尿路結石ではどのような治療を行いますか?

発作による痛みがある時には痛み止めを使います。その後は結石の状況によって内科的もしくは外科的な治療を行います。

解説

治療方法は状況によって異なります。

痛みがひどい時

基本的には痛みのコントロールのために、座薬や内服、点滴の痛み止めを用います。吐き気や嘔吐を伴う時には、内服や点滴の対症療法薬を使用します。

感染症を伴う時

まず抗菌薬を使用します。上部尿路結石があり、炎症反応が激しく、抗菌薬だけでは改善が乏しいと考えられるような結石性腎盂腎炎になっている時は、尿道の中に内視鏡を入れながら、尿管ステントという治療器具を通すことがあります。尿管ステントが通らない場合は、腎盂バルーンカテーテルを体表から留置して、腎盂の尿をそのまま体外に出るようにします(腎瘻)。
感染が激しいときに腎臓ごと外科的にとることは、あまり推奨されません。

痛みの発作がなく、炎症反応も落ち着いている時

結石が自然排石されない場合

外科的な手術や、体の外から衝撃波を当てる治療が検討されます。内視鏡を用いた手術では、主にレーザーを用いて結石を破砕します。

上部尿路結石(腎結石や尿路結石)の場合

石の大きさや位置、体の状態、入院期間の希望などを考慮して下記の治療を行います。

  • 経尿道的腎尿路結石破砕術(TUL)

麻酔をかけた上で尿道から内視鏡を入れて、結石までアプローチします。その後、結石を目視しながらレーザーによる衝撃波で結石を砕きます。結石の回収も適宜行います。

  • 経皮的腎砕石術(PNL)

麻酔をかけた上で、体表から腎臓に向かって穴(瘻孔)を開け、そこから内視鏡を入れて結石までアプローチします。その後、結石を目視しながらレーザーや金属製の砕石機を用いて結石を砕き、結石の回収も適宜行います。

  • 内視鏡併用腎内手術(ECIRS)

麻酔下でTULとPNLを同時に行うことで、開腹手術をせずに安全に砕石率を上昇させる方法です。

  • 体外衝撃波結石破砕術(ESWL)

放射線で位置を確認しつつ、鎮痛薬などを使いながら、体表から弱い衝撃波を結石に収束するように当てて、収束した衝撃波で結石を砕く方法です。直接目視しながら実施できないため、1回で結石を破砕しきれない可能性などのデメリットもありますが、入院期間が短くて済むメリットがあります。

  • 開放手術

腎臓が萎縮している場合や、尿道から内視鏡を通したり皮膚に穴を開けて内視鏡を入れたりすることが困難な場合に、手術で結石を取り出す方法です。

下部尿路結石(膀胱結石、尿道結石)の場合

石の大きさや位置、体の状態、入院期間の希望などを考慮して下記の治療を行います。

  • 経尿道的膀胱砕石術(TUVL)

麻酔下で尿道から内視鏡を入れて、結石までアプローチします。その後、結石を目視しながらレーザーによる衝撃波や金属製の砕石機等を用いて結石を破砕します。結石の回収も適宜行います。

  • 膀胱切石術

尿道から内視鏡を通すことが難しい場合に、開腹手術で結石を取り出す方法です。

自然排石が期待できる場合

結石が自然に体外に出ると期待できる場合には、内科的な薬物療法が検討されます。

  • ウラジカロエキス配合薬
  • 漢方薬
  • その他の内服薬

公開日

最終更新日

東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科

秋元 隆宏 監修

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