痔核
監修医師吉岡 藍子消化器内科
- 更新日
- 2026/07/09
- 公開日
- 2022/02/15
痔とは
いわゆる痔のことで、いきみすぎたり血流が悪くなることで起こる肛門部分の腫れが正体です。肛門より内側にできるものと外側にできるものがあります。表面が傷つくと出血をきたし、時に痛みが出現します。
「痔」とはどのような病気ですか?
肛門とその周囲に起こる病気の総称で、主に「痔核」、「裂肛」、「痔瘻」に分けられます。
「痔」とは、肛門とその周囲に起こる病気の総称で、主に「痔核」、「裂肛」、「痔瘻」に分けられます。痔核とはいわゆる「いぼ痔」で、肛門部のクッション状になっている支持組織が大きくなって、腫れたり出血をしたりする状態です。
裂肛とは、いわゆる「切れ痔」で、排便時などに肛門の皮膚、粘膜が切れてしまう状態です。一方、痔瘻とは、感染などが原因で肛門周囲の皮膚と腸の間に通り道ができてしまう状態です。どの病気も良性ですが、痛みや出血といった症状が出現します。
治療は外科的な治療と内科的な治療があり、症状が長引く場合や繰り返す、出血量が多いなど、気になることがあれば消化器科や肛門科を受診し評価を受けることをお勧めします。
痔の症状
痔には初期症状はありますか?
紙に少量の赤い血がつく、腫れる、違和感があるといった症状から始まることがあります。
痔核の初期には、紙に少量の赤い血がつく、腫れる、違和感があるといった症状から始まることがあります。裂肛は、硬い便の後に切れた感じがして、排便時に鋭い痛みと少量の出血が起こります。排便で痛みが生じるため、排便習慣が変化し便秘が悪化する場合があります。
痔瘻は肛門周囲膿瘍から移行することが多く、肛門周囲の膿や発熱といった症状が初期からある場合があります。症状は数日で軽快することもありますが、繰り返したり悪化するようであれば早めに医療機関を受診し、適切な評価を受けることをお勧めします。
痔の症状がわかる写真またはイラストはありますか?
以下のようなイラストがあります。
痔とはいくつかの病気の総称であり、主に「痔核」、「裂肛」、「痔瘻」に分類されます。肛門周囲に発生するという点では同じですが、病気の仕組みはどれも異なるため、模式図にするとその違いが分かりやすいと思います。
痔核とは、肛門部の周りの組織が腫れてしまい、排便時に痛みや出血、違和感を生じる病気です。裂肛は、硬い便などによって肛門部が切れてしまい、排便時に鋭い痛みや少量の出血を伴う状態です。痔瘻は、肛門周囲の感染が原因で、皮膚との間に通り道ができてしまい、膿や出血がみられる病気です。
痔ではどのような症状がありますか?
出血、痛み、腫れなどの症状があります。
「痔」とはいくつかの病気の総称であり、その中には痔核、裂肛、痔瘻といった複数の病気が存在します。痔核であれば、排便時に真っ赤な出血が紙についたり、便器が赤く染まったりします。また、いきむときに肛門から腫れている部分が飛び出したり、肛門部の違和感などが代表的です。
裂肛では、排便時に鋭い痛みと少量の出血が起こります。痔瘻では腸と皮膚の間に通り道ができ、膿や汚れがついたり、肛門部の腫れ、痛み、発熱がしばしば起こります。類似する症状を起こす他の病気(大腸癌、潰瘍性大腸炎など)もあるため、症状が続く場合や気になる場合には、一度医療機関を受診することをお勧めします。
痔の原因
女性の痔の原因には何がありますか?
便秘のほか、妊娠・出産や長時間の座位は痔核のリスクになります。
痔は便秘と関連しており、便秘で強くいきむことで痔核になるリスクがあがり、また硬い便が裂肛の原因となります。女性はホルモンの変化によって便秘になりやすい時期があり、便秘が長い間続くと痔のリスク因子になります。
そのほか、女性特有の原因としては妊娠、出産があります。妊娠、出産では腹圧が上昇し、痔核が悪化しやすくなると考えられています。それ以外には、女性に限りませんが、長時間座っていることもリスクになります。
痔の予防には便秘のコントロールが重要ですが、授乳期や妊娠中は使用できる内服薬が限られるため、まずは飲水や食物繊維の摂取など、生活面でできる対策を行い、必要に応じて主治医と相談し、安全な治療を検討することをお勧めします。
痔の原因は何がありますか?
便秘やいきみ、長時間座っていることがリスク因子になります。
痔の有病率には生活習慣が関連します。便秘の患者さんは痔になる可能性が高いと言われています。
また、仕事で重い物を持つなど、腹圧が強くかかることが多い生活をしている場合や、座っている時間が長い方でも痔になりやすいことが分かっています。こういった生活習慣は肛門のうっ血を生じやすくし、痔を引き起こす原因になると考えられています。肛門括約筋の過緊張も原因の一つだと考えられています。
そのため、便秘であれば、まず食習慣の改善や内服治療によって便秘を治療することや、座る時間が長い場合には歩く時間を作り、長時間座り続けないよう工夫するなど、生活習慣の面で痔を予防するための注意点が存在します。
痔の検査・診断
痔のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
痔の症状は比較的特徴的であり、身体の症状やその起こり方である程度推測できます。排便時の出血が真っ赤であり、いきむタイミングで痛みや腫れが起こり、時に脱出する、膿が出る、付着するといった症状があれば痔の可能性が高まります。
一方で直腸癌、潰瘍性大腸炎など、似た症状を引き起こす他の病気もあるため、正確な診断には大腸カメラなどの専門的な検査が必要です。また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、痔かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
痔の治療・対処法
痔核への対処法は?
便秘の解消やいきまないことが予防につながります。薬で治らない場合は手術も検討されます。
痔は自然に治りますか?
軽症例では生活習慣の改善のみで軽快することもあります。
軽症例であれば、痔が自然に治ることもあります。軽い内痔核や裂肛であれば、生活習慣の改善のみで軽快することが期待できます。便秘は痔を悪化させるため、水分と食物繊維を十分に摂取することを意識しましょう。長時間座った姿勢を続けることは避けましょう。
ただし、痔の中でも痔瘻は、自然治癒することはほとんど期待できず、外科的な治療が必要となります。また、痔核や裂肛であっても、生活習慣の改善のみで良くならない場合には、肛門科や消化器外科を受診し、座薬での治療や外科治療について相談しましょう。
痔の場合、主にどのような治療をしますか?
塗り薬や外科治療があります。
痔はいくつかの病気の総称であり、痔核、裂肛、痔瘻に分類されます。痔では痛みや腫れ、出血の症状が生活の質を低下させます。これらの症状に対しては、まず座薬での治療を行います。
薬物治療は腫れや痛み、出血を緩和する効果があり、軽症であれば治癒することも期待できます。そのほかに生活習慣の改善も重要で、十分な水分、食物繊維の摂取を勧めます。過剰なアルコールの摂取は控え、過度ないきみや長時間の座位は避けるようにします。これらの治療でも改善のない場合には、外科的な治療が行われます。結紮術や硬化療法があり、病気の状況に応じて治療を使い分けます。
受診の目安・何科を受診するべきか
痔が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
肛門科や消化器外科、内科を受診しましょう。
痔は肛門部の病気であり、最も専門としているのは肛門科です。治療はまず保存治療で、塗り薬や生活指導を行いますが、重症な場合や治療が効かない場合には外科的な治療になります。
そのため、一般外科や消化器外科であれば治療も含め診療することもできます。軽度であれば生活習慣に気を付けて様子を見るというのも一つの手ですが、出血や痛みが強い、発熱や膿が出てくる、症状が長引くなど、気になる点があれば、早めの受診をお勧めします。
痔が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
出血が続く場合や、痛み、腫れが強い場合には受診をお勧めします。
痔が疑われる場合、出血が続くときや、痛み、腫れが強ければ受診をお勧めします。痔は良性の病気ですが、腫れや痛みが生活の質を下げることが問題になります。生活習慣も重要で、十分な水分の摂取や長時間の座位を避けることが重要です。
それでも良くならない場合には座薬で症状の改善が期待できるため、出血や痛み、腫れの症状が気になる場合には肛門科などの医療機関を受診しましょう。その他に、似た症状を起こす他の病気にも注意が必要です。出血が初めての場合、家族に大腸がんがいる場合、体重減少があるなどの場合には早めに相談することをお勧めします。
痔核の専門医がいる近くの病院はありますか?
痔核の専門医がいる病院を見る痔の薬
痔は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
座薬、軟膏を主に使います。ステロイドでは長期使用で副作用のリスクがあります。
痔は主に座薬で治療します。炎症を抑える成分の入った座薬、軟膏を使い、痛みや腫れの症状を和らげます。便秘は痔の症状を悪化させるため、便秘の治療も大切です。十分な水分の摂取を心がけ、整腸剤や便を軟らかくする下剤を使う場合もあります。
副作用として、局所のかぶれや刺激感があります。ステロイドの塗り薬は、炎症を抑える力が強いですが、長く使用すると皮膚の萎縮などの副作用があるため、使用する場合でも、一時的にとどめます。下剤の酸化マグネシウムでは高マグネシウム血症の副作用がまれにみられます。
これらの薬物治療で良くなる場合も多いですが、治療の効果が得られにくい場合や、重症の場合には、外科的な治療を行います。
対処法・セルフケア
痔の出血量が多い場合、どうしたらよいですか?
医療機関への受診を検討しましょう。
痔の出血量が多い場合、医療機関への受診を検討しましょう。便器が真っ赤に染まるほどの出血が日に何回も起こるようであれば、大量出血の可能性があります。特に血圧の低下、脈が速い、意識が朦朧とする、といった症状がある場合には急を要する可能性が高く、救急受診も含めて、早急に医療機関を受診してください。
中でも抗凝固薬や抗血栓薬のような血液がサラサラになる薬を飲んでいる場合には、出血が止まりづらいため注意が必要です。貧血が強い場合には輸血が必要になることもあるほか、憩室出血や直腸潰瘍など、痔以外の原因が考えられるため、早急に受診し状態の評価をする必要があります。
痔の場合、日常生活で気を付けることはありますか?
水分、食物繊維の摂取、長時間の座位を避けることが大切です。
痔の場合、日常生活で気を付けることがいくつかあります。便秘、座っている時間が長い、強い腹圧がかかることが多い、といった特徴がある方は、痔になりやすいことが分かっています。そのため、便秘を防ぐために十分な水分、食物繊維を摂取することは大切です。
それでも便が硬い場合には、下剤などを用いて便秘の治療を行います。また、長時間の座位、いきみを避けることも痔に対して有効です。これらの対策を行っても症状に改善がない場合には、消化器外科や肛門科を受診し、診断や治療を受けることをお勧めします。
痔で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
外科治療を行います。
痔で薬が効かない場合、外科治療を行います。痔ではまず座薬や軟膏での薬物療法を行います。炎症を抑える成分の入った座薬で、症状の改善が期待できます。また、生活習慣の改善も重要で、十分な水分、食物繊維の摂取や、長時間の座位、過度のいきみを避けることも症状を軽減することに役立ちます。
これらの治療でも効果のない場合には、外科的な治療が行われます。具体的には結紮術や硬化療法、凝固治療などがあり、患者さんの状況に応じて治療法を使い分けます。痔の中でも特に痔瘻は、薬物治療のみで改善することは期待しづらく、外科的な治療が標準的に行われます。
痔に関連するその他の質問
痔からの出血は、どれくらい続きますか?
軽症であれば数日から1週間程度で改善します。
痔からの出血は、軽症であれば数日から1週間程度で改善します。痔は実際にはいくつかの病気の総称で、痔核と裂肛では病気の仕組みが異なります。裂肛は肛門部の切り傷なので、徐々に改善する場合が多いですが、痛みによって排便の習慣が変化し、便がより硬くなってさらに切れてしまう、という悪循環に陥ることがあります。
いずれの場合にも便秘と関連があるため、十分な水分、食物繊維の摂取を心がけましょう。1~2週間以上改善せず、痛みや腫れの症状が続く場合には、肛門科や消化器外科を受診し、診断、治療を受けることをお勧めします。
痔の写真またはイラストはありますか?
以下のようなイラストになります。
痔は、実際にはいくつかの病気の総称であり、「痔核」であるのか、「裂肛」であるのか、「痔瘻」であるのかによって状態が異なります。
痔核とは、肛門周囲の支持組織が腫れてしまい、排便時に出血や痛み、違和感が生じる病気です。裂肛とは、主に硬い便が出たときに肛門の出口が切れてしまい、排便時に鋭い痛みや出血が起こる状況です。痔瘻とは、主に肛門周囲膿瘍などが原因で、皮膚との間に瘻管(ろうかん)と呼ばれる通り道ができてしまう状態です。いずれも肛門周囲に起こるため「痔」と総称されていますが、実際には図に示したような違いがあります。
痔の種類を写真またはイラストで確認できますか?
以下のようなイラストがあります。
痔は肛門の周囲に起こるいくつかの病気の総称です。主に痔核、裂肛、痔瘻に分類されます。
痔核とは、肛門周囲の組織が腫れ、出血や痛みを起こす状態です。裂肛は主に硬い便によって出口が切れてしまい、排便時に鋭い痛みや出血が起こる病気です。痔瘻とは、肛門周囲の感染が原因で、皮膚との間に通り道ができてしまう病気です。中でも痔核は、腸の側に起こるものを内痔核、皮膚の側に起こるものを外痔核と言います。このように、痔という名称は実際にはいくつかの病気の総称です。
痔について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「痔核」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- イボ痔はありますか?
- 肛門の痛みがありますか?
- 便に赤い血が混じっていますか?
痔に関連する病気・症状
この記事の監修医師
吉岡 藍子
消化器内科・内科
消化器内科医の吉岡藍子と申します。 これまで大学病院や市中病院、健診センターでの内視鏡業務などを通して、消化器領域を幅広く経験してまいりました。 診療の現場では、専門的な用語や複雑な病状の説明に、患者様が戸惑いや不安を感じる場面に何度も出会いました。医療機関で提供される膨大な情報を前に、混乱されてしまう方も少なくありません。そこで、ご自身の病気や体、そして健康について、一人でも多くの方が正しく理解できる環境を作りたいという想いから、ユビーの活動に参加させていただいております。皆様が正しい医学知識に普段から触れ、安心してご自身の健康と向き合えるよう、分かりやすい情報提供に努めてまいります。 【経歴】 新潟大学医学部卒。 新潟県内外の市中病院、大学病院で勤務。 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野にて博士取得。 2022年からユビーに入社し、横浜市で健診内視鏡診療を兼務。
- 更新日
- 2026/07/09
- 公開日
- 2022/02/15