多系統萎縮症を患っている場合、便秘と下痢の繰り返しにどう対処したらよいでしょうか?

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50代男性のご相談

最近、便秘が特に気になります。私は多系統萎縮症を患っており、便秘が非常に酷い状態です。便が出ない日が続くことが普通で、14日間も出ないことがあります。しかし、浣腸をすると酷い下痢になってしまいます。現在、高カロリー輸液で栄養を摂取しており、食べ物や飲み物は摂っていません。このような状況で、便秘と下痢の繰り返しにどう対処すれば良いか、アドバイスをいただけると助かります。
医師の回答

ご相談ありがとうございます。多系統萎縮症の影響で便秘がひどく、浣腸を使用して出始めると下痢になるという状態でお悩みと理解しました。

便秘について

まず、便は、通常は口から入った食べ物が胃腸を通して細かく消化され、小腸で栄養分を吸収、残った残渣(ざんさ:吸収されなかったもの)が大腸で水分を吸収されて固形になっていき、便塊として排泄されます。また、便は残渣の他に、腸内細菌の死骸も含まれます。

あなたのように、口から食べ物を摂取していなくてもある程度便が出るのは、腸内細菌の死骸が便となっているためです。ただし、固形物は食事をとっている場合より圧倒的に少ないため、塊の便になりにくい、便の量が少ないということは言えます。

多系統萎縮症は、自律神経障害があり、排便や排尿をコントロールする神経がうまく働かないという状況をきたします。そのため、腸の動きが悪くなる、適切なタイミングで腸が動かないといった蠕動不全という状態がおこります。

直腸という肛門に一番近い部分にある程度便がたまらないと通常は便意を催さないため、便量が少ないため何日も出なくなってしまう、また便がある程度溜まっていても、それを感知する神経が弱っていて便意に繋がらないということがいえます。

便の量が少ない、便意を催さない、腸の動きが悪い、ということが便秘をもたらしていると言えます。

浣腸について

浣腸自体は、直腸に液体を入れて物理的に刺激する、溜まって硬くなった便に水分を入れて柔らかくして出しやすくするという作用があります。長期間便が出ていないと、肛門に近い方の便が硬くなり栓の状態になり、そこを浣腸で刺激すると、ダムが決壊したように最後は下痢が出てしまう、という現象がおこります。

本来であれば、何日も便を溜めず、数日に一回は排泄できるようにすることが症状を和らげることに繋がります。経口摂取をしていないという背景がある場合は、数日ではなく1週間程度に1回でも不快感(便秘による腹痛や腹部の張り、吐き気、下痢の辛さなど)がなければ許容されると思われます。

栄養摂取・治療について

経口摂取していない理由は、誤嚥の問題、消化不良の問題などが考えられそうですが、少量でも経口摂取あるいは経腸栄養(胃瘻や鼻からの管など)で直接腸を使うことが可能であれば、これらの栄養療法を試す価値はありそうです。腸内容物を増やすことは便を出す一つの手段にはなります。

また、腸の蠕動(動き)を促すような薬、例えばガスモチンや六君子湯などを試す、便を柔らかめに維持する薬、酸化マグネシウムなどで栓を作らないようにする、腸内細菌を整える整腸剤を使用するなどの薬物療法も有効な場合があります。

また、お腹のマッサージやお腹を温める、軽い運動が可能であれば体を動かすということも一般的な便秘を解消する対処法として挙げられます。

多系統萎縮症の進行程度で、自律神経障害がどの程度なのか、体を動かせるのかなどが変わってきますが、現状を加味してできる対処があるか主治医とよく相談する必要がありそうです。

脳神経内科で定期的に診療されていると思われますが、一度消化器内科で相談するのも手段かと思われます。多系統萎縮症の影響以外に大腸自体の病気が便秘の原因になっている可能性ももちろんありえますので、体の状態に合わせて内視鏡検査などを検討してもらうのもいいかと思われます。

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