尿路結石

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尿路結石におすすめの飲み物や食べ物はありますか? やってはいけないことはありますか?

東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科

秋元 隆宏 監修

麦茶などシュウ酸の少ない水分がおすすめです。また、カルシウムを多く含む食品を少し多めに食べることもおすすめです。

解説

尿路結石の中でも特に腎結石や尿管結石などの上部尿路結石は、再発させないことが重要です。以下では、再発をなるべく防ぐためのおすすめの飲み物や食べ物、やってはいけないことや注意すべきことを紹介します。

おすすめの飲み物

上部尿路結石で最も頻繁に見られるのがシュウ酸カルシウム結石などのカルシウム結石(90%程度)です。次いでリン酸マグネシウム結石がよく見られ、尿酸結石、シスチン結石などがそれに次ぎます。それぞれが混じって存在していることもあります。
以上のことから、結石の成分にもよりますが、シュウ酸の摂取量は減らしたほうがよいとされています。
シュウ酸は食べ物にも含まれますが、飲み物にも入っています。特に玉露や抹茶などの緑茶、紅茶やコーヒー、ココア等には比較的多くのシュウ酸が含まれますので、水分を摂る際はシュウ酸が比較的少ない麦茶などがおすすめです。また、緑茶の中でもほうじ茶は比較的シュウ酸が少ないです。
なお、再発予防のためには1日の尿量が2Lを超えるようにするとよいと言われています。食事にも水分は含まれていますが、その他に1日1.5〜2L程度の水を飲むことが推奨されています。夏など外気温が暑い時は、特に脱水に注意して適度に水分を摂ってください。ただし水分の摂りすぎは、一部の心不全や低ナトリウム血症などで水分制限されている方はもちろん、頻尿などのある方には勧められません。
その他、カルシウムを多く含む牛乳などは、少し多めに摂取することで再発率を下げられることが報告されています。カルシウムの摂取量を増やすと、消化管の中でカルシウムとシュウ酸と結合することで、シュウ酸の吸収率が低下します。

おすすめの食べ物

カルシウムが多めの食品

尿路結石の成分で一番多いのがシュウ酸カルシウムですが、食事でカルシウムの摂取量を増やすと、消化管の中でカルシウムとシュウ酸が結合することで、シュウ酸の吸収率が低下することが知られています。そのため、カルシウムを多く含む食べ物を少し多めに摂取することで再発率を下げることが報告されています。
具体的には以下のような食品がおすすめです。

  • 乳製品
  • 大豆食品
  • 魚介類

やってはいけないこと、注意すべきこと

まず、決して痛みなどを我慢しすぎてはいけません。我慢しすぎて病状がかなり悪くなってから病院にいらっしゃる方も多いため、基礎疾患がある方などは特に早めに受診されることをおすすめします。
また、一般に注意すべきポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。

脱水

結石は暑い時期や脱水時に生じやすいことが知られています。夏などの暑い季節や汗をかきそうな時は、いつもよりも多めに水分を摂りましょう。

塩分の過剰摂取

一般的に、塩分は過剰に摂らないほうがよいと言われています。塩分の摂りすぎは尿路結石だけでなく、高血圧むくみなどにも影響します。病院等に栄養相談室があれば、いろいろな工夫を教えてくれるので相談してみましょう。

生活習慣病

高血圧糖尿病高脂血症肥満、メタボリックシンドロームは、尿路結石の発症に関係している可能性があります。それぞれの疾患をお持ちの方は、食事や運動に加え、内服加療などもご検討ください。できれば体重も標準体重(BMI=22)や軽度肥満の基準(BMI=25)以下を目標に減らすことが望ましいです。

また上記の他に、結石の成分別で注意すべきポイントもあります。

シュウ酸カルシウム結石

結石で一番多いのがシュウ酸カルシウム結石です。シュウ酸カルシウム結石の予防には、シュウ酸の摂取を控えることが有効とされています。
シュウ酸が多い食べ物としては、ほうれん草などの葉菜類の野菜、バナナ、チョコレートなどが挙げられます。また、シュウ酸が多い飲み物としては、玉露、抹茶、紅茶、コーヒー、ココア等が挙げられます。これらの食品は、カルシウムの多い鰹節や牛乳、しらす、チーズなどを一緒に摂取すると、シュウ酸とカルシウムが腸の中で結合し、シュウ酸の吸収率が下がると言われています。また、ほうれん草など、シュウ酸の入った葉菜類の野菜はゆでることでシュウ酸の摂取量を減らせるとも言われています。
日頃からカルシウムの多い食品を適度に摂取して、カルシウム摂取量を増やすこともよいとされています。

尿酸結石

尿酸結石の予防のためには、プリン体の多い食品の過剰摂取を控えるとよいようです。プリン体の多い食品としては、肉類や魚介類、干物類が挙げられます。ただし、低プリン体の食べ物自体がそもそもあまりないので、重要なのは食べ過ぎそのものを控えることと言えます。また、アルコールはそれ自体にプリン体が含まれるものもありますが、それ以外に体の反応として肝臓でプリン体を作り出す効果もあるので、お酒の飲み過ぎにも注意しましょう。

個人の見解

多量に飲水すると頻尿(昼間頻尿、夜間頻尿)になります。夕方から就寝前にたくさん飲むと夜間に尿が作られやすいので、水分のとり方にも注意しましょう。

おすすめのQ&A

左腹部と背中の痛みあり、膵臓が心配です。何科を受診すべきでしょうか?

お腹の痛みがあり、どの科を受診すればよいか教えてください。痛みは左側の上腹部から下腹部、みぞおちにかけてで、もう2ヶ月くらい続いています。徐々に悪化しています。背中の痛みや便秘、吐き気もあります。膵臓に問題があるのか心配です。以前も同じような症状でいろいろな科を回されました。どの診療科に行けばよいか教えてください。

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60代 / 女性

2ヶ月も腹痛があり心配ですね。 いただいた情報をもとに精一杯回答させていただきます。

大腸、膵臓、腎臓などの病気の可能性

まず、あなたが経験している2ヶ月前から始まり、徐々に悪化している左上腹部から下腹部にかけての腹痛、便秘、背中の痛み、そして吐き気は、いくつかの疾患の可能性を示唆しています。 最も注意すべき疾患としては大腸憩室炎、虚血性大腸炎、閉塞性大腸炎、大腸癌、脾梗塞などです。その他の疾患の候補としては、慢性膵炎、尿管結石、腎盂腎炎、腹部大動脈瘤、細菌性胃腸炎などが挙げられます。これらの病気は、あなたの症状と一致する可能性があります。膵臓との関連についてのご質問がありますが、膵臓の問題、特に膵炎もこのような症状を引き起こす可能性があります。

消化器内科や総合内科を受診しましょう

受診すべき科については、症状の範囲と重篤さを考慮すると、消化器内科、または総合内科が適切です。 これらの科では、血液検査、腹部エコー、CTスキャンなどを用いて、正確な診断を下すことができます。特に、腹痛が非常に強く、吐き気・嘔吐があり、症状が悪化していることから、早急な医療機関への受診が推奨されます。重篤な疾患を示唆する兆候としては、痛みの強さ、症状の持続時間、吐き気・嘔吐の頻度、便秘や背中の痛みなどがあります。これらの症状は、内臓の重大な問題を示している可能性があり、特に腸穿孔などは、放置すると生命を脅かす可能性があります。

受診の目安として、痛みが強く持続している、吐き気・嘔吐がある、便秘や背中の痛みが伴う場合は、これらが内臓の重大な問題を示している可能性があるため、早急に医療機関を受診することが重要です。

この度は、ユビーかんたん医師相談でご相談いただきありがとうございます。ほかにも気になることがございましたら、いつでもご相談ください。

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左脇背部の軽い痛みがあります。様子見してもよいでしょうか?

3日前から右上腹部の痛みが突然でてきました。立ち上がったり、身体を動かしたりすると痛みがでます。左脇腹や背中も少し痛くなってきています。痛い場所は指で示せるほど限られています。昨日、消化器内科でエコー検査を受けましたが、特に異常は見つかりませんでした。明日は泌尿器科の受診予定で、尿に潜血があり漢方薬を処方されています。2週間前のエコー検査でも異常はありませんでした。不安障害で精神科にも通院中です。最近、勉強で忙しくストレスが多いです。明日の泌尿器科受診まで待っても大丈夫でしょうか?

質問者のイラスト

60代 / 女性

3日前に突然始まった右上腹部の肋骨の痛みについてのご相談ですね。 いただいた情報をもとに精一杯回答させていただきます。

筋肉や骨、神経の痛みが考えられます

すでに消化器内科を受診しエコー検査を受け、異常が見つからなかった点、動作や体勢・姿勢を変えたときに痛みが悪化する点から、内臓の問題よりも、筋肉や骨、神経が原因の痛みが想定されます。 痛い場所は指で示せるほど限られているということも踏まえると、考えやすいのは以下の4つです。

肋骨骨折

覚えていないような軽微な外傷でも、肋骨にヒビが入っているということはあります。整形外科を受診して、診察を受けることをお勧めします。

帯状疱疹

今のところ患部に赤みはないとのことですが、帯状疱疹は、痛みが出現してから数日後に特徴的な発疹(赤く腫れ、水ぶくれができる)が現れることが多いです。また、帯状疱疹は一般的には体の半分側だけ(右だけ、あるいは左だけ)に出ることが多いです。なので、同じ痛みが左側にも出てきたことを鑑みると、可能性は下がるかもしれませんが、もし皮膚の異常が出てくるようなら、皮膚科を受診してください。

肋骨すべり症候群

肋軟骨や肋骨靭帯が緩くなり動きやすくなった肋骨が肋間神経にぶつかることで痛みを生じる病気です。身体をひねったり、前屈みになる動きで疼痛が誘発される場合が多いです。こちらも整形外科で診てもらうことができます。通常は痛み止めを飲むことで自然に良くなります。

前皮神経絞扼症候群、側皮神経絞扼症候群、後皮神経絞扼症候群

皮膚へと伸びる神経が締め付けられることで痛みを生じる病気です。局所麻酔薬を注射することでよくなることが多いです。内科、あるいは整形外科で診てもらうことができます。

泌尿器科は基本的には予定通りでよいと考えます

次に、尿潜血との関連、泌尿器科受診を急ぐかどうかについてです。 尿管結石は、突然背部に痛みが生じ、血尿が出ます。尿管結石の場合は、安静にしていても痛みが強いことが多いですし、少し可能性は低そうです。泌尿器科受診は予定通りで構わないと思いますが、もし痛みが急に強くなった場合や痛みの位置が移動した場合、肉眼的にも血尿が出ている場合は、すぐに救急病院を受診することをお勧めします。

まとめますと、まずは整形外科を受診して痛みについて相談してください。皮膚に異常があれば皮膚科です。泌尿器科は予定通りで構いません。もしこれらで異常が見つからなかったり、自然に良くならない場合は、心身症といって心理的なストレスなどが痛みを誘発している可能性も考えられます。すでにかかっている精神科で相談してみても良いかもしれません。

以下は、上記の病気に関連したご提案です。骨折の有無に関わらず、65歳以上の女性は、骨粗鬆症がないかを調べるための骨密度検査を受けることが勧められています。整形外科を受診した際に、骨密度検査について相談してみることもご検討ください。また、今回の症状が帯状疱疹ではなかったとしても、50歳以上の方には予防のために帯状疱疹ワクチン接種が推奨されていますので、よろしければこちらもご検討ください。

この度は、ユビーかんたん医師相談でご相談いただきありがとうございますほかにも気になることがございましたら、いつでもご相談ください。

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