梅毒(梅毒性脱毛を含む)
監修医師阿部 吉倫内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
梅毒とは
梅毒トレポネーマによる性感染症で、症状のない時期をはさんで3段階で進行します。早期の診断治療が重要です。第1期(感染後約3週間)には感染した部分にしこりやただれが生じ、足の付け根が腫れたりします。第2期(約3か月後)は全身に広がりピンク色のあざや脱毛がみられます。第3期(数年後)には皮膚にゴムのような腫瘤ができ、心臓、血管、神経などに障害が出てきます。
梅毒とはどのような病気ですか?
梅毒トレポネーマという細菌への感染によって起こる感染症です。主に性行為を通じて細菌が粘膜や皮膚の小さな傷から感染することで発症します。
梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌に感染することで発症する感染症です。梅毒トレポネーマは、主に性行為を通じて粘膜や皮膚の小さな傷から感染します。
感染すると、皮膚や粘膜に発疹やできものを生じるほか、心臓や血管、脳、眼、神経に重大な合併症を引き起こすこともあります。
梅毒の症状
梅毒になると、皮膚にどのような症状が出ますか?
性器や肛門、口などの皮膚にしこりや潰瘍が見られます。これらの症状は一旦消えますが、その後全身に発疹が出ます。
梅毒で治療をせずにいると、長い時間をかけて症状が出ては自然と消える事を繰り返しながら進行します。症状の段階に合わせて第1期から第3期までにわけられますが、第1〜3期でそれぞれ皮膚に特徴的な症状が出ます。
第1期
感染から3週間たった頃に、感染部位となる性器や肛門、口などに硬いしこりができ、これを「初期硬結」と呼びます。痛みや痒みはなく、1箇所だけできる事もあれば複数できることもあります。その後、しこりの真ん中が深くただれることがあり、これを「硬性下疳」と呼びます。これらの症状は約3週間で自然に消えてしまいます。
第2期
さらに数週間後(感染から3ヶ月)、手のひらや足の裏など全身の皮膚に「梅毒性ばら疹」と呼ばれる薄い赤色の発疹(=赤みやぶつぶつ)が現れます。痒みや痛みはなく、数週間から数ヶ月で自然と消えてしまいます。
この時期には、他に「丘疹性梅毒疹」と呼ばれる褐色に盛り上がった発疹や、「扁平コンジローマ」と呼ばれるじゅくじゅくしたイボのようなものが現れることがあります。いずれも自然と消えてしまいます。
第3期
第1〜2期で治療をせずにいると、感染から数年以上たってから、ゴムのような柔らかいしこりが皮膚にできることがあり、これを「ゴム腫」と呼びます。ただれてくることもあります。ゴム腫は、皮膚だけでなく内臓や筋肉など全身にできる可能性があります。
梅毒ではどのような初期症状が出ますか?
感染部位となる性器や肛門、口などに硬いしこりができ、その後、潰瘍が見られることがあります。
感染から数週間してから、感染部位となる性器や肛門、口などに硬くて痛みや痒みのない小豆大のしこりができ、その後、しこりの真ん中に潰瘍(深くただれること)が見られることがあります。これらの症状は約3週間で自然に消えてしまうため、しばしば治ったと勘違いされます。しかし、そのまま放置しておくと、その後さまざまな症状が出現します。
梅毒の症状については以下のQ&Aでくわしく解説しています。
梅毒の症状について教えてください。
梅毒の症状について教えてください。
最初にできものやただれができ、その後手のひらや足の裏など全身に発疹(ほっしん)が出てきます。放置すると、潜伏期間を経て心臓・眼・脳・神経の症状が出ることがあります。
梅毒には、第1期から第4期までステージがあり、段階によって現れる症状が異なります。初期の症状は治療に取り組まなくても自然と消失してしまいますが、梅毒の感染自体は継続するため、完治のためにはきちんと治療に取り組む必要があります。
第1期(感染後3週間〜3ヶ月)
感染した場所(性器・肛門・口など)に痛みを伴わないできものやただれができますが、多くは時間の経過とともに自然に消えます。ただし、症状が治まったからといって、梅毒そのものが治癒したわけではないため、注意が必要です。
第2期(感染後3ヶ月以上〜)
手のひらや足の裏など全身の皮膚や粘膜に発疹が出てきたり、全身のリンパ節が腫れたりします。また、だるさや関節の痛みなどの症状も生じてきます。これらの症状も時間の経過とともに自然と消えますが、やはり梅毒そのものが治癒したわけではないため、適切な治療が必要となります。
通常はこの段階までに梅毒の発見・治療開始に至ることが多いですが、放置してしまうとさらに病気が進行していきます。
第3期(感染後3〜10年)
皮膚や骨、筋肉、腎臓や肝臓といったさまざまな臓器に、ゴム状のしこりが生じます。また、この頃から脳や眼、耳の合併症が起こってくることもあります。
第4期(感染後10年〜)
心臓や血管、中枢神経などに合併症が及び、深刻な事態を引き起こします。放置し続けると、最終的に死に至ります。
梅毒と症状が似ている他の病気はありますか?
他の性感染症やウイルス感染症、さまざまな皮膚の病気に似た症状を示します。
最初は性器や口などにできものやただれが出るなど、他の性感染症やウイルス感染症によく似た症状が起こります。口元の症状は、唇に出るヘルペスに似ていることもあります。
また、感染してしばらくすると全身に発疹が出てきますが、これもさまざまなウイルス感染症の症状に似ています。
また、発疹は乾癬(かんせん)やアトピー性皮膚炎といったさまざまな皮膚の病気に似ていて、見分けがつきづらい場合もあります。
梅毒の検査・診断
どのような検査をして梅毒と診断するのでしょうか?
血液検査を行います。
血液検査を行い、梅毒の抗体の有無を調べます。具体的には、梅毒トレポネーマ抗体とRPR(血液中に含まれる「非トレポネーマ脂質抗体」という物質の量を示す値)を調べ、両者の検査結果を組み合わせて梅毒の有無や状況を判断します。
梅毒の診断はどうやって行うのでしょうか?
血液検査で梅毒の抗体を調べ、その結果から診断を下します。
梅毒ではさまざまな症状が出ますので、症状と併せて血液検査の結果も参照して診断を下します。症状がない時期(潜伏梅毒)であっても、血液検査で梅毒の診断が下ることがあります。
梅毒の治療・対処法
梅毒(梅毒性脱毛を含む)への対処法は?
早期の診断、治療が必要になります。また性行為によって伝染する感染症ですので、パートナーに移さないように配慮してください。ピンポン感染を防ぐため、パートナーと同時に病院を受診し、治療をすることが推奨されます。
梅毒に感染した場合の治療の流れ(治療開始から治るまで)を教えてください。
ペニシリン系の抗生物質の飲み薬や筋肉注射で治療を行い、症状の改善や血液検査で治療効果を判定します。
通常はペニシリン系の抗生物質の内服を2~4週間にわたって行いますが、2022年に筋肉注射製剤が発売されたことで、筋肉注射を用いての治療も可能になりました。早期の梅毒であれば1回、後期の梅毒であれば3回の筋肉注射で治療が完了します。
なお、神経や眼に症状が出た場合は、10~14日間の抗生物質の点滴を行います。
治療効果の判定は、症状の改善の度合いや血液検査の結果に鑑みて下していきます。
梅毒に感染した場合、一般的にどんな治療をするのでしょうか?
ペニシリン系の抗生物質の飲み薬や筋肉注射で治療を行います。
ペニシリン系の抗生物質の飲み薬や筋肉注射で治療を行います(2022年に筋肉注射製剤が発売され、筋肉注射を用いた治療が可能になりました)。
なお、神経や眼に症状が出た場合には、点滴の抗生物質での治療が必要になります。
受診の目安・何科を受診するべきか
梅毒に感染した場合、医療機関を受診する目安はありますか?
心当たりのある行為があった後に、性器・肛門・口・皮膚に症状が出れば、受診して検査を受けましょう。
心当たりのある行為があった後に、性器・肛門・口・皮膚などに痛みのないできものやただれが出てきた場合、梅毒の可能性がありますので検査を受けましょう。
また、初期に生じるできものやただれは時間の経過とともに自然に消えますが、しばらくすると再び全身に発疹などが出てきますので、そのような経過が認められた時も検査を受けましょう。
梅毒(梅毒性脱毛を含む)の専門医がいる近くの病院はありますか?
梅毒(梅毒性脱毛を含む)の専門医がいる病院を見る梅毒の薬
一般的にどんな薬で梅毒の治療をしますか? また、副作用はありますか?
ペニシリン系の抗生物質を用います。発熱、下痢、皮疹などの副作用が見られることがあります。
ペニシリン系の抗生物質を使って治療します。副作用として、治療の始め頃に一時的に発熱が見られることや下痢がみられることがあります。また、薬を飲み始めて1週間ほど経ってから、薬による発疹が出ることがあります。
なお、ペニシリン系の薬剤がアレルギーのために使用できない場合は、他の薬剤を用いて治療します。
梅毒の経過・予後
梅毒の薬はいつまで飲むのでしょうか? ずっと飲みつづけなくてはいけないのでしょうか?
飲み薬による治療は通常2~4週間で終わります。
飲み薬による治療は、通常2~4週間ほどで終わります。
ただし、治療後の経過や検査結果によっては、再評価および追加治療が必要になることもあります。
対処法・セルフケア
梅毒の薬が効かない場合はどうしたらよいですか?
専門の医師による再評価と治療方針の検討が必要になります。
薬が効かない場合、様々な理由が考えられます。専門の医師による再評価と治療方針の検討が必要になりますので、受診先の担当医に一度相談してみましょう。
梅毒に関連するその他の質問
梅毒には、どのような人がなりやすいですか?
不特定多数の人と性交渉をしている人や、コンドームを使用していない人が梅毒に感染しやすいとされています。
梅毒は、原因となる細菌を保持している人との性交渉を通じて感染します。そのため、不特定多数の人との性交渉やコンドームを使用しない性交渉は、梅毒の感染の危険性を高めます。また、梅毒は腟性交や肛門性交だけでなく、オーラルセックスでも感染する可能性があります。
なお、妊娠中に梅毒に感染すると、お腹の中の赤ちゃんに感染する可能性があるため、妊娠中の性交渉の際は特に注意が必要です。
コンドームを使用していれば、梅毒に感染することはないのでしょうか?
コンドームは感染を防ぐ上で有効ですが、100%の予防策というわけではありません。
コンドームの使用により感染の可能性を下げることはできますが、コンドームで覆われていない部分の接触で感染する可能性があるなど、100%の予防にはならないため注意が必要です。
梅毒の感染経路は何ですか?
性行為などで、梅毒に感染している相手の粘膜や皮膚と接触することで感染します。
性行為などで、梅毒に感染している相手の粘膜や皮膚と接触することで感染します。腟性交や肛門性交だけでなく、オーラルセックスでも感染する可能性があります。
梅毒は一度感染したら、もう感染することはないのでしょうか?
適切な予防を行わない場合、再び感染する可能性があります。
梅毒は、一度感染したからと言って免疫ができる病気ではありません。そのため、適切な予防を行わないと、再び感染する可能性があります。
コンドームの使用やパートナーの治療など、適切な予防策をきちんと講じるようにしましょう。
梅毒を放っておくとどうなりますか?
心臓や血管、脳、眼、神経に重大な合併症を起こす可能性があります。
感染後、治療せずに1年以上経過すると、皮膚にゴムのようなしこりが生じます。また、心臓や血管、脳、眼、神経などに重大な合併症を引き起こすこともあります。特に、心臓や血管の合併症は生命を脅かす危険性があるため、放置せずに早めに治療することが大切です。また、脳の合併症では認知症のような症状が出たり、眼の合併症では目が見えなくなる可能性があったり、神経の合併症では手足の麻痺が出る可能性もあったりと、いずれも深刻な症状をきたすおそれがあります。
梅毒の感染が疑われる際は、放置せずに必ず医療機関を受診するようにしましょう。
梅毒について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「梅毒(梅毒性脱毛を含む)」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 皮ふに何らかの異常がありますか?
- むくみがありますか?
- これまでに【クラミジア・淋病等の性感染症】と診断されたことはありますか?
- 最近、他人の話すことは理解できるが、自分の思っていることを言葉に表現できないことで困っていますか?
- 体の左右どちらか半分が動かせないですか?
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この記事の監修医師
阿部 吉倫
内科
2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03