軟骨無形成症の初期症状は?軟骨無形成症
監修医師濱畑 智弘山田記念病院 整形外科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
軟骨無形成症とは
「軟骨無形成症」とはどのような病気ですか?
遺伝子の異常により、軟骨細胞の正しい成長が行われなくなる病気です。低身長になるなどの特徴があります。
軟骨無形成症とは、遺伝子の異常により軟骨細胞の正しい成長が行われなくなる病気です。
軟骨細胞は骨の成長に大きく関わるため、うでや脚の長さが短くなり低身長になること、頭蓋骨の成長が不十分になることなどがこの病気の特徴です。
低身長を引き起こす病気のなかでは代表的なものであり、2万人に1人がこの病気になります。
遺伝子の異常が原因ですが、両親から異常な遺伝子を受け継いでいる割合は10~20%とされ、ほとんどの場合が遺伝子の突然変異であることが分かっています。一方で、この病気をもつ方からは50%の確率で子どもに遺伝します。
現在の医療では、この病気の根本的な治療法はありません。このため、病気によって引き起こされるさまざまな症状に対して個別に対応していくことになります。例えば、低身長には成長ホルモンの使用、頭蓋骨の不十分な成長によって脳への影響が出た場合にはシャント手術(脳内に過剰となった脳脊髄液を外へ逃がす手術)といった治療などがあります。
診断が早いうちに行われ、適切な治療を受けることで、寿命は健康な方とほとんど変わらなくなります。頭が体に比べて相対的に重いことから、乳児期の運動の発達が遅くなることが多いもものの、知的な発達は正常範囲であることが多いです。
軟骨無形成症の症状
軟骨無形成症ではどのような症状がありますか?
低身長、肥満、特徴的な顔つき、睡眠時無呼吸、手足の痛みやしびれ、中耳炎や難聴、歯並びの異常などさまざまです。
軟骨無形成症は、軟骨細胞の正しい成長が行われなくなる病気です。腕や脚の長さが短くなり低身長になること、頭蓋骨の成長が不十分となることなどがこの病気の特徴ですが、これにより引き起こされる具体的な症状はさまざまです。
以下のような症状があります。
低身長
生まれたばかりでは身長の低さはそれほど目立ちません。成長とともに段々と身長の低さが目立つようになり、成人の男性で130cmほど、成人の女性で125cmほどの低身長となることが多いです。
肥満
肥満になりやすく、呼吸の障害や膝や腰の痛みの悪化につながります。
腕や脚の異常
生まれた直後から腕や脚の短さが分かります。頭のてっぺんやお尻に手が届かないこともあります。小学校に入る頃からO脚(左右の内くるぶしを揃えて立った時に、膝の内側がつかずに間が開いてしまう状態)が急に目立つようになります。大人になる頃には両膝の痛みや歩行の異常の原因となります。
特徴的な顔貌
頭が相対的に大きい、おでこと下あごが前へ突き出る、鼻のつけ根が凹んでいるなどの特徴を併せ持ちます。
三尖手
手を広げた時に、中指と薬指の間が過剰に離れていきます。
睡眠時無呼吸などの呼吸の障害
呼吸の際の空気の通り道の成長が不十分になることなどが原因となります。睡眠時無呼吸では、寝ている際に上手く呼吸が出来ずにいびきをかきます。胸や肺の成長が不十分になると、肺炎を繰り返す場合もあります。
中耳炎や難聴
耳のまわりの成長が不十分になると、中耳炎を繰り返しやすくなったり、難聴になったりします。
手足のしびれや痛み
首や腰の神経の通り道の成長が不十分となり、神経が圧迫されると手足のしびれや痛みを起こします。手足のマヒや歩行の障害につながることもあります。
歯の問題
噛み合わせや歯並びが悪くなる場合があります。
軟骨無形成症には初期症状はありますか?
胎児期のエコーで疑われ、症状とレントゲン検査にて診断されます。身体特徴から新生児期に気づかれます。
この病気の診断は「低身長」「特徴的な顔立ち」「特徴的な手の形(三尖手)」が見られることと、レントゲン検査でのいくつかの異常所見によって行われます。
レントゲン検査が必要なため基本的には出産後の診断となりますが、胎児のときのエコー検査でこの病気の可能性が指摘される場合も多いです。「頭が大きすぎる」「ふとももの骨が短い」「特徴的な手の形(三尖手)」などの異常所見がみつかる可能性があります。このため出生時には約80%で診断がつくとされます。
出生時に診断がつかなかった場合にも、「頭が大きい」「二の腕やふとももが短い」「胸が狭い」「指が短い、特徴的な手の形(三尖指)」といった見た目の特徴や「身長の伸びが遅い」「くびのすわり、おすわりが遅れている」といった体の発達の遅さといった症状によって、この病気の可能性を指摘される場合が多いです。
軟骨無形成症の原因
軟骨無形成症の原因は何がありますか?
FGFR3という遺伝子の異常が原因で、軟骨細胞の正しい成長が行われなくなり、さまざまな症状を起こします。
この病気は、遺伝子の異常により軟骨細胞の正しい成長が行われなくなる病気です。
原因となる異常はFGFR3(線維芽細胞増殖因子受容体3型)という遺伝子に起こることが分かっており、この病気の症状が見られる方の97%以上にこの遺伝子の異常があります。
この遺伝子の異常があると、軟骨細胞の増える、大きくなる、といった正しい成長が行われなくなります。軟骨細胞は骨の成長に大きく関わるため、腕や脚の長さが短くなり低身長になること、頭蓋骨の成長が不十分になることなどがこの病気の特徴です。
特に頭蓋骨の不十分な成長はさまざまな症状につながるとされ、水頭症(脳脊髄液が過剰に脳内にたまる状態)や呼吸機能の障害、中耳炎、難聴、歯並びの異常などがあります。
遺伝子の異常が原因ですが、両親から異常な遺伝子を受け継いでいる割合は10~20%とされ、ほとんどの場合が遺伝子の突然変異であることが分かっています。一方で、この病気をもつ方からは50%の確率で子どもに遺伝します。
軟骨無形成症の検査・診断
軟骨無形成症のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
この病気により起こる症状にはいくつかの特徴があります。
以下のチェック項目にあてはまるものが多ければ、この病気の可能性が高くなります。
軟骨無形成症のチェック項目
軟骨無形成症の治療・対処法
軟骨無形成症の場合、主にどのような治療をしますか?
根本的な治療法はなく、低身長、水頭症、睡眠時無呼吸、中耳炎などの症状に対して必要な治療を行います。
現在の医療では、この病気の根本的な治療法はありません。このため、病気によって引き起こされるさまざまな症状に対して個別に対応していくことになります。
低身長への治療
国内で保険適用となる治療法には3種類あります。
- 成長ホルモン療法:体の成長を促すホルモンです。悪性腫瘍の発生や心臓・腎臓の病気の悪化などの副作用の可能性がある点に気を付けて使用します。
- 四肢延長術:骨に切れ目をつくり、器具で引っ張り固定します。時間をかけて骨がついてくることで身長が伸びます。
- CNP類縁体治療:2022年に保険適用となった新しい薬です。FGFR3タンパク質による軟骨細胞への異常な刺激を抑え、正常な成長を促します。
脳脊髄液の過剰な貯留への治療
頭蓋骨の成長が不十分なため、脳脊髄液の通り道が狭くなり、脳内に過剰に貯留してしまう場合があります(水頭症と呼ばれます)。稀にシャント手術(脳内に過剰となった脳脊髄液を外へ逃がす手術)が必要になる場合もあります。
睡眠時無呼吸への治療
睡眠時無呼吸では、寝ている際に上手く呼吸が出来ずにいびきをかきます。喉や鼻の奥にあるリンパ腺(咽頭扁桃)を摘出する手術などを行う場合があります。
繰り返す中耳炎への治療
鼓膜にチューブを入れて、耳の機能を補助して中耳炎を起こしにくくします。
狭い脊髄の通り道への治療
首や腰での脊髄の通り道が狭いことで、手足にしびれや痛みを感じることが多いです。神経の通り道を拡げる手術が必要となる場合があります。
受診の目安・何科を受診するべきか
軟骨無形成症が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?また、病院を受診する目安はありますか?
小児科を受診しましょう。頭が大きい、二の腕・太もも・指が短い、身長の伸びが遅いなどが目安です。
この病気が疑われる場合、まずは小児科を受診しましょう。
多くは、胎児のときのエコー検査と出生時の様子から診断を受ける場合が多いです。
出生時に診断がつかなかった場合にも、次のような特徴や症状がある場合は、この病気の可能性があります。
- 狭い胸に対して頭が大きい
- 二の腕やふとももが短い
- 胸が狭い
- 指が短い
- 特徴的な手の形(三尖指)
- 身長の伸びが遅い
- くびのすわり、おすわりが遅れている
なお、身長の伸びや運動の発達が遅れる場合には他の病気の可能性もあります。正確な診断を受けるためにも小児科を受診しましょう。
軟骨無形成症の専門医がいる近くの病院はありますか?
軟骨無形成症の専門医がいる病院を見る軟骨無形成症の経過・予後
軟骨無形成症の人の寿命はどのくらいですか?
同年齢の平均寿命とほとんど変わりません。ただし、乳幼児期までは首の神経の圧迫による突然死の可能性があります。
この病気の方の寿命は、同年齢の方々の平均寿命とほとんど変わりません。
ただし、乳幼児期までには突然死のリスクがあるとされます。これは、頭蓋骨の成長が不十分なため首の神経の通り道が狭いことに加えて、頭が大きくて重くなることや筋力が弱いことなどが手伝って首の神経に大きな負担がかかることが原因です。首や頭が不安定にならないように気を付けて生活することが大事になります。
それでも首の神経の圧迫が強いことによる症状が見られる場合には、突然死を防ぐためにも適切なタイミングで神経の通り道を広げる手術が必要となります。
軟骨無形成症に関連するその他の質問
軟骨無形成症は遺伝疾患ですか?
両親のうち、どちらかがこの病気である場合、子どもがこの病気になる可能性は50%とされる遺伝性の疾患です。
この病気は、遺伝子の異常により軟骨細胞の正しい成長が行われなくなる病気です。
原因となる異常は、FGFR3(線維芽細胞増殖因子受容体3型)という遺伝子だということが分かっており、この病気の症状が見られる方の97%以上にこの遺伝子の異常があります。
遺伝子の異常があるため、この病気は遺伝する病気です。両親のどちらかがこの病気である場合、子どもに遺伝する確率は50%とされます。
一方で両親から異常な遺伝子を受け継いでいる割合は10~20%とされ、両親ともにこの病気ではない場合の方が多いです。ほとんどの場合が遺伝子の突然変異であることが分かっています。
遺伝子の突然変異がなぜ起こるのかははっきりとは分かっていません。生まれてきた子どものうち2万人に1人がこの病気であることが分かっています。
軟骨無形成症について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「軟骨無形成症」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 背中が痛みますか?
軟骨無形成症に関連する病気・症状
この記事の監修医師
濱畑 智弘 先生
山田記念病院 整形外科
慈恵医大を卒業。 浅ノ川総合病院、厚生中央病院を経て2021年4月より浅草病院 整形外科に勤務。 整形外科一般および人工関節置換術を専門とする。 より広い視点で医療を捉えなおすことが出来るように2020年4月より立教大学ビジネスデザイン研究科に入学、2022年3月に卒業しMBA取得。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03