泄機能や体温調節などの自律神経の作用に、さまざまな問題が生じます。
私たちの体では、顔以外のほとんどの動きや感覚は、この脊髄という神経の束を通して行われています。このため、この病気によって影響を生じる体の範囲はとても広くなります。また、現時点での医療では、脊髄の神経細胞は一度傷ついてしまうと元に戻ることが難しいため、頚髄損傷では一定の症状が後遺症として残りやすいという特徴があります。
参考文献
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
頚髄損傷の症状
頚髄損傷には初期症状はありますか?
怪我直後から麻痺や感覚の異常を生じることが多いですが、数日の時間経過とともに症状が変化することもあります。
頚髄損傷は、怪我をした直後から、その損傷部位より下の体の動きが悪くなったり(麻痺)、感覚が鈍くなったりする症状が出ます。症状の出方については頚髄の損傷部位や程度によって大きく異なるため、軽微な頚髄損傷の評価については医師による診察が必要になります。
そのため、頭や首に強い衝撃を受けた場合は、見た目に大きな変化がなくても、脊髄が傷ついている可能性を疑って、すぐに病院で診てもらうことが大切です。
特に、意識がはっきりしない、首に強い痛みがある、手足に動かしにくさや感覚の鈍さなどの神経の異常がみられるといった場合は、早急に専門医による検査が必要です。初期の段階で細かく体の状態を評価することで、今後の治療やリハビリの計画を正確に立てることができるようになります。
参考文献
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
頚髄損傷ではどのような症状がありますか?
損傷部位より下での手足の運動や感覚の麻痺、排泄の障害、自律神経の異常などがみられます。
頚髄損傷の症状は、傷ついた場所によってさまざまです。主に次のようなものがあります。
- 運動麻痺と感覚障害
- 手足の力が入りにくくなったり、動かせなくなったりします。
- 触られたり、暑さや冷たさを感じにくくなったりします。
- 損傷した頚髄のレベルによって、どこまで動かせるか(例えば、肘が曲げられる、手首が反らせるなど)が変わってきます。
- 褥瘡(じょくそう): いわゆる床ずれです。感覚が低下して痛みがわかりにくくなったり、うまく寝返りを打ったりすることができなくなることで生じます。
- 排尿・排便の障害:排尿や排便のコントロールが難しくなります。
- 自律神経の症状
- 起立性低血圧:座ったり立ち上がったりしたときに、血圧が急に下がってめまいや意識を失うことがあります。
- 体温調節障害:体温をうまく調節できなくなり、外の気温に影響されやすくなります。
- 自律神経の過剰反射:血圧が急に上がったり、体が赤くなったり、冷や汗をかいたり、脈が遅くなったりすることがあります。
これらの症状がみられるかどうかは、頚髄の損傷の状態によって大きく異なります。正確な現状の把握や今後の予測については、主治医の説明を十分に聞くようにしましょう。
参考文献
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
頚髄損傷の原因
頚髄損傷の原因は何がありますか?
交通事故や高い場所からの転落、転倒など、強い衝撃による外傷が主な原因です。
頚髄損傷は、首に強い圧力がかかったり、頭を打った際に首が大きく曲がる、反る、ねじれるような動きによって生じます。主な原因には、以下のような強い衝撃による外傷があります。
- 交通事故
- 高い場所からの転落
- 転倒
特に、高齢者の方では、低い場所での転倒でも頚髄損傷が起こる危険性があることがわかっています。 頚髄の通り道が年齢とともに狭くなってしまい、転倒して頭を打った衝撃によるダメージを受けやすくなっていること、転倒した際にうまく頭を守ることができなくなっていることなどが要因です。
直接の外傷以外では、頚髄のまわりの腫瘍、膿や血液の貯留が頚髄を圧迫してしまうことで起こる場合があります。
参考文献
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
頚髄損傷の検査・診断
頚髄損傷のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
頚髄損傷は、非常に繊細で重篤な怪我です。もし、次のような症状に気づいたら、迷わずに救急車を呼ぶか、すぐに病院に行ってください。
- 転倒してから、首や背骨に痛みや違和感がある
- 手足に力が入らない、または動かしにくい
- 手足の感覚が鈍い、またはしびれる
- 意識がぼんやりしている、または言動がおかしい
- 排尿や排便の感覚がおかしい、またはできない
- 高齢である
- 飲酒していて転倒した
これらの症状がみられる場合には、頚髄損傷の可能性があるため、専門家による迅速な診断と適切な初期対応が非常に重要になります。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、頚髄損傷かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
参考文献
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
頚髄損傷の治療・対処法
頚髄損傷への対処法は?
麻痺や痛みなどの症状が軽い場合でも首の骨がずれていたり、骨折して不安定になっている場合があります。首を動かすことで神経に大きな損傷を与えてしまうことがあるため、安全な場所で負傷者を動かさないようにしましょう。
頚髄損傷は治りますか?
残念ながら、損傷した神経を完全に元に戻すことは現在の医療では困難であり、後遺症が残ることが多いです。
頚髄は、脳と同じ「中枢神経(ちゅうすうしんけい)」という種類の神経です。私たちの体の中枢神経は、一度傷ついてしまうと、完全に再生し元通りに回復することが難しいとされています。そのため、一定の程度以上の症状を生じた頚髄損傷の場合、残念ながら完全に治して、怪我をする前の状態に元通りに戻すことは、今の医療では困難です。
多くの場合は、麻痺などの後遺症が残ってしまいます。 しかし、医療の進歩により、命を失う危険性は減ってきています。このため、現在の治療やリハビリテーションの目標は、怪我をする前の状態に戻すことではなく、残った機能を最大限に活かして、今後の生活でできることを増やし、自立した生活を送れるようにすることにあります。
最近では、傷ついた脊髄を再生させたり、新しい神経細胞を移植したりする「再生医療」の研究が世界中で進められており、動物実験ではよい結果が出ています。日本でも、これからの治療に役立つための研究や治験(ちけん)が行われており、将来的な機能回復への期待が高まっています。
参考文献
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
頚髄損傷ではどのようなリハビリをしますか?
筋力強化や関節の動きの練習、基本的な動作の習得、車いすなどの移動の練習、呼吸訓練などを総合的に行います。
頚髄損傷のリハビリテーションでは、患者さんができるだけ自分で生活できるようになることを目指して、さまざまな訓練を組み合わせて行われます。起こってしまった障害によって、必要となるリハビリは異なります。
- 急性期(怪我の直後)のリハビリ: 肺炎や床ずれ(褥瘡)などの合併症を防ぐことが重要です。できるだけ早くベッドから離れて、体を動かす訓練を始め、寝返りや呼吸の練習、関節が固まらないように手足を動かす訓練などを行います。
- 回復期(体が安定した後)のリハビリ
- 筋力トレーニング: 残っている筋肉の力を強くする訓練です。特に、車いすから体を持ち上げるプッシュアップの動作や、長座(足を投げ出して座る姿勢)での移動に必要な腕や肩の筋肉を鍛えます。
- 関節の動きの練習: 関節が固まらないように、また、動作に必要な範囲まで動かせるように練習します。
- 基本的な動作の練習: 寝返り、起き上がり、座ってバランスをとる練習、車いすへの乗り降り、部屋の中での移動など、日常生活で必要な動きをひとつずつ習得していきます。
- 車いすの操作訓練: 手動車いすや電動車いすを使いこなせるように練習します。
- 歩行訓練: 麻痺の程度によっては、装具や杖(つえ)、歩行器やの助けを借りて歩く練習をします。
- 自動車関連の動作訓練: 自動車への乗り降りや、車いすを積み降ろす練習、改造した車を運転するための操作練習も行います。
医師や理学療法士、作業療法士などがチームとなって、患者さんの状態や生活に合わせて、上記に限らず柔軟に訓練計画を立てて進めていきます。
参考文献
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
頚髄損傷の場合、主にどのような治療をしますか?
まずは損傷部位を固定し、手術の必要性を判断します。同時に、状況に合わせたリハビリを進めます。
頚髄損傷の治療には、大きく分けて「保存療法(手術をしない治療)」と「手術療法」があります。まず患者さんの全身の状態を安定させたうえで、神経へのさらなるダメージを防ぐことが重要です。
- 初期対応: 頚椎カラーや脊椎ボードで首をしっかりと固定し、体の動きを最小限にします。
- 検査: レントゲン、CT、MRIといった画像検査を行い、骨や靭帯、脊髄の状態を詳しく調べます。
- 保存療法: ハローベストや頚椎装具という特別な器具を使って首を固定したりします。
- 手術療法: 損傷により頚椎が不安定な場合や、神経の圧迫が強い場合などに行われます。手術の目的は、圧迫されている神経を解放し、脊椎を安定させることです。状況によっては緊急手術が行われる場合があります。
どの治療法を選ぶかは、損傷の程度や患者さんの状態によって医師が判断します。治療の目的は、脊髄損傷の悪化を防ぎ、脊椎を安定させて、その後のリハビリテーションをスムーズに進めることです。
参考文献
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
受診の目安・何科を受診するべきか
頚髄損傷が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
頭や首に強い衝撃を受けた際には、めまいや手足のしびれなどなくても、すぐに医療機関を受診してください。
頚髄損傷が疑われる場合、「このくらいの症状なら大丈夫かな?」と自分で判断せず、すぐに医療機関を受診することが重要です。 特に次のような場合は、迷わず受診してください。
- 頭や首を強く打った、または衝撃を受けた場合
- 意識がはっきりしない、または普段と違う状態の場合
- 手足にしびれや麻痺(まひ)がある、または力が入らない場合
例え見た目に大きな変化がなくても、また、ご自身では症状が軽度だと感じていても、時間が経ってから症状が悪化することもあります。ほかにも痛みを感じる怪我がある場合などは、首の痛みに気づきにくい場合もあります。特に高齢者の方では、軽い転倒でも頚髄損傷のリスクがあるため、注意が必要です。
このように、心当たりがあれば自己判断せずに、医療機関を受診しましょう。
参考文献
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
頚髄損傷が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
まず救急外来を受診し、整形外科や脳神経外科、リハビリテーション科と連携して治療を進めます。
頭や首に強い衝撃を受けて頚髄損傷が疑われる場合は、まず救急外来を受診してください。救急科の医師が初期の診察や必要な検査を行い、患者さんの命を守るための処置を行います。 その後の治療は、以下のような専門の科が協力して行います。
- 整形外科: 骨や関節の専門家で、頚椎の骨折や脱臼(だっきゅう)の治療(手術や固定)を担当することがあります。
- 脳神経外科: 脳や脊髄の神経の専門家で、神経の圧迫を取り除いたりする手術を行うことがあります。
- リハビリテーション科: 麻痺などの後遺症に対して、機能の回復や日常生活での自立を目指すための専門的なリハビリテーション治療を行います。
これらの科の医師やスタッフがチームとなって、患者さんの状態に合わせて最適な治療を進めます。
参考文献
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
頚髄損傷の専門医がいる近くの病院はありますか?
頚髄損傷の専門医がいる病院を見る頚髄損傷の薬
頚髄損傷は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
消炎鎮痛剤や神経痛を抑える薬を用います。状況によって、ステロイドという炎症を抑える薬を用いることもあります。
頚髄損傷の治療に使われる薬には、以下のようなものがあります。
- 痛み止めの薬: 以下のような痛み止めが使われることがあります。
- ステロイド薬: 神経のダメージを和らげる目的で使用が検討されます。この薬は、体の免疫反応を抑えたり、炎症を抑えたりする働きがあります。
- 副作用や懸念点:このステロイド薬の効果や安全性については、現在も議論が続いています。特に、高い量を長時間使い続けると、胃腸からの出血などの副作用が出るリスクがあります。有効性とのバランスを考えて慎重に使用が検討されます。
このように、薬は医師の判断で慎重に選ばれ、副作用がないか注意深く見守られます。
参考文献
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
対処法・セルフケア
頚髄損傷の場合、日常生活で気をつけることはありますか?
褥瘡や体温調節の管理、血圧の変動などに注意し、リハビリを通じて自己管理の能力を高めることが大切です。
頚髄損傷の場合、日常生活で特に気をつけたい点がいくつかあります。ただし、症状は病気の状況によってさまざまであり、個々で気をつけるべき点は異なることに注意が必要です。
- 頭や首に負担がかかることを防ぐ:傷ついてしまった頚髄が安定して、耐久力が改善するまでには時間を要します。その間、頭や首に再度負担がかかることを避ける必要があります。
- 手指や足のリハビリの継続:通常、筋力が低下してしまった手指や足は、改善までに時間を要します。筋力の改善だけではなく、関節の動く幅が狭くなる「拘縮」をなるべく予防するためにも、定期的なリハビリが重要です。
- 褥瘡(床ずれ)の予防: 感覚が鈍くなっている場所は、長時間同じ姿勢でいると床ずれができやすいため、こまめな体位変換(寝返りや座り直すこと)や、クッションを使うなどして圧力を分散させることが大切です。
- 体温調節の管理: 体温をうまく調節できなくなることがあるため、室温や服装に気を配り、暑くなりすぎないように注意が必要です。
- 排泄の管理: 自分で排泄が難しい場合でも、医師や看護師の指導に従い、定期的に自己導尿などの適切な排泄を行うことで、感染症や腎臓の合併症を防ぐことができます。
- 血圧の変動への注意: 座ったり立ち上がったりする際に、血圧が下がりやすい(起立性低血圧)ことがあるので、ゆっくりと動くことや、腹帯(ふくたい)などを使って、血圧の急な変化を和らげることが有効です。
- 自律神経過反射への対応: 膀胱に尿がたまりすぎた時や、便秘がひどい時などに急に血圧が上がる「自律神経過反射」が起こることがあります。頭痛や冷や汗などの症状が出たら、すぐに原因を取り除く必要があります。

これらのことに気をつけながら、リハビリテーションを継続し、ご自身の体の状態を理解して管理していく「自己管理能力」を身につけることが、快適な生活を送るためにとても重要になります。
参考文献
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
頚髄損傷で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
薬が効かない場合は、リハビリテーションを強化したり、痛みを和らげる別の方法を試したりします。
頚髄損傷の治療は、薬だけではありません。もし薬が十分に効果を発揮しない場合でも、以下のようなさまざまなアプローチを組み合わせることで、症状の改善や生活の質の向上を目指します。
リハビリテーションの強化
- 麻痺している部分の機能回復を促す訓練をさらに進めます。残っている機能を最大限に活用するための工夫や練習を行います。
痛みの管理
- 作業療法などを通して、患者さんの気分をリフレッシュさせたり、痛みに意識が向きすぎないようにする方法をとることがあります。同時に、体の状態に合わせた運動・スポーツを取り入れることがあります。
- 筋肉が強くつっぱってしまう「痙縮(けいしゅく)」という症状が薬で抑えられない場合は、筋肉の緊張を和らげるための神経ブロック療法といった治療が、リハビリと合わせて行われることもあります。
以上のように、薬だけに頼らず患者さん一人ひとりの状態に合わせて、最もよい方法を医師やリハビリの専門家が一緒に考え、生活の質を向上させるためのサポートをしていきます。
参考文献
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
頚髄損傷に関連するその他の質問
頚髄損傷の呼吸障害について教えてください。
状況によっては、横隔膜や肋間筋の麻痺で呼吸がしにくくなったり、痰が出しにくくなったりすることがあります。
頚髄損傷は障害を起こした部位によって、症状の生じ方が異なります。損傷が首の高い位置で起こると、呼吸に関わる筋肉にも影響が出ることがあります。以下のような問題が生じる可能性があります。
- 横隔膜(おうかくまく)の麻痺: C1(第1頚髄)やC2(第2頚髄)といった非常に高い位置で損傷した場合、呼吸で最も大切な筋肉である横隔膜が麻痺してしまい、自分で息を吸うことができなくなるため、人工呼吸器が必要になる場合があります。
- 肋間筋(ろっかんきん)の麻痺: C4(第4頚髄)より下のレベルの損傷では、横隔膜で息を吸うことはできても、肋骨の間にある肋間筋が麻痺するため、息を吐く力が弱くなります。
- 痰(たん)の問題: 息を吐く力が弱いと、肺にたまった痰を自分で出すのが難しくなります。これが原因で、痰が詰まったり、肺炎になったりしやすくなります。
- 誤嚥(ごえん)のリスク: 体を思うように動かせないこと、呼吸に関わる筋力の低下から、うまく咳をして異物を排出することが困難になると、肺炎を生じやすくなります。肺炎は命に関わることもある重篤な病気です。
これらの呼吸に関する問題を防ぎ、改善するためにも、リハビリテーションでは早期から体を動かす訓練や、痰を出しやすくするための訓練、呼吸を助ける筋肉を強くする訓練などが行われます。特に座ったり、立ったりする姿勢は、呼吸機能を改善し、痰を出しやすくするのに効果的です。
参考文献
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
頚髄損傷のレベルについて教えてください。
頚髄損傷のレベルは、首の神経がどこで損傷を受けているかを表します。体の動きや生活でできることの目安になります。
頚髄は、一番上からC1、C2...と、C8まで8つの「髄節(ずいせつ)」という単位に分けられます。頚髄損傷の「レベル」は、どこの髄節で障害を受けているか、どこの髄節より上で健康な機能が残っているかということを理解するために重要となります。
このレベルの診断は、麻痺の範囲を判断するだけでなく、将来的にどのくらいの体の動きができるようになるか(日常生活動作、ADL)を予測する上でも、とても大切な情報になります。例えば、頚髄のレベルによって、次のような体の機能が残ります。
- C5レベル: 肘を曲げることができる
- C6レベル: 手首を反らせることができる
- C7レベル: 肘を伸ばすことができる
- C8レベル: 指を曲げることができる
このように、損傷のレベルを知ることで、今後のリハビリテーションの目標を具体的に立てることができます。
参考文献
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
頚髄損傷について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「頚髄損傷」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 自力で立ち上がるのは難しいですか?
- 手足以外の部位にしびれがありますか?
- 手足などに力の入らない部分はありますか?
- しびれや感覚のおかしさを感じますか?
- 手の指に力を入れても、全く動かない状態ですか?
頚髄損傷に関連する病気・症状
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この記事の監修医師
濱畑 智弘 先生
山田記念病院 整形外科
慈恵医大を卒業。 浅ノ川総合病院、厚生中央病院を経て2021年4月より浅草病院 整形外科に勤務。 整形外科一般および人工関節置換術を専門とする。 より広い視点で医療を捉えなおすことが出来るように2020年4月より立教大学ビジネスデザイン研究科に入学、2022年3月に卒業しMBA取得。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03