クローン病の症状はチェックできる?クローン病
監修医師吉岡 藍子消化器内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
クローン病とは
消化管の粘膜がただれたり、潰瘍ができたり、穴が開いたりする病気です。原因不明の難病で、口から肛門まですべての消化管に起こり得ます。
クローン病で見られる敷石像とは何ですか?
大腸カメラで腸管が敷石を敷いたように見える所見であり、クローン病に特徴的です。
敷石像とは、クローン病の患者の腸内に見られる、敷石を敷いたように見える潰瘍のことです。
敷石像は、下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)においてクローン病の患者さんの腸管にみられる特徴的な所見であり、腸管が敷石を敷いたように見える状態のことです。
正常な大腸の粘膜は平たい外観をしていますが、クローン病の患者さんでは腸の粘膜が炎症による浮腫や線維化により盛り上がり、敷石のような見た目になります。
敷石像のみられる部位では、腸管が狭く細くなっていることも多くあります。 敷石像に加え、縦走潰瘍と呼ばれる4~5cm以上の長い潰瘍がクローン病の特徴的な所見となっています。
クローン病活動指数(CDAI)とは何ですか?
CDAIは、過去7日間の症状や合併症、薬剤の使用などから症状の程度を計算する指標です。
クローン病活動指数(CDAI)は、クローン病の活動性を評価する指標のひとつです。CDAIは腹痛の頻度、下痢の回数、体重変化、全身状態などを基に計算されます。
クローン病は通常、症状が良くなったり悪くなったりすることを繰り返します。CDAIはその症状の程度を評価するものであり、過去7日間の症状や合併症、薬剤の使用などから計算されます。
CDAIが150未満で寛解状態、CDAIが150~220程度で合併症を認めない状態を軽症、CDAIが220~450程度で明らかな腸閉塞などの合併症を認めない状態を中等症、CDAIが450以上になると、腸閉塞や膿瘍などの合併症をきたした状態となり重症とされます。
クローン病とはどのような病気ですか?
口から肛門にいたる消化管全体に炎症が起きる、原因不明の難病です。小腸から大腸、肛門に変化が起こりやすい病気です。
口から肛門にいたる消化管全体に炎症が起こり、粘膜が傷ついたり胃腸に穴が開いてしまったりする、原因不明の難病です。
「炎症性腸疾患」というグループに含まれる病気の一つです。
小腸から大腸に潰瘍(組織の深いところにまで至る欠損)ができたり、腸に穴が開いて腸管が他の腸管や腸以外の臓器とつながってしまったりすることがあります。
また、肛門に炎症が及ぶと、膿がたまったり痔瘻(じろう;膿の通り道である瘻管が管状のしこりとなって残ったもの)ができたりすることがあります。
クローン病の症状
クローン病の初期症状について教えてください。
クローン病の特徴的な症状である腹痛と下痢が多くの患者さんに見られます。
クローン病の初期症状として最も一般的なのは腹痛と下痢です。他にも発熱や体重減少などが見られることがあります。
クローン病は消化管のどの部分にも影響を及ぼす可能性がありますが、特に小腸と大腸に症状が現れることが多いです。主に腸管が傷ついたたことによる症状が出ます。
クローン病の特徴的な症状である腹痛と下痢は半数以上の患者さんで見られ、これらが初期症状として現れる可能性が高いと考えられます。
その他、発熱、下血、腹部腫瘤、体重減少、全身倦怠感、貧血などの症状がみられることもあります。また、症状が進むと、腸管以外の部位にも合併症などが現れます。
これらの症状が見られる場合は、専門医による診断と治療が重要です。
クローン病と症状が似ている他の病気はありますか?
おもに大腸での症状が見られる、潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)と区別する必要があります。
同じ炎症性腸疾患という病気のくくりに含まれる、潰瘍性大腸炎という病気があります。
クローン病と症状がよく似ているため、区別が必要です。
潰瘍性大腸炎はもっぱら大腸内で炎症が広がるように起こるのに対して、クローン病は口から肛門までどの部分にも、また数ヶ所にわたって飛び飛びに炎症が起こることがあります。
どのような症状がクローン病に見られますか?
腹痛や下痢、発熱、血便が見られます。肛門や皮膚、関節などお腹以外に症状が出ることもあります。
おもに腹痛、下痢、発熱、血便が見られます。
また、腸が炎症を起こしている部分が、体の外からふれて確認できるしこりとなることもあります。
肛門のまわりに膿がたまったり、痔瘻(じろう;膿の通り道である瘻管が管状のしこりとなって残ったもの)ができたりと、肛門とその周囲に症状が起こることも特徴的です。
消化器の症状以外に、だるさや貧血、体重減少、関節痛や皮膚の異常が見られることもあります。
クローン病が原因で、腸が狭窄することはありますか?
あります。腸管狭窄はクローン病に特徴的な病態です。
腸管狭窄はクローン病に特徴的な合併症の病態とされ、小児のクローン病でも同様です。
腸閉塞と合わせて発症後5年で約36%、10年で約46%と高い頻度で合併するという報告があります。
外科的な治療の検討が重要とされていますが、内科的な治療で炎症を抑えた段階で内視鏡的にバルーンで拡張術を行うことがあります。
狭窄が難治性と判断される場合は、生活の質の低下が起こらないうちに手術を行うことが求められます。
時期を遅らせずに治療のタイミングを決定するのが重要です。
クローン病の症状をチェックすることはできますか?
慢性的に腹痛や下痢が続いている場合や、発熱や下血がある場合はクローン病が疑われます。
クローン病の症状をチェックすることは可能ですが、正確な診断には医師の診察が必要です。
クローン病の特徴的な症状は、腸管などの消化器官が障害されることによる腹痛と下痢です。
腹痛と下痢はクローン病でなくても現れることがある症状ですが、一時的なものではなく慢性的に続いている場合は、消化器官に何らかの炎症や障害が起きている可能性があります。ただし、発症早期の場合は軽度で一時的な痛みです。
その他、発熱、下血、腹部腫瘤、体重減少、全身倦怠感、貧血などの症状がみられることもあります。また、症状が進むと、腸管以外の部位にも合併症などが現れます。
クローン病の検査・診断
クローン病は血液検査でわかりますか?
血液検査だけではわかりません。
クローン病は、血液検査だけではわかりません。
血液検査は炎症の有無や貧血の程度、栄養状態などを評価し、炎症活動性の指標とし、病態の把握に役立ちます。炎症反応を示すCRP陽性反応、赤血球沈降速度(ESR)亢進、白血球数の増加などを認めますが、これらはほかの病気でも異常を示すため、あくまで診断の参考とされます。クローン病の確定診断には、内視鏡検査や小腸造影、CT・MRIといった画像検査に加えて、病変部の組織検査が行われることがあります。
参考文献
.“クローン病(指定難病96)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/81,(参照 2025-12-17).
.“炎症性腸疾患(IBD)”.日本消化器病学会ガイドライン.https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/ibd.html,(参照 2025-12-17).
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業.“令和6年度 改訂版 潰瘍性大腸炎・クローン病診 断基準・治療指針”..http://www.ibdjapan.org/pdf/doc15.pdf,(参照 2025-12-17).
クローン病の遺伝子検査について教えてください。
主に遺伝的素因の理解や薬物治療で生じる副作用の予測に用いられます。
クローン病における遺伝子検査は、主に遺伝的素因の理解や薬物治療で生じる副作用の予測に用いられます。
クローン病は遺伝病ではありませんが、家系内発症や人種差があり、発症に関わる複数の遺伝子が報告されており、遺伝的素因と環境要因が複雑に関わって発症すると考えられています。
現時点では遺伝子検査によるクローン病の確定診断はなく、症状、血液検査、便検査、内視鏡検査をはじめとした画像診断などの結果が総合的に評価されて診断されます。
参考文献
.“クローン病(指定難病96)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/81,(参照 2025-12-17).
.“炎症性腸疾患(IBD)”.日本消化器病学会ガイドライン.https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/ibd.html,(参照 2025-12-17).
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業.“令和6年度 改訂版 潰瘍性大腸炎・クローン病診 断基準・治療指針”..http://www.ibdjapan.org/pdf/doc15.pdf,(参照 2025-12-17).
クローン病の造影X線検査について教えてください。
造影剤を使用し、消化管の病変部位や炎症の範囲、狭窄や瘻孔の有無を調べるための画像検査です。
造影X線検査とは、バリウムなどの造影剤を使用し、消化管の病変部位や炎症の範囲、狭窄や瘻孔の有無を調べるための画像検査です。肛門から造影剤と空気を注入しながら大腸を撮影する注腸造影や、口または鼻からチューブを挿入して十二指腸までバリウムを流し込んで小腸を撮影する小腸造影があります。
クローン病の特徴である非連続性の病変、狭窄部分、潰瘍や瘻孔などの所見を確認しやすくし、病気の診断や炎症範囲の把握などに用いられます。治療方針の決定や治療効果の評価に関わる重要な検査法です。
参考文献
.“クローン病(指定難病96)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/81,(参照 2025-12-17).
.“炎症性腸疾患(IBD)”.日本消化器病学会ガイドライン.https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/ibd.html,(参照 2025-12-17).
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業.“令和6年度 改訂版 潰瘍性大腸炎・クローン病診 断基準・治療指針”..http://www.ibdjapan.org/pdf/doc15.pdf,(参照 2025-12-17).
クローン病の診断でCT検査は行いますか?
CT検査が行われることがあります。
クローン病の診断の際に、CT検査が行われることがあります。確定診断はできませんが、大腸内視鏡だけでは届かない部分の炎症や合併症を把握するためです。
クローン病では小腸を含めた広い範囲に病変が及ぶことが多く、CTでは、腸管の壁がどの程度厚くなっているか、周囲に膿瘍や瘻孔(腸同士または腸と他の臓器との間にできるトンネル状の交通)がないか、腹腔内全体の状態を一度に確認できる点がメリットです。
確定診断には、大腸内視鏡検査やX線造影検査による所見の確認が必要となります。
参考文献
.“クローン病(指定難病96)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/81,(参照 2025-12-17).
.“炎症性腸疾患(IBD)”.日本消化器病学会ガイドライン.https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/ibd.html,(参照 2025-12-17).
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業.“令和6年度 改訂版 潰瘍性大腸炎・クローン病診 断基準・治療指針”..http://www.ibdjapan.org/pdf/doc15.pdf,(参照 2025-12-17).
クローン病のモニタリング検査について教えてください。
病状や合併症の有無、治療効果を正確に把握して適切な治療調整を行うために行われます。
クローン病のモニタリング検査は、病状や合併症の有無、治療効果を正確に把握して適切な治療調整を行うために行われます。具体的には内視鏡検査、MRI、超音波検査などの画像検査、便検査、血液検査などです。
活動性モニタリングでは、繰り返し検査が必要な場合や放射性被曝を避けるべきだとされている35歳以下の若年者はMRエンテログラフィー(MRE)や腸管エコーなどを優先することが推奨されています。
また、免疫調節薬や生物学的製剤を使用する場合、定期的な血液検査で副作用の兆候がないかも確認されます。
参考文献
.“クローン病(指定難病96)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/81,(参照 2025-12-17).
.“炎症性腸疾患(IBD)”.日本消化器病学会ガイドライン.https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/ibd.html,(参照 2025-12-17).
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業.“令和6年度 改訂版 潰瘍性大腸炎・クローン病診 断基準・治療指針”..http://www.ibdjapan.org/pdf/doc15.pdf,(参照 2025-12-17).
クローン病の検査費用はどのくらいかかりますか?
クローン病の検査費用は、受ける検査の種類や健康保険の適用状況によって異なるため一概には言えません。
クローン病の検査費用は、受ける検査の種類や健康保険の適用状況によって異なるため一概には言えません。日本では指定難病として認定されているため、認定を受ければ医療費助成制度を利用して自己負担額が軽減されます
主に行われる検査としては、血液検査や便検査、内視鏡検査や造影X線検査などの画像診断、病理組織検査が考えられ、必要に応じて行われます。具体的な金額が知りたい場合は、医療機関を受診した際に確認するのが確実です。
参考文献
.“クローン病(指定難病96)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/81,(参照 2025-12-17).
.“炎症性腸疾患(IBD)”.日本消化器病学会ガイドライン.https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/ibd.html,(参照 2025-12-17).
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業.“令和6年度 改訂版 潰瘍性大腸炎・クローン病診 断基準・治療指針”..http://www.ibdjapan.org/pdf/doc15.pdf,(参照 2025-12-17).
クローン病の大腸内視鏡検査について教えてください。
肛門から細長い内視鏡を挿入し、大腸の粘膜を直接観察する検査です。確定診断に用いられます。
クローン病で行われる大腸内視鏡検査とは、肛門から細長い内視鏡を挿入し、大腸の粘膜を直接観察する検査です。腸管洗浄液を飲んで内部をきれいにした状態で行われ、腸管に空気を入れて大腸を詳しく観察します。
大腸粘膜の炎症の範囲や潰瘍の有無、狭窄や痔瘻などの合併症を詳しく調べ、縦走潰瘍や敷石像などのクローン病に特徴的な所見がないかどうか確認します。必要に応じて粘膜の一部を採取して病理組織検査が行われ、確定診断が下されます。
参考文献
.“クローン病(指定難病96)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/81,(参照 2025-12-17).
.“炎症性腸疾患(IBD)”.日本消化器病学会ガイドライン.https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/ibd.html,(参照 2025-12-17).
厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業.“令和6年度 改訂版 潰瘍性大腸炎・クローン病診 断基準・治療指針”..http://www.ibdjapan.org/pdf/doc15.pdf,(参照 2025-12-17).
日本消化器内視鏡学会.“大腸内視鏡検査ってどんな検査ですか?”..https://www.jges.net/citizen/faq/large-intestine_02,(参照 2025-12-17).
クローン病では、どのような検査を行いますか?
おもに内視鏡検査で胃腸の粘膜のようすを観察します。血液や便の検査、CT検査など内視鏡以外の画像検査も行います。
おもな検査としては、内視鏡検査を行います。
具体的には、胃腸の粘膜の一部を採取(生検)し、クローン病に特徴的な細胞の変化が見られるかどうかを調べます。
内視鏡検査以外には、血液検査や便培養検査を行って、症状の程度や合併症の有無を調べます。
また、内視鏡以外の画像検査(X線検査やCT検査、MRI検査など)を行って、炎症が腸の外側にどれだけ広がっているかなども確認します。
どのようにしてクローン病と診断されますか?
内視鏡検査を行って胃腸の粘膜の様子を観察し、クローン病に特徴的な変化が観察されれば診断を確定します。
内視鏡検査を行って、胃腸の粘膜の様子を確認します。
具体的には、粘膜の一部を採取(生検)して細胞レベルで観察し、そこでクローン病に特徴的な細胞の変化が見つかれば診断が確定します。
最終的な診断は、症状の聞き取りや内視鏡検査以外の検査(血液検査や便培養検査、X線撮影やCT検査、MRI検査などの画像検査)の結果もふまえて、総合的に下される場合が多いです。
クローン病の治療・対処法
クローン病への対処法は?
脂質制限の食事療法や薬で治療されますが、専門の医療機関での治療が必要です。
クローン病が完治する確率はどれくらいですか?
完治する治療法は、現時点ではありません。
クローン病が完治する治療法は現在のところありません。
病気の症状がコントロールされた寛解状態を目指し、その状態を保つことを目標に治療を行います。
栄養療法や食事療法、薬物治療、血球成分除去療法、内視鏡的治療、外科治療などが行われますが、技術の進歩で外科治療を
行うケースは減っています。
症状に応じた適切な治療や経過観察を行うことが大切です。
「クローン病の治療を開始してから治るまでの流れが知りたいです。」の解説もご覧ください。
参考文献
クローン病(指定難病96).難病情報センター,https://www.nanbyou.or.jp/entry/81(参照 2024-10-31)
厚生労働科学研究班事業.“令和5年度 改訂版令和5年度 改訂版潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針”.厚生労働科学研究班事業.http://www.ibdjapan.org/pdf/doc15.pdf,(参照 2024-10-31).
日本消化器病学会.“炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020”.日本消化器病学会.https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/ibd2020_.pdf,(参照 2024-09-26).
クローン病に対して栄養療法は行いますか?
クローン病に対して、栄養療法を行うことがあります。
クローン病の寛解を目指すにあたり、栄養療法を行うことがあります。
鼻からの管を通して、または口から直接栄養剤を入れる経腸栄養、または点滴での静脈栄養を用います。
経腸栄養の場合は、成分栄養剤のエレンタールⓇあるいは消化態栄養剤のツインラインⓇなどが第一選択です。ラコールⓇの半消化態栄養剤を使うこともあります。
最初は少量から開始して、徐々に投与量と濃度を増やしていきます。数日以上かけて維持量に移行し、1日の維持投与量として、理想体重1kg当たり30kcal以上が目標です。
合併症があったり重症度が高い場合は、絶食で完全静脈栄養法が検討されるなど、病状と患者さんの状態を考慮しながら行います。また、小児の場合は原則として他の治療法に先行して行われます。
クローン病における点滴治療について教えてください。
症状や重症度に応じて、さまざまな薬を点滴治療します。
クローン病の治療では、症状や重症度に応じてさまざまな薬を点滴治療します。
- 中等症以降:抗TNF-α抗体などの生物学的製剤
- 高度な合併症を有している・症状が重篤な場合:ステロイド
- 栄養療法(点滴からの栄養):点滴
が検討されます。
経口投与となる場合もあり、必ず点滴が必要になるわけではありません。
これらの薬を組み合わせて、症状を抑えて症状の再発や再燃を予防し、患者さんの生活の質を高めるのが目的です。
点滴も含めた治療を組み合わせて、病気と上手く付き合っていけるようにしましょう。
クローン病の最新治療について教えてください。
最新の治療としては、現在、抗TL1A抗体薬というお薬が開発されています。
クローン病の最新の治療薬として、現在、抗TL1A抗体薬が開発されています。抗TL1A抗体薬はクローン病の新しい治療選択肢として期待されています。
TL1Aは炎症を促進するタンパク質であり、抗TL1A抗体薬はこれを阻害することで炎症を抑える働きをします。炎症と線維化の抑制を標的としている新しい作用機序を持っており、クローン病の治療の選択肢を広げることができます。
現在、中等度から重度のクローン病の患者さんに対する臨床試験が進行中ですが、このお薬が使用可能になる具体的な日程についてはまだ分かっていません。
今までのお薬があまり効かなかった患者さんに対する新しい治療の選択肢として期待されています。
クローン病の治療ではどのような注射が使用されますか?
クローン病の炎症を抑える作用のある生物学的製剤が使用されます。
クローン病の治療で使用される注射薬は生物学的製剤であり、具体的には抗TNFα抗体などがあります。
軽症から中等症のクローン病では5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤や副腎皮質ステロイドや免疫調節薬などの内服薬が使用されますが、重症の患者さんでは生物学的製剤(注射薬)が用いられることがあります。
生物学的製剤には、抗TNFα抗体、抗インターロイキン12/23p40抗体、抗インターロイキン23p19抗体、抗α4β7インテグリン抗体、ヤヌスキナーゼ阻害薬などがあります。これらはそれぞれ作用が異なりますが、炎症反応に関与する機能や炎症シグナル伝達の働きを抑えることにより、クローン病の炎症を抑える効果があります。
クローン病ではどのような手術が行われますか?
合併症がある場合はその部位を切除したり、狭くなっている腸管を広げたりする手術が行われます。
クローン病の手術は主に合併症の治療を目的としています。
クローン病の治療はお薬などの内科治療が中心となりますが、腸閉塞や穿孔、膿瘍などの合併症が起きている場合は手術が必要となることもあります。
合併症により腸管が狭くなっていたり、穴が開いていたり、膿がたまっている場合、腸管をできるだけ温存するために、その範囲だけを切除したり、切らずに広げる手術(狭窄形成術)などが行われます。
また、難治性痔瘻など、肛門周辺の症状には切開排膿やドレナージ術などの治療が行われます。
クローン病の治療を開始してから治るまでの流れが知りたいです。
完治する病気ではありません。定期的な通院と検査を行いつつ、薬物治療や食事療法で病状の安定をはかっていきます。
今のところ原因不明の難病とされており、基本的に完治はしないものと考えます。
飲み薬や点滴の薬を用いた薬物療法と食事療法だけで病状が安定することもありますが、そのような場合であっても、定期的な通院と検査をしながら永続的に治療を続けていく必要があります。
腸に穴が開くなどの合併症が起きた場合は、手術など必要に応じた対処をします。
手術治療が終わったあとは、薬の調整・強化を行います。
一般的にどのような治療をクローン病に対して行いますか?
服薬と栄養療法が基本です。状態に応じて白血球除去療法、手術なども行います。
基本的には服薬と栄養療法が治療の中心になります。
適切な食事が炎症を改善させることもわかっているので、食事の管理を徹底することが重要です。
炎症がひどい場合は、点滴治療や、血液中の炎症細胞や炎症物質を除去する白血球除去療法を行うこともあります。
また、腸が狭くなってしまったり穴が開いてしまったりした場合、手術の実施も考えます。
受診の目安・何科を受診するべきか
クローン病で医療機関を受診する目安はありますか?
基本的に定期通院が必要ですが、下痢や腹痛の悪化、体重減少、発熱などの症状がある場合は早めに受診しましょう。
クローン病の治療開始後は、基本的に定期通院が必要となります。
ただし、便の回数が普段より多いときや、下痢や腹痛、発熱があるときは、定期通院のタイミングを待たず早めに受診しましょう。
また、体重が減少しているときも、炎症が強いなど何らかの原因で食事から栄養がうまく吸収できていないと考えられるため、受診するようにしてください。
クローン病かもしれないと思って病院に行く場合、何科を受診したらいいですか?
基本的には消化器内科を受診しましょう。
消化器内科での検査結果から治療の方針が決まることが多いので、まずは消化器内科を受診しましょう。
なお、場合によっては手術が必要になることもあり、そうしたケースでは内科と外科が連携して治療にあたることもあります。
クローン病を放置するとどうなりますか?
腸に穴が開いて、腹膜炎というお腹の中のひどい炎症を起こすことがあります。
腸に穴が開いて、腸管どうしや腸管と周りの臓器がつながることで、炎症が腸の外にまで広がる腹膜炎という病気になってしまうおそれがあります。
お腹の中の広い範囲に炎症が広がってしまうと、合併症の発生や死亡のリスクが大きく高まり、とても危険です。
また、炎症を繰り返すことで腸管がどんどん狭くなってしまい、食べ物が通らないなどの不具合が生じてくることもあります。
クローン病の専門医がいる近くの病院はありますか?
クローン病の専門医がいる病院を見るクローン病の薬
クローン病ではどんな薬を使いますか?副作用はありますか?
炎症をおさえる5-ASA製剤が基本になります。必要に応じてステロイドや免疫調整薬も使用します。
炎症をおさえる5-ASA製剤という薬が、クローン病の薬物療法で中心的に用いられる薬です。
ただし、まれに耐性がある人もいて、効き目が出ないことや、逆に症状が悪くなってしまうことがあります。
炎症がひどいときには、5-ASA製剤とあわせて、短期的にステロイドを使用したり、免疫調整薬を併用したりします。
免疫調整薬は、ステロイドと違って継続的に飲みつづける薬になります。
なお、ステロイドや免疫調整薬の副作用として、体の抵抗力が落ちて感染症にかかりやすくなる、といったことがあります。
また、免疫調整薬は種類によって、肝臓や腎臓に負担をかけることがあります。
クローン病の経過・予後
クローン病の薬はいつまで飲むのでしょうか? ずっと飲み続けなくてはいけないのでしょうか?
基本的にずっと飲み続ける必要があります。症状が安定したら、薬の量や種類を減らすこともあります。
5-ASA製剤という薬は、基本的にはずっと飲み続けます。
ステロイドは症状がひどいときに追加しますが、数ヶ月で減量していき、最終的には中止する前提で使っていきます。
また、炎症が落ち着かない場合、5-ASA製剤に免疫調整薬を追加して用いることがありますが、こちらはずっと飲みつづける薬となります。
対処法・セルフケア
クローン病の薬が効かない場合はどうしたらいいですか?
追加の薬を使用したり、絶食して腸を休めたりします。また、感染症など他の病気が合併していないか調べます。
炎症を抑える5-ASA製剤(サラゾスルファピリジンやメサラジン)が効かないときは、より強く炎症を抑える薬を使用したり、食事療法を行います。必要に応じて、他の合併症がないかどうかなど検査を行い、病状にあった治療します。
より強く炎症を抑える薬の使用
ステロイド、免疫抑制剤、生物学的製剤といった炎症を強く抑える薬の使用を検討します。
飲み薬だけでなく、点滴や皮下注射などを定期的に使用することもあります。
食事療法
食事の内容を変えて栄養成分を調整したり、消化の負担が少ない栄養剤を使用することで、炎症や症状がよくなる場合があります。また炎症がひどい場合は、絶食して腸を休めることもあります。
クローン病の治療中に、日常生活で気を付けることは何でしょうか?
動物性脂肪をなるべく避けるなど、食生活に気を付けましょう。また、定期的な通院・検査を怠らないようにしましょう。
まずは食事療法をしっかり行うことが大切です。
薬として処方されるクローン病向けの栄養剤があるため、そちらを併用しつつ食生活を調整します。
とくに脂肪分は病状に大きく影響すると言われているので、動物性脂肪はなるべくとらないように気を付けましょう。
また、ストレスや疲れなどが引き金になって症状が悪化することもあるので、なるべく体に優しい生活を心がけましょう。
定期的な通院と検査を怠らないようにすることも重要です。
クローン病に関連するその他の質問
クローン病の場合、便にどのような影響がでますか?
持続性または反復性の血が混じった下痢や粘血便が見られます。
クローン病では持続性または反復性の血が混じった下痢や粘血便が見られます。
下痢の回数については、排便回数6回以上は重症、4回以下が軽症の基準のひとつになります。また、血便の程度も重症度の基準のひとつになります。
寛解期になると血便は消失しますが、典型的な血便を伴わずに内視鏡所見でクローン病が疑われる症例もあるなど、症状には個人差があり、重症度によっても異なります。
血便や下痢などが起こっている時には食事に気を使い、低脂肪・低残渣の食事を心がけましょう。
クローン病の場合、皮膚のかゆみや炎症、肌荒れが生じることはありますか?
クローン病では、皮膚の合併症が現れることがあります。
クローン病では、皮膚の合併症が生じることがあります。
クローン病は口腔から肛門までの消化管、主に腸管の症状が出ることが多いですが、消化管以外の部位に症状が出ることもあり、その中で最も多いのが皮膚の症状です。クローン病の患者の約20-30%が皮膚の合併症を経験するとされています。
皮膚の合併症には結節性紅斑(圧痛を伴う赤色や痛みを伴う紫色のしこり)、壊疽性膿皮症(痛みを伴う皮膚の炎症)、アフタ性口内炎(痛みを伴う口内炎)などがあります。消化管の症状が出る前に皮膚の症状が現れることもあります。
クローン病で、吐き気が生じることはありますか?
腸の狭窄などによって吐き気を生じることがあります。
クローン病の合併症として生じた腸の狭窄や閉塞によって吐き気が生じることがあります。
腸の狭窄や閉塞によって食べ物が消化されずに詰まってしまうことで、吐き気や嘔吐の原因となります。
体内から水分や電解質が急激に失われるので、放置すると重篤な状態になる可能性があります。
お腹の張り、ガスや便が出なくなった、という症状があれば早めに担当医に申し出ましょう。
狭窄部位を広げる処置を行うか、高度な狭窄の場合、手術で腸管切除が検討されます。
クローン病では、貧血を合併することはありますか?
あります。成人で30~40%、小児ではさらに高い割合との報告もあります。
クローン病を含めた炎症性腸疾患では、貧血の合併率は成人で30~40%、小児ではさらに高い割合という報告もあります。
症状については、無症状で経過するケースから、疲れやすさや倦怠感などの症状が現れるケースなどさまざまです。
活動性病変からの消化管出血や、炎症が起きている腸管の栄養吸収不良、口からとる食事量の低下などの栄養不足による貧血に加えて、慢性炎症による貧血を合併することもよくあります。
定期的な検査を行い、貧血症状がある場合は適切な対処が必要です。
クローン病では、どれくらい体重の減少が起きますか?
体重減少の程度は患者さんや症状によりますが、一般的には5%以上体重が減ることを体重減少といいます。
クローン病では、体重が通常の5%以上減少することが一般的です。
クローン病では、小腸の炎症は比較的よく起こる症状です。
クローン病は口腔から肛門まで消化管のどの部位にも症状が出る可能性がありますが、主に腸管(小腸や大腸)が障害されたことによる症状が出ます。
どの臓器に炎症が起こるかは患者さんによってさまざまであり、侵される病変部位により小腸型、小腸・大腸型、大腸型に分けられます。
腸管に炎症が起こった結果、びらんや潰瘍ができることにより、クローン病の特徴的な症状である腹痛と下痢といった症状を引き起こします。
これらの症状は半数以上の患者さんで見られます。
ストレスがクローン病の発症や悪化に影響を与えますか?
ストレスと発症の関係は不明ですが、症状が悪化する可能性はあります。
クローン病の原因ははっきりしておらず、発症とストレスの因果関係もわかっていません。
その一方で、過労や過度のストレスで症状が悪化することがあるとされています。
また、少なくとも一部の患者さんにおいて日常のストレスと疾患重症度に関連があるという研究結果も報告されています。
悪化する可能性は否定できないため、なるべく日常的にストレスを避け、規則正しい生活習慣を送れるように心がけましょう。
身体的ストレスは疲労の原因となるので、しっかり休んで翌日に持ち越さないようにしてください。
クローン病の場合、運動を控える必要はありますか?
特に控える必要はありません。
クローン病では、病気の症状が落ち着いている時には運動を含めて基本的に生活に制限はありません。疲れを持ち越さないように、睡眠不足や過労には注意しましょう。
過労や過度のストレスで悪化する可能性があるため、規則正しい生活習慣を送って体力の維持に努めることが大切です。体力をつけるといった面からは、無理のない範囲での運動は効果があると考えてよいでしょう。
また、腸管外の合併症として炎症性用背部痛を認めることがあり、この症状は運動で改善すると言われています。
クローン病がきっかけで、がんに発展することはありますか?
クローン病で発がんリスクが高まることが知られており、がんになる可能性はあります。
クローン病は長期間にわたって腸の粘膜に慢性の炎症が起こるため、大腸などの消化管にがんが発生するリスクが高くなると言われています。
そのため、クローン病の経過観察として、内視鏡による定期的ながんのスクリーニングが行われます。クローン病などの炎症性腸疾患が原因で発生するがんは、悪性度が高く予後不良のためです。
もしもクローン病ににより大腸などの消化管にがんが発生した場合は、手術などの治療が必要になります。
クローン病とアルコールにはどのような関係性がありますか?
はっきりしていませんが、症状が重い時期には避けた方がよいでしょう。
クローン病の患者さんのアルコール摂取について、制限が必要とされているわけではありません。症状が落ち着いていれば、特に食事の制限はないとされています。
一方で、症状が重い時期には腸に負担がかからない食事が望ましいとされているため、アルコールは避けた方がいいでしょう。
また、アルコール摂取は腸管バリア機能に悪影響であり、酸化促進作用を持つため炎症性腸疾患を再燃させる可能性が高いというアメリカの報告もあります。
クローン病では、アフタ性口内炎は合併しますか?
クローン病では、アフタ性口内炎を合併することがあります。
アフタ性口内炎は、クローン病に合併する口の中の病気として知られています。皮膚は炎症性腸疾患の病変が高頻度に認められる部位のひとつです。
アフタ性口内炎を含めた皮膚病変全体で見ると、炎症性腸疾患の患者さんの約15%に合併します。
表面は灰白色~黄白色の浅い潰瘍で、歯ブラシや食べ物などが少し触れただけも強い痛みを感じます。刺激性の食物や熱いもの、塩辛いものが染みることもあり、生活の質に影響を与える合併症です。
クローン病の寛解期について教えてください。
クローン病の寛解期とは、症状が消失し、内視鏡検査で正常な粘膜が確認できる状態です。
クローン病の寛解期とは、症状が消失し、内視鏡検査で正常な粘膜が確認できる状態です。症状のある活動期には寛解導入の治療を行い、寛解状態を目指します。
長期間にわたって寛解状態を維持している方もいらっしゃいますが、クローン病は再燃することが多い病気です。症状がなくても油断せず、定期的な経過観察を欠かさないようにしましょう。
現時点では完治が難しいと言われていますが、生活の質を維持できるようにクローン病と上手く付き合っていきましょう。
クローン病の小腸型や大腸型について教えてください。
クローン病を、特徴的な所見がみられる部位で分類したものです。
クローン病を原因や症状などの違いで分類した時に、主に小腸に炎症が起こっているものを「小腸型」、大腸で炎症が起こっているものを「大腸型」といいます。
両方に炎症が起こっていれば「小腸大腸型」と呼ばれます。内視鏡で検査した時に、敷石像、縦走潰瘍、狭窄といった特徴的な所見がみられる部位のことです。
クローン病自体は消化管のさまざまな場所に炎症や潰瘍ができる可能性がありますが、小腸と大腸によく現れます。特に小腸末端部は発生する頻度が高い部位です。
参考文献
厚生労働科学研究班事業.“令和5年度 改訂版令和5年度 改訂版潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針”.厚生労働科学研究班事業.http://www.ibdjapan.org/pdf/doc15.pdf,(参照 2024-10-31).
クローン病(指定難病96).難病情報センター.URL(参照 2024-10-23)
日本消化器病学会.“炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン2020”.日本消化器病学会.https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/ibd2020_.pdf,(参照 2024-09-26).
クローン病ではステロイドは使用されますか?
症状によっては使用されることがあります。
ステロイドはクローン病の寛解導入を目的に使われることがあります。
重症度や治療歴などを考慮して使う薬や用量を検討します。
ステロイドは寛解導入に用いられますが、寛解状態を維持する際には別の薬に置き換えられます。また、安易な全身投与を避けることとされています。
重症の場合ではステロイドを点滴で投与します。また、ステロイドの効き目が低いステロイド抵抗例では、その他の薬物療法の使用を検討されます。
クローン病に合併して、腸の瘻孔(ろうこう)は起こりますか?
腸の瘻孔が起こる可能性があります。
クローン病の消化管の合併症として瘻孔(ろうこう)が起こる可能性があります。
瘻孔とは、皮膚などの他の臓器と腸管との間が繋がった状態です。海外では、再発率を高めるリスク因子として挙げられています。
クローン病の疾患パターンとして「瘻孔型」が存在し、内瘻と外瘻があります。治療の際はまず外科的治療を検討しますが、特に外瘻に対しては薬物治療を行う場合もあります。
高度な瘻孔が起きた腸管は、高確率で切除することにになります。
クローン病では、小腸の炎症は起きますか?
クローン病では、小腸の炎症は比較的よく起きる症状のひとつです。
クローン病では、免疫系が腸の正常な細胞を攻撃することにより炎症が起こります。小腸の炎症はクローン病でよく見られる症状です。
クローン病は口腔から肛門まで消化管のどの部位にも症状が出る可能性がありますが、主に腸管(小腸や大腸)が障害されたことによる症状が出ます。
症状は患者さんによってさまざまであり、侵される病変部位により小腸型、小腸・大腸型、大腸型に分けられます。
腸管にびらんや潰瘍ができることにより、クローン病の特徴的な症状である腹痛と下痢は半数以上の患者さんで見られます。
クローン病の合併症について教えてください。
腸管の瘻孔、狭窄、膿瘍の他、皮膚など消化管以外の部位に症状が出ることもあります。
クローン病の主な合併症は、瘻孔(腸管に穴が開く)、狭窄(腸管が狭く細くなる)、膿瘍(膿がたまる)など症状が挙げられます。
また、消化管以外の部位に症状が出ることもあり、その中で最も多いのは皮膚の症状です。
皮膚の合併症には結節性紅斑(圧痛を伴う赤色や紫色のしこり)、壊疽性膿皮症(痛みを伴う皮膚の炎症)、アフタ性口内炎(痛みを伴う口内炎)などがあります。消化管の症状が出る前に皮膚の症状が現れることもあります。
クローン病は遺伝する病気ですか?
クローン病は遺伝する病気ではありませんが、一部遺伝的な要因もあると考えられています。
クローン病は遺伝性の病気ではありませんが、遺伝的要因が影響する可能性があります。クローン病の発症頻度の高い人種や地域があり、家族内で発症する例もあることから、一部遺伝的な要因もあると考えられます。
遺伝的要因としては特定の遺伝子変異が報告されていますが、環境的要因としては食生活や喫煙、ストレスなどが考えられています。
現時点では、クローン病を引き起こす可能性の高い遺伝子のタイプもいくつか報告はされていますが、ある特定の遺伝子があると発症するというようなことはありません。
遺伝的要因と環境的要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
クローン病は何人に1人の割合で発症しますか?
約1800人に1人がクローン病に罹患していると推察されますが、正確な患者さん数は不明です。
2014年の疫学調査では、国内の人口10 万人あたりのクローン病の罹患率は55.6人でした。ここから計算すると約1,800人に1人がクローン病に罹患していることとなりますが、これは推察の患者数です。
また、厚生労働省難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班が 2014 年に行った疫学調査では約70,000人のクローン病の患者さんがいると推察されました。
患者数は増加傾向にあると考えられますが、正確な患者数は不明となっています。
クローン病になった場合、どのような食事をとるべきですか?食べてはいけないものがありますか?
暴飲暴食を避け、バランスのよい食事をとりましょう。症状が重い時は、脂質、食物繊維などを避けましょう。
症状が落ち着いていれば、厳しい食事制限をする必要はありません。
消化がよく、腸にやさしい食品をバランスよく食べ、暴飲暴食をしないように心がけましょう。
症状が重い時には、おかゆやスープ、よくゆでたうどのようなど、温かくて柔らかく、脂質の少ないものを選び、以下のような食品は避けるようにしましょう。
- 脂肪分や油分の多い食品
- 食物繊維の多い食品(きのこ類、ごぼうなど)
- 香辛料
- アルコール
クローン病では、腸の負担になる食品を避け、腸の安静を図る栄養療法が行われることもあります。
参考文献
難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(久松班).“潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療方針”.日本炎症性腸疾患学会.https://www.jsibd.jp/wp-content/uploads/2024/06/9cc2e731dfaed4f7cae4c923d180551b.pdf,(参照 2024-07-29).
日本消化器学会.“日本消化器病学会 患者さんとご家族のためのIBDガイド 2023”.日本消化器病学会.https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/disease/pdf/ibd_2023.pdf,(参照 2024-07-29).
クローン病にはどのような人がなりやすいですか?
10〜20代の人が発症することが多いです。遺伝的な要因も関係していると言われています。
10〜20代で発症するケースが多く、子どもが発症することもあります。
原因の一つとして遺伝子が関係しているとも言われており、同じような病気を持つ血縁者がいる人が発症しやすい傾向にあります。
また、女性よりも男性のほうが患者数が多いことが報告されています。
その他、喫煙の習慣がある人がかかりやすいとも言われています。
クローン病について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「クローン病」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- お腹の痛みがありますか?
- 便がゆるいか、あるいは下痢をしていますか?
- 油っこい食事をした後に痛みが出ますか?
- 便に赤い血が混じっていますか?
- 便の色がおかしいですか?
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この記事の監修医師
吉岡 藍子
消化器内科・内科
消化器内科医の吉岡藍子と申します。 これまで大学病院や市中病院、健診センターでの内視鏡業務などを通して、消化器領域を幅広く経験してまいりました。 診療の現場では、専門的な用語や複雑な病状の説明に、患者様が戸惑いや不安を感じる場面に何度も出会いました。医療機関で提供される膨大な情報を前に、混乱されてしまう方も少なくありません。そこで、ご自身の病気や体、そして健康について、一人でも多くの方が正しく理解できる環境を作りたいという想いから、ユビーの活動に参加させていただいております。皆様が正しい医学知識に普段から触れ、安心してご自身の健康と向き合えるよう、分かりやすい情報提供に努めてまいります。 【経歴】 新潟大学医学部卒。 新潟県内外の市中病院、大学病院で勤務。 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野にて博士取得。 2022年からユビーに入社し、横浜市で健診内視鏡診療を兼務。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03