右心不全
監修医師白石 達也東日本橋内科クリニック 内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/02/15
右心不全とは
全身から心臓に戻ってきた血液の流れが、滞っている状態です。戻りきれない血液が原因で、手足がむくんだりします。
もっと詳しく「右心不全」を知る右心不全の症状
右心不全には初期症状はありますか?
体重増加、下肢のむくみ、疲れやすさ、息切れなどが起こりやすいです。
初期症状としては、
などの症状が見られます。
他にも、足を中心とした身体のむくみや体重の増加なども、比較的早い段階から現れやすい症状です。
ただし、高齢者や元々あまり動かないような方では、心不全の症状がわかりにくかったり、ほとんど症状が見られなかったりする場合もあります。
高齢者では、年のせいと思っていた症状が心不全症状であることもあるため、注意が必要です。
右心不全で心拍出量が低下するとどのような症状が起こりますか?
血圧が低下し、だるさや冷え、めまい、頻脈が出現し、進行すると意識障害や臓器障害が生じることもあります。
血圧が低下し、だるさや冷え、めまい、頻脈が出現し、進行すると、意識障害や臓器障害が生じることもあります。
右心不全では、以下のような症状が出現することがあります。
- 足のむくみ
- 肝臓の腫れ(肝腫大)
- 腹水や胸水
- 食欲低下
- 息切れ
- 体重増加
重度になると、全身の臓器へ十分な血液が供給できなくなり、腎臓や脳など他の臓器の障害が起こりやすくなります。それによって、意識の障害や腎臓などの内臓の機能が低下してしまうこともあります。
右心不全の末期症状はどのようなものがありますか?
息切れや呼吸困難、血圧低下、下肢のむくみ、腹水など、さまざまな症状が出現します
息切れや呼吸困難、血圧低下、下肢のむくみ、腹水など、さまざまな症状が出現します。
原因となっている心臓の病気や、左心不全の合併の有無にもよりますが、進行すると以下のような症状が出現しやすくなります。
末期には血圧も維持できなくなり、全身の血流障害が生じ、体中の臓器の障害(多臓器不全)を起こすこともあります。
右心不全ではどのような症状がありますか?
右心不全で体重が増加するのはなぜですか?
右心不全では全身から血液が心臓に戻りにくくなるため、血液が体内にたまってしまうためです。
全身を流れてきた血液が、心臓に戻りにくくなるため、血液が体内にたまってしまうためです。
心臓は血液を全身に送りだすポンプの働きをしていますが、血液が全身から戻ってくる右心系(右心房・右心室)の機能が低下すると、全身から流れてきた血液が心臓に戻れなくなり、足やお腹の中に溜まってしまい、むくみや腹水といった症状を引き起こします。
むくみや腹水が生じると、たまった水分の重量で体重が増加してしまいます。
右心不全の検査・診断
右心不全のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
以下のような症状が新しく現れた、または普段よりも悪化している場合には、右心不全の可能性があります。
など
特に、心不全のリスクになるような以下のような病気があると言われたことがある、または治療中の場合には、注意が必要です。
- 心臓の病気(狭心症、心筋梗塞、心臓弁膜症、心筋症、不整脈など)
- 生活習慣病(高血圧、糖尿病、長期喫煙歴など)
- 腎臓病
- 脳血管の病気(脳梗塞、脳出血など)
- 血管の病気(大動脈瘤、大動脈解離、閉塞性動脈硬化症など)
- 肺の病気
など
なお、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできますのでご活用ください。
右心不全の治療・対処法
右心不全への対処法は?
まずは医療機関を受診しましょう。
受診の目安・何科を受診するべきか
右心不全を放置するとどうなりますか?
心不全が進行し、死に至ります。
右心不全を放置すると、命に関わる状態に進行します。右心不全だけでなく、すべての心不全は徐々に悪化していく病気です。自然に病気が完全に治ることはなく、時間とともに進行し、心臓の機能が低下していきます。
心不全を繰り返すことで、心臓の機能が一段と低下し、合併症などの危険もどんどん増加するため、生存期間は短くなっていきます。最終的に、心不全の病気が進行し、最も重症な段階になると2年以内に半分が死亡します。
しかし、近年では、新しく使用できる治療薬も増えており、適切に治療をすることで、完治はできなくても症状を抑え、生存期間を延ばすことが可能であるため、早期発見・早期治療が大切です。
右心不全の名医の探し方を教えてください。
専門学会や医療機関のウェブサイトを活用することができます。
名医を探すための標準的な方法はありませんが、専門学会や医療機関のウェブサイトを活用することで、専門の医師を探すことができます。
以下のような情報を活用することが、適切な医師を見つける手がかりになるかもしれません。
専門学会のウェブサイトを確認する
日本循環器学会では、各都道府県ごとに循環器内科専門医の名簿を確認することができます。
また、ガイドラインを確認して、作成に関わった医師を参照することも可能です。
お近くの病院のウェブサイトを確認する
医療機関のウェブサイトには、心不全の診療経験について掲載されていることがあります。
オンライン相談を活用する
医療相談サービスを利用すると、専門医への受診が必要かどうかのアドバイスを受けることができます。
Ubieでは「かんたん医師相談」から、気軽に医師に相談することも可能です。
右心不全が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
循環器内科を受診してください。もともと治療している病気がある方は、かかりつけの病院に相談してください。
以下のような症状が新しく現れる、または悪化する場合、右心不全などの心不全症状である可能性があります。
など
心不全は、血液を全身に送るポンプとしての心臓機能がさまざまな原因により低下することで、全身の血液がうまく循環しなくなる病気です。心不全は、突然悪化すると、重度の呼吸障害や全身の血流障害が生じるなど、命に関わることもあります。
上記のような症状がある場合は、速やかに循環器科を受診することをおすすめします。
右心不全の専門医がいる近くの病院はありますか?
右心不全の専門医がいる病院を見る右心不全の薬
右心不全は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
利尿剤、血管拡張剤、昇圧剤、心保護薬などを使用します。薬剤によって副作用が異なります。
右心不全は、主に以下のような薬剤で治療を行います。
利尿剤
体にたまった余分な水分などを尿として排出することで、心臓の負担を軽減します。脱水や腎機能障害などの副作用リスクがあります。
血管拡張剤(血管を広げる薬)
血圧を下げ、心臓が血液を送りやすくする作用があります。副作用として、血圧が下がりすぎる場合があります。
昇圧剤
心臓の収縮する力を強化する薬剤です。心機能が大きく低下して血圧が低くなっている場合に使用します。副作用として、不整脈が出やすくなることがあります。
アンギオテンシン変換酵素阻害薬、アンギオテンシン受容体拮抗薬、ネプリライシン阻害薬
心臓を保護する作用がある薬剤です。副作用としては、血圧が下がりすぎる、腎機能障害などがあります。
β遮断薬
神経の興奮を抑え、心臓を保護する作用があります。副作用として、徐脈(脈が遅くなりすぎる)があります。
ミネラルコルチコイド拮抗薬
利尿効果や心保護効果がある薬剤です。副作用として、カリウム上昇などがあります。
SGLT2阻害薬
心臓を保護する効果が強く、利尿作用、自覚症状の改善効果もあります。副作用として、尿路感染などに注意が必要です。
対処法・セルフケア
右心不全の場合、日常生活で気を付けることはありますか?
塩分・水分制限や適度な運動、禁煙、節酒、定期的な体重チェックを行うようにしてください。
右心不全の場合、生活習慣や生活習慣病によって引き起こされる動脈硬化が原因となることが多く、徐々に進行することも多いです。
このため、以下のような点に注意することが必要です。
また、「右心不全ではどのような症状がありますか?」の項目にあるような症状が新しく現れた、または悪化した際には、速やかに病院を受診をすることも大切です。
右心不全で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
原因となる病気に対しての治療を行ったり、呼吸や循環に対する高度な補助療法を行ったりします。
右心不全の治療は、薬物療法だけでなく、以下のように原因となる病気の治療を併行することが必要です。
など
薬物療法や、原因となる病気の治療を行っても治療効果が乏しい「重症心不全」では、人工呼吸器管理や人工心肺などを用いて呼吸や循環を補助するような、高度な治療が必要となることもあります。
右心不全に関連するその他の質問
右心不全では浮腫(むくみ)が起こりますか?
血液が心臓に戻りにくくなって滞るため、手や下肢に水分がたまり、浮腫(むくみ)が起こります。
はい、右心不全では浮腫(むくみ)が見られることがあります。
心臓の右側の部屋の機能が低下すると、体から心臓に戻る血液が渋滞を起こすため、体内のさまざまなところで血管からしみ出した水分がたまります。
手足の血管からしみ出した水分が、皮膚の下の組織にたまった状態を「浮腫(むくみ)」と言います。
右心不全で肺うっ血は起こりますか?
左心不全と一緒に起こった場合には生じることがあります。
右心不全単独では、肺うっ血は起こりませんが、左心不全を伴う場合には起こることがあります。
心臓は血液を送り出すポンプの働きをしており、全身から血液が戻ってくる右心房・右心室からなる右側の心臓の部屋(右心系)と、全身に血液を送り出す働きをしている左心房・左心室からなる左側の部屋(左心系)があります。
右心不全は、右心系の働きが低下してしまった状態です。右心不全を起こすと、全身から血液が心臓に戻れなくなってしまい、心臓に戻れなかった血液が肝臓や足、お腹の中などにたまってしまいます。
基本的には、肺の手前の症状のことが多いですが、左心不全を一緒に起こしている場合には、肺に水がたまってしまう肺うっ血が生じることもあります。
右心不全では肝腫大(肝臓の腫れ)が起こりますか?
血液が心臓に戻りにくくなり、肝臓に血液が滞ると、肝腫大(肝臓の腫れ)を起こします。
はい、右心不全では肝腫大(肝臓の腫れ)が見られることがあります。
心臓の右側の部屋の機能が低下すると、体から心臓に戻る血液が渋滞を起こし、体内のいたるところに血液がたまります。
肝臓に血液がたまると、肝臓が腫れて大きくなります。これを「肝腫大」と呼びます。
右心不全で血圧が低下した場合の対応方法を教えてください。
輸液や強心剤などの使用、人工心肺や人工心臓などの高度な医療機器が使用されることもあります。
右心不全で血圧が低下した場合は、まず原因の治療と血圧維持が重要です。具体的な対応としては、以下のようなものがあります。
- 原因疾患の治療
- 輸液:脱水がある、血流低下がある場合には慎重に水分の補充を行います。
- 尿を増やす薬剤(利尿剤):体内に水分が溜まっている(うっ血がある)場合には、尿を増やす薬剤(利尿剤)を使用します。
- 心臓の動きを補助する薬剤:心臓が動くのを助ける薬剤(強心剤)や、血圧をあげる薬剤が使用されることがあります。
- 高度な医療機器による治療:補助人工心臓や人工呼吸器、人工心肺(経皮的心肺補助法)を用いた血液の循環や、呼吸を補助する高度な医療機器を用いることもあります。
右心不全による右房負荷や右心負荷について教えてください。
右心房や右心系に負担がかかっている状態です。
右心房や右心室に血液がたまり、心臓の右側に負担がかかる状態です。
心臓は血液を送り出すポンプの働きをしており、全身から血液が戻ってくる右心房・右心室からなる右側の心臓の部屋(右心系)と、全身に血液を送り出す働きをしている左心房・左心室からなる左側の部屋(左心系)があります。
全身から戻ってきた血液は、右心房→右心室→肺→左心房→左心室→大動脈へ送り出されます。
右心不全で問題となることがある右房負荷は、右心房内にたくさんの血液がたまってしまい、圧力が高まってしまった状態です。右心室の機能障害、肺の血圧が高くなることなどが原因となることがあります。
右心負荷は、右心房と右心室からなる心臓の右側の部屋に、負担がかかっている状態のことであり、右房負荷も含まれます。左心系の障害、肺の血圧上昇、右心室の障害などが原因となることが多いです。
右心不全と左心不全の違いはなんですか?画像やイラストで教えてください。
右心不全は全身から血液が戻り、右心系が機能低下を起こした状態であり、左心不全は血液を全身に送り出す左心系の機能が低下した状態です。
右心不全は、血液が心臓に戻れず体にたまり、左心不全は、血液を全身に送れず肺にたまる状態です。
心臓は血液を送り出すポンプの働きをしており、内部は上下左右の4つの部屋に分かれています。上の部屋は心房と言い、左右にあるため左心房と右心房があります。下の部屋は心室と呼び、右心室と左心室があります。
右心房・右心室からなる右側の心臓の部屋(右心系)は、全身から血液が戻ってくる部屋であり、左心房・左心室からなる左側の部屋(左心系)は、全身に血液を送り出す働きをしています。
右心不全は、右心系の働きが低下してしまった状態であり、全身から血液が戻れなくなってしまい、心臓に戻れなかった血液が、肝臓や足、お腹の中などにたまってしまいます。
右心不全について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「右心不全」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- むくみがありますか?
- 体のだるさはありますか?
- 足がむくんでいますか?
- これまでに【心房細動】と診断されたことはありますか?
- 息苦しさを感じますか?
右心不全に関連する病気・症状
このページを見ている人はこんな病気も見ています
このページを見ている人は他にどんな病気を見ていますか?
この記事の監修医師
白石 達也 先生
東日本橋内科クリニック 内科・循環器内科
京都大学医学部卒。田附興風会医学研究所北野病院で臨床研修、仁生社江戸川病院で循環器内科医として勤務。Ubie社での勤務を経て、東日本橋内科クリニック院長。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/02/15