心房細動

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心房細動が原因で脳梗塞になる可能性はどのくらいありますか?

東日本橋内科クリニック 循環器内科 院長

白石 達也 監修

高血圧や糖尿病などリスクがあればあるほどなりやすいです。

解説

以下にあてはまる数が多いほど脳梗塞になりやすいです。

  • 心不全
  • 高血圧症
  • 高齢(75歳以上)
  • 糖尿病
  • 脳梗塞の既往

CHADS2スコアというどれだけ心房細動の方が脳梗塞のリスクがあるかをみるスコアがあります。
上記のリスクを一つ一点として、脳梗塞発症率(年間)は以下になります。

  • 0点:1.9%
  • 1点:2.8%
  • 2点:4.0%
  • 3点:5.9%
  • 4点:8.5%
  • 5点:12.5%

1点以上のスコアの方は血をサラサラにする薬を飲むことが推奨されています

おすすめのQ&A

心房細動の薬物治療中です。最近、不整脈や動悸が増えています。色々気になることがあって質問します。

8年前から心房細動の薬物治療中です。突然、脈の乱れ、強めの動悸などがあり、すぐ治まる時や半日以上続くことがあります。30歳代で、人間ドックで「WPW症候群」と指摘され、その薬物治療したのですが、尿が出なくなり医師からすぐやめるように言われ、その後は治療も行わずいました。 8年前に不整脈の症状が多くなり、その時は心電図から「心房細動」と言われWPW症候群はないと言われました。 現在はベプリジル100mgを日に2回、他にフルバスタチン、フェブキソスタットなど飲んでいます。一月前から症状が増えてきて、先日頓服でピルジカイニドいただきました。半日以上動悸が強かった時に服薬しましたら30分ほどで治りました。CHADS2スコアにかからないので今のところ薬物治療とのことです。強い症状は月に2〜3回発作があり、そのほか軽い症状ですぐ治まる症状はそれより多くあります。 以下のことがお伺いしたく、「wpw症候群が消えてしまい、心房細動に移行することはあるのか」「CHADS2スコアにかからないので今のところ薬物治療ですが、ずっとこのままで良いのか。薬物治療で今後悪化することはあるのか」「カテーテルアブレーションは何歳ごろまで可能か。危険性があるか」「カテーテルアブレーションは完治するのか。完治しない場合は薬物治療になるのか、完治せず今より症状が悪くなることはあるのか」についてご回答をお願いします。

質問者のイラスト

60代 / 男性

詳細に状況を教えてくださりありがとうございます。ご質問に一つずつ回答させていただきます。

wpw症候群が消えてしまい、心房細動に移行することはあるのか

WPW症候群自体は、心臓の中の電気の通り道が余分にある(副伝導路といいます)ことで心電図が通常と変わって見えるのですが、この副伝導路が自然になくなってしまうことはなく、一時的に心電図に現れてない状態なのではないか?(=心電図上は消えているようにみえる状態)と考えます。

WPW症候群がある場合、10〜30%程度の方に心房細動がでると言われています。

移行した、というより、WPW症候群は一時的に心電図で見えない状態で、心房細動は新たに出てきたものと考えます。

CHADS2スコアにかからないので今のところ薬物治療ですが、ずっとこのままで良いのか。薬物治療で今後悪化することはあるのか

まずCHADS2スコアは、心房細動そのものの重症度を示すスコアではなく、心房細動によって血栓ができるリスクを表すスコアになります。

このCHAD2スコアがゼロであれば、血をさらさらにする薬を必要とせず、1点以上であれば血をさらさらにする薬を飲むか考慮します。

心房細動自体は徐々に頻度や持続時間が増えてくることが一般的です。抗不整脈薬(ペプリコールやサンリズム)を飲むことで長年でてこない、という方もいらっしゃいますが、だんだん増えてきているということですと、ずっと同じ治療を続けた場合は、徐々に心房細動の頻度が増えて、逢とんどの時間が心房細動になるときが来ると考えられます。

カテーテルアブレーションは何歳ごろまで可能か、カテーテルアブレーションは完治するのか、完治しない場合は薬物治療になるのか

正確にはカテーテルアブレーションを行う医師と一度話してみたほうが詳細はわかります。(心臓の形なども調べた上でカテーテルアブレーションは治療方針を決定します。)

基本的にはお元気で体力があればガイドライン上の年齢制限はありませんが、体力がない・心臓のほかの病気がある・一定以上高齢ですと、稀ではありますが、心タンポナーデなどの危険な合併症のリスクがあがります。施設によってある程度このくらいの年齢まで、というような目安を設けているところもあります。

また心房細動が進行した状態ですとカテーテルアブレーションを行った後に再発するリスクも高くなりますので、ある程度の発作の頻度の状態でカテーテルアブレーションを受けることが望ましいです。完治して薬が不要になることもありますがその見込みは詳細な検査を受けた上でカテーテルアブレーションを行う医師に尋ねることが望ましいです。

カテーテルアブレーションで完治しない場合、あるいは受けない場合は、薬で治療を継続します。

昨年も夏に症状が多く出てのですが、暑さ、仕事のストレスなどで症状が一時期悪化することはあるのか

脱水などが原因で心房細動の頻度は増えます。またストレスや寝不足なども関係します。水分摂取などは意識的にしていただくことが望ましいです。

カテーテルアブレーションなどは数日の入院も必要ですし、心臓の手術となるとかなり怖いと感じられると思いますが、近年はかなり安全性も高まり、成功率も高まっています。

まだ60歳代で平均寿命までまだまだある状況ですので、心房細動をカテーテルアブレーションで治療するメリットも大きい段階です。あらためて詳細な話を、かかりつけ医やあるいはカテーテルアブレーションを行う医師に聞いてみてもいいのではないかと考えます。

お大事になさってください。

医師の回答を見る

動悸が止まらず、心房細動かどうか知りたいです。カテーテル検査やホルター心電図の結果を教えてください。

心房細動かどうか知りたいです。 3年前に胸の痛みでカテーテル検査をしました。冠攣縮性狭心症と言うことで循環器に通いジルチアゼムを服用しています。 2ヶ月ぐらい前に胸の痛みが何度かありましたので、CTと心エコーを撮りましたが、異常はなく、朝1カプセルのジルチアゼムを夜にも飲むようにと言われました。 そうしましたら、痛みは起きなくなりましたが、今度は動悸が1日中してドキドキが止まらないので、ホルター心電図を1日付ける検査をし、心エコーも撮りました。 心エコーでは、心臓の動きがゆっくりと言われました。 不整脈は12,000回ありましたが、危険な不整脈ではないとのことで、メキシチールカプセル100mgをジルチアゼムと共に朝夕1カプセルずつ飲んでいます。 ドキドキは2週間位で少なくなりましたが、まだ今も1日の内で2〜3回短時間はドキドキがあります。 持病は片頭痛持ちで予防薬のアイモビークの注射をひと月に1回打っています。 頭痛時にはトリプタン製剤は血管を拡張するので心臓に良くない為、拡張しないクリアミン錠を飲んでいます。 反対に胸が痛い時にはニトロは使えません。 舌下に入れて1分ぐらいで頭痛がしてきて、それがきっかけで片頭痛の方に移行してそれ以降は頭痛が、ひどくて3〜4時間は起き上がれません。 でも頭痛になってもいいぐらいの胸の痛みになったらニトロ使います。 宜しくお願い致します。

質問者のイラスト

60代 / 女性

こんにちは。ご相談いただきありがとうございます。攣縮性狭心症と片頭痛の両方があり、薬の選択に制限がある中で大変かと思います。

心房細動について

今回、動悸について心房細動かどうかということですね。まず、心房細動かどうかについてお答えします。

「ホルター心電図を1日付ける検査をしました。心エコーも撮りました。心エコーでは心臓の動きがゆっくり(弱い)とは言われました。不整脈は12,000回ありましたが危険な不整脈ではないとのことでメキシチールカプセル100mgをジルチアゼムと共に朝夕1カプセルずつ飲んでいます。」

正確にはホルター心電図の波形がないと判断できないところですが、医師のコメントと処方内容から察するに、これは心房細動ではなく、おそらく心房期外収縮あるいは心室期外収縮ではないかと考えます。

期外収縮については、基本的に放っておいても問題がないのですが、症状が強い場合や、あまりに期外収縮の頻度が多いために心臓の機能が低下する場合(かなり稀です)などに治療を行います。

ご記載の治療薬についても、片頭痛や攣縮性狭心症のことが考慮されているようで、おそらく主治医の先生もよく悩まれて処方されているのではないかと推察いたします。

ホルター心電図の所見についても改めて主治医の先生に「心房細動ではないのですか?」と聞いてもよいかもしれません。

どうぞお大事にしてください。

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横になると心臓が「ドクン」とするが心電図では異常がありません。安心しても大丈夫でしょうか?

横になると心臓が「ドクン」と一度強く打つ感覚があります。頻脈や徐脈ではありませんが、普段から心拍数が90以上になると動悸のように感じるため、ビソプロロールを10年ほど服用しています。心電図やホルター心電図では大きな異常は見つかっておらず、期外収縮も数十回程度と言われています。 しかし、ここ1ヶ月ほど、横になると心臓が一度「ドクン」と強く打つことが増えました。不安を感じないようにソラナックスを服用していますが、それでも心臓が「ドクン」となる度に恐怖を感じ、不安になります。何度も脈拍を測ったり、Apple Watchで洞調律を確認していますが、心房細動の兆候は見られません。これで安心して良いのでしょうか? 脈が飛んでいるような、心臓が一度不規則に打つ感覚ははっきりと感じます。1度の心電図や1日のホルター心電図では異常が出ないため、いつも「心配ない」と言われてしまいます。先月は2回ほど波形が落ちているところがありましたが、「この程度では心配ない」と言われ、それがまた不安の原因となっています。 ここ1週間ほど、心臓が「ドクン」となる回数が増えています。息苦しさや胸痛はありませんが、脈拍は90〜110になることもあります。よろしくお願い致します。

質問者のイラスト

50代 / 女性

ご相談ありがとうございます。

心臓がドクンとなる症状について

「横になると 心臓が1度ドクンと」「心電図やホルダー心電図では 大きな異常なし」「期外収縮は数十回程度」

という状況から、期外収縮はでている(あるいは出ていなくても心臓の鼓動を大きく感じてしまう、ということはあるのですが)のだろうと推察いたします。期外収縮自体は基本的に放置して問題ありません。もちろん、ご症状に合わせて、ビソプロロールなど期外収縮を抑える薬を出すことはあります。1日数十回ほどであるとすると、糖尿病など病気のない方とほぼ変わりない状態でお薬も良く効いているのではないかと思います。(もし飲む以前から数十回程度であるとすると、それは尚よいことです)

ただ、ドクンとなると不安になる、というのはとても厄介で、一度気になりだすと常に気になってしまうのではないでしょうか。特に横になったり、落ち着いたりしたときに気になるので曲者です。薬を飲むのもよいのですが、他の動作を行って気を紛らわすなどのほうが効果的なこともあります。

ホルター検査について

「ホルターを行った時にたまたま出ない」という点に関してですが、問題になる不整脈であれば、症状がないときのホルター心電図であっても、ある程度徴候がみられることが一般的です。

「先月は 2回ほど 波形が落ちているところがあるが この程度では心配ないと言われてそれがまた不安になっています。」

こちらについて、推察になってしまいますが、期外収縮などで、脈が一時的に飛ぶ・波形上落ちているように見えることもとてもよくあります。そしてそれについては特に心臓に問題があるものではありません。

まとめ

ご症状や、客観的な検査結果からは、特に心臓に問題を引き起こす状況ではないように見受けられます。期外収縮自体はどうしても気になってしまうときはあるのですが、基本的に放置してよいものです。AppleWatchや、ご自身で脈を測ってくださったり、素晴らしいと思います。客観的にアラートが上がらない(正常であるとでる)場合には、問題のある頻度で何か不整脈がでているということは疑いづらいです。改めてかかりつけの先生の話も信じて様子をみてよいのではないかと考えます。その上で、どのくらいでホルター心電図などのフォローアップを行うかなどかかりつけの先生と相談されると良いと考えます。

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心房細動のカテーテルアブレーション後の眩暈と失神の原因と、適切な診療科を教えてください。

心房細動のカテーテルアブレーションを受けた後、眩暈の症状が出始めました。何回か失神もしています。かかりつけの循環器内科では、心臓には問題がないと言われました。他に失神の原因として考えられるものはありますか?また、どの科を受診すべきでしょうか?

質問者のイラスト

80代 / 男性

ご相談ありがとうございます。6月、まさに最近に心房細動に対してのカテーテルアブレーション治療を行なった後からめまいや、失神の症状がでているのですね。

受診すべき診療科について

まず受診すべき診療科についてお答えしますと、基本的に失神は循環器内科の医師が専門としてみることが多く、やはり循環器内科で引き続きご相談頂くことが良いです。

因果関係ははっきりしないですが、カテーテルアブレーション後(その以前からもありましたでしょうか?)からそうした症状が起こっている、ということであれば、どのような手術であったかも重要になりますのでカテーテルアブレーション治療を行なった医師に「手術が関係しているとは言わないが、とにかく失神を繰り返して困っている。それをなんとかしてほしい。」ということをお伝えくださることがよいと考えます。

どういった原因が考えられるのか

失神する、ということは、一時的に頭への血流が低下することで起こります。

血流が低下するような原因としては以下のようなものが挙げられます。

不整脈

不整脈の中に、一時的に脈が遅くなる・ゆっくりになりすぎることで血流が低下してしまうものがあります。洞不全症候群や房室ブロックというものになります。

これはご年齢を考えるとカテーテルアブレーションとは関係なく、いま出現しても不思議ではありません。

これは、失神をしたまさにその時の脈を1日つける心電図などで確認することで診断されます。

狭心症

動脈硬化によって、心臓の血の巡りが悪くなり、胸の痛みなどがでる病気です。基本的には胸の痛みや苦しさという症状になりますが、まれに失神・めまいという症状になる方もいます。

病院にもよりますが、カテーテルアブレーション治療前後で心臓の血流を検査していることがあります。そちらの結果が問題なければ心配はしなくてよいものになります。

脳の動脈硬化

まれに、脳の根本あたりの血管(脳底動脈など)が狭くなっていることで、脳全体の血流が低下しやすくなっていることがあります。こちらは頭のMRIなどで確認できます。

脱水

夏場に入り体の水分が少なくなることでふらつきやめまい、時に失神につながることがあります。こちら単独で問題を起こすこともありますし、脱水があることで他の病気を助長することもあります。心不全や腎不全がある場合には水分摂取は制限も必要なので一概に言えませんが、特に病気がないならば1日に1.5L以上は水分摂取することが望ましいです。もし心不全や腎不全がある場合は、必ず治療している医師にどのくらいの水分摂取がよいか確認してください。ちょうどいい水分量でないと心不全や腎不全は悪化してしまいます。

迷走神経反射

食事・お手洗い・立ち上がったときなどのタイミングで、一時的に副交感神経が活性化されたり、血圧の調整がうまくいかず、一時的に脳への血流が低下することがあります。

失神するタイミングにいつも行なっていたことなどありますでしょうか?

この場合には、脱水にならないように水分摂取をしておくこと、足の筋力を鍛えること、ゆっくり立ち上がる、お手洗いや食事の時はある程度失神を起こす可能性があると思って準備する、などが必要になります。

まとめ

基本的には失神は循環器内科が得意とする症候になりますので、「手術と関係あるかどうかは別として、失神に困っている」ということをお伝えくださることが勧められます。(実際、手術が関係しているのか、たまたま同様の時期に新しい病気がでたのか判別できないことがよくあります。「心臓に問題ない」というご発言からは手術自体は大きな合併症なく終わったのだろうとひとまず安心しております。)

また、失神した状況がどういった状況であったかは、失神の原因を類推することにとても重要ですので、可能な範囲で記録をとってお伝えくださることが重要です。

その上で、必要に応じて、1日つける心電図などの症状出現時の心電図状態を調べる検査や、心臓の超音波、頭のMRIなどは検討頂くことがよいと思われます。

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