強い腹痛を繰り返す、なかなか診断されない病気には何がありますか?
はい。腹壁の神経の病気や、腸管の血流に関わる病気、アレルギーの病気などの可能性があります。
一般的な原因ではないものの、繰り返し腹痛に悩まされる場合には以下のような病気の可能性もあります。
前皮神経絞扼症候群(ACNES)
痛みが、指一本程度に限局していて、咳・くしゃみ・かがむ・座るなどの動作で悪化するなどの特徴があります。命に関わるものではないですが、症状が強いときは局所麻酔を使うことがあります。
正中弓状靱帯圧迫症候群(MALS)
お腹の動脈が靱帯によって圧迫され、血流が悪くなることで腹痛、嘔吐、下痢などがみられます。この病気は、痩せている女性がやや多いです。息を吸ったり吐いたりした状態の超音波・CT・MRIなどで診断につながることがあります。
慢性腸管虚血(CMI)
動脈硬化や血管炎が原因で、腸の血流が悪くなることで起こります。食後の腹痛や吐き気、下痢などが起こり、月日とともに徐々に症状は悪化します。便に血が混じることもあります。CTで腸の血管を細かくみることで診断につながることがあります。
上腸間膜静脈血栓症(SMVT)
腸の静脈に血栓ができることで、お腹の痛みがでたりでなかったりします。CTで腸の血管を細かくみることで診断につながることがあります。
食物アレルギー
特定のものを食べたあとにお腹の痛み、吐き気、下痢などが見られる場合、原因として食物アレルギーが考えられます。通常は、一日以内に治まることが多いです。
マスト細胞活性化症候群(MCAS)
アルコール、特定の食事、薬などをきっかけに、皮膚が赤くてかゆくなる、喉や胸の違和感、腹痛などがみられます。腹痛だけでなく皮膚症状が一緒にあらわれることが典型的です。
血管性浮腫(クインケ浮腫)
血管性浮腫は、皮膚の深い層にある組織が腫れる病気で、これが腸管に起こった場合に腹痛が生じます。時に、救急外来を受診したり、手術を検討されたりするくらいに強い症状が起こることがあります。じんましんや、目、唇の腫れなどを伴うことがあります。遺伝性血管性浮腫では、じんましんなどの他の兆候なしに、数日続く強い腹痛が起こることがあります。
急性肝性ポルフィリン症
遺伝的に、体の肝臓や骨髄の中での酵素の働きに異常があり、腹痛発作や、しびれなどの神経の症状を発作的に起こすことがあります。15~45歳頃の女性に多いとされます。
家族性地中海熱
発熱、腹痛、関節痛などを発作的に繰り返す病気です。家族性と名前にあるように遺伝が関係しますが、家族歴がない場合もあります。
一般的な腹痛の原因についてはこちらのQ&Aを参考にしてください
公開日:
最終更新日:
東日本橋内科クリニック 循環器内科 院長
白石 達也 監修
(参考文献)
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