過活動膀胱に対するボツリヌス療法とはどのような治療ですか?
膀胱に内視鏡を入れ、膀胱に直接筋肉を緩める薬を注射する治療法です。
ボツリヌス治療の正式名称は、ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法と言います。
内服治療が効かず、原因になる疾患もない(もしくは治療済み)ような難治性の過活動膀胱の方に効果があります。ボツリヌス毒素(ボトックス)は特定の細菌が作る毒素の一種で、神経の働きを止める神経毒の作用があります。
治療法
ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法は、膀胱鏡という膀胱の中を見ることができる内視鏡を使って、直接ボツリヌス毒素を膀胱内に注射する治療法です。
骨盤神経などの副交感神経系の働きを抑え、膀胱を収縮させる機能などを抑制することができ、また膀胱から脊髄へ向かう過剰な信号も抑制されます。
それらの影響もあり、過活動膀胱の症状が軽減されます。
効果
薬の作用はかなり早く出ると考えられ、報告では早い人では3〜5 日以内に症状が改善し、多くの人では2週間目までに効果を感じます。
効果は、8~9ヶ月程度続く方が多いようですが、効果の発現時間や持続時間は個人差があります。
「切迫性尿失禁」という、急な強い尿意のために実際に尿漏れを起こしてしまう方を対象とした研究では以下のように報告されています。治療後3ヶ月あたりで、100%改善する方が2割、50%以上改善する方が6割程度という報告があり、人によっては効果が弱い方もいらっしゃいます。
持続時間も個人差があり、複数回ボツリヌス毒素膀胱内注入療法をすることもできます。
副作用
ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法の副作用としては、下記のものが施行後2週間目までに生じることが多いと報告されています。
- 効きすぎて尿が出しにくくなる
- 尿が出なくなる(尿閉)
- 膀胱鏡を使用することで尿路感染症になる
治療を行うにあたって
ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法は施行できる医師が限られており、施行できない医療機関もあります。
それぞれの医療機関で入院期間や準備なども異なるため、気になる場合は担当の先生と相談しましょう。
公開日:
最終更新日:
東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科
秋元 隆宏 監修
(参考文献)
日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会.日本排尿機能学会・日本泌尿器科学会編.過活動膀胱診療ガイドライン 第3版. リッチヒルメディカル,2022.
日本排尿機能学会/日本泌尿器科学会.女性下部尿路症状診療ガイドライン【第二版】. リッチヒルメディカル,2019.
Yokoyama, Osamu et al. OnabotulinumtoxinA (botulinum toxin type A) for the treatment of Japanese patients with overactive bladder and urinary incontinence: Results of single-dose treatment from a phase III, randomized, double-blind, placebo-controlled trial (interim analysis). Randomized Controlled Trial. 2020, 27, p.227-234.
Kurt McCammon et al. Early and Consistent Improvements in Urinary Symptoms and Quality of Life With OnabotulinumtoxinA in Patients With Overactive Bladder and Urinary Incontinence: Results From a Randomized, Placebo-controlled, Phase IV Clinical Trial. Female Pelvic Med Reconstr Surg. 2021, 27, p.450–456.
こちらは送信専用のフォームです。氏名やご自身の病気の詳細などの個人情報は入れないでください。
この記事をシェアする
治療が必要な患者様へのお願い
過活動膀胱
の方は説明を必ずお読みください
こちらのQRコードを
スマーフォンのカメラで読み取ってください
QRコードを読み取るだけ 非接触で安心
一問一答なので 読むのが簡単
どんな治療をするべきか 納得して取り組める
ユビー病気のQ&Aとは?
現役の医師が、患者さんの気になることや治療方法について解説しています。ご自身だけでは対処することがむずかしい具体的な対応方法や知識などを知ることができます。
病気・症状から探す医師・医療機関の方はコチラサービスの目的と位置付け
ユビー病気のQ&Aは、情報提供を目的としたサービスのため、医師・医療従事者等による情報提供は診療行為ではありません。
診療を必要とする場合は、医師・医療機関にご相談ください。
当サービスは、信頼性および正確な情報発信に努めますが、内容を完全に保証するものではありません。
情報に誤りがある場合は、こちらからご連絡をお願いいたします。