直腸脱の初期症状は?直腸脱
監修医師吉岡 藍子消化器内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/08/10
直腸脱とは
骨盤や肛門の筋力が弱ったりすることで直腸が肛門より外に脱出してしまう病気です。
「直腸脱」とはどのような病気ですか?
直腸脱とは、直腸の一部が肛門の外側にとび出している状態のことです。
直腸脱とは、直腸の一部が肛門の外側に飛び出している状態のことです。直腸や膀胱、子宮などの臓器は、本来、骨盤の内側で筋肉や靭帯に支えられて正しい位置に保たれています。しかし、加齢・出産・慢性的な便秘によるいきみなどによって支える力が弱くなると、骨盤内の臓器が垂れ下がってしまうことがあります。このように骨盤内の臓器が垂れ下がっている状態を「骨盤臓器脱」と呼びます。
直腸脱は骨盤臓器脱のひとつであり、他にも次のような種類があります。
子宮脱
外陰部(デリケートゾーン)から子宮の一部、あるいは全体がとび出している状態
膀胱瘤(膀胱脱)
膀胱が垂れ下がり、膣の壁が膨らんでいる状態
直腸脱の症状
直腸脱ではどのような症状がありますか?
肛門の違和感や痛み、便や粘液が漏れる、出血、便秘などの症状があります。
直腸脱の症状として、次のものがあります。
自覚症状を上手に訴えられない高齢者の場合は、介護者によって発見される場合も少なくありません。また、直腸脱と似た病気には、いぼ痔(内痔核)が肛門の外側に飛び出る「脱肛」があります。気になる症状があれば、肛門科または消化器外科を受診しましょう。
直腸脱には初期症状はありますか?
強くいきんだ時だけ直腸の一部が肛門の外側にとび出て、いきむのを止めると自然に肛門の内側へ戻ります。
直腸脱の初期では、排便時に強くいきんだ時だけ直腸の一部が肛門の外側へ飛び出ることがあります。
その場合、いきむのをやめると自然に肛門の内側に戻ります。病状がさらに悪化すると、歩行時や入浴後などの状況で直腸が肛門の外側に飛び出し、手を使わないと自然に戻らなくなります。
他にも肛門の痛み、出血、便や粘液が漏れるなどの症状が現れます直腸脱が疑われる場合は症状を放置せず、早めに肛門科または消化器外科を受診しましょう。
参考文献
黒水 丈次ほか.“直腸脱はどんな病気”.日本大腸肛門病学会.https://www.coloproctology.gr.jp/modules/citizen/index.php?content_id=10%20%EF%BC%88%E5%8F%82%E7%85%A72025-8-26%EF%BC%89,(参照 2025-10-21).
.“肛門疾患・直腸脱診療ガイドライン2020年版(改訂第2版)”.日本大腸肛門病学会.https://www.coloproctology.gr.jp/uploads/files/journal/koumonshikkan_guideline2020.pdf,(参照 2025-10-21).
直腸脱の原因
直腸脱の原因は何がありますか?
直腸脱はさまざまな原因が関与していますが、慢性的な便秘と長時間のいきみが主な要因です。
直腸脱はさまざまな原因が関与しています。
先天的な要因
- 骨盤筋や肛門括約筋の発達異常
- 直腸の固定不全(骨盤内の固定が弱い)
- S状結腸が長い(直腸の固定性が低下)
後天的な要因
- 加齢
- 出産
- 慢性的な便秘
- 排便時の強いいきみ
これらの要因が絡み合い、直腸脱を発症すると考えられています。特に女性に多いのが特徴的で、中高年の場合、女性は男性の6~9倍の割合で発症すると報告されています。
参考文献
.“肛門疾患・直腸脱診療ガイドライン2020年版(改訂第2版)”.日本大腸肛門病学会.https://www.coloproctology.gr.jp/uploads/files/journal/koumonshikkan_guideline2020.pdf,(参照 2025-10-21).
Mustafa Oruc et al.“Current diagnostic tools and treatment modalities for rectal prolapse”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37383136/,(参照 2025-10-21).
直腸脱の治療・対処法
直腸脱への対処法は?
骨盤底筋体操などの筋力トレーニングが予防に有用です。飛び出たままになった場合は出血や痛みなどが続くことがあるので、手術などの治療が必要になります。
直腸脱の場合、主にどのような治療をしますか?
直腸脱の主な治療は手術です。経会陰手術と経腹手術の2つに大別されます。
直腸脱の主な治療は手術です。手術のやり方として、以下の2つに大別されます。
- 経会陰手術(肛門側からのアプローチ)
- 経腹手術(お腹側からのアプローチ)
経腹手術には、お腹をメスで切開する開腹術と、お腹に小さな穴を数か所開けてそこからカメラや手術器具を挿入して行う腹腔鏡下手術があります。
開腹術より腹腔鏡下手術の方が痛みが軽く、入院期間が短いとされています。
どのような術式で行うかは、患者さんの年齢や持病、肛門から飛び出る直腸の長さ、他の骨盤臓器脱の合併の有無など、さまざまな要素から総合的に判断します。
受診の目安・何科を受診するべきか
直腸脱が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
肛門科または消化器外科を受診しましょう。
直腸脱が疑われる場合は、肛門科または消化器外科を受診しましょう。病院で実際にとび出た直腸を医師が確認できれば診断は容易ですが、診察中に確認できない場合もあります。
そのような場合は、排便造影検査、3D-CT検査、MRI検査などの画像検査で直腸脱を評価します。また、がんが原因で直腸脱が起きることがあるため、大腸カメラを行うこともあります。
直腸脱を放置するとさらに病状が悪化して、便失禁や治療後の再発の原因になることがあります。直腸脱が疑われる場合は症状を放置せずに、早めに肛門科または消化器外科を受診しましょう。
参考文献
.“肛門疾患・直腸脱診療ガイドライン2020年版(改訂第2版)”.日本大腸肛門病学会.https://www.coloproctology.gr.jp/uploads/files/journal/koumonshikkan_guideline2020.pdf,(参照 2025-10-21).
Liliana Bordeianou et al.“Clinical Practice Guidelines for the Treatment of Rectal Prolapse”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28991074/,(参照 2025-10-21).
直腸脱の専門医がいる近くの病院はありますか?
直腸脱の専門医がいる病院を見る対処法・セルフケア
直腸脱の場合、日常生活で気を付けることはありますか?
排便時に強くいきむことは避けましょう。便秘対策として食生活の改善やマッサージ、薬物療法が有用です。
慢性的な便秘や、排便時に強くいきむことは直腸脱を悪化させます。いきまずに自然に排便することを心がけましょう。以下の食品やマッサージは、便秘を改善する効果が期待できます。
- 食物繊維が豊富なもの
- ヨーグルトなどの乳酸菌食品
- キウイフルーツやプルーンなどの果物
- 1日15分、週5回、お腹をマッサージする
生活習慣を改めても便秘が改善しない場合は、便を軟らかくしたり、大腸の運動を促す薬を使用しましょう。
直腸脱で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
外科的な手術を行います。
直腸脱を根本的に治療する方法は、手術しかありません。直腸脱では、加齢・出産・慢性的な強いいきみによる直腸周囲の筋肉や神経の障害、垂れ下がった粘膜などの問題があり、これらが薬で改善することはありません。
手術のやり方としては経会陰的手術(肛門側からのアプローチ)と経腹的手術(お腹側からのアプローチ)に大別され、経腹手術はさらに開腹手術(お腹をメスで切開する)と腹腔鏡下手術(お腹に小さな穴を数か所開けてそこからカメラや手術器具を挿入して行う)に分類されます。
どのような術式で行うかは、患者さんの年齢や持病、肛門からとび出る直腸の長さ、他の骨盤臓器脱の合併の有無など、さまざまな要素を考慮して総合的に判断します。実際の治療方針については、必ず担当の医師から十分な説明を受けましょう。
直腸脱に関連するその他の質問
脱肛と直腸脱の違いは何ですか?
脱肛はいぼ痔(内痔核)が、直腸脱は直腸の粘膜が肛門の外側にとび出た状態です。治療法が異なります。
脱肛は、いぼ痔(内痔核)が肛門の外側に飛び出た状態です。直腸脱は、直腸の粘膜が肛門の外側に飛び出た状態です。脱肛と直腸脱には以下の違いがあります。
脱肛
- 肛門の外側に飛び出た粘膜の溝が「放射状」に見える。
- 治療法は生活習慣や排便習慣の改善、薬物療法、外科的治療(結紮切除術・ゴム輪結紮法・硬化療法など)があり、病状に応じて治療法を選択する。
直腸脱
- 肛門の外側に飛び出た粘膜の溝が「輪状」に見える。
- 根本的な治療は手術。経会陰手術(肛門側からのアプローチ)と経腹手術(お腹側からのアプローチ)に大別され、患者さんの年齢や持病、肛門から飛び出る直腸の長さ、他の骨盤臓器脱の合併の有無など、さまざまな要素を考慮して総合的に判断する。
正確な診断のためには、肛門科または消化器外科を受診することをお勧めします。
直腸脱に関連する病気・症状
この記事の監修医師
吉岡 藍子
消化器内科・内科
消化器内科医の吉岡藍子と申します。 これまで大学病院や市中病院、健診センターでの内視鏡業務などを通して、消化器領域を幅広く経験してまいりました。 診療の現場では、専門的な用語や複雑な病状の説明に、患者様が戸惑いや不安を感じる場面に何度も出会いました。医療機関で提供される膨大な情報を前に、混乱されてしまう方も少なくありません。そこで、ご自身の病気や体、そして健康について、一人でも多くの方が正しく理解できる環境を作りたいという想いから、ユビーの活動に参加させていただいております。皆様が正しい医学知識に普段から触れ、安心してご自身の健康と向き合えるよう、分かりやすい情報提供に努めてまいります。 【経歴】 新潟大学医学部卒。 新潟県内外の市中病院、大学病院で勤務。 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野にて博士取得。 2022年からユビーに入社し、横浜市で健診内視鏡診療を兼務。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/08/10