気管軟化症

監修医師阿部 吉倫内科

更新日
2026/10/27
公開日
2022/02/15

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気管軟化症とは

息を吐く時に気管の太さが狭くなり、ゼーゼーと音がすることです。原因としては、気管自体が弱いものや気管の外から血管などで圧迫されるものがあります。狭くなる範囲や程度が強くなると、呼吸が苦しくなることもあります。

「気管軟化症」とはどのような病気ですか?

気管軟化症は気管が柔らかく潰れやすい病気で、呼吸障害を起こすことがあります。

気管軟化症は、気管が柔らかくて呼吸時に気管がつぶれやすくなる病気です。気管軟化症では、本来しっかりした筒状を保つべき気管の壁や軟骨が柔らかいために、呼吸時に気管がつぶれやすくなります。気管​​軟骨の未発達による先天性(出生時から存在する)の場合もあれば、感染や手術、異常血管などの隣接構造からの圧迫、長期間の人工呼吸器管理などにより後天的に起こる場合があります。先天性気管軟化症は乳幼児に多くみられ、子どもの成長と気管軟骨の成熟に伴い改善することが多いですが、重症例では介入が必要となる場合があります。

症状としては、呼吸の際にゼーゼー、ヒューヒューといった雑音(喘鳴)が出たり、咳が強く長引いたり、甲高い咳や犬が吠えるような音の咳が出ることがあります。また、哺乳時や泣いたときに呼吸が苦しそうに見えることがあります。痰がうまく出せずに呼吸器感染症を繰り返すことがあるほか、重症例では気道閉塞による酸素不足や呼吸困難につながることもあります。診断には気管支鏡検査やCTが用いられ、気管のつぶれ方や範囲を確認します。

治療は多くが経過観察で、成長に伴い気道の内径が拡大し、気管軟骨が発達するにつれて、症状は軽快します。ただし、重度の場合には気管内ステントや外科手術が検討されます。また、呼吸を楽にするための体位工夫や、感染予防も重要です。

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気管軟化症の症状

気管軟化症には初期症状はありますか?

気管軟化症の初期症状は呼吸音の異常や軽い咳で始まることが多いです。

気管軟化症には、初期症状があります。「呼吸音の異常」「しつこい咳」「体位や泣いたときに悪化する呼吸のしづらさ」として現れることが多く、早期の観察が診断につながります。

気管軟化症は、気管がやわらかくつぶれやすいために起こる病気です。症状は徐々に目立ってくることが多いですが、初期段階でもいくつかの特徴がみられます。

代表的なのは呼吸音の異常です。特に泣いたときや興奮したとき、哺乳時などに、ゼーゼー、ヒューヒューといった音(喘鳴)が聞こえることがあります。また、慢性的でしつこい咳が続きやすく、一般的に「犬の吠え声のような」または「アザラシのような」咳と表現されます。風邪をきっかけに症状が悪化し、長引くのも初期に気づかれるサインの一つです。

乳児では、泣いたときや授乳時に呼吸が苦しそうに見えたり、哺乳が途切れてしまうこともあります。さらに、体位によって症状が変化するのも特徴で、うつ伏せで楽になったり、仰向けで悪化することもあります。これらの症状は、成長に伴って改善することも多いですが、繰り返し症状が出る場合には注意が必要です。重症例では呼吸困難やチアノーゼ(酸素不足により皮膚、唇、爪が青みがかる)を起こすことがあります。

気管軟化症の初期症状は、多くの場合乳児期、典型的には生後4~8週の間に現れますが、重症度や後天的な原因によっては、後になってから現れることもあります。

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気管軟化症ではどのような症状がありますか?

気管軟化症では喘鳴や慢性的な咳、呼吸困難などがみられます。

気管軟化症では、主に喘鳴や慢性的な咳などの呼吸症状が見られます。気管軟化症は、気管が呼吸に伴ってつぶれやすいため、空気の通り道が狭くなり、さまざまな呼吸器症状を引き起こします。症状は軽度から重度まで様々です。

代表的なのは 喘鳴(ぜいめい)です。ゼーゼー、ヒューヒューといった音が呼吸時に聞かれ、特に呼気(息を吐くとき)に強くなります。また、慢性的でしつこい咳が続きやすく、一般的に「犬の吠え声のような」または「アザラシのような」咳と表現されます。風邪をきっかけに症状が悪化することも少なくありません。

乳児では、泣いたときや授乳時に呼吸が苦しそうに見えたり、哺乳が途切れてしまうこともあります。さらに、体位によって症状が変化するのも特徴で、うつ伏せで楽になったり、仰向けで悪化することもあります。

重症度により日常生活への影響が大きく異なり、重症例では呼吸困難やチアノーゼ(酸素不足により皮膚、唇、爪が青みがかる状態)を起こすことがあります。また、気道が十分に開かないことで痰がたまりやすく、繰り返し気道感染を起こすリスクもあります。

症状は乳児期(先天性の場合は通常生後4~8週)に現れ始めることもありますが、重症度や根本原因によってはそれ以降に現れることもあります。特に軽症の場合は、子どもの成長に伴い、気道の内径が拡大し気管軟骨が発達するにつれて、症状が改善することがよくあります。

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気管軟化症による気道狭窄の原因は何ですか?

気管軟化症の気道狭窄は気管壁の軟骨や支持組織の弱さが主な原因です。

気管軟化症では、気管を支える軟骨や結合組織が弱く、呼吸時に気管が潰れやすくなるため、気道が狭くなります。通常、気管は硬い軟骨で円筒状に支えられ、呼吸の際も形を保っていますが、気管軟化症ではこの支持構造が不十分であるため、吸気や呼気に伴い気管の形が変化し、空気の通り道が狭くなります。この気道の狭窄は、主に呼気時に胸腔内圧が上昇して強くなり、異常な呼吸音や喘鳴、息苦しさなどの症状を引き起こします。

気管軟化症の原因は、先天性(生まれつきのもの)と後天性に分かれます。

先天性

生まれつき気管軟骨の発育が不十分な状態です。未熟児に見られたり、先天性心疾患や食道閉鎖症などの他の病気を伴うこともあります。

後天性

長期の人工呼吸器使用、気管挿管、気道感染、大動脈や腫瘍による外圧などによって気管壁や軟骨が損傷され、弱くなることがあります。

症状の程度や治療方針は、原因や、狭窄の範囲や重症度によって決まります。

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気管軟化症の原因

大人の気管軟化症の原因や症状は、子どもと違いますか?

大人では後天性原因が多く、症状は慢性的な咳や息切れが中心です。

大人の気管軟化症は、子どもと比べて原因も症状も異なる点が多く、治療方針も異なります。気管軟骨の弱化によって気道がつぶれやすく狭くなる、という気管軟化症の根本的なメカニズムは同じですが、その原因と症状は子どもと大人で異なります。

【原因】

大人の場合は後天性がほとんどで、長期の人工呼吸器使用や気管挿管、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、感染症、外傷、腫瘍や血管構造による外部圧迫などが主な原因です。頸部や胸部への手術や放射線療法後に発症することもあります。一方で、子どもは先天性が多く、気管軟骨の発育不全によるものが中心です。食道閉鎖症、気管食道瘻、血管輪、心疾患などの先天異常を伴うこともあります。

【症状】

大人では主に慢性的な咳、息切れ、運動時の呼吸困難、声のかすれ、痰がたまりやすいことなどが目立ちます。一方で、子どもに比べて呼吸音は目立たない場合があります。成人では症状が進行することがあり、子どもと違い自然改善は期待できません。
子どもの場合、一般的な症状としては、呼気性喘鳴(大きな呼吸音)、犬吠様咳嗽(犬やアシカの鳴き声のような咳)、哺乳困難、チアノーゼ、繰り返す呼吸器感染症などがあります。症状は生後数週間で現れることが多く、軟骨が成熟するにつれて成長とともに自然に改善することがあります。

以上のような違いから、大人の気管軟化症は慢性的な症状管理や、重症例では呼吸補助療法や外科的治療が中心となります。

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気管軟化症の原因は何がありますか?

気管軟化症の原因は、先天性の気管発育不全と、後天性の気管損傷や圧迫に大別されます。

気管軟化症の原因は、大きく先天性と後天性に分けられます。気管軟化症は、気管軟骨の弱さや構造的欠陥によって引き起こされます。その背景には「生まれつきの構造の弱さ(先天性)」と「あとから加わる外的要因(後天性)」があります。

先天性気管軟化症は、生まれつき気管軟骨の発育が不十分で、管を支える力が弱いために起こります。未熟児などで単独で発生する場合もあれば、以下のような他の先天性異常と併発する場合もあります。

  • 気管を圧迫する血管輪や先天性心疾患
  • 食道閉鎖症、気管食道瘻
  • エーラス・ダンロス症候群やマルファン症候群のような結合組織に影響を与える遺伝性症候群


後天性気管軟化症は、外からの圧迫や炎症、手術などによって気管が弱くなることで起こります。具体的には以下のとおりです。

  • 大動脈や腫瘍による圧迫
  • 長期の気管内挿管や人工呼吸器管理による気管壁の損傷
  • 慢性や反復性の気道感染による炎症
  • 慢性気管支炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などによる炎症
  • 先天異常(特に食道疾患)に対する過去の手術
  • 胸部外傷や外科的手技による気管壁の損傷


先天性、後天性のどちらも、気管が異常に柔軟であることにより、特に息を吐くときや咳をしたり泣いたりするときに気管がつぶれやすくなります。症状の程度や経過は原因によって異なり、軽症は自然に改善しますが、後天性で重度の場合は専門的な治療が必要となります。

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気管軟化症の検査・診断

気管軟化症のセルフチェックはできますか?

解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。

気管軟化症を自宅で正確にセルフチェックすることはできませんが、家庭で気づきやすい観察ポイントは存在します。気管軟化症の症状は他の多くの呼吸器疾患と類似しています。確定診断には、気管支鏡やCTなどの専門的検査が必要であり、自宅で正確に確認する方法はありません。ただし、「受診を考えるべきサイン」を観察することは可能です。

たとえば、以下のような症状が繰り返しみられる場合は医療機関での相談が望まれます。

  • 呼吸のたびにゼーゼー・ヒューヒューとした音(喘鳴)が聞こえる
  • 喘鳴は、体位によって変化したり、睡眠中に改善したりする
  • 咳が長引く、風邪後も治りにくい
  • 気管支炎や肺炎などの呼吸器感染症を頻繁に繰り返す
  • 甲高い、「犬の吠えるような」、または「アザラシの鳴き声のような」咳が出る
  • 咳をしているとき、泣いているとき、哺乳中や食事中に呼吸が苦しそうになる
  • 哺乳中に呼吸が止まったり、頻回にむせたりする
  • 仰向けや泣いたときに呼吸がしづらそうに見える
  • 顔色が悪くなったり、唇が紫色になることがある

実際の診断には専門的検査が必須のため、心配な症状がある場合は小児科を受診することが大切です。特に、チアノーゼ(皮膚や唇が青くなる)や無呼吸(呼吸が止まる)の症状が現れた場合は、緊急の医療処置が必要です。

また、症状検索エンジン『ユビー』で質問に沿って回答を進めるだけで、気管軟化症の可能性をセルフチェックできます。ぜひご活用ください。

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気管軟化症の治療・対処法

気管軟化症への対処法は?

症状の程度をみて外科的な治療が必要か、経過を見るだけで大丈夫か判断する必要があります。

気管軟化症の治療では気管切開が必要になりますか?

重症例で呼吸が著しく困難な場合に限り、気管切開が検討されます。

気管軟化症の治療に、気管切開は通常必要ありません。気管軟化症の治療は基本的に経過観察や補助的な薬物療法、呼吸補助療法が中心です。特に、小児の多くの軽症例や中等症例では、成長とともに気管の内径が拡大し、気管軟骨が発達することにより、症状が改善します。気管軟化症の治療において、気管切開は原則的に最終手段であり、通常は、保存的治療や外科的介入が奏効しない重症例、特に自然呼吸が困難で生命に危険が及ぶほどの重症例に限り行われます。

気管切開が必要になるのは、具体的に以下のような場合です。

  • 重度の気道閉塞により、他の治療法では対処できない重大な呼吸困難が起こっている場合
  • 加湿、薬物療法、肺理学療法、CPAPやBiPAPなどの非侵襲的陽圧換気による保存的管理で症状がコントロールできない場合
  • 気管を安定させる、あるいは再建する手術が、すぐに実行できない複雑な病状にある場合
  • あるいは、気道の成熟やさらなる治療を待つ間の一時的な措置として気管切開を行う場合


特に乳児や小児では、重度の気道狭窄や呼吸困難が持続する場合、持続的呼吸補助が必要なときや気管ステントなどの外科的治療が不可能な場合に検討されます。気管切開は呼吸の安定には有効ですが、感染や声の出しづらさなどの合併症のリスクもあるため、専門医の慎重な判断が必要です。

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受診の目安・何科を受診するべきか

気管軟化症が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?

気管軟化症が疑われる場合、症状が繰り返す・強い場合は早めの受診が必要です。

気管軟化症が疑われる場合、「症状が強い」「繰り返す」「日常生活に影響する」場合を、受診の目安と考えるとよいでしょう。気管軟化症は多くが軽症で自然に改善しますが、症状が生活に影響する場合には医療機関の受診が勧められます。受診の目安としては以下のような状況が挙げられます。

  • 呼吸のたびにゼーゼー・ヒューヒューとした音(喘鳴)が頻繁に聞こえる
  • 運動時、食事時、感染症罹患時に、呼吸困難や呼吸の異常音が悪化する
  • 咳が長引き、風邪のあともなかなか治らない
  • 授乳や食事のときに呼吸が苦しそうで途中で止まってしまう
  • 仰向けや泣いたときに呼吸困難が目立つ
  • 呼吸が苦しくて顔色が悪くなる、唇が紫色になる(チアノーゼ)
  • 体重が増えなかったり、食欲がなくなったりする
  • 繰り返す肺炎や気道感染がある

特に「呼吸が苦しそう」「呼吸が止まる」「顔色が悪い」といった症状は緊急性が高く、すぐに受診が必要です。一方、軽い喘鳴や咳だけでも、繰り返す場合は小児科で相談することが望まれます。

診断を確定し、適切な治療計画を立てるためには、早期に専門医の診察を受けることが推奨されます。診断には、通常は気管支鏡検査や画像検査が用いられます。軽症の場合は成長とともに症状が改善することが多いですが、重症または症状が悪化した場合は、速やかに専門医の診察が必要です。

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気管軟化症が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?

気管軟化症が疑われる場合は、小児科や小児呼吸器科を受診します。耳鼻咽喉科や小児外科も関与します。

気管軟化症が疑われる場合は、まずは小児科を受診しましょう。必要に応じて耳鼻咽喉科や小児外科、心臓外科などと連携が図られます。気管軟化症は、乳幼児期に呼吸音の異常やしつこい咳などで気づかれることが多いため、まずは小児科を受診するのが一般的です。子どもが、呼吸困難、呼吸音(喘鳴など)、咳、食事中の窒息、体重増加不良などの症状を示す場合は、小児科医による評価が必要です。

小児科では症状の評価や必要な検査(胸部レントゲン、CT、呼吸音の観察など)が行われます。気管の形態や機能を直接確認するために、 耳鼻咽喉科での喉頭鏡・気管支鏡検査が行われることもあります。また、心血管の圧迫や先天性疾患が関与する場合は、小児外科や心臓外科が診療に加わるケースもあります。

最初の窓口としては小児科を受診し、そこから必要に応じて呼吸器科、耳鼻咽喉科、外科へとつながるのが一般的な流れです。特に乳児で症状が強い場合は早めの受診が望まれます。

ただし、子どもが話すことも泣くこともできない、あるいはチアノーゼ(酸素不足により皮膚、唇、爪が青みがかる状態)の兆候が見られるというような重度の呼吸困難が見られる緊急事態の場合は、直ちに救急科を受診して緊急治療を受ける必要があります。

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気管軟化症の専門医がいる近くの病院はありますか?

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気管軟化症の薬

気管軟化症は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?

気管軟化症では補助的に気管支拡張薬や去痰薬を使うことがあり、副作用に注意が必要です。

気管軟化症の治療は基本的に経過観察が中心ですが、咳や呼吸困難が強い場合には補助的に薬物療法が行われることがあります。気管軟化症の治療に使用される薬剤は、主に粘液を減らし、炎症を抑え、胃食道逆流症(GERD)や呼吸器感染症などの関連症状に対処することで症状を管理することを目的としています。

気管軟化症に用いられる薬には以下のようなものがあります。

気管支拡張薬(β2刺激薬など)

気道の筋肉を緩めて空気の通りを改善します。心拍数の増加、手の震え、頭痛などの副作用が出ることがあります。

去痰薬(ムコダインなど)

痰を薄くして排出を助けます。まれに吐き気や下痢、発疹が起こることがあります。

胃酸分泌抑制薬(プロトンポンプ阻害剤やH2ブロッカー)

胃酸を減らし、気道の炎症を防ぎます。長期使用により便秘、下痢、吐き気などを引き起こす場合があります。

吸入ステロイド

気道炎症が強い場合に補助的に用いられることがありますが、日常的な使用は推奨されません。長期使用で声のかすれや口腔カンジダ症などの副作用が起こることがあります。

薬剤は、軽症では成長による自然な改善を待つ間、重症では外科的介入の補助として、症状の軽減、合併症の予防、生活の質の改善のために用いられることがありますが、いずれの薬も気管軟化症そのものを治すものではありません。副作用のリスクがあるため、必ず医師の指示に従って使用する必要があります。

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対処法・セルフケア

気管軟化症で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?

薬で症状が改善しない場合は専門医による精密検査や外科的治療を検討します。

気管軟化症で薬が効かない場合、さらなる専門的評価と外科的介入の検討が必要です。気管軟化症における薬物療法はあくまで補助的なものです。軽症例の多くは自然に改善するため経過観察され、重症例では外科的介入が検討されます。咳や喘鳴、呼吸困難が強く、薬で十分に改善しない場合は、以下のような対応が考えられます。

精密検査

気管支鏡やCT検査で気管のどの部分がどの程度つぶれているかを詳しく評価します。

呼吸補助療法

CPAPやBiPAPなどの非侵襲的陽圧換気法で、呼吸を楽にする方法があります。

感染管理や生活上の工夫

痰の排出を助ける体位ドレナージ、加湿、感染予防も重要です。

理学療法

痰の排出を助け、感染リスクを軽減します。

外科的治療

重度の場合、外科的治療が選択肢となります。以下のものがあります。

  • 気管固定術:気管を周囲の構造物に固定して気管を安定させ、気道の虚脱を軽減します。
  • 大動脈固定術:大動脈を移動させて固定し、気管への外部からの圧迫を軽減します。
  • 気管ステント留置術:気道を物理的に開いた状態に保つためにステントを配置します(リスクがあるため、あまり一般的ではありません)。
  • 気管切開:重篤な症例において、影響を受けている気道部分をバイパスします。


薬で十分な効果が得られない場合は、小児呼吸器科や耳鼻咽喉科、小児外科といった専門医による評価と治療が必要です。自己判断で薬を増量したり中止したりせず、専門医の指示に従うことが大切です。

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気管軟化症の場合、日常生活で気を付けることはありますか?

気管軟化症では感染予防や呼吸を助ける工夫が日常生活で重要です。

気管軟化症では、日常生活で気をつけるべき点がいくつかあります。気管軟化症は呼吸に伴い気管がつぶれやすい病気です。日常生活でもいくつかの工夫が症状の悪化や合併症を防ぐのに役立ちます。

【日常生活の注意事項】

感染予防

気道感染は症状を悪化させることがあるため、手指衛生、人混みの回避、ワクチン接種を心がけます。

体位の工夫

うつぶせや横向きにすることで呼吸が楽になる場合があります。乳児では頭や上半身を少し高くして寝かせることも有効です。

加湿

乾燥した空気は気道を刺激するため、室内を適度に加湿すると症状が軽くなることがあります。

痰の排出を助ける

体位変換や肺理学療法で痰の排出を促すことで、感染リスクを軽減し、呼吸を楽にすることができます。

刺激物の回避

煙、強い臭い、環境汚染物質は気道を刺激し、呼吸を悪化させる可能性があるため、注意しましょう。

過度な運動や興奮の回避

強い運動や興奮で呼吸困難が誘発されることがあるため、無理のない範囲で活動させます。

胃食道逆流症(GERD)の管理

逆流がある場合は治療し制御することで、気管軟化症の症状を悪化させる可能性のある刺激や咳を軽減できます。

これらの対策は症状を軽減し、呼吸を安定させる補助的な方法です。特に乳児や小児では、家族が日常的に呼吸の様子を観察し、異常があれば早めに医療機関に相談することが重要です。

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気管軟化症に関連するその他の質問

気管軟化症は治る病気ですか?

軽症例は成長とともに改善しますが、重症例は治療が必要です。

気管軟化症は治る可能性がある病気です。気管軟化症は、軽症なら自然に治る可能性が高く、重症なら治療が必要です。治療法は症状の重症度と根本原因に応じて異なります。

気管軟化症は、気管や気管支の軟骨が柔らかくつぶれやすい状態です。特に乳児期の先天性気管軟化症は、成長に伴い気道の内径が拡大し、気管軟骨が発達するにつれて、自然に改善することが多いです。通常は2歳までに症状が改善するとされており、呼吸時の狭窄音や喘鳴、咳などの症状は徐々に軽くなり、日常生活に支障がなくなる場合がほとんどです。この場合、加湿、痰の排出を助ける肺理学療法、胃食道逆流症(GERD)のコントロール、呼吸器感染症の管理などの支持療法が重要になります。

一方で、重症例や後天性の場合は、自然改善が期待できないこともあり、呼吸補助療法(CPAP、BiPAPといった非侵襲的陽圧換気)や外科的治療が必要になることがあります。手術の選択肢としては、気管壁を安定させるための気管固定術、血管の圧迫を軽減するための大動脈固定術、ステントの設置、気管切除などがあります。

症状の程度や範囲によっては、長期的な管理やより積極的な治療介入が必要になります。症状が強い場合や呼吸困難がある場合は、早めに専門医による評価を受けることが重要です。

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高齢者の気管軟化症にはどんな特徴がありますか?

高齢者では後天性が多く、慢性的な咳や息切れが目立ちます。

高齢者の気管軟化症は、加齢や病気などによって気道が潰れやすくなる、後天性の病気です。高齢者の気管軟化症の原因は、通常、先天性ではなく後天性です。具体的には、加齢による軟骨の変性、長期の気管挿管または気管切開、慢性炎症、過去の気道外傷、腫瘍や血管異常による気道の外側からの圧迫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喫煙などによる気道損傷が原因となることが多いです。

症状は初期には軽微ですが、徐々に悪化します。症状の特徴は以下の通りです。

慢性的な咳や痰

痰がたまりやすく、咳が長引くことがあります。

運動時や活動時の息切れ

気道が潰れやすくなるため、軽い運動でも息苦しさを感じることがあります。

呼吸音の異常

ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴がみられることがあります。

感染症の悪化

気道の閉塞があるため、痰がうまく出せずに、肺炎や気道感染症を起こしやすくなります。

上記のような、慢性的な呼吸症状や生活の質への影響が問題となります。症状が他の加齢性呼吸器疾患と重複する可能性があるため、診断にはCTや気管支鏡などの専門的検査が必要です。

治療は高齢患者によく見られる合併症のために複雑になることもありますが、症状の緩和と気道機能の保護に重点が置かれ、呼吸補助療法や生活指導、感染予防が中心となります。重症の場合は非侵襲的人工呼吸器や外科手術などの選択肢があります。

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気管支軟化症と気管軟化症の違いは何ですか?

気管軟化症は気管、気管支軟化症は気管支が柔らかくなる病気です。

気管軟化症は気管に、気管支軟化症は気管支に問題がある病気です。気管軟化症と気管支軟化症はいずれも気道の軟骨や支持組織が弱くなり、呼吸時につぶれやすくなる病態ですが、影響を受ける部位が異なります。

気管軟化症(tracheomalacia)

咽頭のすぐ下にある気管が柔らかく、呼吸時に潰れやすくなる状態です。症状としては、喘鳴や犬吠様咳嗽(犬が吠える声やオットセイの鳴き声のような咳)、主に呼気時の呼吸困難が中心で、特に乳児で顕著です。

気管支軟化症(bronchomalacia)

気管の先に続く左右の主気管支やその分岐部が柔らかくなる状態です。気道が末梢に近いため、ゼーゼー音がより局所的で、肺炎を繰り返したり、痰がたまりやすくなるなどの症状が目立つことがあります。

両者は同時に起こることもあり(気管・気管支軟化症)、症状の程度や治療方針は、つぶれや狭窄の部位や範囲、程度によって異なります。診断には気管支鏡やCTなどの専門的検査が必要です。

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気管軟化症について、医師からのよくある質問

医師からよくある質問はありますか?

「気管軟化症」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。

  • ゼーゼー・ヒューヒューするような呼吸音がしますか?
  • 皮ふの色が青紫色になっていますか?
  • 現在、息苦しさを感じていますか?
  • せきが出ていますか?
  • 体重増加が同年齢の平均と比べて悪いですか?

気管軟化症に関連する症状としては次の症状があります

特に関連する症状

次のような症状がある方はご注意ください。

ゼーゼー・ヒューヒューする呼吸音がある
症状の頻度
初めての症状である
自覚した時期
3週間以上前から
症状の経過
悪化している
皮ふが青紫や青白い色になっている
症状の頻度
ほぼ毎日同じような症状がある
息苦しさを感じる
症状の程度
会話をするだけでも息苦しくてつらい
症状の出方
全く前ぶれのない突然の発症だった
たんが出る
自覚した時期
3-8週間前から

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この記事の監修医師

監修医師 阿部 吉倫

阿部 吉倫

内科

2015年東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部付属病院、東京都健康長寿医療センターで初期研修を修了。血便を放置し48歳で亡くなった患者との出会いをきっかけにデータサイエンスの世界へ。2017年5月にUbie株式会社を共同創業。2019年12月より日本救急医学会救急AI研究活性化特別委員会委員。2020年 Forbes 30 Under 30 Asia Healthcare & Science部門選出。

更新日
2026/10/27
公開日
2022/02/15