尿路結石ではどのような薬を使いますか?

対症療法薬として鎮痛薬を使います。石を出しやすくする内服薬を使用することもあります。

解説

上部尿路結石の場合

結石による痛みの発作が生じることがあるため、症状が出た時に鎮痛薬を使用します。また、治療を行う施設によっては尿路結石排出促進薬を使用することもあります。自然排石後や手術後などに結石を予防するために使用される内服薬もあります。

屯用薬

結石による発作では、背中や脇腹、下腹部などに痛みの症状を生じたり、吐き気や嘔吐などの消化器症状を起こしたりすることがあります。

痛い時に使用する薬には

以下のような薬が使用されます。

  • ロキソプロフェンやセレコキシブなどのNSAIDs
  • アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬
  • ペンタゾシンなどのオピオイド系の鎮痛薬

なお、基本的にはロキソニンの座薬がよく効くことが多いですが、日本の現在のガイドラインでは、妊娠中の方や妊娠の可能性のある方にNSAIDsは処方してはならないとされていますので、当てはまる人は医療者に伝えてください。また、アスピリン喘息のある方も喘息発作を生じる可能性があるので、医療者に伝えてください。
その他、フロプロピオンなどの鎮痙薬や、芍薬甘草湯などの漢方でも痛みが治まることがあります。研究レベルでは、降圧薬で使用するカルシウムブロッカーや、前立腺肥大症で使用するα1ブロッカーも、尿管の平滑筋を緩めて痛みを緩和するという報告があります。

吐き気のある時に使用する薬

以下のような薬が使用されます。

  • メトクロプラミドなどの吐き気止め
  • ブチルスコポラミンなどの鎮痙薬

常用薬

尿路結石排出促進薬

結石の自然排石を促進する薬剤があり、こちらを飲むことがあります。エビデンスが不足しているものや保険適用にならないものもあるので、担当の医師とよく相談しましょう。具体的には以下のようなものが挙げられます。

  • ウラジカロエキス配合薬
  • コスパノンなどの鎮痙薬
  • 猪苓湯などの漢方薬
  • カルシウムブロッカー
  • α1ブロッカー(タムスロシン)
再発予防のお薬

シュウ酸カルシウム結石や、リン酸カルシウム結石、尿酸結石やシスチン結石などの抑制効果もあるクエン酸製剤が用いられます。また尿酸生成抑制薬も、高尿酸血症が尿酸結石だけでなくシュウ酸カルシウム結石も合併しやすい病気であることから、有効性があります。その他、サイアザイド系と総称される利尿薬についても、尿路結石の再発予防効果を伝える報告があります。

下部尿路結石の場合

基本的には自然排石しないことが多いですが、以下のような薬を用いて治療することがあります。

男性の場合

前立腺肥大症や神経因性膀胱に対する治療を行います。結石の刺激で過活動膀胱とよく似た症状を呈するため、過活動膀胱と同様の治療を行う場合もあります。

  • 前立腺肥大症の薬(α1ブロッカー、PDE5阻害薬、5α還元酵素阻害薬など)
  • 神経因性膀胱の薬(α1ブロッカーなど)
  • 過活動膀胱の薬(β3作動薬、抗コリン薬など)

女性の場合

神経因性膀胱があることが多く、神経因性膀胱に対する治療等をします。結石の刺激で過活動膀胱とよく似た症状を呈するため、過活動膀胱と同様の治療を行う場合もあります。

  • 神経因性膀胱の薬(エブランチル(α1ブロッカー))
  • 過活動膀胱の薬(β3作動薬、抗コリン薬など)

公開日

最終更新日

東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科

秋元 隆宏 監修

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