乳がん(非浸潤性乳管がん)の術後経過観察について相談させてください。腫瘍の大きさが手術前後で異なる理由も教えてください。
40代・女性のご相談
この度は私たちを信頼してご相談いただき、心から感謝申し上げます。以下に、いただいた情報をもとにご質問にお答えいたしますね。
「先月に乳がんの手術を受け、退院後の診察で病理検査の結果、非浸潤性乳管がんと診断されました。手術前の検査では、非浸潤性乳管がんで大きさは1.5センチ、エストロゲンとプロゲステロン受容体が陽性、HER2が陰性、Ki67が10%と言われていました。しかし、実際に手術をしてみると、腫瘍の大きさが7センチだったと聞いて驚きました。乳頭乳輪を残す手術を受けたのですが、がんは取り切れたとのことで、乳房温存手術にしなくて良かったと言われました。取り切れているので、術後の補助療法は不要と言われましたが、腫瘍が大きかったのにそのまま経過観察で大丈夫でしょうか?」
まず、病理検査の結果が「非浸潤性乳管がん」とのことですので、その診断をもとにお話ししますね。このタイプのがんは、腫瘍の大きさに関係なく、ステージ0とされます。この場合、追加の治療として考えられるのはホルモン治療と放射線治療です。
【ホルモン治療について】
非浸潤性乳管がんの場合、術後にホルモン治療を考えることがあります。特に、がんの悪性度が高い場合には、ホルモン治療が推奨されることがあります。すでにホルモン治療を受けていらっしゃるかもしれませんが、もし不明な点があれば、担当の医師に確認してみてくださいね。
【放射線治療について】
乳房温存手術を受けた場合、通常は術後に放射線治療が行われますが、乳頭乳輪を残す手術を受けた場合、がんが完全に取り切れていれば放射線治療は省略できることがあります。
まとめると、ホルモン治療を受けていると仮定すると、放射線治療は不要とされることが多いですので、経過観察で問題ないと考えられます。
「1月にエコー検査でがんが見つかったのですが、この3ヶ月でここまで大きくなったのでしょうか?それとも手術前の検査では分からなかったのでしょうか?思いの外、乳管に広がっていてその範囲が7センチということなのでしょうか?」
結論としては、「がんが急激に大きくなった」というよりも、手術前の検査では見えなかった部分が手術後の病理検査で明らかになったと考えられます。画像診断では、非浸潤性乳管がんの大きさが実際より小さく見えることがよくあります。乳管内に細長く広がることが多いためです。病理検査で非浸潤性乳管がんと診断された場合、サイズに関係なくステージ0とされます。
手術後に腫瘍が想定より大きかったことは、驚かれたことと思います。しかし、非浸潤性乳管がんの場合、サイズはステージに影響しませんので、どうか安心してくださいね。
以上がご参考になれば幸いです。医療用語が多く、不安に感じることもあるかと思いますが、詳しい検査結果が後日わかるとのことですので、何かご不明な点があれば、どうぞ遠慮なくお知らせください。あなたの健康を心から願っています。
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