便意で頻繁にトイレに行くが排便がない
監修医師吉岡 藍子消化器内科
- 更新日
- 2026/07/10
- 公開日
- 2021/01/18
概要
排便したい強い感覚があり頻繁にトイレに行くが、便がほとんど出ない状態(裏急後重・しぶり腹)は、直腸がん・潰瘍性大腸炎・直腸ポリープ・過敏性腸症候群などが原因となります。大腸内視鏡検査による原因確認が重要です。
しぶり腹とは
過敏性腸症候群の症状はしぶり腹ですか?
過敏性腸症候群の症状のひとつにしぶり腹があります。
過敏性腸症候群は、検査をしても異常が見られないにもかかわらず、腹痛や下痢・便秘、腹部膨満感、吐き気などさまざまな消化器に関係する症状が出現する病気です。
しぶり腹は特に便秘型の過敏性腸症候群で見られる可能性があります。
「しぶり腹」とはどのような症状ですか?
便が出なくても便意を感じる、あるいは便が少量しか出ないのに何度も便をしたくなる状態です。
便をしたい感じがあっても便がでない、もしくは少ししか便が出ないのに頻回に排便したくなる状態をいいます。残便感や腹痛を伴うことがあります。
便秘や過敏性腸症候群、さまざまな腸炎、大腸がんのようなできものなど、しぶり腹をきたす病気は多岐にわたります。
テネスムスとは何ですか?
しぶり腹の別名です。便意を感じても便が出なかったり、出ても少量しか出ない状態を言います。
しぶり腹のことを、英語では「rectal tenesmus(直腸テネスムス)」と言います。
直腸テネスムスというのが正式名称ですが、直腸を省略し、テネスムスのみでもしぶり腹を指すことが多いです。
「テネスムス」という言葉は、本来は腸のことだけを指すのではなく、「膀胱テネスムス(膀胱しぶり)」という場合には急激な尿意や頻尿、下腹部痛、残尿感の症状を指します。
裏急後重とは何ですか?
しぶり腹の別名で「裏急後重(りきゅうこうじゅう)」とも呼ばれます。
しぶり腹のことを、東洋医学では「裏急後重(りきゅうこうじゅう)」とも言います。
急激な腹痛、常に便意があるがすっきり出ない、肛門が下に下がっている感じがする、などの症状を指しています。
しぶり腹の原因
しぶり腹の原因に大腸がんの可能性はありますか?
大腸がんで便の通り道が狭くなったり、直腸近くにがんがあると症状が出ることがあります。
お腹の左下に位置する肛門に近い方の大腸や直腸に、ある程度の大きさの腫瘍やがんができると便の通りを邪魔して便が残っていたり、できもの自体が残便に感じられることがあります。その際、便は出ないのに出したい感じ(しぶり腹)や痛みが出現することがあります。
しぶり腹の原因や考えられる病気には何がありますか?
直腸を含む大腸の炎症や、腫瘍などのできものが原因で起こることがあります。
主な原因は以下の通りです。
炎症(腸炎)
感染性腸炎
病原菌の感染によって引き起こされます。
虚血性腸炎
血流が悪くなることで腸の粘膜がただれます。
放射線性腸炎
前立腺や卵巣・子宮などの臓器のがんに対して行った放射線治療により、その周囲の大腸に影響が出て粘膜がただれます。
潰瘍性大腸炎
原因不明の大腸の炎症が起こります。
できもの、しこり
大腸がんや直腸がんなどの腫瘍や比較的大きいポリープ、痔なども症状の原因になることがあります。特に大腸の中で最も肛門に近い直腸に病気がある場合には、症状が出やすいと言われています。
過敏性腸症候群、便秘
典型的には、排便するとその後、腹痛や便意などの症状が和らぐことが多いですが、場合によってはしぶり腹を感じることもあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
しぶり腹がある場合、何科を受診したらよいですか?また、病院を受診する目安はありますか?
消化器内科を受診しましょう。数日以上続く、あるいはしばらくしてまた症状が出てくるなど繰り返す場合は、早めに受診しましょう。
消化管、主に大腸の病気により症状が出ていることが多いので、消化器内科を受診しましょう。
1日で症状が消えた、など一時的な場合は様子を見ることも可能ですが、数日以上続く、あるいはしばらくしてまた症状が出てくるなど繰り返す場合は、早めに受診しましょう。
検査・診断
しぶり腹のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
以下のような症状がある場合は、しぶり腹を疑います。
- 便意を感じてトイレに行っても便が出ない、または少ししか便が出ない
- 便を出してもまた便意を感じてトイレに行く回数が増える
- 便を出しても便がまだ残っている感じがある(残便感)
しぶり腹を疑ったら、腸の病気が原因となっている可能性もあるため、一度受診することをおすすめします。
しぶり腹の薬
しぶり腹に効く漢方薬はありますか?
桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)は、しぶり腹や腹痛、下痢、便秘の症状を改善する効果があります。
桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)は、お腹が張り腹痛があるような便秘やしぶり腹に使用されることがあります。
1日2回あるいは3回食前に飲み、1週間ほどで効果が出てきます。それ以上飲んでも効果が見られない場合は薬の調整や変更が必要なので、処方医に相談してください。
しぶり腹の治療
しぶり腹の治療や予防方法には何がありますか?
しぶり腹を起こす原因の病気によって治療は異なります。生活習慣の改善は症状の改善や予防に繋がることがあります。
治療方法はしぶり腹の原因となっている病気によってさまざまですが、食事内容や食習慣の見直しや適度な運動、十分な睡眠など生活習慣の改善は症状の改善や予防のみならず原因の病気の改善にも繋がることがあります。
食事
規則正しい時間に摂取するようにして、間食や暴飲暴食は控えましょう。便秘にならないように食物繊維や水分を多く含む食べ物を意識して摂るようにします。過度な糖分や脂っぽい食べ物も消化に悪いことがあるので、摂り過ぎに注意しましょう。
運動、睡眠
運動や睡眠が直接的に症状を和らげるわけではありませんが、適度な運動や十分な睡眠は自律神経のバランスが整うため、結果的に消化が促されることがあります。
しぶり腹に関連するその他の質問
しぶり腹ではガスがたまりますか?
しぶり腹とガス貯留が必ず同時に起こるわけではありませんが、同時に起こる可能性はあります。
しぶり腹でガスがたまることもあり得ますが、必ずしも同時にたまるわけではありません。
しぶり腹は、炎症などによる腸管の刺激によって症状が出現します。
炎症があることとガスがたまることは必ずしも同時に起こるわけではないため、しぶり腹の症状がある時に必ずガスがたまるということはありません。
ただし、しぶり腹と同時にガスがたまること自体はあり得ます。
しぶり腹の原因には、感染性腸炎や潰瘍性大腸炎、大腸がん、過敏性腸症候群などがあります。例えば、次のようなケースでは、しぶり腹と同時にガスがたまる可能性があります。
- 炎症を伴う大腸がんによって腸管が狭くなり、お腹にガスが貯留するケース
- 潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群に伴って、しぶり腹と腹部膨満感(お腹が張っている感じ)の症状が同時に現れるケース

しぶり腹とストレスは関係がありますか?
はい。原因によってはストレスによってしぶり腹の症状が出る可能性があります。
しぶり腹とストレスは、関係があると言えます。
しぶり腹の原因は、感染性腸炎や潰瘍性大腸炎、大腸がんなどさまざまなものがありますが、過敏性腸症候群もそのひとつです。
過敏性腸症候群は、腹痛や便通異常(便秘や下痢など)といった症状が慢性的に続く病気です。
過敏性腸症候群の原因のひとつにストレスがあるため、ストレスがたまった時にしぶり腹を起こす可能性があります。
そのメカニズムとしては、ストレスそのものや腸炎にストレスが重なることで、腸管の運動や感覚を司る神経伝達に異常が生じ、腹痛や便秘、下痢などの症状をきたすという可能性が提唱されています。
ストレスに伴ってしぶり腹の症状を繰り返す場合には、過敏性腸症候群などの病気が根本にある可能性があるため、一度病院の受診をおすすめします。
五苓散はしぶり腹に効きますか?
急性胃腸炎による腹痛や吐き気、下痢などには効果がありますが、しぶり腹には効果はありません。
五苓散(ごれいさん)は、吐き気・嘔吐・腹痛・むくみなどを伴う急性胃腸炎や下痢、二日酔い、頭痛などに効果的ですが、しぶり腹の症状には効果はありません。むしろ、しぶり腹を認めるような胃腸炎の際は、使用を控えた方がよいとされています。
しぶり腹について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「便意で頻繁にトイレに行くが排便がない」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 便意でトイレに行くが、排便がなかったり少量しか出ないことが多いですか?
- 吐き気や嘔吐がありますか?
- お腹の痛みがありますか?
- 食欲がなく、食事量が減っていると感じますか?
- 周囲(学校や職場、家庭など)に同じような症状の人がいますか?
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この記事の監修医師
吉岡 藍子
消化器内科・内科
消化器内科医の吉岡藍子と申します。 これまで大学病院や市中病院、健診センターでの内視鏡業務などを通して、消化器領域を幅広く経験してまいりました。 診療の現場では、専門的な用語や複雑な病状の説明に、患者様が戸惑いや不安を感じる場面に何度も出会いました。医療機関で提供される膨大な情報を前に、混乱されてしまう方も少なくありません。そこで、ご自身の病気や体、そして健康について、一人でも多くの方が正しく理解できる環境を作りたいという想いから、ユビーの活動に参加させていただいております。皆様が正しい医学知識に普段から触れ、安心してご自身の健康と向き合えるよう、分かりやすい情報提供に努めてまいります。 【経歴】 新潟大学医学部卒。 新潟県内外の市中病院、大学病院で勤務。 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野にて博士取得。 2022年からユビーに入社し、横浜市で健診内視鏡診療を兼務。
- 更新日
- 2026/07/10
- 公開日
- 2021/01/18