褥瘡
監修医師阿部 吉倫内科
- 更新日
- 2024/04/10
- 公開日
- 2020/09/03
褥瘡(床ずれ)とは
長い時間圧迫されていた皮膚が赤くなり、やがて、皮膚がえぐれてできる潰瘍です。
「褥瘡(床ずれ)」とはどのような病気ですか?
寝たきりなどにより、体の同じ部位が長時間圧迫されて血流が悪くなり、皮膚がただれたり傷ができたりする病気です。
身体に加わった外的な力は、骨と皮膚の間にある軟部組織という箇所の血流を低下、あるいは停止させることがあります。この状況が一定時間以上持続されることで、組織が不可逆的※な阻血性障害(血流が途絶えることによる障害)に陥ります。
これにより以下のような皮膚の変化が見られ、これを褥瘡(じょくそう)または床ずれと呼びます。
褥瘡は、自分で動けず、栄養状態が悪い痩せた人の骨が突出した部位などによく起こります。
※不可逆的:一度変化したら元の状態に戻らない
褥瘡(床ずれ)の症状
褥瘡(床ずれ)には初期症状はありますか?
褥瘡の初期段階では、皮膚が赤みを帯びます。
外的な圧力が加わる部位の皮膚に、赤みが出現します。
褥瘡(じょくそう)による赤みかどうか簡単に見分ける方法に、以下のようなものがあります。
透明なガラス板を押し当てた時に、
- 赤みが消えるようであれば褥瘡ではない赤み
- 赤みが消えないようであれば褥瘡の初期段階による赤み※
であると診断ができます。
※皮膚の真皮にある血管が破綻していると推察されるため
身近にガラス板がない場合は、赤みの周囲を指で押すことによっても代用可能ですが、力の入れ加減によっては正確な診断ができないこともあるため、注意が必要です。
褥瘡(床ずれ)の原因
褥瘡(床ずれ)の原因や考えられる症状には何がありますか?
外的な力が加わり続けることによる血流の阻害が原因です。進行に応じた皮膚の変化がみられます。
褥瘡(じょくそう)の原因・メカニズム
身体に加わった外的な力は、骨と皮膚表層の間にある軟部組織という箇所の血流を低下、あるいは停止させることがあります。この状況が一定時間以上持続されることで、組織に不可逆的※な阻血性障害(血流が途絶えることによる障害)に陥ります。その結果、褥瘡が発生するとされています。
健康な人は就寝中も自然に寝返りを打つことでこれを予防しています。しかし、自分で動けず栄養状態が悪い痩せた人では、特に骨が突出した部位に褥瘡が発生しやすくなります。
※不可逆的:一度変化したら元の状態に戻らない
褥瘡で見られる症状
進行度によって、以下のようなさまざまな皮膚の変化がみられます。
褥瘡(床ずれ)の治療・対処法
褥瘡への対処法は?
こまめにからだの向きを変えるなどして長時間の圧迫を避け、褥瘡の予防をすることが最も重要です。褥瘡を疑った際は、早めに医療機関に相談してください。
褥瘡(床ずれ)の場合、主にどのような治療をしますか?
姿勢を変えるなどして圧力を取り除くのが基本です。塗り薬・保護剤による治療や、壊死した部分を切り取る治療を行うこともあります。
まず、褥瘡(じょくそう)が発生した部位に対する外的な圧力を減らすことが治療の原則です。具体的には、同じ姿勢が長時間続かないように、定期的な体位変換やクッションや寝具の調整を行うことなどがあげられます。
これらを開始した上で、外用剤(塗り薬)やドレッシング剤(貼付するタイプの保護剤)を使用することが多いです。
組織が腐ったような状態になってしまっている褥瘡では、医療用のハサミやメスを用いて壊死組織(腐った部分)のデブリードマン(切り取ること)を行うこともあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
褥瘡(床ずれ)が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?また、病院を受診する目安はありますか?
褥瘡を疑う場合は皮膚科や形成外科、全身状態が悪い場合は内科を受診しましょう。
受診する科について
褥瘡(じょくそう)は、皮膚やそのすぐ下に起こる変化のため、褥瘡の処置だけが目的であれば皮膚科や形成外科を受診することになります。
ただし、健康な人では寝返りをうつなどして自然に褥瘡が予防できるため、褥瘡ができてしまっているということは全身の栄養状態が悪い可能性が高いと考えられます。その場合は、まず全身状態を改善することが必要となるため、内科的な治療(場合によっては入院加療)を要することも多いです。何らかの病気ですでに病院にかかっている場合は主治医に相談し、そうでない場合は内科を受診しましょう。
受診の目安
皮膚に以下のような変化が見られた場合は受診をおすすめします。
褥瘡の専門医がいる近くの病院はありますか?
褥瘡の専門医がいる病院を見る褥瘡(床ずれ)の予防
褥瘡(床ずれ)はどのようにして予防しますか?
長時間同じ部位に圧力がかかるのを防ぐため、定期的に体位変換を行い、寝具は圧力を分散するものを使います。また、栄養管理も行います。
褥瘡(じょくそう)の予防・治療の原則は、ずっと同じ姿勢が続かないように定期的な体位変換や、クッションや寝具の調整を行うことによって、できるだけ外的な圧力を減らすことです。
また、栄養状態が悪いと褥瘡発生リスクが高まるため、食事形態を工夫するなどして、できるだけ栄養が不足しないよう注意する必要があります。
褥瘡(床ずれ)に関連するその他の質問
褥瘡(床ずれ)の重症度を評価する分類はありますか?
褥瘡の重症度を評価するために、臨床ではDESIGN-R分類、NPUAP分類、TIME理論などが用いられています。
褥瘡(じょくそう)の重症度の分類法には以下のようなものがあります。
DESIGN-R分類
DESIGN-R分類は日本褥瘡学会が開発した分類法で、
- Depth(深さ)
- Exudate(浸出液)
- Size(大きさ)
- Inflammation/Infection(炎症/感染)
- Granulation(肉芽組織)
- Necrotic tissue(壊死組織)
- Pocket(ポケット)
についてそれぞれ評価するものです。
NUPAP分類
NUPAP分類とは欧米で用いられる分類法で、重症度を
- ステージⅠ(発赤を伴った損傷のない皮膚)
- ステージⅡ(浅い開放潰瘍として現れる真皮の部分欠損)
- DTI疑い(皮下軟部組織損傷に起因する、限局性の皮膚変色)
の3つに分類するものです。
TIME理論
TIME理論とは、
- Tissue non-viable or deficient(活性のない組織または組織の損傷)
- Infection or Inflammation(感染または炎症)
- Moisture imbalance(湿潤のアンバランス)
- Edge of wound-non advancing or undermined(創辺縁の治癒遅延またはポケット化)
についてそれぞれ評価するものです。
その他に簡便で実用的な分類として、創面の色調による分類もあります。
- 黒色期
- 黄色期
- 赤色期
- 白色期
に分類して治療方針を決定していくことも多いです。
褥瘡(床ずれ)が起こりやすい場所はありますか?
体勢によってできやすい場所が異なります。
褥瘡(じょくそう)は外的な力が加わり続けることで生じるため、体勢によって起こりやすい場所が変化します。体勢別の褥瘡ができやすい部位は以下の通りです。
仰臥位(仰向き)の場合
- 踵骨部(かかと)
- 仙骨部(お尻の上あたり)
- 肘頭部(肘の出っ張った所)
- 肩甲骨部
- 後頭部
側臥位(横向き)の場合
- 外踝部(くるぶし)
- 膝関節部
- 大転子部
- 腸骨部(腰骨の出っ張り)
- 肘頭部(肘の出っ張った所)
- 肩峰部(寝具と肩が当たる所)
- 側頭・耳介部
車椅子生活など座位の時間が多い人の場合
- 尾骨部(尾てい骨)
- 仙骨部(お尻の上あたり)
- 腸骨部(腰骨の出っ張り)

褥瘡(床ずれ)になりやすい人はいますか?
長時間寝たきりである、栄養状態が悪い、血流が悪い、糖尿病などの神経障害により痛みに気付きにくいといった人は、褥瘡になりやすいので注意が必要です。
以下のような人は褥瘡(じょくそう)になりやすいため、注意が必要です。
褥瘡(床ずれ)について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「褥瘡」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 皮ふに何らかの異常がありますか?
- もともと日常生活において、立ち上がるのが困難で、横になって過ごすことが多いですか?
- 皮ふがこすれるところや、外から刺激を受けたところが赤いですか?
- 皮ふが硬くなっている場所がありますか?
- 皮ふにただれている場所や、めくれている場所がありますか?
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この記事の監修医師
阿部 吉倫
内科
2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。
- 更新日
- 2024/04/10
- 公開日
- 2020/09/03