尿路結石を放っておくとどうなりますか?

自然に石が放出されることもありますが、腎機能が悪くなっていく可能性もあります。

解説

尿路結石は、結石のできた場所によって上部尿路結石(腎結石、尿管結石)と下部尿路結石(膀胱結石、尿道結石)に分けられます。尿路結石を放置したあとの経過は、結石がどこにできたかによって異なります。

上部尿路結石の場合

結石が小さければ、自然と体外に出る(排石される)可能性があります。特に結石の大きさが8mm以下であれば、自然と排石される可能性が高いです。また、10mm未満の結石であれば6割程度の確率で4週間以内に自然排石されるとの報告もあります。
以下のような場合には、自然な排石を待たずに積極的な治療を行うことが望ましいです。

  • 結石が大きい(10mm以上)
  • 何らかの症状が生じている
  • 糖尿病などの基礎疾患があり、感染症になりやすい
  • 尿管が複雑に走行している

なお、自然に排石した場合とそうでない場合のその後の経過は以下の通りです。

自然に排石した場合

再発しなければ、特に再び症状が起こることはありません。再発の可能性は結石の成分によっても異なりますが、最も起こりやすいシュウ酸カルシウム結石の場合、5年以内の再発率が約45%と言われています。
また稀ではありますが、尿管が細くなることで水腎症(腎臓の一部である腎盂が膨らむ)や水尿管(尿管の上流が膨らむ)が起こることがあります。

自然に排石しなかった場合

1ヶ月以上排石しないまま放置してしまうと、腎機能が悪化したり発熱を伴う尿路感染症を発症したりすることがあります。結石のサイズなどにより積極的な治療も検討したほうがよいでしょう。

下部尿路結石の場合

下部尿路結石も、結石の大きさが小さければ自然排石が期待できます。ただし、膀胱結石は前立腺肥大症や神経因性膀胱などの排尿障害が続くなかでできることが多く、自然には排石されにくい傾向にあります。また、頻尿や排尿時痛、下腹部の違和感などの症状が生活の質を悪化させる可能性があります。
自然に排石された場合とそうでない場合のその後の経過は以下の通りです。

自然に排石した場合

再発しなければ、その後症状が悪化することは基本的にありません。慢性的な膀胱炎を起こしている可能性もあるため、一度泌尿器科を受診して調べてもらうことをおすすめします。また、がんや治療可能な排尿障害がないかどうかも併せて診てもらうとよいでしょう。

自然に排石しなかった場合

放置してしまうと、徐々に石が大きくなって、頻尿排尿時痛といった症状をより起こしやすくなります。また、尿道バルーンカテーテルが入っている方の場合、バルーンが割れやすくなるなどの症状が出ることもあります。生活の質に影響する場合もあるので、一度泌尿器科を受診して、積極的治療の必要性も含めて医師と相談しましょう。

公開日

最終更新日

東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科

秋元 隆宏 監修

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